
日本で組み立てたら「日本製」になる?原産地の判定基準と、米国の「実質的変更」の考え方
海外から部品を仕入れて、日本で組み立てて箱に入れた。日本の会社の商品で、日本から発送している。だからインボイスの原産国は「Japan」でいいはず——そう思っていたら、通関業者から「それは日本原産と言えないかもしれません」と言われた。
原産国は、思っているより判断が難しいものです。そして、原産国によってアメリカで払う関税も変わります。
「日本で組み立てたら、日本製になるの?原産地は、何を基準に決まるの?」
この記事では、アメリカへ輸出するときの原産地(原産国)の判定の考え方を、具体的な例で整理します。Amazon以外で輸出する場合にも共通する内容です。
原産地を考えるときの考え方
原産国は、「どこから発送したか」や「どこの会社の商品か」では決まりません。米国では、多くの商品で、どこで「実質的変更」が行われたかが判断の軸になります。
「日本で組み立てたか」ではなく、「日本の作業で、部品が別の商品に変わったか」と考えると分かりやすくなります。次の順で確認します。
やること
原産国は、発送国やメーカーの所在地とは別
原産国は、発送国やメーカーの所在地とは別のものです。日本のブランド、日本企業の商品、日本から発送する商品でも、原産国が中国などになる場合があります。
| よく混同されるもの | 原産国との関係 |
|---|---|
| 発送国(どこから送ったか) | 日本から発送しても、原産国が日本とは限らない |
| メーカー・ブランドの所在地 | 日本の会社の商品でも、海外の工場で作られていれば原産国は海外になることがある |
| 原産国 | その商品が、実際にどこで作られたものとみなされるか |
米国の判定の軸は「実質的変更」
米国では、多くの商品で「実質的変更(Substantial Transformation)が行われたか」が、原産国を判断する軸になります。
「部品が別の商品に変わったか」で考える
実質的変更とは、加工によって、元の部品とは別の商品に変わることです。「日本で組み立てたか」「最後の作業をどこでしたか」だけでなく、日本の作業で、部品が別の商品へと変わったかを考えます。
日本原産になりにくい作業・なりうる作業
| 日本での作業(例) | 原産国の考え方 |
|---|---|
| ①すでに出来上がっている商品に、少し手を加える(箱の入れ替え・ラベル貼付・検品など) | 原産国は変わりにくい。これだけで日本原産になるわけではない |
| ②海外でほぼ完成した商品に、脚やカバーを取り付けるような簡単な組み立て | 最後の作業場所だけでは決まらない。日本原産と認められない可能性がある |
| ③日本の加工で、部品から新しい機能を持つ商品を作る | 日本原産になる可能性がある |
組み立ても、最後に組み立てた場所だけでは決まりません。どの作業で、その商品が「その商品らしく」なったのかが大切です。
米国税関が見る3つの点
米国税関は、主に次の3つの点を見て、実質的変更があったかを判断します。
ただし、名前を付け直すだけでは足りません。実際にどのような変化が起きたかで判断されます。
「日本で何%作業したら日本製」という基準はない
「日本で何%の作業をしたら日本製」という一律の基準はありません。日本でかけた費用や作業時間だけでなく、次のようなことを商品ごとに確認します。
- 重要な部品が、どこで作られたか
- どの工程で、完成品としての性質や用途が決まったか
- 日本での作業で、構造や機能がどれだけ変わったか
同じ「組み立て」でも、商品によって結論が変わることがあります。ほかの商品で日本原産だったからといって、同じ考え方が当てはまるとは限りません。
衣類などには、専用の原産地ルールがある
衣類などの商品には、専用の原産地ルールがあります。たとえば衣類では、どこで生地を作り、どこで縫製したかなど、その商品のための決まりで原産国が判断されます。
すべての商品を、実質的変更という同じ考え方だけで判定しないようにします。扱う商品に専用のルールがあるかを、先に確認しておきます。
せどり・相乗りでは、まず原産国の表示を確認する
せどりや相乗りで販売する場合は、自分で加工するわけではないので、まず商品や包装の原産国の表示を確認します。
| 確認するもの | 注意すること |
|---|---|
| 商品・包装の原産国の表示 | 「Made in 〇〇」などの表示を確認する |
| 日本のメーカーの住所・JANコード | これだけで日本製と判断しない |
| メーカーへの問い合わせ | 表示が無い・分からない場合は、その型番の製造国・原産国を問い合わせる |
同じシリーズの商品でも、型番によって製造国が違うことがあります。問い合わせるときは、型番まで伝えて確認します。
迷ったら、発送する前に確認する
原産国の判断に迷う場合は、発送する前に確認します。
- クーリエの通関担当や通関業者に相談する
- 米国では、税関(CBP)に原産地などの判断を求める事前教示の制度もある
発送したあとに原産国の申告が違っていたと分かると、関税の差額の支払いや、通関の遅れにつながることがあります。迷った商品ほど、先に確認しておくことが大切です。
実態に合った原産国を申告し、関税を含めて利益を見積もる
関税を下げるために「日本製」と申告するのではなく、製造の実態に合った原産国を申告します。
アメリカで払う関税は、商品の分類(HTSコード)と原産国で変わります。そのため、仕入れる前に原産国を確認し、その国に適用される関税を含めて利益を見積もることが大切です。原産国が想定と違えば、関税が変わり、利益が残らなくなることもあります。
関税の分類に使うHSコードとHTSコードの違いと、確認の方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
関税の分類を詳しく解説HSコードとHTSコードは同じ?日本で調べた番号がアメリカで通じない理由と、桁ごとの確認先
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原産地証明書・特定原産地証明書との違い
「原産地」と聞くと、原産地証明書や特定原産地証明書を思い浮かべる方もいるかもしれません。これらは、主に輸入する国から求められたときや、経済連携協定(EPA)などで関税の優遇を受けるときに使う書類です。
特に、協定で関税の優遇を受けるための原産地の決まり(原産地規則)は、協定ごとに別のルールがあります。この記事で説明した「原産国の表示や一般の関税のための判定」とは目的が違うので、協定を使う場合は、その協定のルールを確認します。
米国向けの通関を日々見ていると、日本のメーカーの商品だから原産国は日本、と思い込んで申告してしまうケースは少なくありません。インボイスに原産国を書く前に、商品や包装の表示を一度確かめるだけで、あとから修正する手間を防げます。
まとめ
日本で組み立てたからといって、そのまま「日本製」になるとは限りません。
- 原産国は、発送国やメーカーの所在地とは別。日本の会社の商品でも、原産国が海外になることがある
- 米国では、多くの商品で「実質的変更」が判断の軸。日本の作業で、部品が別の商品に変わったかで考える
- 箱の入れ替え・ラベル貼付・検品や、簡単な取り付けだけでは、日本原産になりにくい
- 米国税関は、主に名称・性質・用途の3つの点で判断する。名前を変えるだけでは足りない
- 「何%作業したら日本製」という一律の基準はない。衣類などには専用のルールがある
- せどりでは、商品・包装の原産国表示を確認し、分からなければメーカーに型番で問い合わせる
- 迷ったら発送前に通関業者などに確認する。実態に合った原産国を申告し、関税を含めて利益を見積もる
よくある質問
日本で組み立てれば、日本製(日本原産)になりますか?
組み立てた場所だけでは決まりません。米国では、多くの商品で「実質的変更」が行われたかが判断の軸になり、日本での作業によって部品が別の商品に変わったかで判断されます。海外でほぼ完成した商品に簡単な部品を取り付けるだけでは、日本原産と認められない可能性があります。
実質的変更とは何ですか?
加工によって、名称・性質・用途のいずれかが変わり、元の部品とは別の商品になることです。米国税関は、部品から別の商品になったか、構造や機能が大きく変わったか、使い道が変わったかを見て判断します。
日本のメーカーの商品なら、原産国は日本ですか?
そうとは限りません。原産国は、発送国やメーカーの所在地とは別です。日本のブランドや日本企業の商品でも、原産国が中国などになる場合があります。商品や包装の原産国表示を確認し、分からなければメーカーに型番で問い合わせます。
日本で何%作業すれば日本製になりますか?
「日本で何%作業したら日本製」という一律の基準はありません。日本でかけた費用や作業時間だけでなく、重要な部品がどこで作られ、どの工程で完成品としての性質や用途が決まったかなどを、商品ごとに確認します。
原産国の判断に迷ったら、どこに確認すればいいですか?
発送する前に、クーリエの通関担当や通関業者に確認します。米国では、税関(CBP)に原産地などの判断を求める事前教示の制度もあります。

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