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水産HACCP2023-11

鮮魚・真空包装(水産)

水産物HACCP

⚠ FDAが指摘した実例

その真空パック、本当に安全ですか?パナマの水産加工会社が受けた警告

実例で学ぶ(実録)|水産物HACCP

真空パックにすると、食材は新鮮に見えます。でも、酸素を抜いた密封状態は、ある危険な菌にとって「居心地のよい環境」でもあります。パナマの水産加工会社が受けたFDAの警告書から、鮮魚の真空包装にひそむリスクを見ていきます。

はじめに——水産物HACCPとは

魚介類を加工して米国へ輸出する場合、事業者は「水産物HACCP」というルール(21 CFR 123)に従う必要があります。これは、自社の製品にどんな危険(ハザード)が起こりうるかを分析し、それを防ぐための計画をつくり、実際に実行する仕組みです。

鮮魚を真空パックにする「真空包装」や、酸素を抜いた包装(reduced oxygen packaging)は、見た目もきれいで日持ちしそうに感じられます。しかし、酸素の少ない密封環境は、ボツリヌス菌が毒素をつくるのに適した条件でもあります。冷蔵温度がしっかり保たれていないと、このリスクはさらに高まります。だからこそ、真空パックの魚には、温度管理を含めた専用の対策が欠かせません。

実際の例——真空パックの魚に対策がなかった加工会社

2023年6月12〜13日、FDAはパナマの水産加工会社「Independent Seafoods Panama, S.A.(Panama Artisanal Seafoods FQ)」を査察しました。この会社は、グルーパーやスナッパー、アンバージャックといった鮮魚に加え、キハダマグロやマヒマヒ、サバなど、ヒスタミン(体調不良を起こす毒素)ができやすい魚も扱っていました。中でも、真空パックにした製品については、ボツリヌス菌のリスクが指摘されました。

FDAによると、この会社はハザード分析の中で、病原菌や化学物質の残留などの危険を「起こりうる」と認識していました。ところが、実際の加工工程のどこにも、それを防ぐための重要管理点(CCP)を設定していなかったのです。危険を認識していながら、防ぐ手立てを計画に落とし込んでいなかった、ということになります。

出典(FDA Warning Letter)↗

なぜ問題なのか

FDAの規則(21 CFR 123.6(g))では、水産物のHACCP計画を持たない、または計画どおりに実行していない場合、その製品は連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)にもとづき「不良品(adulterated)」とみなされます。危険を分析するところまでは行っても、それを防ぐ具体策(CCPや管理基準)が計画に入っていなければ、規則を満たしたことにはなりません。

今回のケースでは、ヒスタミンとボツリヌス菌という、いずれも見た目やにおいだけでは気づきにくい危険が対象でした。加熱や冷蔵といった当たり前に見える工程ほど、「わかっているつもり」で計画に落とし込まれていないことがあります。

日本企業が注意すべきこと

日本から米国へ鮮魚や真空パック商品を輸出する場合も、同じ考え方が求められます。とくに次のような点は、あらためて確認しておきたいポイントです。

  • 真空パック・脱酸素包装をしている魚種について、ボツリヌス菌のリスクをハザード分析に入れているか。
  • マグロやサバ、ブリなどヒスタミンができやすい魚種について、温度と時間の管理を重要管理点として設定しているか。
  • ハザード分析で「起こりうる」とした危険に対して、実際の工程表に具体的な対策(CCP・管理基準・記録方法)が書き込まれているか。
  • 冷蔵・冷凍の温度を、輸送や保管の間も継続して記録できているか。

「わかっている」と「計画になっている」は別物

今回の会社も、危険そのものには気づいていました。足りなかったのは、それを防ぐ具体的な仕組みを計画として文書に残すことでした。この差は、書類を見るだけでは気づきにくく、実際に工程を一つずつ確認して初めて見えてくるものです。

ワールドシフトでは、水産物HACCP計画の整備や、真空パック製品のハザード分析の見直しといった実務サポートも行っています。「うちの真空パック商品は、このままの管理で大丈夫なのか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。

※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。

出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗

自社の商品で同じ指摘を受けないために——

WorldShift Trade Watch — 出典はFDA。