無在庫販売は本当に安全?在庫ありとリスクを比べる

無在庫販売は本当に安全?在庫ありと比べたリスクと、「資金」と「アカウント」で分けて考える選び方

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仕入れた商品が売れ残るのが怖い。資金もそれほど多くない。だったら、在庫を持たずに、売れてから仕入れればいいのでは——。

物販を始めようとしている方や、在庫で痛い目を見た方から、こうした考えを聞くことは少なくありません。そして、次のような疑問が出てきます。

「無在庫と在庫あり、結局どっちがリスクが少ないの?」

この記事では、無在庫販売と在庫ありの販売を比べ、それぞれがどんなリスクを背負うのかを整理します。どちらを選ぶかを、自分で決められるようになることが目標です。

無在庫か在庫ありかを決めるための考え方

まず押さえておきたいのは、「在庫を持たないから安全」ではないということです。無在庫にすれば在庫のリスクはなくなりますが、その代わりに別のリスクを背負います。

どちらを選ぶかは、リスクを次の2つに分けて考えると決めやすくなります。

在庫あり無在庫
資金に効くリスク先に資金を使う。売れ残り・値下がり・保管費で資金が減る先行投資は小さい。ただし受注後の仕入れ代金は、入金より先に払う
アカウントに効くリスク在庫があるので、欠品や発送遅れは起きにくい欠品・仕入れ価格の上昇・発送遅延が起きやすく、規約違反になれば販売制限やアカウント停止もある

在庫ありは主に資金のリスクを、無在庫は主にアカウントのリスクを背負う、と整理できます。そのうえで、最後に判断の基準にするのは次の問いです。

判断の基準

約束した商品を、約束した価格と納期で、確実に届けられるか

この問いに「はい」と言える売り方を選びます。そのためにやることは、次の3つです。

無在庫販売とは

無在庫販売とは、商品を手元に持たずに出品し、注文が入ってから仕入れて購入者に届ける売り方です。仕入れ代金を先に払わなくてよいため、少ない資金でも始めやすいと言われます。

ドロップシッピングと無在庫転売の違い

無在庫販売には、大きく分けて次の2つがあります。マーケットによって認められるかどうかが変わるので、違いを押さえておきます。

ドロップシッピングと無在庫転売の違い:ドロップシッピングは、卸業者やメーカーなどと契約し、注文が入ったら仕入れ先から購入者へ直送してもらう(購入者が注文→卸業者・メーカー→購入者へ直送)。無在庫転売は、売れてから、ほかの小売店やマーケットで商品を買い、そこから購入者へ直送する、または受け取って発送する(購入者が注文→ほかの小売店・マーケットで購入→購入者へ直送)

特に無在庫転売は、多くのマーケットで禁止されています。

まず、販売先で認められている売り方かを確認する

無在庫で売るかどうかを考える前に、そもそも利用するマーケットで認められている売り方かを確認します。代表的なマーケットのルールは次のとおりです。

マーケット無在庫販売の扱い
メルカリ手元にない商品の出品や、ほかのECサイトから購入者への直送は禁止。ほかのフリマアプリでも、同じように禁止されていることが多い
eBay卸業者との契約などにもとづくドロップシッピングは認められる。一方、売れてからほかの小売店・マーケットで買って購入者へ直送する方法は禁止
Amazon条件付きでドロップシッピングが認められる。自分が記録上の販売者であることを明確にし(納品書や梱包にほかの店の名前を出さない)、返品対応なども自分が責任を持つ必要がある。Amazonやほかの出品者などの第三者から買い、その第三者から購入者へ直接送ってもらう方法は、自分が記録上の出品者と分からない場合は認められない

※規約は変わることがあります。利用前に各マーケットの最新のルールを確認してください。

認められていない売り方を続けると、出品の削除や販売制限、アカウントの停止につながる場合があります。「バレなければいい」ではなく、認められている売り方の中で選ぶことが大前提です。

資金に効くリスク:在庫ありと無在庫の比較

次に、資金に効くリスクを比べます。

資金に効くリスクの比較(在庫あり/無在庫):1 先に必要な資金(在庫あり:仕入れ代金を先に払う/無在庫:受注までは不要)、2 売れ残り(在庫あり:売れ残れば資金が在庫に止まる/無在庫:起きない)、3 値下がり(在庫あり:仕入れたあとに相場が下がると利益が減る/無在庫:販売価格を下げれば影響は小さい)、4 保管費(在庫あり:売れるまで保管料がかかる/無在庫:かからない)、5 仕入れ価格の上昇(在庫あり:仕入れ済みなので影響を受けない/無在庫:受注後に仕入れ値が上がっていると赤字で売ることになる)

資金の面だけを見れば、無在庫のほうがリスクは小さく見えます。ただし、ここで見落とされがちな点があります。

無在庫でも、お金は入金より先に出ていく

無在庫でも、注文が入れば、仕入れ代金はすぐに払う必要があります。一方で、販売先からの入金は、売上が確定してから決まったサイクルで行われます。海外のマーケットなら、売上が日本の口座に届くまでに、さらに数営業日かかることがあります。

無在庫販売のお金の動き:1 注文が入る、2 仕入れ先から商品を買う(仕入れ代金を払う、ここで先に出ていく)、3 購入者に届く・売上が確定する(まだ入金されない)、4 販売先の入金日(売上が入る、海外口座なら、さらに日本へ送金)

つまり、無在庫でも「支払日前に現金が足りない」は起こります。注文が一度に増えると、仕入れ代金が先にまとめて出ていき、入金が追いつかなくなることがあります。

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アカウントに効くリスク:無在庫で起きやすいこと

無在庫が本当に注意しなければならないのは、こちらです。在庫を持たないぶん、次のようなことが起きやすくなります。

  • 受注後の欠品:注文が入ってから仕入れようとしたら、仕入れ先で売り切れていた
  • 仕入れ価格の上昇:仕入れ値が上がっていて、売るほど赤字になる
  • 発送の遅れ:仕入れ先からの出荷が遅れ、約束した納期に届かない

これらが起きたとき、仕入れ先の事情であっても、購入者への対応責任は販売者にあります。欠品によるキャンセルや発送遅延は、販売者の評価指標に記録され、基準を超えれば販売制限につながります。規約違反や取引上の問題が重なれば、アカウント停止になる場合もあります。

資金のリスクは、失っても取り戻せることがあります。しかし、アカウントを失うと、販売そのものができなくなります。無在庫を選ぶなら、このリスクを管理できるかを先に考える必要があります。

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売れやすさの違い:AmazonではPrime表示が効く

もう1つ、見落とされがちなのが売れやすさの違いです。在庫がない場合、仕入れてから発送するぶん、在庫があるセラーに比べてどうしても配達までの日数がかかります。

Amazonでは特にこの差が大きくなります。在庫を持ってFBAで販売すると、商品がPrime対象として表示されます。Amazonによると、FBAの商品はPrimeの対象になり、売れやすくなる(成約率が上がる)効果が期待できます。

比べる項目在庫あり(FBA)無在庫(自分で発送)
Prime表示つく基本的につかない
配達日数早い仕入れ・発送のぶん長くなる
購入者から選ばれやすさ選ばれやすい不利になりやすい

「在庫のリスクを避けたつもりが、そもそも売れない」ということも起こりうるのです。

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資金が少ないなら「在庫ありで少量から」という選択肢

「資金が少ないから無在庫しかない」と考える方は多いのですが、選択肢はそれだけではありません。在庫ありで少量から試し、実際の売れ行きを見て仕入れを増やす方法もあります。

  • 最初は1商品あたりの仕入れ数を少なくし、売れ残りのリスクを小さくする
  • 実際に売れる速さを確かめてから、売れる商品だけ仕入れを増やす
  • 在庫を持つので、欠品や発送遅延でアカウントの評価を落としにくい

こうすれば、在庫ありの資金のリスクを小さく抑えながら、無在庫のアカウントのリスクも避けられます。

実務メモ

コンサルティングの現場では、無在庫から始めて、欠品や発送遅延が続いて評価を落とし、立て直しに苦労する方を見てきました。一方、少量の在庫から始めた方は、売れる商品が分かるにつれて仕入れを増やし、資金も評価も積み上げていけます。小さく始めることと、在庫を持たないことは、同じではありません。

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まとめ

無在庫販売は「在庫を持たないから安全」な売り方ではありません。在庫のリスクを避ける代わりに、別のリスクを背負います。

  • 在庫ありは主に資金のリスク(売れ残り・値下がり・保管費)を、無在庫は主にアカウントのリスク(欠品・発送遅延・規約違反)を背負う
  • メルカリは無在庫販売を禁止。eBay・Amazonは条件付きで認めるが、売れてからほかの店で買って直送する方法は認められない
  • 無在庫でも、仕入れ代金は入金より先に出ていく
  • 仕入れ先の事情でも、購入者への責任は販売者にある
  • AmazonではFBAで販売するとPrime対象になり、売れやすくなる効果が期待できる
  • 資金が少ないなら、在庫ありで少量から試す方法もある

判断の基準は、約束した商品を、約束した価格と納期で、確実に届けられるかです。この問いに「はい」と言える売り方を、自分で選びましょう。

よくある質問

無在庫販売とは何ですか?

商品を手元に持たずに出品し、注文が入ってから仕入れて購入者に届ける売り方です。卸業者などと契約して直送してもらうドロップシッピングや、売れてからほかの店で買って発送する無在庫転売などがあり、マーケットによって認められる範囲が違います。

無在庫と在庫あり、どっちがリスクが少ないですか?

どちらにもリスクがあり、種類が違います。在庫ありは先に資金を使うため、売れ残り・値下がり・保管費といった資金に効くリスクがあります。無在庫は先行投資を抑えられる一方、受注後の欠品・仕入れ価格の上昇・発送遅延といった、アカウントの評価に効くリスクを管理する必要があります。

メルカリで無在庫販売はできますか?

できません。メルカリでは、手元にない商品の出品や、ほかのECサイトから購入者への直送は禁止されています。

eBayやAmazonで無在庫販売はできますか?

条件付きで認められています。eBayでは卸業者との契約などにもとづくドロップシッピングは認められますが、売れてからほかの小売店やマーケットで買って直送する方法は禁止です。Amazonでは、自分が記録上の販売者であることを明確にし、返品対応なども自分が責任を持つなどの条件があり、Amazonやほかの出品者などの第三者から買い、その第三者から直接送ってもらう方法は、自分が記録上の出品者と分からない場合は認められていません。

資金が少ないなら、無在庫から始めたほうがいいですか?

必ずしもそうではありません。資金が少ない場合は、在庫ありで少量から試し、実際の売れ行きを見て仕入れを増やす方法もあります。Amazonでは在庫を持ってFBAで販売するとPrime対象になり、売れやすくなる効果が期待できます。

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