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表示・健康強調2019-12

サプリメント(疾病クレーム=未承認新薬)

健康強調・疾病クレーム(未承認新薬扱い)

⚠ FDAが指摘した実例

「がんに効く」と並べて売っただけで、サプリが"薬"になった話

実例で学ぶ(実録)|疾病クレームと多言語ラベルの不備が重なった米国摘発の実例

日本のサプリメントをAmazon.comで販売していた企業に、FDAから警告書が届いたことがあります。理由は、成分の効能を強く語りすぎたことと、日本語と英語が混ざったラベルの記載に漏れがあったことでした。どちらも、輸出者が「これくらいなら大丈夫」と思いがちなポイントです。

はじめに——「効く」「予防する」がなぜ薬の表示になるのか

アメリカでは、食品やサプリメントの表示に「病気を治す」「予防する」「症状を和らげる」といった意味の言葉を使うと、それだけでFDAからは「薬」として扱われてしまう場合があります。これは連邦食品・医薬品・化粧品法(FD&C Act)第201条(g)(1)(B)という規定に基づく考え方です。サプリメントの中身が同じでも、ラベルや広告での「言い方」次第で、法律上の扱いが食品から薬に変わってしまうのです。そして薬として扱われた瞬間、FDAの事前承認を受けていない製品は「未承認新薬(unapproved new drug)」となり、そのまま販売すること自体が違反になります。

実際の例——「Umi No Shizuku」フコイダン製品のケース

カリフォルニア州トーランスの企業Kamerycah, Inc.は、Dr. Daisuke Tachikawa氏監修の「Essential Nutrition Umi No Shizuku」や、フコイダンを主成分とするサプリメント「Umi No Shizuku」シリーズをAmazonストアで販売していました。FDAが2019年5月に実施した調査で確認したのは、このAmazonストアで同じフコイダン製品と並べて「The Amazing Power of Fucoidan – The Key to Conquering Cancer(フコイダンの驚異的な力―がん克服の鍵)」という書籍が扱われており、その中に「フコイダンは臨床試験でがんに対する身体の働きを支えることが示されている」「フコイダンはがん細胞を破壊し、腫瘍からの血管形成を防ぐ」といった記述があった点でした。FDAは、こうした疾病治療・予防を連想させる情報が製品の販売と一体になっていることを問題視し、2019年12月2日付で同社宛てに警告書を送付しています。

出典(FDA Warning Letter)↗

なぜ問題なのか——薬事表示と、ラベルの多言語対応の不備

FDAの結論はこうでした。これらの製品は「がんの緩和・治療・予防を目的とした製品」とみなされ、FD&C法第201条(p)にいう「新薬」に該当する。新薬は事前にFDAの承認(第505条(a))を受けなければ、州をまたいで流通させること自体が違反になる。さらに、がんのような「自己判断・自己治療になじまない病気」を対象とする以上、素人が安全に使うための「適切な使用指示」を書くことは不可能であるとして、第502条(f)(1)に基づき「不正表示医薬品(misbranded drug)」とも判断されました。加えてFDAは、ラベルそのものの不備も指摘しています。フコイダンのカプセル・リキッド製品や「Essential Nutrition」の外箱には日本語表記が一部使われていましたが、日本語での「一般的な製品名」「内容量」「栄養成分表示(Supplement Facts)」「原材料」「責任者の名称・住所」などが欠けていました。21 CFR 101.15(c)という規則では、ラベルに外国語の記載が一部でもある場合、法律上必要な表示事項はすべてその外国語でも記載しなければならないと定められています。「日本語を一部だけ書く」という中途半端な対応そのものが、違反にあたると判断されたのです。

日本企業が注意すべきこと

今回のケースは、日本の食品輸出者にとって他人事ではありません。日本国内で当たり前に使っている「体にやさしい」「健康をサポートする」といった表現でも、伝え方や周辺情報(併売する書籍やレビュー、関連サイトの記述など)次第では、アメリカでは疾病治療を示唆していると受け取られる場合があります。また、日本語ラベルを一部だけ残したまま英語化するような対応も、規則違反につながりやすいポイントです。

  • 製品説明や関連コンテンツ(書籍・レビュー・リンク先の記事など)に、病名や「治る」「予防する」といった表現が紛れ込んでいないか
  • 臨床試験や研究の引用が、間接的に疾病への効果を示す形になっていないか
  • ラベルに日本語表記を残す場合、製品名・内容量・栄養成分・原材料・責任者情報など必要事項がすべて日本語でも網羅されているか(21 CFR 101.15(c))
  • 内容量表示にメートル法(g、mLなど)の記載が入っているか

表示は「言った通り」に評価される

今回のケースで伝わってくるのは、FDAは製品そのものの安全性だけでなく、それをどう語ったかまで見ているということです。良い成分でも、伝え方や周辺情報の見せ方によっては、意図せず「薬」の扱いを受けてしまうことがあります。ラベルの多言語対応の細かさも、見落とされがちな盲点です。

ワールドシフトでは、サプリメント・健康食品のラベルや訴求表現が米国の基準に沿っているかどうかのチェックもサポートしています。「このキャッチコピーは大丈夫か」「日本語表記を残す場合どこまで訳す必要があるか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。

※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。

出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗

自社の商品で同じ指摘を受けないために——

WorldShift Trade Watch — 出典はFDA。