まぐろ・真空ハマチ(水産)
水産物HACCP
⚠ FDAが指摘した実例まぐろとハマチの真空パック、「計画はあった」のに警告書が届いた理由
まぐろ、ぶり、はまち。日本の食卓ではおなじみの赤身魚や真空パック商品が、米国向けだと急に「危険な食品」として扱われることがあります。今回はHACCP計画を作っていたのに指摘を受けた企業の実例から、どこでつまずいたのかを見ていきます。
はじめに——水産物HACCPとは
米国に魚介類を輸出・加工・輸入する場合、「水産物HACCP(21 CFR 123)」というルールに沿って、危険要因(ハザード)を洗い出し、それを防ぐ計画をつくって実行する義務があります。特に注意が必要なのが、まぐろ・かつお・ぶり・はまちなど赤身魚に含まれる「ヒスタミン(スコンブロイド毒素)」です。魚の鮮度が落ちると生まれ、一度できてしまうと加熱しても分解できません。だからこそ、原料を受け入れる段階での温度・鮮度管理が「CCP(重要管理点)」として厳しく求められます。もうひとつが真空パックや脱酸素包装です。酸素を嫌うボツリヌス菌などにとっては、かえって都合のよい環境になる場合があり、通常の冷蔵以上に気を配る必要があります。
実際の例——計画はあるのに、実行と記録が伴っていなかった
2019年7月16日、FDAは水産物輸入会社であるAB Seafood Trading Incに警告書を出しました(ID 585907)。指摘の中心は、まぐろ・スパニッシュマッケレル・真空包装のはまち(Hamachi)などの生食用・冷蔵水産物について、HACCP計画で定めた「冷蔵保管CCP」のモニタリング手順・頻度を、実際には実行していなかったという点です(21 CFR 123.6)。さらに真空包装のはまちについては、HACCP計画そのものが、ボツリヌス毒素の発生を抑えられる基準になっていませんでした。FDAはこれらの製品を、不衛生な状態で調製・梱包・保管され健康を害する恐れがあるとして「不良品(adulterated)」と判断しました。
なぜ問題なのか
今回のポイントは、「計画自体は存在していた」ということです。書類上はHACCPプランがあり、温度をチェックする頻度も決めていました。ですが、実際にその通りに測定・記録が行われていなければ、計画は無いのと同じだとFDAは見なします。加えて、真空パックは見た目がきれいで鮮度が保たれているように感じられますが、酸素がない環境を好む菌にとってはむしろ好都合になる場合がある、という点も見落とされがちです。「計画はあるが実行していない」は、書類そのものの不備と同じくらい重く受け止められます。
日本企業が注意すべきこと
まぐろ・かつお・ぶり・はまちなど赤身魚や、真空パック・脱酸素包装の水産物を米国向けに扱う場合、次のような点をあらためて確認しておくと安心です。
- 原料の受け入れから出荷まで、温度記録をCCPとしてきちんと取り続けているか
- 真空パック・脱酸素包装の商品は、通常の冷蔵よりも厳しい温度管理や保存条件の設定が必要になっていないか
- 生食用として販売する製品には、寄生虫もハザードとして計画に含めているか
- 決めた頻度・手順どおりに測定・記録が実際に行われているか(計画倒れになっていないか)
書類より、現場の記録が見られている
今回の事例で問われたのは、HACCP計画の有無そのものではなく、「決めた通りに実行し、記録として残しているか」でした。日本からまぐろ・ぶり・はまちなどを米国向けに輸出する場合も、同じ落とし穴に注意が必要です。
ワールドシフトでは、水産物HACCP計画の策定や、原料受け入れ時の温度管理の仕組み化、真空包装商品のハザード分析の見直しといった具体的なサポートを行っています。「うちの真空パックの温度管理はこのままで大丈夫か」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——