フッ化第一スズ配合フッ素歯磨き
フッ素歯磨き等(虫歯予防のOTC医薬品)
⚠ FDAが指摘した実例受託製造でも免れない。フッ素歯磨きの製造で問われた「原料試験」と「記録管理」
フッ素歯磨きやOTC外用剤の生産をOEM(受託製造)に任せる場合、そのOEMがFDAのcGMPを満たしているかどうかが、ブランド側のリスクに直結します。今回は、FDAが2025年6月に公表した、米国ユタ州の受託製造企業への警告書を取り上げます。原料試験・サンプリング・記録管理という、監査で確認すべきポイントが具体的に並んだ事例です。
実際の事例でFDAが指摘した内容
FDAは2024年12月にこの工場を査察しました。同社はOTCの外用鎮痛剤やオーラルケア製品(フッ素歯磨き等)を受託製造しています。主な指摘は次のとおりです。
- 原料の同定試験(21 CFR 211.84)——グリセリン(有害不純物DEG/EGの混入リスクがある高リスク原料)や、フッ化第一スズ・メントール・カンフルといった有効成分について、ロットごとの同定試験が不十分で、サプライヤーCOAの信頼性も確立していなかった
- サンプリング(21 CFR 211.160(b))——フッ素歯磨きのバッチで、タンクの限られた箇所から採った少数のサンプルだけで微生物・含量を判定しており、バッチ全体を代表するという科学的な正当化がなかった。製造用水の導電率・微生物モニタリングの記録も提示できなかった
- 記録管理・品質部門(21 CFR 211.22)——秤の校正記録が識別子のないルーズリーフ、過去の不適合報告が旧システムごと参照不能、製造・倉庫エリアにcGMP記録とみられる書類のシュレッダー待ち箱、水質モニタリング記録が従業員個人のPCにのみ保存、表示している有効期限を裏づけるデータがない、など
あわせて、一部製品は未承認新薬(505条(a))・misbranded(502条(ee))にあたるとも指摘され、15営業日以内の回答が求められました。
この事例から押さえたい2つの注意点
① 受託製造の品質は「聞けば記録が出てくるか」で試される
今回の指摘の多くは、「やっていない」だけでなく「記録を示せない」ことに関するものでした。個人PCにしかないデータ、参照できない旧システム、識別子のない紙——どれも、査察の場で「管理されていない」と評価される典型例です。データの保管場所と追跡可能性まで含めて、cGMPの一部だと考える必要があります。
② ブランド側(委託者)は、OEMの品質に自社の責任として向き合う
FDAは受託製造先を「製造者の延長」とみなし、製品品質の責任は委託元にも及ぶという立場です。OEMに任せている場合でも、監査の項目に原料の同定試験(とくにグリセリンのDEG/EG)、サンプリングの根拠、水系の管理、データ管理を含めておくことが、自社ブランドを守ることにつながります。
OEM監査で確認したいチェックポイント
- 高リスク原料(グリセリン等)のUSP同定試験(DEG/EG)の実施状況
- 有効成分のロットごとの同定試験と、COA検証の運用
- サンプリング計画の科学的根拠(バッチ全体を代表するか)
- 製造用水のモニタリング記録
- 記録の保管・追跡性(個人PC保存や無管理な廃棄がないか)
これらは専門的に見えますが、質問リストにして聞くだけでも、OEMの体制の成熟度はかなり見えてきます。
ワールドシフトなら、継続運用まで支援します
ワールドシフトでは、歯磨き・OTC製品の米国輸出にあたって、OEM選定時の確認観点の整理から、登録・リスティング、取得後の継続的なチェックまでサポートしています。「今の委託先で米国向けを作って大丈夫か」という確認から、お気軽にご相談ください。
※本記事は、FDAが公表したWarning Letter(一次情報)をもとに要点を日本語で整理したものです。企業名・正確な文言は、リンク先のFDA原文(英語)をご確認ください。記載の指摘はFDA発出時点のものであり、その後に是正・解決されている場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、特定企業の評価を目的とするものではありません。
自社の商品で同じ指摘を受けないために——