MoCRA施設登録とは
MoCRA施設登録とは、米国で流通する化粧品を製造または加工(manufacture / process)する施設について、FDAへ施設情報を登録する制度です。
MoCRAでは、化粧品の安全性や流通実態を把握するため、どの施設がその化粧品の製造・加工に関与しているかをFDAが確認できるよう、対象施設に登録義務を課しています。
ここでいう施設登録は、販売する製品そのものの登録ではなく、「どの施設でその化粧品を製造・加工しているか」を登録するものです。
そのため、同じ会社であっても、複数の工場や委託先がある場合は、どの施設が製造・加工を担っているのかを個別に整理する必要があります。
また、MoCRA施設登録は、Responsible Personが行う製品リスティングとは別の制度です。
イメージとしては、以下のように整理するとわかりやすいです。
MoCRAの登録の整理
施設登録
→ 化粧品を製造・加工する施設の登録
製品リスティング
→ 米国で販売する化粧品そのものの登録
つまり、施設登録は「どこで作っているか」、製品リスティングは「何を売るか」をFDAに届け出る仕組みです。
対象施設
MoCRA施設登録の対象になるのは、原則として米国で流通する化粧品を製造または加工する施設です。
日本の事業者でいうと、主に中身の製造や、製品内容に関わる加工を行う施設が対象になりやすいです。
対象になりやすい施設の例
(調合、混合、乳化、加熱、バルク製造など)
- バルクを受けて容器へ充填する工場
- OEM / ODMとして、化粧品の製造・加工を行う工場
- 中身の希釈、混合、配合作業など、製品内容に関わる加工を行う施設
実務上は、「その施設が中身に手を加えているか」が大きな判断ポイントです。
たとえば、スキンケア製品のバルクを別工場でボトルへ充填する場合、その充填工場は登録対象として考える必要があります。
また、MoCRAの施設登録は会社単位ではなく施設単位で考えるのが基本です。
そのため、自社工場だけでなく、OEM先、充填委託先、加工委託先なども含めて、どの施設が対象になるかを整理する必要があります。
対象外施設
MoCRAでは、化粧品の製造・加工を行わず、一定の周辺作業だけを行う施設は、原則として施設登録の対象外です。
FDAのガイダンスでは、labeling, relabeling, packaging, repackaging, holding, distributing のみを行う施設は、facility から除外される考え方が示されています。
対象外になりやすい施設の例
- ラベル貼りのみを行う施設
- 再ラベルのみを行う施設
- 包装・再包装のみを行う施設
- 保管のみを行う倉庫
- 流通のみを行う物流拠点
たとえば、完成済みの化粧品を受け取り、箱詰めだけする、ラベルを貼るだけ、倉庫保管して出荷するだけといった施設は、通常はMoCRA施設登録の対象外と考えられます。
そのため実務では、
「その施設が単に表示・包装・保管をしているだけなのか、それとも中身の製造・加工・充填に関わっているのか」
で切り分けると整理しやすいです。
小規模事業者免除
MoCRAでは、一定の小規模事業者(small business)について、施設登録・製品リスティング・GMPの義務が免除されます。
ただし、これは「小さい会社なら自動的に免除」という意味ではなく、売上基準と扱う製品の種類の両方で判断します。
まず、小規模事業者に該当するかは、原則として過去3年間における米国内の化粧品売上の平均年間売上額で判断します。
この平均売上が100万ドル未満(インフレ調整あり)であれば、小規模事業者免除の対象になり得ます。ここで見るのは、全世界売上ではなく、米国内の化粧品売上です。
ただし、売上基準を満たしていても、次のような製品を製造または加工している場合は、小規模事業者免除は使えません。
小規模事業者免除が使えない代表例
目の粘膜に通常接触する製品
注入する製品
内用製品
24時間を超えて外観を変え、通常の使用条件では消費者が除去しない製品
そのため実務上は、
① 過去3年間の米国内化粧品売上の平均が100万ドル未満か
② 扱う製品が免除除外製品に当たらないか
の2つをセットで確認する必要があります。
また、小規模事業者免除に当たる場合でも、MoCRA上のすべての義務がなくなるわけではありません。
たとえば、製品の安全性や表示に関する考え方、重大有害事象への対応などは、別途確認が必要です。
FEI番号
FEI(FDA Establishment Identifier)番号は、FDAが施設を識別するために使う番号です。MoCRA施設登録では、施設情報の一部として施設のFEI番号を記載する前提になっています。FDAの施設登録フォーム(Form FDA 5066)でも、施設名・住所とあわせてFacility FEI Numberの入力欄が設けられています。
つまり、MoCRA施設登録を進める際は、対象施設のFEI番号を事前に確認しておくことが実務上かなり重要です。既にFDA関連の別手続きでFEIが付与されている施設であればその番号を使うことがありますが、ない場合は、FDAの案内に沿って取得状況を確認しながら進める必要があります。
なお、FEIは製品番号ではなく施設番号です。製品リスティングでは、どの施設で製造・加工しているかを示す情報としてFEIが関係してくるため、施設登録と製品リスティングの両方でつながる基礎情報と考えるとわかりやすいです。
US Agent(化粧品)
US Agent は、海外施設がMoCRA施設登録を行う際に設定する米国内の連絡窓口です。FDAの施設登録フォームでも、外国施設についてはU.S. agent情報の記載が求められています。
ここで大事なのは、US AgentはResponsible Personとは別役割という点です。Responsible Person は通常、ラベルに名前が載る事業者で、製品リスティングや重大有害事象報告、安全性根拠の維持などの中心になります。
一方、US Agentは海外施設に関するFDAとの連絡窓口です。両者が同一企業・同一人物になるケースはあり得ますが、制度上の役割は別です。
また、US Agentを設定したからといって、その人や会社が自動的に輸入者、FSVP Importer、販売責任者、品質責任者になるわけではありません。 どこまで実務対応してもらうかは契約次第なので、「US Agent=FDA連絡窓口」「Responsible Person=ラベル上の責任主体」として整理しておくと混乱しにくいです。
更新・変更
MoCRA施設登録は、一度登録して終わりではありません。 FDAは、対象施設について2年ごとの更新(biennial renewal)を求めています。FDAのCosmetics Direct案内でも、施設登録が必要な者は2年ごとに登録を更新する必要があると明記されています。
また、登録内容に変更があった場合は、変更後60日以内に登録内容を更新する必要があります。たとえば、以下のような変更は見直し対象になりやすいです。
変更時に見直したい主な項目
- 施設名、所在地、連絡先の変更
- 製造・加工する化粧品カテゴリの変更
- US Agent情報の変更
- 施設の所有者や運営情報の変更
実務上は、「初回登録をした後のメンテナンス」が抜けやすいポイントです。特に海外メーカーでは、工場移転、委託先変更、US Agent変更、製品カテゴリ追加などが起きやすいため、製品変更だけでなく施設情報の変更も管理対象に入れておくのが重要です。
製品リスティングとは
MoCRA製品リスティングとは、米国で販売する化粧品そのものについて、FDAへ製品情報を届け出る制度です。
MoCRAでは、Responsible Person(RP)が、販売する各化粧品について製品リスティングを行う必要があります。施設登録が「どの施設で作っているか」を登録する制度であるのに対し、製品リスティングは「どの化粧品を米国で販売するのか」を登録する制度です。
対象になるのは、原則として米国で市場に出される marketed cosmetic productです。つまり、実際に販売・流通する化粧品が対象であり、RPはその製品ごとに必要情報をFDAへ提出します。
なお、製品リスティングは施設登録とは別制度ですが、完全に独立しているわけではなく、どの施設でその製品が製造・加工されているかという情報も製品リスティングの中で関係してきます。
また、製品リスティングの法的な提出義務はRPにありますが、実際の申請作業そのものは、外部のコンサルタントや申請代行会社などへ依頼することも可能です。
ただし、その場合でも、提出内容の正確性や更新対応を含む最終的な責任主体はRPである点に注意が必要です。
必要情報
MoCRA製品リスティングでは、単に製品名を届け出るだけではなく、製品名、RP情報、製造・加工施設情報、製品カテゴリ、成分情報など、複数の情報をFDAへ提出します。FDAの案内では、RPは各化粧品について製品リスティングを行い、product ingredients を含む情報を提出するとされています。
実務上、主に整理しておきたい情報は次のとおりです。
主に必要になる情報
- 製品名(ラベルに表示される名称)
- Responsible Personの名称・連絡先
- 製造・加工施設の情報(どの施設で製造・加工されているか)
- 化粧品カテゴリ
- 成分情報
- 既に付番されている場合は既存の製品リスティング番号
つまり、製品リスティングは「この製品を、誰が、どの施設で、どんなカテゴリ・成分で販売しているか」をFDAへ届けるイメージです。
成分情報
MoCRA製品リスティングでは、製品に含まれる成分情報を提出する必要があります。FDAの案内でも、製品リスティングにはproduct ingredientsを含めることが明記されています。
実務上は、ラベルに表示する成分表示だけでなく、処方情報と整合した成分リストを整理できているかが重要です。香料、色素、防腐剤などを含め、米国向けにどの名称で整理するかを確認しておく必要があります。
特に、OEM製品や複数工場で製造する製品では、ラベルに載っている成分表示と、実際の処方・工場ごとの配合情報がずれていないかを確認しておくことが大切です。製品リスティングは、単なるマーケティング情報ではなく、FDAへ届け出る製品情報なので、処方管理とセットで考える必要があります。
RPの役割
MoCRA製品リスティングを行う主体は、原則としてResponsible Person(RP)です。
RPとは、一般にその化粧品ラベルに名前が表示される manufacturer / packer / distributorを指します。MoCRAでは、このRPが各 marketed cosmetic product の製品リスティングを行う立場になります。
ただし、RPの役割は製品リスティングだけではありません。MoCRA上、RPは次のような中心的役割も担います。
RPが担う主な役割
- 製品リスティングの提出・更新
- 安全性根拠(Safety Substantiation)の確保・維持
- 重大有害事象報告への対応
- ラベル上の連絡先管理
そのため、RPは単なる「ラベル名義人」ではなく、米国で販売する化粧品の規制対応の中心になる立場として整理しておくとわかりやすいです。
なお、製品リスティングの法的な責任主体はRPですが、実際の申請作業そのものは、外部のコンサルタントや申請代行会社などへ依頼することも可能です。
ただし、その場合でも、提出内容の正確性や更新対応を含む最終的な責任はRP側に残るため、処方情報・成分情報・製造施設情報などをRPがきちんと把握しておくことが重要です。
更新タイミング
MoCRA製品リスティングは、一度出して終わりではなく、年1回の更新管理が必要です。FDAは、RPが製品リスティングについてannual updatesを行うことを求めています。
また、単なる年次更新だけでなく、製品情報に重要な変更があった場合には、次回更新を待たずに内容を見直すべきケースがあります。たとえば、製品名の変更、RP情報の変更、製造施設の変更、成分変更などがある場合は、年次更新の管理対象として確実に拾える体制にしておくことが重要です。
実務上は、「MoCRA製品リスティングは毎年更新が必要」という認識を持ちつつ、社内ではラベル変更・処方変更・工場変更が起きたらリスティングも見直す運用にしておくのが安全です。
処方変更時の対応
処方変更があった場合は、MoCRA製品リスティングも見直し対象になります。なぜなら、製品リスティングには成分情報が含まれるため、香料、防腐剤、色素、基剤などの変更があると、FDAへ届け出ている情報と実際の製品内容がずれる可能性があるからです。
実務上、処方変更時には少なくとも次の点を確認しておくと整理しやすいです。
処方変更時に確認したいこと
- 成分リストの変更が必要か
- ラベル表示の修正が必要か
- 安全性根拠の見直しが必要か
- 製造施設や製造工程に変更が及ぶか
つまり、処方変更が起きたときは、単に製品開発側だけで完結させるのではなく、MoCRA製品リスティング、ラベル、安全性根拠までセットで再確認するのが基本です。
香料アレルゲンの個別表示
MoCRA(2022年制定の化粧品規制近代化法)では、化粧品の「香料(fragrance)」に含まれるアレルゲンについて、ラベルでの個別表示を求める方向で、FDAが規則を策定しています。
これまで香料は、成分表示で「fragrance(香料)」と一括表記できました。今後は、FDAが指定する香料アレルゲンについて、成分名を個別に表示することが求められる見込みです。対象となる成分や施行時期は、FDAの最終規則で確定します。
日本の化粧品輸出者にとっては、使用している調合香料・精油の中にどのアレルゲン成分が含まれるかを、香料メーカーの規格書で把握しておくことが重要になります。香料や処方を変更した場合は、製品リスティングの成分情報とあわせて表示を見直す必要があります。
必須表示
米国向けの一般食品ラベルでは、まず「何をどこに表示しなければならないか」を押さえることが重要です。基本的には、パッケージの主表示面(PDP)と情報表示面(Information Panel)に、FDA上必要な情報を適切に配置する必要があります。FDAの一般的な食品表示ルールでは、少なくとも①食品名(Statement of Identity)②内容量表示(Net Quantity of Contents)③Nutrition Facts ④原材料表示 ⑤アレルゲン表示 ⑥責任者名・所在地が主要な必須表示になります。
実務上は、単に項目が入っていればよいわけではなく、表示位置・文字サイズ・並び順・表現方法までルールがあります。たとえば、食品名と正味量は主表示面で見やすく表示する必要があり、原材料やNutrition Factsは通常、情報表示面にまとめて記載します。
また、日本の食品ラベルをそのまま英訳して貼れば足りるわけではありません。米国では、食品名の付け方、内容量の単位、原材料名の書き方、アレルゲンの出し方などが日本と異なるため、米国向けに組み直す前提で考える必要があります。
Nutrition Facts
Nutrition Facts は、米国の一般食品で広く求められる栄養成分表示です。商品ごとの1食分量(Serving Size)を設定し、その1食あたりのカロリー、脂質、ナトリウム、炭水化物、たんぱく質などを定められた様式で表示します。多くの包装食品ではNutrition Factsが必要で、表示書式や必須栄養素、%DV(1日当たり基準値に対する割合)の考え方もFDAルールに従う必要があります。
実務で特に注意したいのは、日本の栄養成分表示をそのまま流用しにくい点です。米国では、Serving Sizeの考え方や丸め規則、Added Sugars(添加糖)などの表示ルールがあり、日本の「100gあたり表示」や国内向けの計算値とはそのまま一致しないことがあります。
また、Nutrition Factsが不要になる例外や簡易ルールが使えるケースもありますが、輸出実務ではまず「必要になる前提で準備する」方が安全です。特に一般食品として継続販売する場合は、配合表や規格書をもとに、米国向けのNutrition Factsを作成できる状態にしておくことが重要です。
原材料表示
米国向け一般食品では、原材料は原則として重量順に並べて表示します。複合原料を使っている場合は、その中に含まれる原材料まで遡って確認が必要になることがあり、単に日本語ラベルの「たれ」「調味料」だけを英訳するだけでは足りないことがあります。
実務上は、特に以下の点で詰まりやすくなります。
原材料表示で確認したいポイント
- 原材料を重量順で並べられるか
- 複合原料(たれ、シーズニング、スープなど)の中身まで確認できるか
- 添加物や香料、色素の米国での表示名に置き換えられるか
- 原料由来のアレルゲンが整理できているか
たとえば、粉末スープやシーズニングを使う商品では、その粉の中に乳、えび、大豆、小麦、香料、色素などが入っていることがあります。こうした情報が曖昧なままだと、原材料表示とアレルゲン表示の両方が崩れやすくなります。
アレルゲン表示
米国では、主要アレルゲン(major food allergens)に該当する原料を使う場合、定められた形でアレルゲン表示を行う必要があります。現在は、乳、卵、魚、甲殻類、木の実、落花生、小麦、大豆、そしてごまが主要アレルゲンとして扱われています。FDAのアレルゲン表示ガイダンスも近年更新されており、対象範囲や表示の考え方は日本と完全には同じではありません。
表示方法としては、原材料名の中で食品由来を明確にする方法や、別途Contains: ~ の形でまとめて表示する方法があります。重要なのは、原材料規格書や複合原料の内訳まで見て、どのアレルゲンが含まれるかを整理することです。
また、アレルゲンは米国リコールでも非常に多い論点です。実務上は、単に「主要アレルゲンを入れる」だけでなく、フレーバー粉、だし、ソース、調味液などの複合原料にアレルゲンが潜んでいないかまで確認しておく必要があります。なお、“may contain”のような注意喚起表示は、主要アレルゲンの必須表示を置き換えるものではありません。 2026年時点では、FDAはアレルゲン閾値や注意喚起表示の在り方も検討していますが、まずは必須表示の整理が優先です。
原産国表示
原産国表示(Country of Origin)は、FDAの食品ラベルとは別に、主に米国税関・CBP側のルールとして問題になることが多い項目です。一般に、日本から輸出する食品であれば、米国輸入時にMade in Japan / Product of Japan などの形で原産国表示が求められる場面があります。
ここで注意したいのは、「FDAラベル対応ができていれば原産国表示も自動的にOK」ではないという点です。原産国表示は、食品そのもののFDA表示とは別に、通関や商品表示の観点で確認が必要になることがあります。特に、日本で製造したのか、日本で最終加工したのか、海外原料をどの程度使っているのかによって、表現の整理が必要になる場合があります。
そのため、食品ラベルを作る際は、FDA必須表示だけでなく、「原産国表示はCBP・販売チャネル上どう求められるか」もあわせて確認しておくと安全です。
クレーム表現
食品ラベルで非常に注意が必要なのが、クレーム表現です。米国では、表示上の言い方によって、単なる食品表示ではなく、誤認表示・未承認の健康強調・医薬品的表現とみなされるリスクがあります。
一般食品では、たとえば「疲労を回復する」「血糖値を下げる」「炎症を抑える」「アレルギーを改善する」といった表現は、食品ラベルとしては危険になりやすいです。特に、病気の治療・予防・改善を示唆する表現は、食品ではなく医薬品的な論点に踏み込みやすくなります。
また、“high protein” “good source of fiber” のような栄養強調表示(nutrient content claim)や、病気リスク低減を示すhealth claimには、それぞれ別のルールがあります。したがって、食品ラベルでは、単に日本語の販促文を英訳するのではなく、その表現が米国でどのカテゴリのクレームに当たるのかを確認することが重要です。
サプリ表示との違い
一般食品ラベルとサプリメントラベルは、見た目が似ていてもルールがかなり異なります。大きな違いは、一般食品は「Nutrition Facts」、サプリメントは「Supplement Facts」を使う点です。また、サプリメントでは、dietary supplement であることの表示、Supplement Factsの作り方、dietary ingredients / other ingredients の整理、構造機能表示(structure/function claim)の扱いなど、食品とは別の考え方が入ってきます。
特に、サプリではstructure/function claimを使う場合、表示内容の要件に加えて、販売後30日以内のFDA通知やディスクレーマーが問題になることがあります。一方、一般食品では、同じような表現でもそのまま使えるとは限らず、食品として適切なクレームかどうかの見極めが必要です。
そのため、商品が「食品」なのか「サプリ」なのか曖昧なままラベルを作るのは危険です。粉末飲料、グミ、プロテイン、機能性を訴求する健康食品などは特に境界が曖昧になりやすいため、まず分類を決め、その分類に合ったラベルルールで設計することが重要です。
食品添加物
米国向け食品では、原材料だけでなく、添加物が米国で使えるかを確認する必要があります。ここでいう添加物には、保存料、甘味料、酸味料、増粘剤、乳化剤、香料、着色料などが含まれます。
FDAの考え方では、食品に意図的に加える物質は、原則として①食品添加物として使用が認められているか、または②GRAS(Generally Recognized as Safe)として安全性が整理されている必要があります。つまり、日本で普通に使われている添加物でも、米国でその用途・使用量・食品カテゴリーで使えるとは限らないため、個別確認が必要です。
実務上は、まず配合表・原材料規格書を見て、添加物に当たる成分を洗い出すところから始めます。そのうえで、米国での法的位置づけ、使用条件、表示名を確認していく流れになります。
GRAS
GRAS(Generally Recognized as Safe)とは、ある成分が、その intended use(想定される使用方法・使用量・対象食品)において、安全であると専門家の間で一般に認められている状態を指します。GRASに該当する成分は、通常の食品添加物の事前承認の対象から除外されます。
ここで大事なのは、「成分そのものがGRASか」ではなく、「その成分を、どの食品に、どの目的で、どのくらい使うか」まで含めてGRASかを見る点です。たとえば、ある成分が飲料ではGRASでも、別の食品カテゴリーや高用量ではそのまま使えるとは限りません。
また、実務上は「FDAが明示的に承認している成分だけがGRAS」というわけではなく、企業側でGRAS評価を整理するケースもあります。ただし、輸出実務では自己判断だけで進めるのは危険なので、既存のGRAS通知、規則、業界資料、専門家評価まで含めて慎重に確認するのが安全です。
色素
色素(color additives)は、米国では特に注意が必要な分野です。FDAでは、食品に色を付ける目的で使う物質は、通常の食品添加物とは別に色素として個別に管理されます。しかも色素は、GRASだから自由に使えるという整理にはならず、FDAで認められた色素か、その使用条件に合っているかを確認する必要があります。
実務で確認したいポイントは、主に以下です。
色素で確認したいこと
- その色素が米国で使用可能か
- どの食品カテゴリーで使えるか
- 使用量や用途の制限があるか
- 認証(certification)対象色素かどうか
- ラベル上の表示名が米国ルールに合っているか
特に、日本では「野菜色素」「クチナシ色素」などのまとめ方をしていても、米国ではそのまま同じ名前で通らないことがあります。また、“色を付ける目的で使っているのか”によっても整理が変わるため、フルーツや野菜由来原料を使っている場合も注意が必要です。
保存料
保存料は、食品の保存性を高めたり、微生物の増殖を抑えたりする目的で使われる成分です。ソース、菓子、飲料、漬物、レトルト食品などでは、日本で一般的な保存料が使われていることも多いですが、米国向けではその保存料が米国で使えるか、使用条件に合っているかを確認する必要があります。
実務上は、単に「この保存料は米国で禁止かOKか」だけでなく、どの食品で、どの目的で、どの濃度で使っているかまで見ます。たとえば、同じ保存料でも、飲料・菓子・調味料で扱いが違うことがあります。
また、保存料はラベル表示とも直結します。日本の社内資料では略称や商品名で管理していても、米国ラベルでは一般名・適切な表示名に直す必要があるため、配合表とラベル案をセットで確認するのが実務的です。
甘味料
甘味料も、米国向け食品でよく確認が必要になる成分です。砂糖やブドウ糖のような一般的な糖類だけでなく、高甘味度甘味料、糖アルコール、天然由来甘味料などを使っている場合は、特に注意が必要です。FDAはアスパルテームなど個別甘味料について情報を公表しており、食品メーカーは使用する甘味料の安全性と法的位置づけを自ら確認する責任があります。
実務では、以下を確認すると整理しやすいです。
甘味料で確認したいこと
- その甘味料が米国で使えるか
- 一般食品かサプリかで整理が変わらないか
- 使用量や対象食品に制限がないか
- ラベル表示名が適切か
- 栄養成分表示やクレーム表現に影響しないか
特に、ステビア系、糖アルコール系、人工甘味料系は、日本での配合名と米国ラベル名がズレることがあるため、規格書ベースで確認するのが安全です。
アレルゲン
米国向け食品では、成分確認の中でもアレルゲン確認は最重要項目のひとつです。FDA管轄の包装食品では、主要アレルゲンに該当する原料を使う場合、適切な形でラベル表示しなければなりません。現在の主要アレルゲンは、乳、卵、魚、甲殻類、木の実、落花生、小麦、大豆、ごまです。
ここで重要なのは、アレルゲンは最終原材料欄だけ見ても足りないことが多い点です。たとえば、シーズニング、たれ、粉末スープ、香料、チョコレートコーチングなどの複合原料の中にアレルゲンが含まれていることがあります。
そのため実務では、製品の原材料一覧だけでなく、各原料の規格書までさかのぼって確認するのが基本です。アレルゲン表示漏れは米国リコールでも非常に多いので、ラベル作成の前段階として、まず成分側でアレルゲン整理を終わらせておくことが重要です。
サプリ成分
商品がサプリメントに該当する場合は、一般食品とは少し違う目線で成分確認が必要になります。特に、ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸、菌類、抽出物などを使う場合は、その成分が米国で dietary ingredient として扱えるか、そして新規成分(NDI)論点がないかを確認する必要があります。
また、サプリでは成分をdietary ingredientsとother ingredientsに分けて整理する考え方があり、同じ成分でも「有効成分として前面に出すのか」「賦形剤・添加物として使うのか」でラベルや規制上の扱いが変わることがあります。
つまり、サプリ成分の確認では、単に「禁止成分かどうか」だけでなく、
サプリ成分で確認したいこと
- その成分がdietary ingredient として整理できるか
- NDI(New Dietary Ingredient)の検討が必要か
- 一般食品に入れる場合とサプリに入れる場合で扱いが変わらないか
- 成分量や訴求内容が医薬品的にならないか
まで見ていく必要があります。
必要書類
成分・添加物確認を進めるうえで重要なのは、「何が入っているか」を口頭で把握するのではなく、裏付け資料で確認することです。特に米国向けでは、原材料名の英訳だけでは判断できず、各成分の法的位置づけ・用途・使用量・由来・アレルゲン情報まで追える資料が必要になります。
成分確認でまず揃えたい主な資料
- 製品の配合表
- 原材料規格書 / 成分規格書
- 各添加物・香料・色素・甘味料の仕様書
- 複合原料の内訳資料(たれ、シーズニング、スープ、フレーバー粉など)
- アレルゲン情報
- 必要に応じてGRAS根拠資料、法規確認資料、試験成績書
実務では、食品表示を作る段階で初めて成分確認を始めると遅いことが多いです。理想は、ラベル作成より前に、配合表と規格書をもとに「米国で気になる成分」を洗い出しておくことです。そうすると、後からラベル、FSVP、販売可否の判断がかなりスムーズになります。
Food Safety Planとは
Food Safety Planとは、食品製造施設が、自社で製造する食品にどのような危害要因があり、それをどう管理するかを整理した食品安全計画です。
FSMAの予防管理規則では、対象施設に対して、ハザード分析に基づく予防管理を行うための書面化されたFood Safety Planを求めています。
また、このFood Safety Planは、PCQI(Preventive Controls Qualified Individual)が作成するか、またはPCQIの監督のもとで作成する必要があります。
そのため、単に社内で衛生マニュアルをまとめればよいわけではなく、FDAの予防管理規則を踏まえて、危害要因の分析や管理方法を整理できる体制が必要になります。
Food Safety Planは、単なる衛生マニュアルではなく、「何が危険かを洗い出し、その危険をどう防ぐか」までを設計する文書です。
一般的には、少なくとも以下の要素で構成されます。
Food Safety Planの主な構成要素
ハザード分析(Hazard Analysis)
予防管理(Preventive Controls)
モニタリング手順
是正措置・修正(Corrective actions / Corrections)
検証(Verification)
記録管理
必要に応じてリコール計画(Recall Plan)
つまり、Food Safety Planは、工場が「安全に作っています」と説明するための土台であり、FDA査察やFSVP対応でも重要な根拠資料になります。
PCQIとは
PCQI(Preventive Controls Qualified Individual)とは、FDAの予防管理規則(Preventive Controls for Human Food)に基づき、Food Safety Planの作成を行う、またはその作成を監督する責任者です。
FDAのルールでは、Food Safety PlanはPCQIが作成するか、またはPCQIの監督のもとで作成する必要があります。また、Food Safety Planの再分析や、必要に応じた記録の見直しもPCQIが担う前提です。
なお、PCQIは「資格証がないと絶対になれない」という意味ではありません。FDA上は、FDAが認める標準カリキュラムと同等以上の教育・訓練を受けた者、または実務経験によって同等の知識を有する者がPCQIになれます。実務ではFSPCAのPCQIトレーニング受講者が多いですが、法律上FSPCA受講が一律必須というわけではありません。 FDAも、個人の証明書そのものより、実際に作成されたFood Safety Planが適切かを重視する考え方を示しています。
必要になる事業者
Food Safety PlanやPCQIの考え方が必要になるのは、主にFDAの予防管理規則(21 CFR Part 117)の対象となる食品製造・加工施設です。
典型的には、食品を製造、加工、包装、保管する施設で、FDA食品施設登録の対象となるような事業者が中心になります。
ただし、すべての食品事業者が同じようにフルのFood Safety Planを求められるわけではありません。たとえば、農場(farm)として扱われる事業者、一部の小規模事業者、酒類・USDA管轄品を主に扱う施設、既に別のHACCP規則の対象となる一部業態などは、適用関係の整理が必要です。場合によっては、Food Safety Planの全部ではなく一部要件のみ、または別ルール中心で見るケースもあります。
実務上は、「食品施設登録が必要な製造施設か」、そして「その施設がFSMAの予防管理規則の対象か」を最初に確認するのが基本です。日本のメーカー目線では、一般食品・サプリ・菓子・飲料・調味料などを米国向けに継続輸出する製造施設であれば、Food Safety Planの整備が必要になる可能性をまず検討する、という理解でよいです。
ハザード分析
ハザード分析(Hazard Analysis)とは、その食品や製造工程において、どのような食品安全上の危害が起こり得るかを洗い出し、その危害が管理対象になるかを評価する作業です。Food Safety Planの出発点であり、ここでの分析結果をもとに、どの予防管理を入れるかが決まります。FDAは、既知または合理的に予見可能な危害を対象に、危害の発生可能性と重篤性を踏まえて評価することを求めています。
ハザード分析では、一般に以下のような危害を検討します。
主に検討する危害の例
- 生物的危害:食中毒菌、カビ、ウイルスなど
- 化学的危害:アレルゲン、洗浄剤混入、農薬、添加物の不適切使用など
- 物理的危害:金属片、ガラス片、硬質プラスチックなど
重要なのは、「危害が存在するか」だけでなく、「その危害を予防管理で管理すべきか」まで判断することです。たとえば、原料由来のアレルゲン、加熱不足による微生物リスク、異物混入、交差汚染などは、製品や工程によって重点管理対象になりやすい論点です。ハザード分析が曖昧だと、その後の予防管理も曖昧になるため、Food Safety Planの核となる部分といえます。
予防管理
予防管理(Preventive Controls)とは、ハザード分析の結果、管理が必要と判断された危害を予防、除去、または許容レベルまで低減するための管理措置です。言い換えると、Food Safety Planの中で、「その危害に対して、工場として何をするのか」を具体化した部分です。
FDAの予防管理規則では、代表的に以下のような予防管理が想定されています。
主な予防管理の例
- Process Controls:加熱条件、pH、水分活性、冷却条件などの工程管理
- Food Allergen Controls:アレルゲン表示、洗浄、交差接触防止管理
- Sanitation Controls:洗浄・殺菌、衛生管理、環境モニタリングなど
- Supply-Chain Controls:原料供給者に依存する危害の管理
つまり予防管理は、単に「気を付けること」を並べるものではなく、危害ごとに、どの管理方法でコントロールするのかを明確にする仕組みです。
モニタリング
モニタリング(Monitoring)とは、設定した予防管理が、実際の製造現場で適切に実施されているかを日常的に確認し、記録することです。予防管理は決めただけでは意味がなく、現場で継続して守られていることを確認してはじめて機能します。
たとえば、加熱殺菌が予防管理になっている場合は、温度や時間が基準どおりかを確認します。アレルゲン管理であれば、洗浄や表示確認が手順どおり行われているかを見ます。
モニタリングの例
- 加熱温度・加熱時間の確認
- pH、水分活性、冷却温度の測定
- アレルゲン切替時の洗浄確認
- ラベル表示内容の確認
- 衛生管理手順の実施確認
モニタリングは、「決めた管理が、現場で本当に守られているか」を確認する日常点検と考えるとわかりやすいです。
是正措置・修正
是正措置・修正(Corrective Actions / Corrections)とは、モニタリングの結果、設定した予防管理が守られていなかった場合や、問題が発生した場合に取る対応のことです。
たとえば、加熱温度が基準に達していなかった、アレルゲン表示に誤りがあった、洗浄手順が抜けていたといった場合、そのまま出荷するのではなく、何が起きたかを確認し、製品や工程に対して必要な対応を行う必要があります。
一般に、是正措置・修正では以下のような内容を整理します。
是正措置・修正で決めておくこと
- 問題が起きた製品をどう扱うか(保留、廃棄、再加工など)
- 原因をどう確認するか
- 再発防止のために何を見直すか
- 誰が判断し、どのように記録するか
簡単にいうと、「ルールどおりにいかなかった時に、どう立て直すか」を決めておくのが是正措置・修正です。
検証
検証(Verification)とは、Food Safety Planで定めた予防管理やモニタリング、是正措置が、全体としてきちんと機能しているかを確認することです。モニタリングが「日々の運用確認」だとすれば、検証はその仕組み自体が妥当か、正しく回っているかを確かめる確認作業といえます。
たとえば、温度計が正しく校正されているか、記録に漏れがないか、洗浄管理が本当に効果を上げているか、作成したFood Safety Planが現場実態と合っているか、といった点を見ていきます。
検証の例
- 温度計・測定機器の校正確認
- モニタリング記録のレビュー
- 是正措置が適切に実施されたかの確認
- 環境モニタリングや試験結果の確認
- Food Safety Planの見直し・再分析
つまり検証は、「決めたルールを守っているか」ではなく、「そのルールや運用で本当に安全が確保できているか」を確認する工程です。
記録管理
記録管理とは、Food Safety Planに基づいて行ったモニタリング、是正措置、検証などの内容を、後から確認できる形で残しておくことです。FDA対応では、「管理しています」と口頭で説明するだけでは足りず、実際にどのように管理したかを記録で示せることが重要になります。
記録管理の対象は幅広く、たとえば以下のようなものが含まれます。
主な記録の例
- 温度、時間、pHなどのモニタリング記録
- 洗浄、アレルゲン管理、衛生点検の記録
- 問題発生時の是正措置記録
- 検証結果やレビュー記録
- Food Safety Planの改訂・再分析記録
記録管理は、FDA査察への備えという意味だけでなく、問題が起きたときに原因を追えるようにするための土台でもあります。記録が曖昧だと、実際には管理していても、当局や輸入者に対してそれを証明しにくくなります。
リコール計画
リコール計画(Recall Plan)とは、対象食品に重大な問題が見つかったときに、どのように出荷停止・回収・連絡・記録対応を行うかをあらかじめ定めた計画です。FDAの予防管理規則では、ハザード分析の結果、予防管理が必要な食品について、その食品に対するリコール計画を作成することが求められます。
リコール計画には、一般に以下のような内容を盛り込みます。
リコール計画で整理する主な内容
- どの製品を対象に回収判断するか
- 誰が社内責任者になるか
- 取引先・輸入者・流通先へどう連絡するか
- 消費者向け告知や行政対応をどう行うか
- 回収対象品の特定、隔離、処分方法
- 回収結果や是正措置の記録方法
実務上は、リコール計画があっても、ロット管理が曖昧、連絡先が整理されていない、誰が判断するか決まっていないと機能しません。そのため、Food Safety Planの一部としてリコール計画を作る際は、単にひな形を置くだけでなく、実際に問題が起きたときに動けるレベルまで具体化しておくことが重要です。
FCEとは
FCE(Food Canning Establishment)登録とは、FDAが定める酸性化食品(Acidified Foods)または低酸性缶詰食品(LACF: Low-Acid Canned Foods)を製造・加工・包装する施設について行う登録です。対象になる施設は、これらの食品を米国向けに製造する国内外のcommercial processorで、施設情報や加工方法などをFDAへ届け出ます。
ここでいうFCE登録は、通常のFDA食品施設登録とは別に必要になる制度です。つまり、対象商品を扱う場合は、「一般の食品施設登録をしたから終わり」ではなく、FCE登録とSID提出まで必要になる可能性があるという点が重要です。
SIDとは
SID(Submission Identifier)は、FDAに提出するscheduled process(製造条件・殺菌条件等のプロセス情報)ごとに付く識別番号です。FCE登録が「どの施設が対象食品を扱うか」の登録だとすると、SID提出は「その施設が、その商品を、どの条件で安全に製造するか」をFDAへ届け出る手続きです。
酸性化食品では Form FDA 2541e、LACFでは 2541d / 2541f / 2541g など、製品や製法に応じたフォームでプロセスを提出します。実務上は、SIDという言葉だけが独り歩きしがちですが、実際に重要なのはSID番号そのものより、「どの製品について、どのscheduled processを提出したか」です。
対象食品
FCE登録/SID提出の対象になるのは、主に酸性化食品(Acidified Foods)と低酸性缶詰食品(LACF)です。FDAは、LACFを最終平衡pHが4.6超かつ水分活性awが0.85超の食品で、密封容器に入れられ、熱加工されたものと定義しています。また酸性化食品は、もともと低酸性の食品に酸や酸性食品を加え、最終平衡pHを4.6以下にした食品で、awが0.85超のものです。
実務上、対象になりやすいのは次のような食品です。
対象になりやすい食品の例
- レトルト食品(カレー、パスタソース、惣菜など)
- 瓶詰・缶詰の惣菜、野菜加工品、ソース類
- ピクルスや酸性化した野菜加工品
- 常温流通の密封容器入り食品で、熱加工により安全性を確保しているもの
つまり、単に「缶詰っぽい」「瓶詰っぽい」ではなく、pH・水分活性・容器・熱加工・常温流通を見て対象性を判断します。
対象外ケース
一方で、見た目が似ていても、FCE登録/SID提出の対象外になる食品もあります。FDAの案内やLACFの検査ガイドでは、少なくとも次のようなものは通常この制度の対象外とされています。
対象外になりやすいケース
- もともと酸性の食品(自然にpH 4.6以下の酸性食品)
- aw 0.85以下の食品
- 冷蔵流通前提の食品
- 密封容器ではない食品
- 容器内で熱加工していない食品
- アルコール飲料
- USDA管轄の一部製品(肉・家禽など)
また、ジャムやゼリー、酸性ドレッシングのように、見た目は瓶詰でも、法的には酸性食品や別カテゴリとして整理されることがあります。逆に「酸を加えているから全部acidified food」というわけでもありません。最終平衡pH・食品のもともとの性質・製法を見て判断する必要があります。
pH・水分活性
FCE/SIDの判断では、pHと水分活性(aw)が非常に重要です。FDAは、LACFについて最終平衡pHが4.6超・awが0.85超、酸性化食品について最終平衡pHが4.6以下・awが0.85超という考え方をとっています。
ここで大事なのは、見るべきなのが原料時点のpHではなく、最終製品の平衡pH(finished equilibrium pH)だという点です。たとえば、野菜に酢を加えた商品では、漬け込み直後の液のpHではなく、中身全体が平衡状態になった後の最終pHで判断します。
また、awは「水分量」ではなく、微生物が利用できる水の程度を見る指標です。水分が多く見えても、糖や塩でawが下がっている商品もあります。そのため、見た目の水っぽさだけで判断せず、必要に応じて測定・検証することが重要です。
レトルト・瓶詰判定
FCE登録/SID提出では、単に「レトルト食品だから対象」「瓶詰だから対象」と決めるのではなく、その商品が密封容器に入れられ、常温流通を前提に、容器内または同等の管理下で安全性を確保する熱加工を受けているかを見る必要があります。
実務上の見方としては、次のように整理するとわかりやすいです。
判定時に見たいポイント
- 容器が密封容器(hermetically sealed container)か
- 常温流通品か、冷蔵品か
- 最終製品のpHとawがどうか
- 加熱が単なる調理か、商業的殺菌・scheduled process管理の対象か
たとえば、レトルトパウチのカレーや常温瓶詰ソースは対象になりやすい一方、冷蔵瓶詰ドレッシングや、単に加熱充填しただけで冷蔵流通する商品は、同じ「瓶入り」でも整理が変わる可能性があります。
必要情報
FCE登録とSID提出では、施設情報だけでなく、製品ごとの製造条件・容器条件・安全管理条件まで整理する必要があります。FDAの案内では、FCE登録時に施設名、所在地、事業者情報、加工方法、対象食品の一覧などを提出し、さらにscheduled process filingでは、製品ごとのプロセス情報を提出することが求められています。
主に必要になる情報
- 施設名・所在地・事業者情報
- 対象製品名、製品スタイル、容器サイズ・容器種類
- 製造方法(processing method)
- scheduled processの内容
- pH、aw、塩分、糖度、保存料などの管理条件
- 加熱条件、レトルト条件、初期温度、F値など必要な殺菌条件
- そのプロセスを設定した根拠資料(process authority 等)
つまり、FCE/SIDは単なる施設登録ではなく、「この施設が、この商品を、この条件で安全に作る」ことをFDAに示す手続きです。
よくある誤解
FCE登録/SID提出まわりは、実務で誤解が非常に多い分野です。特に次の点は間違えやすいです。
よくある誤解
① FDA食品施設登録をしたから、FCEは不要
→ 誤りです。対象商品を扱う場合は、通常の食品施設登録とは別に、FCE登録とSID提出が必要になることがあります。
② 酢を入れていれば全部acidified food
→ 誤りです。重要なのは最終平衡pH、aw、食品のもともとの性質、製法です。単に酸味がある、酢を使っている、では足りません。
③ 瓶詰・缶詰・レトルトは全部対象
→ これも誤りです。冷蔵品、酸性食品、awが低い食品、密封容器でない食品などは対象外になることがあります。
④ FCE番号を取れば商品は何でも出せる
→ FCEは施設登録であり、商品ごとのscheduled process提出(SID)が別途重要です。製品ごと・容器ごと・製法ごとに整理が必要です。
FDA施設登録とは?──対象施設・必要情報・2年ごとの更新
これは食品の話ひとことで米国向けに食品を作る・包む・保管する「施設」をFDAに登録する制度です。商品の認可ではなく、施設の登録です。
あなたに関係ある?米国で売る食品を製造・加工・包装・保管するなら対象。自社工場だけでなく、OEM先や保管倉庫も対象になりえます。
まず押さえる3つ- 登録は施設ごとに行う(ブランドや会社の単位ではない)
- FDAが認める施設識別番号(UFI/実務ではDUNS番号)を用意する
- 2年ごと(偶数年の10〜12月)に更新する
つまずきどころ=相談どころOEMや最終包装だけを別施設にするときの、どこまで登録が要るかの線引き。US Agentや所有者を変えたときの更新漏れ。更新が切れると輸出が止まりうる点にも注意。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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施設登録とは
FDA食品施設登録とは、米国で消費される食品を製造・加工・包装・保管する施設について、FDAへ施設情報を登録する制度です。
この登録の目的は、FDAが「どの施設が、どこで、どのような食品を扱っているか」を把握し、食品事故やリコール、査察対応の際に追跡できるようにすることです。そのため、食品施設登録は商品そのものの承認ではなく、あくまで施設情報の登録制度です。登録番号を持っていても、それだけで商品や施設がFDAに“認可”されたことにはなりません。
また、食品施設登録は一度登録して終わりではなく、偶数年ごとの更新や、登録情報に変更があった場合の修正対応も必要になります。米国輸出を継続するのであれば、単なる初回手続きではなく、輸出を続けるための基礎インフラとして考える必要があります。
出典・参考:FDA
対象施設
FDA食品施設登録の対象になるのは、米国で消費される食品を製造・加工・包装・保管する施設です。基本的には、以下のような施設が対象候補になります。
対象になりやすい施設
- 食品を製造する工場
- 原料や製品を加工する施設
- 充填・小分け・包装を行う施設
- 米国向け出荷前の製品を保管する倉庫
- OEM製造先や委託先工場
一方で、すべての場所が登録対象になるわけではありません。たとえば、単なる事務所、販売だけを行う拠点、またはFDA上の例外に該当する施設は、必ずしも登録対象ではありません。また、商品によっては、そもそもFDA食品ではなく、USDA/FSIS管轄の肉・家禽・一部卵製品や、TTB中心で見る酒類に当たる場合もあり、その場合はFDA食品施設登録の考え方だけでは整理できません。
さらに実務上は、「自社では製造していないが、OEM先が製造している」ケースや、「最終包装だけ別施設で行っている」ケース、「輸出前に倉庫で保管している」ケースなどで、どこまで登録対象になるのか迷いやすくなります。食品施設登録は“ブランドオーナーの登録”ではなく、あくまで施設単位の登録なので、販売者ではなく、実際に製造・加工・包装・保管を行う施設を起点に確認することが重要です。
必要情報
FDA食品施設登録では、単に施設名を登録するだけではなく、施設の基本情報、運営者情報、食品カテゴリ、米国代理人情報など、複数の情報をFDAへ提出します。
そのため、登録前には入力に必要な情報をあらかじめ整理しておくことが重要です。
主に必要になる情報
- 施設名、所在地、連絡先
- 施設の所有者・運営者・責任者情報
- 施設で扱う食品カテゴリ
- 緊急連絡先情報
- 海外施設の場合は米国代理人(US Agent)の情報
- UFI(Unique Facility Identifier)としてFDAが認める識別子(DUNS番号)
特に近年は、食品施設登録においてUFIの提出が求められており、現時点ではFDAはD-U-N-S(DUNS番号)を受け入れ可能なUFIとして扱っています。
そのため、初回登録前にDUNS番号の確認・取得が必要になるケースがあります。
また、海外施設では米国代理人(US Agent)の情報が必須です。
US Agentは、FDAと海外施設の間の連絡窓口となる米国内の担当者であり、食品施設登録上の重要な情報のひとつです。
実務上は、登録そのものよりも、
「どの施設情報を入れるべきか」
「どの食品カテゴリで登録するか」
「US Agentを誰にするか」
といった点で詰まりやすいため、事前に整理しておくとスムーズです。
更新・変更
FDA食品施設登録は、一度登録したら終わりではありません。登録後も、偶数年ごとの更新と、必要に応じた登録情報の変更が必要です。
まず、食品施設登録は2年ごとの更新制で、偶数年の10月1日から12月31日までの間に更新を行う必要があります。これを過ぎると、登録は失効扱いとなり、FDA上有効な施設登録がない状態になります。輸出を継続している企業にとっては、更新漏れはそのまま輸出リスクにつながるため、かなり重要な管理項目です。
また、更新とは別に、登録内容に変更があった場合は、必要に応じて登録情報を修正しなければなりません。たとえば、以下のような変更が典型例です。
変更対応が必要になりやすい例
- 施設名や所在地が変わった
- 所有者や責任者情報が変わった
- 米国代理人(US Agent)を変更した
- 取り扱う食品カテゴリが大きく変わった
- 施設の閉鎖や事業譲渡があった
特に、US Agentの変更や施設の所有権変更は、見落としやすい一方で実務上の影響が大きいポイントです。たとえば所有者変更があった場合、単なる更新ではなく、既存登録の取消や再登録の検討が必要になることもあります。
そのため、食品施設登録は「初回登録担当者だけが知っている状態」にせず、更新時期・変更時の確認フローを社内で管理しておくことが重要です。
米国内代理人(US Agent)とは?──役割・選び方・依頼範囲
これは食品の話ひとことで海外の施設がFDA登録するときに置く、米国側の連絡窓口です。
あなたに関係ある?日本の施設をFDA登録するなら必須。米国側に窓口役が要ります。
まず押さえる3つ- FDAからの連絡を受けて、施設へつなぐ
- 輸入者やFSVPの責任者とは別の役割
- 「名前だけ」か「緊急時対応まで」か、依頼範囲を先に決める
つまずきどころ=相談どころ知人が米国在住だから、で決めると連絡が届かないおそれ。取引先を窓口にすると、取引が変わったときに登録変更が要ります。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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US Agentとは
米国代理人(US Agent)とは、海外の食品施設がFDA食品施設登録を行う際に設定する、米国内の連絡窓口です。
FDAは、海外施設に対して直接連絡を取るだけでなく、必要に応じて米国内の窓口を通じて連絡できるようにするため、食品施設登録においてUS Agentの情報を求めています。
US Agentは、FDAからの問い合わせや通知、査察関連の連絡などを受け取る役割を持つ存在であり、特に海外施設にとっては、FDAとのやり取りを円滑にするための重要な窓口です。
ただし、US Agentは輸入者(Importer)やFSVP Importerとは別の役割です。
US Agentはあくまで施設登録上の米国内連絡先であり、輸入通関上の責任者や、FSVPの実施主体とは一致しない場合があります。ここを混同すると、輸出スキーム全体の整理が崩れやすくなるため注意が必要です。
また、US Agentを設定したからといって、その人や会社が自動的にFDA対応や輸入実務をすべて担ってくれるわけではありません。
どこまで対応してもらうかは契約や依頼範囲によって異なるため、「US Agent=米国側の何でも屋」ではないという点も押さえておく必要があります。
出典・参考:FDA
誰を選べるか
US Agentには、米国内に住所または事業拠点を持ち、FDAからの連絡を受けられる個人または法人を選ぶ必要があります。実務上は、以下のような候補が考えられます。
US Agentになり得る主な候補
- 米国の輸入者・販売パートナー
- 米国内の関連会社や現地法人
- FDA対応を行う代行会社・コンサル会社
- 米国内に拠点を持つ個人または事業者
一方で、誰でも形式上名前を入れればよいわけではありません。FDAからの連絡を受けても対応できない人や、登録後に連絡が取れなくなる人を設定すると、実務上大きなリスクになります。たとえば、単に知人がアメリカに住んでいるからという理由だけでUS Agentにするのは、基本的にはおすすめできません。
US Agentは、少なくともFDAからの連絡を確実に受け取り、必要に応じて施設側へつなげられる体制が必要です。そのため、選定時には「米国内にいるか」だけでなく、連絡の確実性、対応スピード、FDA関連の理解度、契約終了時の引継ぎのしやすさまで見ておくことが重要です。
また、輸入者や販売パートナーをUS Agentにする場合は、将来的に取引先が変わった際に、施設登録の変更が必要になる可能性もあります。長期的に輸出を続けるのであれば、“今の取引先都合だけで決めてよいか”という視点も持っておくと安心です。
依頼範囲
US Agentは、食品施設登録上は「FDAと海外施設の間の米国内窓口」という位置づけですが、実務上はどこまで対応してもらうかを事前に整理しておくことが重要です。US Agentという名称だけでは、具体的な業務範囲は自動的には決まりません。
最低限、US Agentに期待されるのは、FDAからの連絡を受け取ること、そして必要に応じて海外施設へ連携することです。ただし、実際には依頼先によって、対応範囲はかなり異なります。
依頼範囲の例
最低限の窓口業務のみ
- 食品施設登録にUS Agentとして名前を載せる
- FDAからの連絡を受領し、施設側へ転送する
実務サポートを含むケース
- FDAからの問い合わせ内容を整理して共有する
- 施設登録の更新・変更時のサポートを行う
- 緊急時の連絡窓口になる
- 査察・Warning Letter・輸入時照会などの初動連携をサポートする
そのため、US Agentを選ぶ際には、「名前だけ借りるのか」「緊急時の窓口まで頼むのか」「FDA関連の実務サポートまで含めるのか」 を明確にしておく必要があります。
特に注意したいのは、US AgentはFSVPの実施主体ではないという点です。US Agentにしている会社が、そのままFSVP対応や輸入実務まで担ってくれるとは限りません。もし、食品施設登録だけでなく、FSVP、Prior Notice、FDA照会対応まで一括で任せたい場合は、US Agentの役割とあわせて、別途どの業務を委託するのかを整理して契約しておくことが大切です。
事前通知(Prior Notice)とは?──対象貨物・提出者・タイミング
これは食品の話ひとことで食品を米国へ送る前に「何を・どこから・いつ・誰が」をFDAへ事前申告する手続きです。
あなたに関係ある?販売用に送るなら毎回対象。施設登録済みでも、貨物ごとに別途必要です。
まず押さえる3つ- 貨物ごとに提出する
- 到着前に出す(輸送手段により、到着の2〜8時間前が期限)
- 誰が出すか(輸入者/通関業者/自社)を先に決める
つまずきどころ=相談どころ日本側と米国側で「相手がやると思ってた」で漏れやすい。便・港・内容が変わったときの修正担当も決めておく。到着直前の提出は間に合わないことがあります。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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Prior Noticeとは
Prior Notice(事前通知)とは、米国へ輸入される食品について、「どんな食品が、どこから、いつ、誰によって米国へ入ってくるのか」 を、貨物の到着前にFDAへ事前申告する手続きです。FDAはこの情報をもとに、輸入食品のリスク確認や検査対象の選定を行います。
Prior Noticeは、食品施設登録とは別の手続きです。施設登録は「その工場・倉庫がFDA登録対象か」を管理する制度ですが、Prior Noticeは個々の輸入貨物ごとに必要になる輸入時の申告です。つまり、食品施設登録が済んでいても、米国へ食品を送るたびにPrior Noticeの要否を確認する必要があります。
実務上は、Prior Noticeの提出がない、または内容に不備があると、通関で止まる、FDA保留になる、貨物の引き取りが遅れるといったトラブルにつながります。そのため、米国向けに食品を出荷する際は、ラベルや施設登録だけでなく、「今回の貨物のPrior Noticeは誰が、いつ、どの情報で出すのか」まで事前に決めておくことが重要です。
出典・参考:FDA
対象貨物
Prior Noticeの対象になるのは、原則として米国へ輸入または輸入申告される人用・動物用の食品です。一般食品、菓子、飲料、サプリメント、ペットフードなど、FDA管轄の「食品」に該当するものは、幅広くPrior Noticeの対象になります。
一方で、すべての“食べ物らしきもの”が同じ扱いになるわけではありません。たとえば、肉・家禽・一部卵製品など、主にUSDA/FSISが管轄する品目は、そもそもFDA食品としての整理と異なるため、Prior Noticeの考え方も個別確認が必要です。また、個人が非商業目的で持ち込む食品や、個人が個人宛てに送る非商業ギフトについては、通常の商業輸入とは扱いが異なるケースがあります。FDA/CBPは、一定の非商業ギフトについてはPrior Notice違反があっても通常は規制措置を取らない方針を示していますが、事業者が発送する貨物は基本的に商業扱いで考えるべきです。
実務上は、「販売用・業務用として日本の事業者が米国へ送る食品は、まずPrior Noticeが必要と考える」のが安全です。
誰が提出するか
Prior Noticeは、日本のメーカー本人しか出せない手続きではありません。 実際の提出者は、輸出スキームによって異なり、米国側の輸入者、通関業者(Customs Broker)、運送会社、米国の取引先、または日本側の輸出者が提出することがあります。FDAはPrior Noticeの提出者を特定の一者に限定しておらず、必要情報を持つ関係者が、FDAのPNSI(Prior Notice System Interface)またはCBP経由で提出する形です。
ただし、実務で大事なのは「誰が提出できるか」よりも、「誰が提出責任を持つかを事前に決めておくこと」です。日本側は「フォワーダーがやると思っていた」、米国側は「日本側がやると思っていた」という状態だと、出荷直前や貨物到着後に手続き漏れが発覚しやすくなります。
そのため、米国向け食品を出荷する際は、少なくとも以下を事前に整理しておくのがおすすめです。
事前に決めておきたいこと
- Prior Noticeを誰が提出するのか
- 提出に必要な情報を誰が集めるのか
- 提出後の確認番号(PN Confirmation Number)を誰が保管し、通関書類へ反映するのか
- FDAやCBPから照会が来た場合の連絡窓口は誰か
必要情報
Prior Noticeでは、単に「食品を送ります」と伝えるだけでは足りず、貨物・食品・製造者・発送者・到着情報など、複数の情報をFDAへ提出します。実際の入力項目は輸送形態や申告方法によって多少変わりますが、実務上は次のような情報を事前に整理しておくとスムーズです。
Prior Noticeで主に必要になる情報
- 食品の情報 :商品名、食品カテゴリ、数量、包装形態、ロット等
- 製造者情報 :製造施設名、所在地、必要に応じて施設登録情報
- 発送者・輸出者情報 :日本側の出荷元、輸出者、場合によっては荷送人情報
- 輸入者・荷受人情報 :米国側の輸入者、荷受人、通関関係者情報
- 輸送情報 :輸送手段(航空・船便・陸送・郵便など)、到着予定日時、到着港・空港、便名や追跡情報など
- 過去の拒否歴に関する情報 :必要な場合は、他国や米国での拒否歴に関する情報
実務上、Prior Noticeで詰まりやすいのは、「食品の正式な品目整理」「どの施設名義で出すか」「いつどこに到着するか」が曖昧なまま出荷準備が進んでしまうケースです。特に、ギフトセットや複数商品同梱、OEM商品などは、どの単位で申告するかを事前に確認しておくと安全です。
提出タイミング
Prior Noticeは、貨物が米国に到着する前に提出しなければなりません。提出できるのは、FDA PNSI経由なら到着予定の最大15日前から(CBPのABI/ACE経由の場合は輸入申告と連動)で、輸送方法ごとに最低提出期限が決まっています。FDA/CBPの案内では、通常、陸送は到着2時間前まで、鉄道・航空は4時間前まで、船便は8時間前まで、国際郵便は郵送時までが目安です。
つまり、航空便なら「飛行機が米国に着く4時間前までに出せばよい」という考え方ですが、実務上はそんなギリギリ運用はおすすめできません。フライト変更、書類不備、商品情報の確認漏れなどがあると間に合わなくなるため、通常は出荷確定の段階で早めに必要情報を揃え、通関業者や提出者と連携して事前提出するのが安全です。
また、Prior Noticeを提出した後でも、便や到着港、貨物内容に変更が出た場合は、修正や再提出が必要になることがあります。 そのため、提出のタイミングだけでなく、提出後に変更が起きた場合に誰が修正対応するのかまで決めておくと、輸入トラブルを防ぎやすくなります。
FSVP(外国供給業者検証)とは?──責任者・必要書類・Amazon FBAの注意
これは食品の話ひとことで米国側の輸入者が「その工場、ちゃんと安全に作っているか」を確認・記録する制度です。
あなたに関係ある?米国へ食品を送るなら、ほぼ対象。Amazon FBAで売る場合も対象です。
まず押さえる3つ- 誰がFSVPの責任者(FSVP Importer)になるか決める
- 安全に作っている資料(規格書・検査結果・HACCP等)を揃える
- 確認した内容を記録に残す
つまずきどころ=相談どころ対象外や緩和(小規模など)に当たるかの線引き。Amazon販売時に誰が輸入責任者になるか。適格者(Qualified Individual)を誰にするか。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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FSVP Importerとは
FSVP(Foreign Supplier Verification Program)とは、米国へ輸入される食品について、海外の供給元が米国の食品安全基準に沿って製造していることを、米国側で確認・記録する制度です。
その中で、実際にFSVPを作成・維持し、必要な確認や記録管理を担う責任主体がFSVP Importerです。FDAは、輸入される食品ごとに、このFSVP Importerが誰なのかを明確にすることを求めています。
FSVP Importerは、原則として米国に所在し、食品の米国到着時点でその食品の所有者または購入者である者です。もし、その時点で米国内に所有者や購入者がいない場合には、外国側の所有者・荷受人に代わって、米国内で指定された代理人や代表者がFSVP Importerになることがあります。
ここで重要なのは、FSVP Importerは単なる名前上の登録先ではないという点です。FSVP Importerは、その食品について、どのような危害要因があるか、海外サプライヤーがどのように安全管理しているか、必要な検証や記録が整っているかを確認し、FDAから求められた際に説明・記録提出ができる立場になります。つまり、FSVP Importerは、輸入食品に関する食品安全確認の責任主体と考えるとわかりやすいです。
また、FSVP ImporterはUS AgentやImporter of Recordと同じとは限りません。US Agentは食品施設登録上の米国内連絡窓口、Importer of Recordは通関上の輸入者、FSVP Importerは輸入食品の安全確認を担う主体というように、役割が分かれています。実際には同じ会社が複数の役割を兼ねることもありますが、制度上は別物として整理しておく必要があります。
さらに、輸入時にはFSVP Importerとして、名称・メールアドレス・FDAが認めるUFI(現時点ではDUNS番号)を申告する必要があります。
出典・参考:FDA
FSVP Importerに資格は必要か
FSVPでは、「この資格を持っていないと対応できない」という国家資格や登録資格が必須なわけではありません。 ただし、FSVPの作成や運用は、適切な知識・経験を持つ者が行う必要があります。
FDAの規則では、FSVPに関する業務はQualified Individual(適格者)が行うこととされています。Qualified Individualとは、担当する業務を適切に行うために必要な教育、訓練、または経験を有する者のことです。つまり、法律上「FSVP資格証」のようなものが一律に必要というより、FSVPを理解し、危害要因分析や供給者評価、検証活動の内容を適切に判断できる人材が必要だと考えるのが実務に近い整理です。
このQualified Individualは、必ずしも輸入者の社内担当者である必要はありません。輸入者が自社で対応できない場合は、外部のコンサルタント、品質保証担当者、食品安全の専門家などに支援を依頼することも可能です。
なお、実務ではFSPCAのFSVPトレーニングを受講した担当者が対応するケースも多くありますが、これは「受講しないと法律上FSVPができない」という意味ではありません。ただし、Qualified Individualとしての説明がしやすくなり、FSVPの基本的な考え方を整理するうえでも有効な手段といえます。
そのため、FSVPで重要なのは、“資格の有無”そのものよりも、誰が責任を持って内容を理解し、必要な確認と記録を回せるかを明確にしておくことです。
必要書類
FSVPでは、必要になる資料は大きく2つに分かれます。
1つは、日本側の製造者・輸出者が用意する資料、もう1つは、米国側のFSVP Importerが作成・保管する記録です。
日本側の製造者・輸出者が用意する主な資料
製品仕様書・原材料規格書
製造工程や品質管理がわかる資料
食品ラベル・アレルゲン表示資料
試験成績書、COA
Food Safety PlanやHACCP関連資料
米国側のFSVP Importerが作成・保管する主な記録
危害要因分析(Hazard Analysis)
製造者・サプライヤーの評価記録
サプライヤー承認記録
検証活動の記録(監査、試験成績書確認など)
是正対応や見直しの記録
つまり、FSVPは日本側が製造・品質管理に関する資料を出し、米国側のFSVP Importerがそれをもとに評価・記録を作る仕組みです。
そのため、日本側としては「安全に作っていることを示す資料を整理しておくこと」、米国側としては「その内容を確認した記録を残すこと」が重要になります。
FSVPの対象外・緩和(modified requirements) になるケース
FSVPは、米国へ輸入されるFDA管轄食品に広く関係する制度ですが、すべての食品・すべての輸入に同じレベルのFSVPがそのまま適用されるわけではありません。 商品の種類や輸入スキームによっては、FSVPの対象外になるケースや、通常よりも一部要件が軽くなるmodified requirements(修正要件・緩和要件)が適用されるケースがあります。
まず、代表的な対象外の例として挙げられるのが、肉・家禽・一部卵製品など、主にUSDA/FSISが管轄する食品です。これらは一般的なFDA食品とは規制体系が異なるため、通常のFDA食品としてのFSVPの対象外になることがあります。
また、食品の種類によっては、FSVPが完全に不要になるのではなく、通常のフルFSVPではなく一部緩和された要件が適用されることがあります。代表例としては、very small importer(非常に小規模な輸入者)、一定の条件を満たす小規模外国供給者、また一部のサプリメントなどが挙げられます。こうした場合、通常のFSVPに比べて、求められる確認や文書化の内容が一部簡略化されることがあります。
ただし、ここで注意したいのは、「対象外かもしれない」「一部緩和かもしれない」=何もしなくてよいではないという点です。商品カテゴリー、輸入者の立場、供給者の属性、輸入形態によって判断が分かれるため、自己判断で進めるのは危険です。実務上は、その商品と輸入スキームに対して、FSVPがフルで必要なのか、一部緩和があるのか、そもそも別制度で見るべきなのかを最初に切り分けることが重要です。
Amazon FBA時の注意
Amazon FBAを使って米国で食品を販売する場合、「Amazonに納品する=AmazonがFSVP対応をやってくれる」わけではない点に注意が必要です。FBAはあくまで物流・保管・配送の仕組みであり、FDA上のFSVP責任をAmazonが自動的に引き受けてくれるわけではありません。
そのため、Amazon FBAで食品を販売する場合は、まず誰がFSVP Importerになるのかを明確にする必要があります。たとえば、日本企業が自社で米国へ輸入し、そのままAmazon倉庫へ納品する場合、米国側の受け皿や輸入スキームによっては、販売者側がFSVP対応を求められることがあります。逆に、米国の輸入事業者やディストリビューターが明確に存在し、その事業者がFSVPを担う形であれば、役割分担を整理しやすくなります。
また、Amazon販売では、FDA輸入時の適法性だけでなく、Amazon側からFBA納品や商品掲載に関して追加資料を求められることがある点も実務上のポイントです。輸入時に必要なFSVP体制が曖昧だと、通関で止まるだけでなく、Amazon上の出品や納品にも影響が出る可能性があります。
Amazon FBAで事前に整理したいこと
- 誰がFSVP Importerになるのか
- 誰がImporter of Recordになるのか
- 食品施設登録、Prior Notice、ラベル、成分確認が整理できているか
- FSVPで必要になる資料を輸入者へ提供できるか
- Amazonや通関業者から追加資料を求められた場合の対応窓口を決めているか
特に海外ブランドがそのまま米国Amazonへ展開する場合は、「Amazonに送れば売れる」ではなく、輸入責任者とFDA対応主体を先に固めることが重要です。Amazon向けの実務では、FSVP Importer名・メールアドレス・DUNS/UFIの整理に加え、FDAからの記録要求にすぐ対応できる体制を整えておくと安全です。
米国の通関・輸入時対応とは?──FDA照会・CBP照会・書類不一致
これは食品の話ひとことで米国側の輸入通関で起きるFDA照会・CBP照会・書類不一致への備えです。
あなたに関係ある?米国へ食品を送るなら全員が対象。Amazon FBAでも輸入責任者は必要です。
まず押さえる3つ- 照会が来たとき、誰が対応するか決める
- 書類(Invoice・施設登録番号・FSVP情報・DUNS・ラベル)の整合をとる
- 輸入者(Importer)情報を明確にする
つまずきどころ=相談どころ書類の不一致(品名・数量・施設番号のズレ)で保留になりやすい。Amazon納品でも、輸入者やFSVPの責任は自動では解決しません。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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FDA照会とは
FDA照会とは、米国輸入時にFDAから商品や書類について追加確認を求められることです。
食品、化粧品、サプリメント、医療機器など、FDA管轄の商品では、輸入時にラベル、成分、施設登録、Prior Notice、製品情報などについて確認される場合があります。
FDA照会が起きやすい例
- 施設登録情報が確認できない
- Prior Noticeの内容に不備がある
- ラベル表示に不備がある
- 成分や添加物について確認が必要
- 商品分類が不明確
- 過去に同種商品の輸入トラブルがある
FDA照会が来た場合は、通関業者や輸入者を通じて、必要な資料や説明を提出します。
対応が遅れたり、説明が不十分だったりすると、貨物の保留が長引く、輸入拒否につながる可能性があります。
つまり、FDA照会は「問題が確定した状態」ではなく、FDAが追加確認をしている段階です。
ただし、すぐに資料を出せる体制を整えておくことが重要です。
CBP照会とは
CBP照会とは、米国税関・国境警備局であるCBPから、輸入申告内容について確認を求められることです。
CBPは、関税分類、申告価格、原産国、輸入者情報、インボイス内容などを確認します。
FDAが商品安全や表示を確認するのに対し、CBPは主に通関、関税、輸入申告の正確性を見ます。
CBP照会が起きやすい例
- HSコードが不適切
- 申告価格が不自然
- 原産国表示や原産国情報に不備がある
- インボイス情報が不足している
- Importer情報が不明確
- 商品説明が曖昧
たとえば、インボイスの商品名が簡単すぎる場合や、実際の商品と申告内容が一致していない場合、CBPから追加確認が入ることがあります。
つまり、CBP照会は「輸入申告の内容が正しいか」を確認するものです。
FDA照会とは見るポイントが違うため、食品・化粧品の規制資料だけでなく、インボイスや通関情報も正確に整える必要があります。
書類不一致とは
書類不一致とは、輸入時に提出する各種書類や登録情報の内容が一致していない状態を指します。
米国輸入では、インボイス、パッキングリスト、Prior Notice、FDA施設登録、ラベル、輸送書類、Importer情報など、複数の情報が使われます。
これらの内容にズレがあると、FDAやCBPから照会が入り、通関が止まる可能性があります。
不一致が起きやすい例
- インボイスの商品名とラベルの商品名が違う
- 製造者名とFDA施設登録名が一致しない
- Prior Noticeの数量とインボイス数量が違う
- 輸入者情報が書類ごとに違う
- 原産国表示とインボイス情報が違う
- 住所表記や会社名表記が統一されていない
実務上は、小さな表記ゆれでも確認対象になることがあります。
特に、製造者名、施設名、商品名、数量、輸入者情報は、各書類でそろえておくことが重要です。
つまり、書類不一致は単なる事務ミスではなく、通関遅延やFDA保留につながる実務上のリスクです。
Amazon FBAとは
Amazon FBAへ納品する場合でも、米国輸入時のFDA対応や通関対応が不要になるわけではありません。
FBAは、Amazonが保管・配送を行う仕組みであり、輸入時の規制対応やFDA対応をAmazonが自動的に代行してくれるものではありません。
そのため、日本から米国Amazon倉庫へ商品を送る場合でも、輸入者、通関業者、FDA対応、ラベル、Prior Noticeなどは事前に整理しておく必要があります。
Amazon FBAで注意したいこと
- 誰がImporter of Recordになるのか
- 誰がFSVP Importerになるのか
- Amazon倉庫を輸入者として扱えない場合がある
- FBA納品先住所と輸入者情報は別で整理する必要がある
- FDAやCBPから照会が来た場合の対応者を決めておく必要がある
- Amazon側から追加資料を求められる場合がある
特に食品や化粧品では、「Amazonに送るから大丈夫」ではなく、米国に輸入する時点で必要な手続きや責任者を整理しておく必要があります。
つまり、Amazon FBAは販売・物流の仕組みであり、輸入規制上の責任を自動的に引き受けるものではない、という点が重要です。
Importer情報とは
Importer情報とは、米国へ商品を輸入する際に、輸入者として申告される事業者情報のことです。
輸入時には、Importer of Record、FSVP Importer、荷受人、販売者、Amazon納品先など、似たような名前の関係者が出てきます。
しかし、それぞれ役割が異なるため、混同しないように整理する必要があります。
整理したい主な情報
- Importer of Record:通関上の輸入者
- FSVP Importer:輸入食品の安全確認を担う主体
- Consignee:荷受人
- Ship to:納品先
- Seller:販売者
- Amazon FBA倉庫:納品先であり、通常は輸入責任者ではない
実務上、Importer情報が曖昧だと、通関業者が申告できない、FDA照会に対応できない、FSVP情報が不足する、Amazon倉庫への納品が止まるといった問題につながります。
特に食品の場合は、FSVP Importerの名称、メールアドレス、DUNS番号などが必要になることがあります。
そのため、出荷前に「誰の名義で輸入するのか」「誰がFDA・CBPからの照会に対応するのか」を決めておくことが重要です。
つまり、Importer情報は単なる宛先情報ではなく、米国輸入時の責任関係を整理するための重要情報です。
出典・参考:FDA
何に、いくらかかる?──費用の「構造」と“取った後”のコスト
これは食品の話ひとことで米国輸出の費用は「取る時」の一時費用だけでなく、「取った後」に続く維持費用まで見るのがコツ。金額は品目・体制で変わります。
あなたに関係ある?米国で継続的に売る予定で、取得後の更新・表示変更まで自社で回すのが不安な方向け。取得を一度だけ済ませたい場合は、費用を抑えた別の選択肢もあります。
まず押さえる3つ- 取る時(1回):施設登録・US Agent・ラベル/資料作成・(該当時)検査
- 取った後(毎年〜随時):登録更新・FSVP見直し・表示/原料変更の反映・トラブル対応
- 金額を動かすのは:品目(食品/化粧品/サプリ)×商品数×検査の有無×体制
つまずきどころ=相談どころ更新や表示変更を続けないと、失効・作り直しで追加費用が出ることがあります(業者を問わず、続ける手続きだからこそ起きる話)。当社は取った後まで一緒に持ちます。金額はケースで変わるので、まず見積り相談を。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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費用は「取る時 × 取った後」で見る
米国輸出の費用は、取得時の一時費用と、取った後の継続費用に分かれます。金額は品目・商品数・検査の有無・体制で変わるため、一律ではありません。
取る時(1回)の例
- FDA施設登録
- 米国内代理人(US Agent)
- 米国式ラベル・必要資料の作成
- 品目により追加手続き(低酸性缶詰のSID提出など)
取った後(毎年〜随時)の例
- 2年ごとの施設登録更新
- FSVPの定期見直し
- 表示・原料変更の反映
- 査察・Warning Letter等のトラブル対応
金額を動かす主な要因
- 品目(食品/化粧品/サプリ)
- 商品数
- 検査・追加手続きの有無
- 自社の体制
続けないと“後から効く”費用に注意
「取得」を済ませても、その後の手続きを続けないと、追加の費用が発生することがあります。これは業者を問わず、続ける手続きだからこそ起きる話です。よくある例:
- 施設登録の更新(偶数年)を忘れ、失効して再手続きになる
- 原料や表示を変えるたびに、米国式ラベルを作り直す
- US Agent(米国内代理人)と連絡が取れず、FDAの通知を取りこぼす
当社は「取った後」まで伴走し、更新・見直し・トラブル対応まで一緒に持ちます。金額はあなたの商品・体制で変わるので、まずは無料の相談で費用感を見積もってください。
関税・HTS(関税分類)とは?──FDAとは別に必要な視点
これは食品の話ひとことでHTS(関税分類番号)は、商品を分類して関税率を決める仕組みです。FDAの手続きとは別に、輸入時に関わります。
あなたに関係ある?米国へ物を送るなら全員。分類を誤ると、関税額や通関に影響します。
まず押さえる3つ- 商品ごとにHTSコード(関税分類)が決まり、それで関税率が変わる
- その時々の政策で、通常の関税に追加関税が上乗せされることがある(制度・対象・税率は頻繁に変わる)
- 分類の公表はUSITC(米国国際貿易委員会)、解釈・通関運用はCBP(税関)。いずれもFDAとは別枠
つまずきどころ=相談どころ分類の当てはめは判断が要り、追加関税や税率は頻繁に変わります(制度そのものが入れ替わることも)。最新の分類・可否は専門家に確認を。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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HTSとは
HTS(Harmonized Tariff Schedule=米国の関税分類表)は、輸入する商品を分類番号(HTSコード)に当てはめ、その分類ごとに関税率が決まる仕組みです。分類表を公表・維持しているのは米国国際貿易委員会(USITC)で、分類の最終判断や通関の運用は米国税関(CBP)が担います。いずれもFDAの手続きとは別枠で必要です。
なぜ重要か
同じような商品でも、分類次第で関税率や追加関税の対象かどうかが変わります。誤った分類は、関税の過払いや通関トラブルにつながることがあります。
追加関税は変わりやすい
通常の関税に加えて、政策的な追加関税が上乗せされる場合があります。こうした措置は、制度の名前・対象国・税率がひんぱんに変わり、短期間で入れ替わることもあります。そのため、その時点の最新の一次情報で確認することが欠かせません。
FDAとの関係
FDAの手続き(施設登録・表示など)は「食品・化粧品として売れるか」、HTS・関税は「いくら関税がかかるか」。目的が別なので、両方をそれぞれ確認する必要があります。
出典・参考:USITC(米国国際貿易委員会)HTS/CBP(米国税関)
米国輸出には、そもそも何が必要?──全体像をつかむ
これは食品の話ひとことで米国輸出は「取る前 → 取得 → 取った後」まで続く一連の流れ。まず全体像をつかむのが近道です。
あなたに関係ある?食品・化粧品を米国で売るなら全員。自分の商品がどのルート(FDA/TTB/USDA/MoCRA)かの見極めが出発点です。
まず押さえる3つ- 自社商品の管轄(FDA食品/酒類=TTB/化粧品=MoCRA 等)を切り分ける
- 取得(施設登録・米国式ラベル・事前通知 等)を整える
- 取った後(更新・検証・トラブル対応)を続ける
つまずきどころ=相談どころ品目によって必要手続きが変わります(LACF・Juice HACCP等の追加要件)。まず自社商品の該当ルートの確認から。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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米国輸出の全体の流れ
米国輸出は大きく「取る前 → 取得 → 取った後」に分かれ、実務では次の6段階で進みます。
- ①事前準備:自社商品の管轄(FDA食品/酒類=TTB/肉=USDA/化粧品=MoCRA)を切り分け、米国内の責任者(輸入者・FSVP Importer・US Agent)を決める
- ②成分調査:禁止・制限成分、添加物、着色料、アレルゲンが米国で問題ないか確認する
- ③FDA対応:施設登録、米国式ラベル、(該当時)追加要件を整える
- ④輸出準備:FSVP・食品安全計画・検査記録・回収体制を整える
- ⑤輸出:事前通知(Prior Notice)を出し、書類の整合を確認する
- ⑥輸出後:登録更新・FSVP見直し・ラベル/原料変更・トラブル対応を続ける
この一連が「取った後」までずっと続くため、単発の手続きではなく“続ける前提”で設計するのが重要です。
出典・参考:FDA
なぜ2年ごとに更新が要る?──施設登録の更新と変更管理
これは食品の話ひとことでFDA施設登録は「取って終わり」ではなく、2年ごとの更新と、情報が変わったときの修正が要ります。
あなたに関係ある?米国向けに継続輸出するなら全員。更新を切らさないことが輸出継続の前提です。
まず押さえる3つ- 偶数年の10〜12月に、2年ごとに更新する
- 更新が切れると失効し、輸出が止まりうる
- 施設名・所在地・US Agent等が変わったら原則60暦日以内に反映する
つまずきどころ=相談どころUS Agent変更・所有者変更は見落としやすく影響大。所有者が変わると、単なる更新ではなく旧登録のキャンセル+新規登録が要ります。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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更新・変更
FDA食品施設登録は、一度登録したら終わりではありません。登録後も、偶数年ごとの更新と、必要に応じた登録情報の変更が必要です。
まず、食品施設登録は2年ごとの更新制で、偶数年の10月1日から12月31日までの間に更新を行う必要があります。これを過ぎると、登録は失効扱いとなり、FDA上有効な施設登録がない状態になります。輸出を継続している企業にとっては、更新漏れはそのまま輸出リスクにつながるため、かなり重要な管理項目です。
また、更新とは別に、登録内容に変更があった場合は、必要に応じて登録情報を修正しなければなりません。たとえば、以下のような変更が典型例です。
変更対応が必要になりやすい例
- 施設名や所在地が変わった
- 所有者や責任者情報が変わった
- 米国代理人(US Agent)を変更した
- 取り扱う食品カテゴリが大きく変わった
- 施設の閉鎖や事業譲渡があった
特に、US Agentの変更や施設の所有権変更は、見落としやすい一方で実務上の影響が大きいポイントです。たとえば所有者変更があった場合、単なる更新ではなく、既存登録の取消や再登録の検討が必要になることもあります。
そのため、食品施設登録は「初回登録担当者だけが知っている状態」にせず、更新時期・変更時の確認フローを社内で管理しておくことが重要です。
施設更新
FDA食品施設登録は、一度登録したら終わりではなく、定期更新と変更管理が必要です。食品施設登録は、偶数年の10月1日から12月31日までに更新する必要があり、この更新をしないと登録が失効し、米国向け出荷に支障が出るおそれがあります。
また、定期更新だけでなく、施設名、所在地、連絡先、US Agent、食品カテゴリなどの登録情報に変更があった場合は、原則として60日以内に更新対応が必要です。新しい所有者に変わった場合は、単なる更新ではなく、旧登録の取消しと新規登録の整理が必要になる点にも注意が必要です。
つまり輸出後は、「次の偶数年更新を忘れないこと」 と 「施設情報に変更が出たら都度反映すること」 の2つを管理する必要があります。
出典・参考:FDA
FSVPはなぜ見直し続ける?──定期再評価と変更時の見直し
これは食品の話ひとことでFSVPは一度作って終わりではなく、少なくとも3年ごとの再評価と、変化があったときの都度見直しが要ります。
あなたに関係ある?米国へ食品を送り続けるなら対象。原料・製造・供給者が変われば見直しが要ります。
まず押さえる3つ- 少なくとも3年ごとに再評価する
- 原料・処方・製造所・供給者が変わったら都度見直す
- 日本側は変更をFSVP Importerへ共有する前提で動く
つまずきどころ=相談どころ「米国輸入者が持っているから終わり」ではありません。査察・指摘・苦情・回収などの新情報も見直しの引き金です。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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FSVP見直し
FSVPは、輸入開始時に一度作れば終わりではありません。FDAのFSVPルールでは、輸入者は、食品ごとのリスク評価やサプライヤー評価を少なくとも3年ごとに再評価し、また新しいリスク情報やサプライヤー情報が出たときはその都度見直すことが求められています。
たとえば、以下のような場合は見直しのきっかけになりやすいです。
FSVP見直しが必要になりやすい例
- 原料や処方が変わった
- 製造工程や製造場所が変わった
- サプライヤーを変更した
- FDA査察、指摘、苦情、回収などの新情報が出た
- アレルゲン表示や食品安全上のリスクが変わった
日本側のメーカーとしては、「米国輸入者がFSVPを持っているから終わり」ではなく、変更があればFSVP Importerに必要情報を共有する前提で考えておくことが重要です。
出典・参考:FDA
法改正・ルール変更にどう追従する?──原料の変更管理
これは食品の話ひとことで米国の成分規制は変わります。原料を「変更対象」として管理し続けるのが追従の基本です。
あなたに関係ある?継続輸出するなら全員。日本国内向けの小さな配合変更が、米国側の適法性に響くことがあります。
まず押さえる3つ- 法改正・FDA運用変更があれば成分・ラベル・登録を見直す
- 原料変更は「米国で使える成分か/ラベル修正/FSVP影響」を再確認する
- 変更を都度反映する社内フローを持つ
つまずきどころ=相談どころ「仕入先変更」「微調整」程度の認識でも、成分規制・アレルゲン・ラベル・FSVPに影響することがあります。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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原料変更
原料変更は、輸出後管理の中でも特に重要なポイントです。食品メーカー側では「仕入先変更」「香料変更」「微調整」程度の認識でも、米国向けでは成分規制、アレルゲン、ラベル、FSVP、特殊規制品目の適法性に影響することがあります。
たとえば、以下のような変更は要注意です。
輸出後に注意したい原料変更の例
- 香料、着色料、保存料、甘味料の変更
- シーズニングやたれなど複合原料の変更
- アレルゲンを含む原料への切替え
- 原料供給元や製造委託先の変更
- サプリ成分や機能性成分の追加・変更
原料変更がある場合は、少なくとも①米国で使える成分か ②ラベル修正が必要か ③FSVPや安全資料に影響しないかを再確認するのが基本です。
出典・参考:FDA
査察・指摘(Form 483)・Warning Letterとは?──止まる前後の対応
これは食品の話ひとことで米国では、査察での指摘(Form 483=査察官の観察事項。違反確定ではない)や、貨物保留(Detention)、警戒リスト(Import Alert)、警告文書(Warning Letter)が起こり得ます。
あなたに関係ある?米国で売る事業者は誰でも対象になりえます。出たときの初動で、その後の結果が大きく変わります。
まず押さえる3つ- 貨物が止まる(Detention)=理由確認と資料提出を素早く
- 警戒リスト(Import Alert)=原因是正と解除資料が要る
- 警告文書(Warning Letter)=是正・再発防止をFDAへ回答する
つまずきどころ=相談どころ放置すると追加査察・Import Alert・信用低下に。CAPA・試験結果・製造記録を出せる状態にしておくのが備えです。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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Detentionとは
Detentionとは、米国到着時にFDAやCBPが貨物を保留し、追加確認や審査を行っている状態です。
よくある原因としては、ラベル不備、Prior Noticeの不備、施設登録情報の不一致、成分や添加物に関する疑義、商品分類の不明確さなどがあります。
Detentionになると、貨物はすぐに販売・流通できません。
FDAやCBPから追加資料や説明を求められ、内容によっては輸入許可、再ラベル、再輸出、廃棄、または輸入拒否につながることがあります。
Detention時に確認したいこと
- 何が理由で保留されているのか
- FDA側の確認か、CBP側の確認か
- どの資料を提出する必要があるか
- 通関業者、輸入者、日本側メーカーの誰が対応するか
- ラベル、成分、登録情報、Prior Noticeに不一致がないか
つまり、Detentionは「貨物が止まった状態」ですが、ここでの初動対応によって、その後の結果が大きく変わります。
Import Alertとは
Import Alertとは、FDAが特定の企業、施設、製品、国、商品カテゴリーなどについて、輸入時に重点的に確認するための措置です。
Import Alertの対象になると、貨物が米国に到着するたびに保留されやすくなり、場合によっては物理的検査なしで自動的に保留されることがあります。
これをDWPE、つまり Detention Without Physical Examination といいます。
Import Alertにつながりやすい例としては、過去の違反、ラベル不備、アレルゲン表示漏れ、添加物違反、衛生管理上の問題、酸性化食品やLACFの手続き不備などがあります。
Import Alertで問題になりやすいこと
- 通常より通関が厳しくなる
- 貨物ごとに追加資料が必要になる
- 輸入のたびに保留される可能性がある
- 取引先や販売計画に影響が出る
- 解除には是正内容や根拠資料の提出が必要になる
Import Alertは、単発の通関トラブルよりも影響が大きい対応です。
そのため、対象になった場合は、なぜ掲載されたのかを確認し、原因の是正、証拠資料の整理、今後の輸出体制の見直しまで行う必要があります。
つまり、Import Alertは「FDA側の警戒リストに載ること」と考えると分かりやすいです。
Warning Letterとは
Warning Letterとは、FDAが法令違反や重大な不備があると判断した場合に発行する正式な警告文書です。
食品や化粧品では、施設の衛生管理不備、Food Safety Planの不足、アレルゲン管理不備、ラベル表示違反、未承認の効能表現、MoCRA対応不備などが問題になることがあります。
Warning Letterが出た場合、単に「注意を受けた」で終わるものではありません。
FDAに対して、指摘事項への回答、是正措置、再発防止策、対応期限の管理が必要になります。
Warning Letter対応で必要になること
- 指摘内容の確認
- 違反原因の整理
- 是正措置の作成
- 再発防止策の作成
- FDAへの回答文作成
- 対応期限の管理
- 必要に応じたラベル、工程、記録、施設管理の見直し
対応が不十分な場合、追加の行政措置、輸入保留、Import Alert、取引先からの信用低下につながる可能性があります。
つまり、Warning Letterは、FDAからの正式な警告であり、事業者側が具体的な改善内容を示す必要がある重要な対応です。
出典・参考:FDA
表示改定・新製品の追加とは?──輸出後のラベル見直し
これは食品の話ひとことで表示を変えたり新製品を足したときは、米国ラベルや登録の見直しが要ります。
あなたに関係ある?継続輸出・商品追加をするなら対象。日本側の変更が米国表示に波及します。
まず押さえる3つ- 原材料・表示・クレームを変えたらラベルを見直す
- 新製品追加は施設カテゴリ・登録・表示を確認する
- アレルゲン・栄養表示(Nutrition Facts)のズレは回収リスクに直結
つまずきどころ=相談どころ配合を少し変えただけでも、原材料順・アレルゲン・栄養表示・クレームの修正が要ることがあります。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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ラベル変更
米国向け食品ラベルも、輸出後に固定されるわけではありません。原材料の変更、表示内容の変更、クレーム追加、アレルゲン変更、法改正やFDA運用変更があれば、ラベルの見直しが必要になることがあります。
特に注意したいのは、日本国内向けの変更が、そのまま米国ラベルにも影響するケースです。たとえば、日本で配合を少し変えただけでも、米国側では原材料順、アレルゲン、Nutrition Facts、クレーム表現まで修正が必要になることがあります。
そのため、輸出後は、ラベルを「作って終わりのデータ」ではなく、原料・仕様変更に連動して見直す管理対象として扱うことが重要です。特に、アレルゲン表示漏れやクレーム表現のズレは、通関・販売・回収リスクに直結しやすい論点です。
出典・参考:FDA
リコール・自主回収はどう動く?──計画と初動
これは食品の話ひとことで問題が見つかったとき、出荷停止・回収・連絡・記録をどう動かすかを、あらかじめ決めておく計画です。
あなたに関係ある?予防管理が必要な食品なら計画が求められます。いざという時に動けるかが問われます。
まず押さえる3つ- 対象製品・社内責任者・連絡先を事前に決める
- ロット特定・隔離・処分・告知の手順を持つ
- 回収結果と是正措置を記録する
つまずきどころ=相談どころ計画があっても、ロット管理が曖昧・連絡先未整理・判断者未定だと機能しません。動けるレベルまで具体化を。
※一般的な整理です。個社での要否・可否は条件によって変わるため、最終判断は相談で確認してください。
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リコール計画
リコール計画(Recall Plan)とは、対象食品に重大な問題が見つかったときに、どのように出荷停止・回収・連絡・記録対応を行うかをあらかじめ定めた計画です。FDAの予防管理規則では、ハザード分析の結果、予防管理が必要な食品について、その食品に対するリコール計画を作成することが求められます。
リコール計画には、一般に以下のような内容を盛り込みます。
リコール計画で整理する主な内容
- どの製品を対象に回収判断するか
- 誰が社内責任者になるか
- 取引先・輸入者・流通先へどう連絡するか
- 消費者向け告知や行政対応をどう行うか
- 回収対象品の特定、隔離、処分方法
- 回収結果や是正措置の記録方法
実務上は、リコール計画があっても、ロット管理が曖昧、連絡先が整理されていない、誰が判断するか決まっていないと機能しません。そのため、Food Safety Planの一部としてリコール計画を作る際は、単にひな形を置くだけでなく、実際に問題が起きたときに動けるレベルまで具体化しておくことが重要です。
回収対応とは
回収対応とは、販売済みの商品に安全性や表示上の問題が見つかった場合に、出荷停止、販売停止、回収、関係者への連絡を行う対応です。
出典・参考:FDA
Detention
Detentionとは、米国到着時にFDAやCBPが貨物を保留し、追加確認や審査を行う状態を指します。よくあるのは、ラベル不備、Prior Notice不備、施設登録情報の不整合、アレルゲンや成分に関する疑義、過去の違反履歴などがある場合です。
Detentionになると、貨物はすぐに販売・流通できず、追加資料提出や説明を求められることがあります。ケースによっては、そのままRefusal(輸入拒否)や再輸出・廃棄に進むこともあります。
そのため輸出後管理では、単に「止まったら対応する」ではなく、あらかじめ
Detention時に決めておきたいこと
- FDA/CBPからの連絡を誰が受けるか
- 誰が資料提出を行うか
- ラベル、成分、登録情報、FSVP資料をすぐ出せるか
- 通関業者、輸入者、日本側メーカーの役割分担をどうするか
を整理しておくと、実務でかなり動きやすくなります。
Import Alert
Import Alertとは、FDAが特定の企業・施設・製品カテゴリー・国などについて、輸入時に重点監視や自動保留(DWPE: Detention Without Physical Examination)を行うために公表する措置です。簡単にいうと、「この会社・この商品は問題が起きやすいので、米国到着時に止めやすくします」というFDA側の警戒リストです。
Import Alertに載ると、通常の輸入よりもはるかに厳しく見られ、貨物が到着するたびに追加資料や解除申請が必要になることがあります。特に、アレルゲン表示違反、衛生上の問題、異物混入、農薬・重金属・添加物違反、酸性化食品やLACFの不備などは、Import Alertにつながりやすい論点です。
輸出後管理としては、自社施設や同一製品群がImport Alert対象になっていないかを把握することに加え、もし対象になった場合に、何を是正し、どの資料で解除を目指すかを整理する必要があります。
Warning Letter
Warning Letterは、FDAが査察やレビューの結果、法令違反や重大な不備があると判断した際に発行する正式な警告文書です。食品分野では、施設の衛生管理不備、Food Safety Planや予防管理の不足、アレルゲン管理不備、酸性化食品・LACFの不備、虚偽・誤認表示などが対象になり得ます。
Warning Letterが出た場合、単に「注意を受けた」で済むものではなく、FDAに対して是正内容・是正計画・再発防止策を回答し、その後の改善状況も説明できるようにする必要があります。内容によっては、Import Alertや追加査察、輸入リスクの上昇にもつながります。
そのため輸出後管理では、Warning Letterが出たときに、
Warning Letter対応で必要になること
- 指摘事項の原因整理
- 是正措置と再発防止策の作成
- FDAへの回答文作成と期限管理
- 施設・ラベル・工程・記録のどこを直すかの実行管理
まで含めて対応体制を持っておくことが重要です。
安全性根拠とは
Safety Substantiation(安全性根拠)とは、その化粧品が表示された使用方法、または通常想定される使用条件のもとで安全であることを裏付けるための、試験、研究、分析、文献、その他の科学的根拠のことです。MoCRAでは、Responsible Person(RP)に対して、自社の化粧品についてadequate substantiation of safety(十分な安全性根拠)を確保し、その記録を維持することを求めています。
ここで重要なのは、FDAが「全製品にこの試験を必ず実施しなさい」と個別メニューを定めているわけではないことです。必要な根拠は、製品の剤形、成分、使用部位、使用対象、微生物リスク、過去の知見などに応じて判断します。つまり、MoCRAの考え方は、“決められた試験を機械的に受ける”というより、“その製品のリスクに見合う科学的根拠を揃える”というものです。
必要資料
Safety Substantiationは、必ずしも“完成品試験だけ”で構成されるものではありません。FDAも、既存の毒性データ、類似処方の知見、原料サプライヤー資料、必要に応じた追加試験などを組み合わせて安全性を裏付ける考え方を示しています。
実務上、まず揃えたい資料は次のようなものです。
安全性根拠として整理したい主な資料
- 製品処方表(最終配合・各成分濃度がわかるもの)
- 原料規格書 / SDS / COA など、各原料の基本資料
- 各成分の安全性情報(既存文献、サプライヤーデータ、CIR評価など)
- 完成品の安定性・微生物・保存効力などの試験結果
- 必要に応じた刺激性・使用部位に応じた評価資料
- 容器との適合性や変色・分離などを確認した記録
つまり、安全性根拠は「試験成績書1枚」ではなく、処方・原料・完成品試験・文献根拠を束ねた安全性ファイルとして考えると整理しやすいです。
安定性試験
安定性試験は、製品が保管・流通・使用期間中に、分離、変色、沈殿、におい変化、粘度変化、pH変化、容器との相性不良などを起こさず、想定どおりの品質を維持できるかを確認するための試験です。MoCRAが「安定性試験を必須」と名指ししているわけではありませんが、製品が安全に使用できる状態を維持できるかを裏付けるうえで、実務上とても重要な資料になります。
特に、乳液・クリーム・ジェル・ミスト・日焼け止め・ベビー向け製品などは、温度変化や長期保管で品質が崩れないかを確認しておく価値が高いです。
安定性試験で見たいポイント
- 外観変化(分離、沈殿、変色、におい変化)
- pH・粘度・比重などの物性変化
- 容器との適合性(漏れ、変形、内容物への影響)
- 保存期間中に品質が維持されるか
実務では、加速試験だけで足りるか、実時間安定性も必要かは製品リスク次第ですが、少なくとも「使用期限やPAOをどう考えるか」に関わる重要資料になります。
微生物試験
化粧品は医薬品のように無菌である必要はありませんが、有害な微生物を含まず、一般生菌数が適切に管理されていることが重要です。FDAも、特に水系製品や指を入れて使うジャー製品などでは、微生物汚染リスクを意識した管理が必要であることを示しています。
実務上の微生物試験は、主に完成品の初期微生物状態を確認する試験です。たとえば、一般生菌数、酵母・カビ、必要に応じて特定菌の有無などを見て、出荷時点で製品が衛生的に問題ない状態かを確認します。
特に次のような製品は、微生物試験の重要度が上がります。
微生物リスクが高くなりやすい製品例
- 水を多く含む製品(化粧水、ミスト、ジェル、クリームなど)
- ジャー容器で指が入りやすい製品
- ベビー向け製品
- 目元・口元などデリケート部位に使う製品
つまり、微生物試験は「保存料が入っているから不要」ではなく、製品が出荷時点で清潔に作られているかを確認する基本資料として位置づけるとわかりやすいです。
保存効力試験
保存効力試験は、製品に配合した防腐システムが、使用中に混入しうる微生物をきちんと抑えられるかを確認する試験です。いわゆるチャレンジテスト(Preservative Efficacy Test / Challenge Test)にあたります。MoCRAが個別に「全製品で必須」と明示しているわけではありませんが、水系製品や汚染リスクのある製品では、安全性根拠の中核資料になりやすい試験です。
これは、完成品に標準菌を加えて、一定期間で微生物をどの程度抑制できるかを見る試験で、「保存料が入っている」ことの確認ではなく、「その製品の処方全体として、保存システムが機能しているか」を確認するものです。
特に次のような製品では、保存効力試験の必要性が高くなりやすいです。
保存効力試験を強く検討したい製品例
- 水を多く含む製品
- 開封後に長く使う製品
- ジャー容器・スポンジ接触など汚染機会が多い製品
- ベビー向け、目元向けなど安全域を慎重に見たい製品
つまり、微生物試験が「今きれいか」を見る試験だとすると、保存効力試験は「使っているうちに汚染されても守れるか」を見る試験と考えると整理しやすいです。
刺激性確認
刺激性確認は、その製品が使用部位に対して過度な刺激、赤み、ヒリつき、アレルギー様反応などを起こしにくいかを確認するための考え方です。MoCRAが「必ずパッチテストをしなさい」と定めているわけではありませんが、製品の使用部位や成分特性によっては、皮膚刺激性や眼刺激性などを裏付ける根拠が重要になります。
実務では、刺激性確認は必ずしも完成品ヒト試験だけを意味しません。既存成分の安全性データ、類似処方の知見、必要に応じたパッチテストや眼刺激性評価などを組み合わせて判断することがあります。
特に次のような製品では、刺激性評価の重要度が上がります。
刺激性確認を慎重に見たい製品例
- 酸、レチノール、スクラブ、精油など刺激になりやすい成分を含む製品
- 目元、唇、粘膜周辺に使う製品
- ベビー向け製品
- シェービング後、敏感肌向けなど、刺激訴求を行う製品
そのため、刺激性確認は「何となく安全そう」で済ませず、成分特性・使用部位・訴求内容に応じて、どこまで確認が必要かを決めるのが実務的です。
ベビー・目元商品
ベビー向け製品や目元向け製品は、一般的なボディ用・ハンド用製品よりも、安全性根拠を慎重に組むべき製品群です。MoCRA上、「ベビー製品だからこの試験を必須」と一律に決まっているわけではありませんが、使用対象や使用部位のデリケートさから、通常より厳しめに安全性評価を考えるのが自然です。
たとえば、次のような観点は特に重要です。
ベビー・目元商品で特に確認したいこと
- 微生物リスクを十分に管理できているか
- 保存効力が十分か
- 刺激性・しみやすさ・使用部位への適合性をどう評価するか
- 香料、精油、メントール、酸など刺激になりやすい成分が強すぎないか
- 誤使用時のリスクや、使用方法表示が十分か
特に、ベビー用ローション、ベビーシャンプー、アイクリーム、アイメイク落とし、目元美容液などは、一般製品と同じ感覚で安全性根拠を組むのではなく、「本当にこの対象者・この部位に使って大丈夫か」という視点で資料を揃えるのが重要です。
必須表示
米国向けの一般化粧品ラベルでは、まず「何をどこに表示しなければならないか」を押さえることが重要です。
FDAの化粧品ラベル規則では、少なくとも
①製品の名称・性質を示す表示(identity statement)
②内容量表示(net quantity of contents)
③事業者名・所在地
④成分表示
が基本項目になります。
主表示面(Principal Display Panel)には、通常 製品名 / 製品の性質がわかる表示 と 内容量表示 を載せ、情報表示面(Information Panel)には 事業者情報、必要に応じた警告、成分表示 を載せるのが基本です。
実務上は、単に項目が入っていればよいわけではなく、表示位置、視認性、文字サイズ、表現方法も重要です。特に輸入化粧品では、日本語ラベルをそのまま英訳して貼るだけでは足りず、米国ルールに沿った表示順や見せ方に組み直す必要があります。
成分表示
米国で消費者向けに販売する化粧品は、原則として成分表示(ingredient declaration)が必要です。成分は、通常優先量の多い順(descending order of predominance)で表示します。FDAは、一般に成分をcommon or usual namesで表示することを求めており、実務上はINCIベースで整理することが多いです。
ここで注意したいのは、化粧品の成分表示は“処方情報の要約”であって、単なる販促情報ではないという点です。香料、防腐剤、色素、植物エキスなども含め、ラベル表示と実際の処方がずれていないことが重要です。
また、成分表示には次のような基本ルールがあります。
成分表示で押さえたいポイント
- 原則として成分は多い順に表示する
- 1%以下の成分は、1%超成分の後ろで順不同に近い整理が可能な場面がある
- 色素は通常の順序ルールと別の扱いがある
- OTC医薬品を兼ねる場合は、drug成分とcosmetic成分の表示ルールが分かれる
つまり、成分表示は「ラベルの最後に成分を並べる作業」ではなく、処方・薬機判定・香料/色素の扱いまで含めて整理する作業として考えるのが実務的です。
責任者表示
化粧品ラベルには、事業者名・所在地を表示する必要があります。
FDAのラベル規則では、通常、manufacturer / packer / distributor の名称および所在地を表示します。
表示する名称・住所が、実際の製造者ではなく販売元や委託元のものである場合は、実態に合わせて
“Manufactured for …”
“Distributed by …”
などの表現を付ける必要があります。
ここで重要なのは、ラベル上の事業者表示が、単なる連絡先ではなく、「誰の名前で米国市場に出す商品なのか」を示す情報になるという点です。
そのため、輸入者、ブランドオーナー、販売元、製造者のどの名義を表示するのかを事前に整理しておく必要があります。
責任者表示で確認したいこと
- 誰をラベル上の事業者名として表示するのか
- 表示する事業者は manufacturer / packer / distributor のどれに当たるのか
- 実際の製造者ではない場合、“Manufactured for …” “Distributed by …” などの表現が必要か
- 表示する住所・連絡先が米国向けラベルとして適切か
- MoCRA上のResponsible Person(RP)の設計と矛盾していないか
なお、MoCRAでは、一般にこのラベル上に名前が表示される事業者がResponsible Person(RP)として扱われます。
そのため、責任者表示はRP設計とも関係しますが、この項目ではまずラベル上に誰の名称・住所を表示するかを整理することが中心です。
警告表示
化粧品は一律に同じ警告文が必要というわけではありませんが、消費者に危険が及ぶおそれがある場合は、適切な警告表示や安全な使用方法の案内が必要になります。FDAの規則では、特定製品に対して個別の警告表示が定められているものもあり、また一般的にも危険性があるのに必要な注意喚起を欠くラベルはmisbrandingの問題になり得ます。
代表例としては、エアゾール製品、可燃性がある製品、子どもの誤用リスクがある製品、刺激が出やすい製品などが挙げられます。また、安全性が十分に裏付けられていない場合には “Warning—The safety of this product has not been determined.” という表示が問題になる場面もあります。
実務上は、次の観点で見ると整理しやすいです。
警告表示で確認したいこと
- 製品の剤形や使用方法から、誤用時の危険がないか
- 可燃性、吸入、目刺激、子どもの誤飲などの注意喚起が必要か
- 特定製品に個別規則上の警告がないか
- ベビー・目元・高濃度酸・精油配合など、使用部位や成分特性に応じた注意文が必要か
効能表現
化粧品ラベルでは、何をうたってよいかが非常に重要です。化粧品として許容されやすいのは、基本的にcleansing / beautifying / promoting attractiveness / altering the appearance の範囲に収まる表現です。たとえば、うるおいを与える、肌をなめらかに見せる、つやを与える、毛穴を目立ちにくく見せるといった、外見上の効果や美容目的の表現は、化粧品の文脈で整理しやすいです。
ただし、同じスキンケア商品でも、表現の仕方によっては薬機判定が変わります。たとえば「乾燥による小じわを目立たなく見せる」と「シワを修復する」では、後者の方が身体構造への作用や治療的ニュアンスが強く、drug claimに寄りやすくなります。
そのため実務では、効能表現は単にマーケティング文言として作るのではなく、その表現が“見た目の変化”の話なのか、“身体機能や病気への作用”の話なのかを切り分けて設計することが重要です。
drug claimになる表現
米国では、化粧品ラベルに病気の治療・予防を示す表現や、身体の構造・機能に作用することを示す表現があると、その製品は化粧品ではなくdrug(または cosmetic + drug)として扱われる可能性があります。FDAは、treating or preventing disease や affecting the structure or function of the body を示すクレームはdrug claimになり得ると明確に案内しています。
drug claimになりやすい表現の例
- ニキビを治す / acneを治療する
- 炎症を抑える / eczema・rosaceaを改善する
- シワを修復する / コラーゲン生成を促進する
- 育毛する / 脱毛を防ぐ
- フケを治療する
- 発汗を抑える / 制汗する
- UVから守る / SPF効果をうたう日焼け止め
もちろん、実際には文脈や全体表示で判断されるため、単語だけで機械的に決まるわけではありません。ただ、「治療・改善・予防」「炎症・菌・ニキビ・脱毛・発汗」といったワードはかなり注意が必要です。特に日焼け止め、ニキビ製品、フケ防止シャンプー、制汗剤などは、見た目はコスメでもOTC医薬品論点が強いため、一般化粧品ラベルのつもりで作ると危険です。
香料表示
香料は、化粧品ラベルでよく質問が出るポイントです。米国では、化粧品を消費者向けに販売する場合、原則として成分表示が必要ですが、香料成分については、個々の香料成分をすべて列挙せず、まとめて “Fragrance” と表示できるのが一般的です。FDAも、fragrance ingredients can be listed simply as “Fragrance” と説明しています。
つまり、香料を配合しているからといって、通常はラベル上で香料の内訳を全部開示する必要があるわけではありません。ただし、実務上は次の点に注意が必要です。
香料表示で確認したいこと
- ラベル上は Fragrance とまとめられるか
- 香料に由来する刺激性・アレルギー懸念が強い製品では、安全性根拠側の確認が必要か
- “fragrance-free”“unscented” などの表示が実態と矛盾していないか
- OTC医薬品や別制度が絡む製品で、表示の考え方が変わらないか
また、消費者向けには「無香料」「低刺激」を訴求したい一方で、実際にはマスキング目的の香料が入っているケースもあります。こうした場合は、表示・訴求・実処方が矛盾しないかを慎重に確認しておくことが重要です。
禁止・制限成分とは
禁止・制限成分とは、米国で使用が禁止されている成分、または使用量・用途・製品カテゴリに制限がある成分のことです。
たとえば、化粧品では、FDAが使用を禁止・制限している成分があり、食品やサプリメントでも、添加物・機能性成分・新規成分などで確認が必要になることがあります。
実務上は、「日本で販売できているから米国でも使える」とは考えない方が安全です。
同じ成分でも、米国では使用目的、配合量、対象商品、表示内容によって扱いが変わる場合があります。
そのため、成分確認では、まず禁止成分に該当しないか、次に使用条件や表示条件に問題がないかを確認します。
色素とは
色素は、米国向け商品で特に注意が必要な成分です。
食品や化粧品に色を付ける目的で使用する成分は、米国で使用できる色素かどうかを確認する必要があります。
特に食品では、日本で使われている着色料が、米国では使用できない場合があります。
化粧品でも、使用できる色素、使用できる部位、表示名などにルールがあります。
色素で確認したいこと
- 米国で使用可能な色素か
- 食品用か、化粧品用か
- 使用できる部位や用途に制限がないか
- ラベル上の表示名が適切か
そのため、色素は「天然由来だから安全」「日本で使えるから問題ない」と判断せず、米国での使用可否を個別に確認することが重要です。
防腐剤とは
防腐剤は、製品の品質を保ち、微生物の増殖を抑えるために使われる成分です。
化粧品、食品、日用品などで広く使われますが、米国向けでは、その防腐剤が対象商品で使えるかを確認する必要があります。
実務上は、防腐剤そのものの使用可否だけでなく、使用量、対象商品、表示名、安全性根拠も確認します。
特に化粧品では、防腐剤が入っていること自体よりも、その製品の使用方法やリスクに対して適切に防腐設計されているかが重要です。
水を多く含む化粧品、ジャー容器、ベビー向け、目元向け商品などは、微生物リスクも含めて確認する必要があります。
香料とは
香料は、食品・化粧品のどちらでも確認が必要になりやすい成分です。
化粧品では、香料を個別成分名ではなく “Fragrance” とまとめて表示できる場合があります。
ただし、香料に含まれる成分の安全性、アレルギーリスク、使用部位との相性は別途確認が必要です。
食品では、香料が食品添加物として適切に使えるか、表示名が適切か、アレルゲンやアルコールなどを含まないかも確認対象になります。
また、“fragrance-free”“unscented”“natural flavor” などの表現を使う場合は、実際の配合と矛盾していないか注意が必要です。
つまり、香料は「まとめて表示できるか」だけでなく、成分内容・安全性・表示表現まで確認する必要があります。
PFAS
PFASとは、per- and polyfluoroalkyl substances と呼ばれる有機フッ素化合物の総称です。
化粧品では、撥水性、持続性、なめらかな使用感などを目的に使われることがあります。
米国では、MoCRAにより、FDAが化粧品中のPFAS使用状況や安全性リスクを評価することが求められており、2025年12月にFDAは化粧品中PFASに関する報告書を公表しています。
実務上は、PFASが入っているかどうかを処方・原料規格書ベースで確認することが重要です。
特に、ウォータープルーフ、ロングラスティング、皮膜形成、撥水・撥油などをうたう化粧品では、PFAS系成分が含まれていないか確認した方が安全です。
タルク
タルクは、化粧品でよく使われる粉体成分です。
フェイスパウダー、アイシャドウ、チーク、ベビーパウダーなどで、吸湿性、すべり、仕上がりの調整を目的に使われます。
注意点は、タルクそのものよりも、アスベスト混入リスクです。
FDAも、タルク含有化粧品について、アスベストのような有害な混入物に関する質問を受けていると説明しています。
そのため、タルクを使用する場合は、原料規格書、COA、アスベスト不検出資料などを確認しておくことが重要です。
特にベビー向け商品、吸入リスクがある粉体商品、目元に使う商品では、慎重に確認する必要があります。
重金属
重金属とは、鉛、ヒ素、カドミウム、水銀など、健康リスクにつながる可能性がある金属類を指します。
化粧品や食品では、意図的に配合していなくても、鉱物由来原料、植物由来原料、色素、粉体原料などに微量混入することがあります。
実務上は、特に以下のような商品で確認が必要になりやすいです。
重金属確認が必要になりやすい商品
- 粉末食品、健康食品、サプリメント
- 植物エキスや鉱物由来原料を使う商品
- 色素を使う商品
- タルク、クレイ、ミネラル系化粧品
- リップ、アイメイクなど粘膜周辺に使う化粧品
重金属は、FDAだけでなく、California Proposition 65など州規制の観点でも問題になることがあります。
そのため、試験成績書や原料資料をもとに、含有リスクを確認しておくことが重要です。
CBD等グレー成分
CBDなどのグレー成分とは、明確に一般的な食品・化粧品成分として扱いにくく、法規制や販売チャネル上のリスクが高い成分を指します。
CBDは、米国でも州ごとに扱いが異なり、FDAの食品・サプリメント・化粧品・医薬品規制との関係でも注意が必要です。FDAは、CBD製品について安全性上の懸念を示しており、CBDを食品やサプリメントとして扱う枠組みについては慎重な立場を取っています。
また、CBD以外にも、次のような成分は確認が必要になりやすいです。
グレー成分になりやすい例
- CBD、ヘンプ由来成分
- 医薬品的な作用を連想させる成分
- 新規性の高い植物エキス
- ホルモン作用を示唆する成分
- 強い機能性をうたうサプリ成分
- 海外では制限対象になりやすい成分
こうした成分は、成分そのものの可否だけでなく、表示表現、販売ページ、Amazon規約、州法、輸送制限まで確認する必要があります。
つまり、CBD等グレー成分は「入っているかどうか」だけでなく、「どの分類の商品で、何をうたって、どこで販売するか」まで含めて判断する必要があります。
化粧品とOTCの違い
米国FDAでは、化粧品とOTC医薬品の違いは、商品名や販売場所だけで決まるものではありません。
基本的には、その製品が「どのような目的で使われるものとして販売されているか」によって判断されます。
化粧品は、清潔にする、美しく見せる、魅力を高める、外見を変えることなどを目的とする製品です。
一方で、病気の治療・予防や、身体の構造・機能に作用する目的をうたう場合は、drug、または cosmetic + drug として扱われる可能性があります。
OTC医薬品論点が出やすい例
- ニキビを治す / 防ぐ
- フケを防ぐ / 治療する
- 発汗を抑える
- 虫歯を予防する
- UVから守る / SPF効果をうたう
- 炎症・かゆみ・菌などに作用する
特に注意したいのは、日本で「化粧品」や「医薬部外品」として販売している商品でも、米国では同じ整理になるとは限らない点です。
米国向けに販売する場合は、成分だけでなく、ラベル、広告、LP、商品説明でどのような効能をうたっているかまで確認することが重要です。
日焼け止め
米国では、日焼け止めは一般的な化粧品ではなく、基本的にOTC医薬品として扱われるカテゴリーです。
これは、日焼け止めが紫外線による日焼けを防ぐなど、身体への作用や予防目的を持つ商品として販売されるためです。
そのため、Sunscreenとして販売する商品や、SPF表示・UVカット・紫外線防止効果をうたう商品は、化粧品ラベルだけでなく、
OTC医薬品としての表示や成分要件を確認する必要があります。
日焼け止めとして確認したいこと
- SPF表示があるか
- UVカット・紫外線防止をうたっているか
- Sunscreenとして販売しているか
- SPF入りの化粧下地・ファンデーションではないか
- OTC医薬品としての表示要件が必要になるか
- Drug Facts表示など、医薬品表示への対応が必要になるか
特に、保湿クリームやメイク商品であっても、SPFや日焼け防止効果をうたう場合は、単なる化粧品ではなく cosmetic + drug として扱われる可能性があります。
日本ではスキンケア商品の一部に見えるものでも、米国ではOTC医薬品論点が出るため注意が必要です。
ニキビケア
ニキビケア商品は、米国FDA上、化粧品とOTC医薬品の境界で注意が必要なカテゴリーです。
単に肌を清潔にする、皮脂汚れを落とす、肌をなめらかに見せるといった目的であれば、化粧品として整理できる場合があります。
一方で、「ニキビを治す」「ニキビを防ぐ」「acne treatment」など、
ニキビという症状への治療・予防効果をうたう場合は、OTC医薬品として扱われる可能性があります。
ニキビケアで注意したい表現
- ニキビを治す
- ニキビを防ぐ
- acne treatment
- prevents acne
- anti-acne
- アクネ菌に作用する
- 炎症を抑える
たとえば、洗顔料であっても、単に汚れを落とす目的であれば化粧品として整理される可能性がありますが、
ニキビ治療を目的として販売する場合は、OTC医薬品論点が出ます。
日本語では自然に見える「ニキビケア」でも、
英語表現や広告文脈によっては医薬品的に見られる可能性があるため、ラベル・LP・広告表現まで確認することが重要です。
フケ防止
フケ防止商品は、米国FDAでは化粧品とOTC医薬品の境界にあたる代表的なカテゴリーです。
通常のシャンプーは、髪や頭皮を洗浄する目的であれば、化粧品として整理されることがあります。
一方で、フケを防ぐ、フケを治療する、頭皮の症状に作用するといった目的をうたう場合は、
OTC医薬品、または cosmetic + drug として扱われる可能性があります。
フケ防止で注意したい表現
- フケを防ぐ
- フケを治療する
- dandruff treatment
- anti-dandruff
- 頭皮のかゆみに作用する
- 頭皮トラブルを改善する
特に、フケ防止シャンプーは、髪を洗うという化粧品としての目的と、フケを治療するという医薬品としての目的をあわせ持つ可能性があります。
そのため、単なるヘアケア商品として判断せず、有効成分、効能表現、Drug Facts表示の要否まで確認することが重要です。
制汗剤
制汗剤は、米国FDA上、デオドラントとの違いを整理しておきたいカテゴリーです。
デオドラントは、においを抑える、香りを与える、清潔感を保つといった目的であれば、化粧品として整理されることがあります。
一方で、汗そのものを抑えることを目的とする制汗剤は、身体の機能に作用する目的を持つため、OTC医薬品として扱われる可能性があります。
特に antiperspirant として販売する商品は注意が必要です。
制汗剤で確認したいこと
- deodorant なのか antiperspirant なのか
- におい対策だけをうたっているか
- 汗を抑える効果をうたっているか
- 制汗有効成分を表示しているか
- Drug Facts表示が必要になるか
日本では同じようなデオドラント商品に見えても、米国では「におい対策」なのか「発汗を抑える」のかでFDA上の整理が変わる可能性があります。
香りでにおいを抑える商品なのか、汗そのものを抑える商品なのかを分けて確認することが重要です。
オーラルケア
オーラルケア商品は、米国FDA上、化粧品とOTC医薬品の境界が出やすいカテゴリーです。
歯を清潔にする、口の中をさっぱりさせる、息をさわやかにするといった目的であれば、化粧品として整理される場合があります。
一方で、虫歯予防、歯肉炎予防、痛みの緩和、口内トラブルの治療などをうたう場合は、OTC医薬品として扱われる可能性があります。
特に、フッ素入り歯みがきのように虫歯予防をうたう商品は注意が必要です。
オーラルケアで注意したい表現
- 虫歯を予防する
- anti-cavity
- fluoride配合で虫歯予防
- 歯肉炎を予防する
- anti-gingivitis
- 口内の痛みを緩和する
- 口内トラブルを治療する
歯みがき粉やマウスウォッシュは、日用品に近い感覚で見られやすい商品ですが、
米国では効能表現や有効成分によってOTC医薬品論点が出る場合があります。
商品カテゴリではなく、ラベル・広告で何をうたっているかを起点に確認することが重要です。
石けん例外
石けんは、FDA上で特別に注意が必要なカテゴリーです。
一般的に「石けん」と呼ばれる商品であっても、FDAが定義する soap に該当するかどうかは別問題です。
FDA上の soap として整理されるには、主に脂肪酸のアルカリ塩で構成され、その成分によって洗浄作用が生じており、
さらに表示や販売上の目的が石けんとしての洗浄用途に限定されていることが重要です。
この条件を満たす場合、FDAではなく、主にCPSC管轄として整理されることがあります。
石けん例外で確認したいこと
- 主に脂肪酸のアルカリ塩で構成されているか
- 洗浄作用がその成分によるものか
- 洗浄目的だけをうたっているか
- 保湿、香り、デオドラント、美容目的など、洗浄以外の用途をうたっていないか
- 抗菌、ニキビ、治療、予防表現を使っていないか
- ボディソープや洗顔料として化粧品扱いにならないか
つまり、「石けん」と書いてあるからFDA対象外になるとは限りません。
洗浄以外に、保湿、香り、デオドラント、美容目的などをうたう場合は化粧品、抗菌やニキビ治療などをうたう場合は医薬品論点が出る可能性があります。
米国向けに販売する場合は、商品名ではなく、成分・用途・表示内容をもとに確認することが重要です。
施設登録更新とは
施設登録更新とは、FDAに登録した施設情報を、定期的に更新・維持することです。
化粧品のMoCRA施設登録については、製造・加工を行う対象施設は2年ごとの更新(biennial renewal)が必要になっています。更新のタイミングは初回登録日を基準に管理されるため、「いつ登録したのか」を社内で把握しておくことが出発点になります。
また、施設名、所在地、US Agent、製造カテゴリなどの登録内容に変更があった場合は、更新時期を待たずに、変更後60日以内の更新対応が必要になります。
更新管理で押さえたいこと
- 初回登録日と次回更新期限の管理
- 施設名、所在地、連絡先の変更
- US Agentの変更
- 製造・加工する化粧品カテゴリの変更
更新を放置すると、FDAへ届け出た施設情報と実態がずれた状態になり、米国で化粧品を販売し続けるための前提が崩れる可能性があります。
実務上は、初回登録の担当者だけが情報を持っている状態にせず、更新期限と変更時の対応フローを社内で管理しておくことが重要です。
リスティング更新
リスティング更新とは、FDAへ提出した製品情報を、最新の内容に保つことです。
MoCRAでは、Responsible Personが米国で販売する化粧品について製品リスティングを行い、製品情報を更新する必要があります。FDAは、製品リスティングについて年次更新を求めています。
実務上は、以下のような変更があった場合に見直しが必要です。
見直しが必要になりやすい例
- 製品名の変更
- 成分変更
- 製造施設の変更
- Responsible Person情報の変更
- 製品カテゴリの変更
つまり、リスティングは一度提出して終わりではなく、販売中の商品情報とFDAへ届け出た内容を一致させておく管理項目です。
SAE報告とは
SAE報告とは、Serious Adverse Event、つまり重大有害事象が発生した場合に、FDAへ報告する対応のことです。
化粧品では、MoCRAにより、Responsible Personが重大有害事象に関する報告・記録管理を行う必要があります。
たとえば、使用後に重大な健康被害が発生した場合、単なるクレームとして処理するのではなく、SAEに該当するかを確認する必要があります。
実務上は、消費者からの苦情、皮膚トラブル、目の異常、入院、重大なアレルギー反応などがあった場合に、報告対象かどうかを切り分けます。
そのため、輸出後は、販売先や消費者からの問い合わせを記録し、重大性を判断できる体制を作っておくことが重要です。
苦情対応
苦情対応とは、消費者・販売先・輸入者などから寄せられる品質や安全性に関する問い合わせを確認し、記録・対応することです。
たとえば、以下のような内容が対象になります。
苦情対応で確認したい例
- 肌荒れ、かゆみ、赤みが出た
- 異物が入っていた
- におい、色、粘度が通常と違う
- 容器が破損していた
- 食品で異味・異臭があった
- アレルゲン表示に関する指摘があった
苦情対応で重要なのは、単に返金や交換をすることではありません。
その苦情が、重大有害事象、品質不良、ラベル不備、回収判断につながる内容かを確認する必要があります。
そのため、輸出後は、苦情内容、ロット、販売先、対応履歴を記録しておくことが重要です。
回収対応とは
回収対応とは、販売済みの商品に安全性や表示上の問題が見つかった場合に、出荷停止、販売停止、回収、関係者への連絡を行う対応です。
たとえば、以下のような場合に回収が問題になります。
回収対応が必要になりやすい例
- 未表示アレルゲンが見つかった
- 使用できない成分が含まれていた
- 異物混入が確認された
- 微生物汚染が疑われる
- 重大な健康被害の報告があった
- ラベル表示が実際の商品と違っていた
回収対応では、対象ロット、販売数量、販売先、在庫状況、消費者への案内、FDAや取引先への連絡などを整理する必要があります。
実務上は、問題が起きてから考えるのではなく、事前に「誰が判断し、誰が連絡し、どの記録を使って追跡するか」を決めておくことが重要です。
処方変更
処方変更とは、商品の配合成分、原料、配合量、香料、色素、防腐剤などを変更することです。
日本側では小さな変更に見えても、米国向けでは規制・ラベル・リスティング・安全性根拠に影響することがあります。
処方変更時に確認したいこと
- 米国で使用できる成分か
- 成分表示の変更が必要か
- アレルゲン表示に影響しないか
- Nutrition FactsやSupplement Factsに影響しないか
- MoCRA製品リスティングの更新が必要か
- 安全性根拠の見直しが必要か
特に化粧品では、成分変更があると、製品リスティングやSafety Substantiationとの整合性も確認する必要があります。
そのため、処方変更は開発・製造側だけで完結させず、米国向け表示やFDA対応にも共有することが重要です。
Warning Letter対応
Warning Letter対応とは、FDAから正式な警告文書を受け取った場合に、指摘内容を確認し、是正措置や再発防止策を整理して回答する対応です。
Warning Letterは、FDAが法令違反や重大な不備があると判断した場合に発行される文書です。
食品では、施設管理、ラベル、アレルゲン、Food Safety Plan、FSVPなどが問題に、
化粧品では、MoCRA対応、安全性根拠、ラベル、drug claim、製造管理などが論点になる可能性があります。
Warning Letterを受けた場合は、単に「指摘を確認しました」で終わらせるのではなく、何が問題だったのか、どのように修正するのか、再発防止をどう行うのかを整理して回答する必要があります。
そのため、輸出後管理では、FDAからの連絡を受け取れる体制と、必要資料をすぐ確認できる管理体制を整えておくことが重要です。
FDAとは
FDAとは、Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)のことで、米国で流通する食品、医薬品、化粧品、医療機器などを幅広く管轄する機関です。
米国向けに食品や化粧品を販売する場合、多くの商品でまず確認が必要になるのがFDAです。
FDA管轄になりやすい商品
- 一般食品、飲料、サプリメント
- 化粧品
- 医薬品、OTC医薬品
- 医療機器
- 動物用医薬品、ペットフード
- たばこ製品
- 放射線を出す一部製品
ただし、すべての商品がFDAだけで整理できるわけではありません。
食品でも肉・家禽・一部卵製品はUSDA/FSIS、酒類はTTB、子ども向け商品や一部の消費者製品はCPSC、除菌・防虫などをうたう商品はEPAが関係する場合があります。
また、「FDA登録=商品が承認された」という意味ではありません。施設登録や製品リスティングは、商品そのものの承認とは別の制度です。
そのため、米国向けに販売する場合は、まず自社商品がFDAだけでよいのか、他の管轄機関も関係するのかを切り分けることが重要です。
USDAとは
USDAとは、United States Department of Agriculture(米国農務省)のことで、食品分野では特にFSISが、肉・家禽・一部の卵製品の安全性や表示を管轄します。
一般的な加工食品や菓子、飲料などはFDA管轄になることが多い一方で、肉や鶏肉、一定の卵製品を含む商品は、USDA/FSIS側の確認が必要になる場合があります。
USDA/FSIS確認が必要になりやすい商品
- 牛肉、豚肉などの肉製品
- 鶏肉、七面鳥などの家禽製品
- 一部の卵製品、特にprocessed egg products
- 肉や家禽を一定量以上含む加工食品
- USDA/FSIS検査対象になる食品工場・施設
一方で、すべての卵やすべての食品がUSDAになるわけではありません。殻付き卵や、肉・家禽を含まない一般食品などは、別の制度やFDA管轄で整理される場合があります。
そのため、食品だからすべてFDAで見るのではなく、肉・家禽・卵由来原料の有無、含有量、加工状態を確認することが重要です。
特にスープ、レトルト食品、調味料、惣菜系商品などは、肉エキスやチキンパウダーが入っていても必ずUSDA/FSIS管轄になるとは限りませんが、
FDAだけで判断せず、管轄確認が必要になる場合があります。
TTBとは
TTBとは、Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau(米国アルコール・たばこ税貿易管理局)のことで、酒類の表示、広告、許認可、税務関連を管轄する機関です。
米国向けに酒類を販売する場合、FDAの食品ルールだけでなく、TTBのラベル承認や表示要件を確認する必要があります。
TTB確認が必要になりやすい商品
- ワイン
- 蒸留酒
- ビール・モルト飲料などの酒類
- 酒類を輸入・販売する事業者
- 酒類ラベルや広告表示
- COLAが必要になる酒類製品
一方で、アルコールを含む商品がすべてTTB中心になるとは限りません。酒類であっても、種類、アルコール度数、販売形態によって、
TTBのCOLA対象になるものと、FDA食品ラベル確認が中心になるものがあります。
また、調味料、菓子、ノンアルコール表示の商品、香料としてアルコールを使う食品などは、商品性や用途によってFDA側の確認も必要になる場合があります。
そのため、「アルコールが入っているか」だけでなく、飲料として販売する酒類なのか、アルコール度数はどの程度か、ラベル上でどう表示するかを確認することが重要です。
OTCとは
OTCとは、Over-the-Counterの略で、医師の処方箋なしで購入できる市販薬・非処方薬を指します。
OTCはFDAやUSDAのような管轄機関の名前ではなく、FDAが管轄する医薬品カテゴリーのひとつです。
米国では、見た目は化粧品や日用品に近い商品でも、効能表現や使用目的によってOTC医薬品として扱われる場合があります。
OTC医薬品論点が出やすい商品
- 日焼け止め
- ニキビ治療商品
- フケ防止シャンプー
- 制汗剤
- 虫歯予防の歯みがき
- 痛み、かゆみ、炎症などに作用する商品
OTC医薬品として販売する場合は、OTCモノグラフやNDAなどの枠組みに沿って、有効成分、用途、用量、表示、警告文などを確認する必要があります。
特に、日本で化粧品や医薬部外品として販売している商品でも、米国ではOTC医薬品になる可能性があります。
そのため、商品カテゴリだけでなく、成分、効能表現、ラベル、広告、LP上の訴求をもとに確認することが重要です。
CPSCとは
CPSCとは、Consumer Product Safety Commission(米国消費者製品安全委員会)のことで、消費者向け製品の安全性を管轄する機関です。
FDAが食品・化粧品・医薬品などを管轄する一方で、CPSCは一般消費者製品によるけがや事故のリスクを防ぐための安全基準や規制を扱います。
CPSC確認が必要になりやすい商品
- 玩具、子ども向け商品
- 衣類、繊維製品
- 家具、家庭用品
- 一部の電気製品
- ベビー用品
- FDA上のsoap例外に該当する一部石けん
一方で、消費者向けの商品だからといって、すべてCPSCだけで完結するわけではありません。
化粧品はFDA、除菌・殺菌効果をうたう商品はEPA、医療目的をうたう製品はFDA医療機器や医薬品側の確認が必要になる場合があります。
そのため、「雑貨だからFDAではない」と単純に判断するのではなく、子ども向けか、身体に使うか、食品に触れるか、電気を使うか、安全基準や証明書が必要かを確認し、
CPSCと他機関の管轄を切り分けることが重要です。
EPAとは
EPAとは、Environmental Protection Agency(米国環境保護庁)のことで、商品販売の実務では、農薬、殺虫剤、防虫剤、除菌・抗菌・消毒をうたう製品などで
確認が必要になる場合があります。
EPAでは、害虫や微生物を殺す、抑える、防ぐといった目的をうたう製品が、農薬・抗菌性農薬として扱われることがあります。
EPA確認が必要になりやすい商品
- 殺虫剤、防虫剤
- 物に使用する除菌・抗菌・消毒製品
- 防カビ、防藻をうたう製品
- 害虫や微生物に作用する清掃用品
- 抗菌加工や防臭加工をうたう商品のうち、表示内容によって確認が必要になるもの
一方で、単に汚れを落とす、においを取る、清潔にするという一般的な清掃目的であれば、EPAの対象にならない場合もあります。
また、人体に使用する手指消毒剤や、皮膚に直接使う抗菌・消毒製品は、EPAではなくFDA医薬品側の確認が必要になる場合があります。
抗菌加工や防臭加工をうたう商品は、使用者を菌やウイルスから守る効果をうたうのか、商品自体の劣化やにおいを抑える目的に限定しているのかによって、
EPA上の整理が変わる場合があります。
そのため、EPAでは「どの商品か」だけでなく、ラベル・広告・ECページで、除菌、抗菌、消毒、防カビ、防虫などをどのようにうたっているかを確認することが重要です。
食品かサプリか
一般食品の場合は、Nutrition Facts、原材料表示、アレルゲン表示、食品添加物、Prior Notice、FSVPなどを中心に確認します。
一方、サプリメントの場合は、Supplement Facts、dietary ingredient、構造機能表示、NDIの可能性など、サプリ特有の確認が必要になります。
実務上、粉末飲料、グミ、プロテイン、健康食品、機能性をうたう商品などは、食品なのかサプリなのか判断に迷いやすいです。
そのため、成分、摂取目的、形状、表示表現、販売方法を見て、どちらの分類で整理するかを先に確認することが重要です。
化粧品かOTCか
化粧品とOTC医薬品は、見た目が似ていても米国では扱いが大きく異なります。
化粧品は、肌や髪を清潔にする、美しく見せる、香りを与える、外観を整えるといった目的の商品です。
一方で、病気の治療・予防や、身体の構造・機能に作用することをうたう場合は、OTC医薬品に該当する可能性があります。
たとえば、保湿クリームや美容液は化粧品として整理しやすい一方で、ニキビを治す、炎症を抑える、フケを防ぐ、発汗を抑える、UVから肌を守るといった表現がある商品はOTC医薬品の論点に入ることがあります。
そのため、化粧品では「成分」だけでなく、「何をうたって販売するか」も分類判断に大きく関係します。
酒類はTTB
アルコールを含む商品は、一般食品としてFDAだけで見るのではなく、TTBの確認が必要になる場合があります。
TTBは、米国での酒類の輸入、表示、広告、税、許認可などを管轄する機関です。
日本酒、焼酎、リキュール、ワイン、ビールなどを米国へ輸出する場合は、FDA食品とは別に、TTBのルールを確認する必要があります。
また、酒類は連邦ルールだけでなく、州ごとの販売規制や、Amazon・配送会社の取り扱いルールも関係します。
そのため、酒類は「飲料だからFDA」ではなく、まずTTB対象として整理するのが基本です。
肉・家禽はUSDA
食品の中でも、肉、家禽、一部の卵製品は、FDAではなくUSDA/FSISの管轄になる場合があります。
たとえば、牛肉、豚肉、鶏肉を含む食品や、一部の肉加工品、家禽加工品などは、USDA側の確認が必要になる可能性があります。
レトルト食品、カレー、スープ、だし、ソース、惣菜などでも、肉エキスや肉由来成分が入っている場合は注意が必要です。
実務上は、「食品だからFDA」と決めつけず、肉・家禽・一部卵製品が含まれていないかを先に確認します。
該当する場合は、FDA食品とは別に、USDA/FSISの輸入可否、施設、証明書、ラベルなどの確認が必要になることがあります。
魚介類はSeafood HACCP
食品の中でも、魚介類や水産加工品は、一般食品とは別に Seafood HACCP の確認が必要になる場合があります。
魚介類はFDA管轄の食品ではありますが、通常の一般食品ルールだけでなく、魚介類専用のHACCP規則に基づいて、安全管理の体制を確認する必要があります。
対象になりやすいのは、以下のような商品です。
対象になりやすい商品
- 魚、貝、えび、かに、いか、たこ
- 冷凍魚介類
- 干物、燻製、塩蔵品
- 水産加工品
- 魚介類を主原料とする食品
魚介類では、ヒスタミン、寄生虫、病原菌、自然毒、温度管理、アレルゲンなど、商品ごとに確認すべきリスクが変わります。
そのため、魚介類を米国へ輸出する場合は、FDA施設登録、Prior Notice、ラベル確認に加えて、Seafood HACCPの対象になるかを確認することが重要です。
つまり、魚介類は「一般食品」としてだけ見るのではなく、Seafood HACCPの観点でも確認する必要があります。
州・販売チャネルの確認
米国は、FDAなどの連邦ルールに加えて、州ごとのルールがある国です。そのため、事前準備では「連邦の手続き」だけでなく、「どの州で、どのチャネルで売るのか」もあわせて確認する必要があります。
同じ商品でも、販売する州、在庫を保管する州、EC直販かAmazon FBAか卸販売かによって、確認すべき項目が変わることがあります。
事前に整理したいこと
- 主にどの州の消費者へ販売するか
- 在庫をどの州で保管するか(FBA倉庫を含む)
- EC直販、Amazon、卸など、どのチャネルで売るか
- 販売州の州法対応が必要か(例:カリフォルニアのProp 65)
- 州側の許可・登録・容器関連ルールなどが関係しないか
たとえばカリフォルニア州には、対象化学物質を含む製品に警告表示を求めるProp 65があります。また、食品の取り扱いに関する許可・登録や、飲料容器のデポジット制度(ボトルビル)のように、州によって有無や内容が変わるルールもあります。
これは食品・化粧品のどちらにも当てはまる視点です。FDA対応を整えた後で州側の論点に気づくと手戻りが大きいため、「連邦(FDA)+州+販売チャネル」の3点セットで事前に確認しておくことが重要です。
カリフォルニアProp 65
Prop 65とは、カリフォルニア州の州法「Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986」の通称で、がんや生殖への悪影響(出生異常など)を引き起こすとして州がリストに掲載した化学物質について、重大なばく露が生じる製品に警告表示を求める制度です。
対象物質のリストは、州の機関であるOEHHA(環境健康有害性評価局)が管理しており、少なくとも年1回更新されます。リストには約900の化学物質が掲載されています。
Prop 65は連邦のFDAルールとは別枠の州法で、食品・化粧品のどちらにも適用されます。FDA対応が済んでいても、確認が別途必要になる場合があります。
実務で押さえたいポイント
- リスト掲載物質(鉛・カドミウムなどの重金属を含む)が製品に含まれていないか
- 含まれる場合、警告表示が必要な水準か
- 警告要否は含有量・ばく露量と、セーフハーバーレベル(これ以下であれば警告不要とされる基準値。ただし全物質に設定されているわけではない)によって変わる
- ECやAmazon経由でも、カリフォルニアの消費者へ販売すれば論点になり得る
また、Prop 65の特徴として、州当局だけでなく私人(民間の団体や個人)が、事業者などへの60日前の通知を経て訴訟を起こせる仕組みがあり、実務上はこの私人訴訟が大きなリスクになっています。
そのため、カリフォルニア向けに販売する場合は、原料由来の微量混入も含めて、対象物質の有無と警告要否を事前に確認しておくことが重要です。
米国到着後の照会対応
米国到着後の照会対応とは、貨物が米国に到着した後に、FDAやCBPから来る追加確認へ対応することです。
米国輸入では、貨物の到着後もFDA側の審査が続き、追加情報の要求、検査・サンプリング、審査中の保留(hold)が起こる可能性があります。検査やサンプリングの対象になった場合、結果が出て解放されるまで、その商品を流通させることはできません。
ここで重要なのは、照会は「起きてから考える」ものではなく、「起きたときにすぐ動けるように備えておく」ものだという点です。対応が遅れたり、説明が不十分だったりすると、Detention(貨物保留)に進む可能性があります。
到着前に決めておきたい備え
- FDA/CBPからの連絡を誰が受け、誰が回答するか(窓口の一本化)
- ラベル、成分表、施設登録番号などの英語資料をどこに保管しておくか
- 回答期限を誰がどう管理するか
- 通関業者、輸入者、日本側メーカーの役割分担
特に、日本と米国では時差があるため、照会が来てから資料を探し始めると、回答が間に合わないことがあります。到着後の照会は一定の確率で起こる前提で、「窓口・資料・期限管理」の3点をあらかじめ決めておくことが重要です。