冷凍魚(ヒスタミン形成魚)
水産物HACCP
⚠ FDAが指摘した実例冷凍にすれば安心、ではなかった——水産加工会社が受けたFDAの警告
まぐろ、かつお、さば、ぶり——日本の輸出者にとってなじみ深いこれらの魚には、実は「ヒスタミン」という共通の弱点があります。今回は、冷凍魚を米国に輸出していたベトナムの水産加工会社が、この弱点への対策不足を指摘された実例を見ていきます。
はじめに——水産物HACCPとヒスタミン
魚介類を加工して米国に輸出する事業者には、「水産物HACCP」と呼ばれるルール(21 CFR Part 123)が適用されます。これは、製品に潜む危害要因(ハザード)をあらかじめ洗い出し、それを防ぐための計画(HACCP計画)を作り、実行することを求めるものです。
特に注意が必要なのが、まぐろ・かつお・さば・ぶり・いわしなどの「ヒスタミン形成魚(histamine-forming species)」です。これらの魚は、鮮度が落ちると体内でヒスタミンという物質を作ってしまう場合があります。厄介なのは、一度できてしまったヒスタミンは、その後どれだけ加熱しても分解されないという点です。だからこそ、漁獲された瞬間から加工・保管に至るまでの温度管理(重要管理点=CCP)が、後からでは取り返しがつかない、決定的な工程になります。
実際の例——水揚げ時の温度管理が抜けていた冷凍魚フィレ
ベトナムのDuong Ha Processing Trading Seafood Company Limited(ブンタウ省)は、冷凍・生・真空パックのヒスタミン形成魚のフィレを製造していました。FDAは2024年7月8日から9日にかけてこの工場を査察し、その結果を受けて同年11月26日付で警告書(CMS #695096)を送付しています。
何が指摘されたか
FDAが問題視したのは、まさに「水揚げの瞬間」でした。この会社のHACCP計画では、魚を漁船から陸揚げする際(未冷蔵状態での取り扱い工程)の重要管理点は設定されていたものの、その中身に不備がありました。
さらに、その工程で測定すべき「魚の内部温度」について、どこまでなら安全か、どこからが危険かを線引きする管理基準(クリティカルリミット)も設定されていませんでした。基準がなければ、現場の担当者は何を測って何を確認すればよいか分かりません。実際、この重要管理点におけるモニタリング(監視)の手順自体も不十分だと指摘されています。
日本企業が注意すべきこと
この事例が教えてくれるのは、「冷凍にしているから安全」という思い込みの危うさです。ヒスタミンは、冷凍される前の段階、つまり水揚げから加工開始までの間にできてしまう場合があります。冷凍はその後の増加を止める手段であって、すでにできてしまったヒスタミンを消す手段ではありません。まぐろ・かつお・さば・ぶりなどを扱う輸出者は、次の点を確認しておくと安心です。
- 水揚げから加工開始までの各工程で、どこが重要管理点(CCP)になっているかHACCP計画に明記されているか
- その重要管理点で、魚の内部温度など具体的な数値基準(クリティカルリミット)が定められているか
- 誰が・いつ・どうやって温度を測り、記録しているか(モニタリング手順)が明確になっているか
- 冷凍・真空パックといった処理は、あくまで「その後の管理」であり、水揚げ時点の鮮度管理の代わりにはならないと理解しているか
備えあれば憂いなし
今回のケースでは、会社側も2024年7月と9月にFDAへ改訂版のハザード分析やHACCP計画、モニタリング記録などを提出し、是正の姿勢を示していました。裏を返せば、水揚げ時点の温度管理という一つの工程が抜けているだけで、ここまで手間のかかる是正対応が必要になるということでもあります。
ワールドシフトでは、ヒスタミン形成魚を含む水産物のHACCP計画の整備や、重要管理点・モニタリング体制の見直しといった実務サポートも行っています。「うちの冷凍魚の管理基準は、水揚げの温度まで含めてきちんと書けているだろうか」——そんな疑問が浮かんだ時点も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——