
リチウム電池入りの商品は海外発送できる?モバイルバッテリーの扱いとUN38.3、仕入れ前に確認すること
売れそうな家電を見つけて仕入れたのに、発送しようとしたら「リチウム電池入りの商品は送れません」と断られた。モバイルバッテリーを海外に送ろうとしたら、受け付けてもらえなかった——。
海外に商品を送っていると、リチウム電池でつまずくことは少なくありません。そして、次のような不安が出てきます。
「リチウム電池入りの商品は、そもそも扱っていいの?」
「どうすれば海外に送れるのか分からない」
この記事では、リチウム電池入りの商品を海外発送するときに確認すべきことを、国際物流の実務の視点で整理します。
リチウム電池入りの商品を扱うかどうかの考え方
まず知っておきたいのは、リチウム電池入りの商品は、すべての販売・発送が禁止されているわけではないということです。電池の種類・容量・数量・梱包の状態によって、扱える条件が変わります。
そのうえで大切なのが、「販売先のルール」と「配送会社のルール」は別々にあるということです。販売先で出品できても、日本からその商品を送れるとは限りません。反対に、送れても販売先で出品できないこともあります。
判断の基準はシンプルです。「利益が出そう」だけで判断せず、販売先まで確実に届けられることを確認してから扱う。確認できない商品は、仕入れを見送ります。そのためにやることは、次の4つです。
やること
まず、電池がどの状態かを確認する
リチウム電池の扱いは、電池が商品の中でどんな状態にあるかで大きく変わります。まず、次の3つのどれに当たるかを確認します。
国際輸送のルールでは、リチウムイオン電池は「機器に内蔵・同梱されたもの」と「電池単体」で分類が分かれていて、電池単体のほうが条件が厳しくなります。
モバイルバッテリーは「電池単体」として扱われる
特に注意したいのがモバイルバッテリーです。見た目は1つの機器ですが、輸送のルールでは機器に内蔵された電池ではなく、「電池単体」として扱われます。そのため条件がもっとも厳しく、配送会社や発送方法によっては受け付けていない場合もあります。モバイルバッテリーを海外発送する場合は、必ず事前に配送会社へ確認します。
電池の容量(Wh)と数量も確認する
電池の状態とあわせて、電池の容量と数量も確認します。輸送のルールでは、容量をワット時(Wh)で判断するのが一般的です。商品や電池に書かれていない場合は、次の式で計算します。
ワット時(Wh)の計算
ワット時(Wh)= 公称電圧(V)× 定格容量(Ah)
例:3.7V・10,000mAh(=10Ah)のモバイルバッテリー → 3.7 × 10 = 37Wh
容量が大きい電池ほど、輸送の条件は厳しくなります。また、1つの梱包に入れる数や、一度に発送する梱包の数によっても、必要な手続きや表示が変わることがあります。仕入れる数を決める前に、何個まで・どう梱包すれば送れるかを確認しておきます。
UN38.3とは
UN38.3とは、リチウム電池を安全に輸送できるかを確かめるための試験です。国連の危険物輸送に関する基準(試験および判定基準のマニュアル)の「38.3」という項目にもとづいていることから、こう呼ばれます。
試験は、次の8つです。
UN38.3テストサマリーを用意できるか
試験の結果をまとめた書類がUN38.3テストサマリーです。販売先や配送会社から、提出を求められることがあります。
テストサマリーは、自分で作れる書類ではありません。電池や商品のメーカーから取り寄せる必要があります。仕入れ先がメーカーではない場合は、メーカーまでたどって入手できるかを確認します。あわせて、電池の情報が書かれた安全データシート(SDS)を求められることもあります。
リチウム電池入りの商品で発送が止まる理由として多いのが、「必要な書類が出せない」ことです。仕入れたあとで書類を探し始めると、手に入らずに送れないまま在庫が残ってしまいます。書類が手に入るかは、仕入れる前に確認しておくことが大切です。
販売先のルールを確認する
次に、販売先のルールを確認します。Amazonの場合は、販売する国のセラーセントラルで、出品とFBAの利用の条件を確認します。
- 商品ページに、電池の情報を正確に登録する(電池の種類、内蔵か単体か、容量など)
- 危険物にあたるかの判定のために、UN38.3テストサマリーや安全データシートなどの書類を求められることがある
- 書類を出せない場合、FBAでの販売が停止されたり、FBA倉庫の在庫が出品者の負担で廃棄されたりすることがある
Amazon以外の販売先でも、電池入りの商品には独自の出品ルールがあることが多いので、出品前に確認します。
国・地域ごとの規制も確認する
販売先のルールとは別に、販売する国・地域ごとの規制もあります。たとえばEUでは、電池の回収・リサイクルに関する生産者の責任(EPR)の登録などが必要になる場合があります。国によっては、安全認証が求められることもあります。
別の国で販売できた商品でも、そのまま同じ条件で販売できるとは限りません。販売する国ごとに確認します。
配送会社のルールを確認する
販売先で出品できることが分かっても、まだ終わりではありません。Amazonで出品・FBAの利用が可能でも、日本からその商品を輸送できるとは限らないからです。DHL、UPS、FedExなど、実際に利用する配送会社のルールを別に確認します。
配送会社ごとに、リチウム電池入りの商品を受け付ける条件は違います。個人の発送や郵便では、送れる条件がさらに限られることも多いため、事業として継続的に送るなら、受け付けてくれる発送方法を先に確保しておく必要があります。
配送会社に伝える情報
配送会社に確認するときは、次の情報をそろえて伝えます。
- 電池の種類(リチウムイオン電池、リチウム金属電池など)
- 電池の容量(リチウムイオン電池はWh、リチウム金属電池はリチウム含有量g)
- 電池の状態(機器に内蔵・機器と同梱・電池単体)
- 1梱包あたりの電池の数量
- 発送する梱包の数
そのうえで、必要な承認・梱包のしかた・表示(ラベル)・書類を確認します。
条件を確認できない商品は、仕入れを見送る
ここまでの確認で、必要な電池の情報や書類を取得できず、販売・輸送の条件を確認できない商品は、仕入れを見送ります。
リチウム電池入りの商品で避けたいのは、「利益が出そうだから」と先に仕入れて、あとから送れない・売れないと分かることです。仕入れた在庫は、送れなければそのまま手元に残ります。販売先まで届けられることを確認してから扱うことが、何より大切です。

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SLCを見る →まとめ
リチウム電池入りの商品は、すべてが送れないわけではありません。ただし、扱えるかどうかは確認しだいです。
- 電池の状態(内蔵・同梱・単体)を確認する。モバイルバッテリーは「電池単体」として扱われ、条件がもっとも厳しい
- 電池の容量(Wh=V×Ah)と、1梱包あたり・発送全体の数量を確認する
- UN38.3テストサマリーや安全データシートを、メーカーから取り寄せられるか確認する
- 販売先のルールと、販売する国・地域の規制を確認する
- 販売先とは別に、実際に使う配送会社のルールを確認する
- 条件を確認できない商品は、仕入れを見送る
「利益が出そう」ではなく、「販売先まで届けられる」を確認してから扱いましょう。
よくある質問
リチウム電池入りの商品は、海外発送できますか?
すべてが禁止されているわけではありません。電池の種類・容量・数量・梱包の状態によって、扱える条件が変わります。電池が機器に内蔵されているか、機器と同梱か、電池単体かを確認し、販売先と配送会社の両方の条件を確かめてから扱います。
モバイルバッテリーは海外発送できますか?
モバイルバッテリーは、機器に内蔵された電池ではなく「電池単体」として扱われるため、条件がもっとも厳しくなります。配送会社や発送方法によっては受け付けていない場合もあるため、利用する配送会社に事前に確認が必要です。
UN38.3とは何ですか?
リチウム電池を安全に輸送できるかを確かめる、国連の危険物輸送の基準にもとづく試験です。高度、温度、振動、衝撃、外部短絡、衝突、過充電、強制放電の8つの試験があり、試験の結果をまとめた「UN38.3テストサマリー」の提出を、販売先や配送会社から求められることがあります。
Amazonで出品できれば、日本から送れますか?
そうとは限りません。Amazonのルールと配送会社のルールは別です。Amazonで出品やFBAの利用ができる商品でも、日本からその商品を輸送できるかは、配送会社の条件しだいです。両方を別々に確認します。
リチウム電池入りの商品を仕入れる前に、何を確認すればいいですか?
電池の状態(内蔵・同梱・単体)、容量(Wh)、数量、UN38.3テストサマリーや安全データシートなどの書類が手に入るか、販売先と配送会社の条件、販売する国の規制です。必要な情報や書類が手に入らず、条件を確認できない商品は、仕入れを見送ります。

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