手作業の在庫 もう限界?在庫数の基準を1つにする

ECの在庫管理、売り場が増えたら手作業は限界?売り越しが起きる理由と、在庫数の基準を1つにする方法・在庫連携ツールの選び方

公開日 最終更新日

Amazonに加えて、eBayや自社ECにも同じ商品を出し始めた。売れるたびに、ほかの売り場の管理画面を開いて在庫数を1つ減らす。最初は数分で済んでいた作業が、気づけば毎日の仕事になっていた。そしてある日、在庫が1個しかない商品に、2つの売り場から注文が入った——。

売り場を増やすと売上の機会は広がりますが、在庫数をそろえる作業も一緒に増えていきます。

「売り場が増えたら、在庫管理はどうすればいいの?手で直すのは、どこまでなら続けられるの?」

この記事では、在庫数を手で直す方法が無理になる境目と、売り越しを防ぐための在庫数の基準の決め方、売り場ごとの割り当てと在庫連携ツールの選び方を整理します。Amazon輸出に限らず、複数の売り場で同じ商品を売るときに共通する内容です。

売り場が増えたときの在庫管理の考え方

在庫数を手で直す方法が無理になるのは、売り場の数が増えたときではありません。同じ在庫を2か所以上の売り場に載せた時点から、売り越しは起こり得ます。

大切なのは、在庫数の基準を1つに決め、そこから各売り場に出す数を決めることです。

手で直すのが無理になる境目は「2か所目」

同じ商品を複数の売り場に出品すると、どこかで売れるたびに、ほかの売り場の在庫数も直す必要があります。売り場が1か所なら、この作業はありません。2か所目から発生します。

作業の回数は、販売件数 ×(売り場の数 − 1)で増えていきます。

同じ在庫を載せている売り場の数1日に10件売れたときの更新回数
1か所0回
2か所10回
3か所20回
4か所30回

※売れた売り場以外の在庫数を、1件ごとに手で直す場合の計算です。

商品数や販売件数が増えれば、この回数はさらに増えます。管理画面をいくつも開いて直す作業は、売上が伸びるほど追いつかなくなります。

更新を忘れなくても、間に合わないことがある

手作業の問題は、更新を忘れることだけではありません。

たとえば、在庫が1個しかない商品を、売り場Aと売り場Bでそれぞれ「在庫1」として出しているとします。売り場Aで売れて、売り場Bの在庫数を直す前に、売り場Bでも注文が入ると、1個の在庫に2件の注文が入ります。どれだけ急いで直しても、手作業では間に合わないタイミングがあります。

在庫1個を、2つの売り場で出していると 起きること 売り場の在庫表示 1 在庫1個を、 売り場AとBに出す 売り場A在庫 1 売り場B在庫 1 2 売り場Aで売れる (Bはまだ直していない) 売り場A・売れた在庫 0 売り場B在庫 1 3 Bの在庫数を直す前に、 Bでも注文が入る 在庫1個に、注文2件 1件は発送できない (キャンセル・遅延)

売り越しは、キャンセルと発送遅延になる

在庫より多く売れてしまうこと(売り越し)は、キャンセルや発送遅延につながります。

売上を増やすために売り場を広げても、注文に対応できなければ、購入者の信頼を失う原因になります。最悪の場合、アカウント停止につながることもあります。

売り場を増やすほど、1か所の在庫のずれが、ほかの売り場にも影響するようになります。

まず、在庫数の基準を1つに決める

最初にやることは、在庫数の基準となる管理先を1つに決めることです。売り場ごとに別々の数字を管理すると、どれが正しい数なのか分からなくなります。

基準の管理先では、在庫を次の3つに分けて数えます。

区別意味
実際に保有している数手元や倉庫に、実際にある数
注文済みの数注文が入っていて、まだ発送していない数
販売できる数保有している数から注文済みの数を引いた、新しく売ってよい数

各売り場に出す数は、販売できる数をもとに決めます。

また、返品や破損した商品は、状態を確認せずに販売できる在庫へ戻さないことが大切です。確認しないまま戻すと、売れたあとに出荷できない在庫が混ざります。

輸出していると、在庫は1か所にない

輸出をしていると、在庫は1か所にまとまっていません。仕入れてから売れる状態になるまで、在庫はいくつかの段階に分かれています。

しかも、どの段階の在庫が売れるかは、売り方によって変わります。FBAは海外の倉庫に届いた在庫を売り、eBayやFBM(日本からの自己発送)は日本の手元にある在庫を売るためです。なお、Amazonのマルチチャネルフルフィルメント(MCF)を使えば、FBAの倉庫にある在庫で、Amazon以外の売り場の注文にも出荷できます。その場合は、FBAの在庫も複数の売り場で共有することになります。

在庫の段階ごとに、売れる売り方は変わる 在庫の段階 FBA eBay・FBM 入荷待ち仕入れ先から未着 売れない 売れない 保管中日本の手元・倉庫にある 売れない 売れる 国際輸送中FBAへ向けて輸送中 売れない 売れない 移動中FBAへ納品中(受領前) 売れない 売れない 販売可能FBAの倉庫で受領済み 売れる eBayなどへはMCFで出荷可

この状態では、「今いくつあるか」が1つに決まりません。どの売り方で見るか、どの段階までを数えるかで、数字が変わるためです。

特に注意したいのが保管中の在庫です。eBayやFBMで売る分と、これからFBAへ送る分が、同じ手元の在庫から出ていきます。eBayに出している在庫をFBAへ送ってしまうと、eBayで売れたときに発送できません。

ここで起こりやすいずれは、次の2つです。

  • 売り越し:まだ届いていない在庫や、FBAへ送った在庫まで「ある」と考えて、販売できる数より多く出してしまう
  • 二重発注:販売可能な数だけを見て「少ない」と考え、輸送中の在庫があるのに追加で仕入れてしまう

防ぐには、在庫がどの段階にいくつあるかを1つの表にまとめることです。そのうえで、自分に起きているのがどちらかを見て、先に止めるほうを決めます。

起きていること先に止めるものやること
同じ在庫を複数の売り場で売っていて、注文に在庫が足りないことがある売り越し各売り場に出す数を、「販売できる数」から決め直す
輸送中の在庫があるのに、追加で仕入れてしまうことがある二重発注仕入れる前に、入荷待ち・保管中・国際輸送中・移動中の数も確認する

売り越しは購入者とアカウントに、二重発注は仕入れ資金に影響します。

数値と折れ線が並ぶ分析画面

在庫がどこにあるか、ひと目で分かる

米AmazonリサーチツールPROFiNDER

米AmazonのFBA在庫について、当社(SLC)での入荷待ち・保管、国際輸送中(推定)、Amazonへ移動中、販売可能のどこに、いくつあるかが分かります。輸送中の在庫も含めて数えられるので、二重発注を防ぎやすく、次に仕入れる数を決めやすくなります。

PROFiNDERを見る →

規模が小さいうちは、売り場ごとに割り当てる

規模が小さいうちは、売り場ごとに在庫を割り当てる方法もあります。

たとえば在庫が10個なら、売り場Aに6個、売り場Bに4個と分けます。同じ10個を両方の売り場で「在庫10」として出すより、売り越しを防ぎやすくなります。

在庫10個を、2つの売り場で売るとき 売り場ごとに割り当てる 在庫10個 売り場A6個 売り場B4個 ○売り越しを防ぎやすい △売れ行きに応じて、 振り分け直しが必要 同じ在庫を共有する 在庫10個 売り場A10個 売り場B10個 ○在庫を無駄なく売れる △売れるたびに、ほかの 売り場の在庫数を直す

割り当てる方法では、片方の売り場で売り切れても、もう片方に在庫が残ることがあります。売れ行きを見て、定期的に振り分け直しましょう。

同じ在庫を共有するなら、在庫連携ツールを検討する

同じ在庫を複数の売り場で共有するなら、在庫連携ツールの導入を検討しましょう。注文に応じて、ほかの売り場の販売できる数を更新できれば、手作業の負担や更新漏れを減らせます。

ツールを選ぶときは、次の点を確認します。

  • 対応する売り場:自分が使っている売り場すべてに対応しているか
  • 更新の速さ:注文が入ってから、ほかの売り場の在庫数が直るまでにどのくらいかかるか

自動連携でも、照合は続ける

自動連携でも、更新の遅れやエラーは起こり得ます。ツールを入れたあとも、次のことを続けましょう。

  • 在庫が少ない商品は、販売数に余裕を持たせる
  • 連携エラーの通知を受け取れるようにする
  • 定期的に、実際の在庫と照合する

売り場を増やす前に、管理できる状態を整える

売り場を増やす前に、注文が増えても管理できる状態を整えることが大切です。

次の3つを比べて、自分の規模に合った方法を選びましょう。

  • 手動で在庫数を直すのにかかる時間
  • キャンセルや発送遅延による損失
  • 在庫連携ツールの費用

売り場を増やしてから管理方法を考えると、売り越しが起きてから対応することになります。

まとめ

在庫数を手で直す方法は、売り場の数ではなく、同じ在庫を2か所以上に載せた時点から限界が始まります。

  • 同じ在庫を2か所以上に載せると、売れるたびにほかの売り場の在庫数を直す作業が発生する。回数は販売件数×(売り場の数−1)で増える
  • 更新忘れだけでなく、手作業では間に合わないタイミングで同時に注文が入ることがある
  • 売り越しはキャンセルや発送遅延になり、購入者の信頼を失う。最悪の場合、アカウント停止につながる
  • 在庫数の基準となる管理先を1つに決め、「保有している数」「注文済みの数」「販売できる数」を分ける。返品・破損品は確認してから戻す
  • 輸出では在庫が段階ごとに分かれるので、どの段階にいくつあるかを1つの表にまとめ、売り越しと二重発注のどちらを先に止めるかを決める
  • 規模が小さいうちは、売り場ごとに在庫を割り当てる方法もある。同じ在庫を共有するなら、在庫連携ツールを検討する
  • 自動連携でも、在庫に余裕を持たせ、エラーの通知と実在庫との照合を続ける

よくある質問

在庫数を手で直すのが無理になるのは、売り場がいくつからですか?

売り場の数ではなく、同じ在庫を2か所以上の売り場に載せた時点から、売り越しが起こり得ます。2か所目から、どこかで売れるたびにほかの売り場の在庫数を直す作業が発生し、商品数・販売件数・売り場が増えるほど作業が増えます。

更新を忘れなければ、手作業でも売り越しは防げますか?

防ぎきれません。在庫が1個の商品を2つの売り場で「在庫1」として出していると、片方の在庫数を直す前に、両方で注文が入ることがあります。

売り越しが起きると、どうなりますか?

キャンセルや発送遅延につながり、購入者の信頼を失う原因になります。最悪の場合、アカウント停止につながることもあります。

在庫連携ツールを入れれば、在庫の確認はいりませんか?

自動連携でも、更新の遅れやエラーは起こり得ます。在庫が少ない商品は販売数に余裕を持たせ、連携エラーの通知や、定期的な実在庫との照合も行います。

輸出していると、在庫数が合わないのはなぜですか?

輸出では、在庫が入荷待ち・保管中・国際輸送中・移動中・販売可能のように段階ごとに分かれていて、「今いくつあるか」が1つに決まらないためです。FBAは海外の倉庫に届いた在庫を、eBayやFBMは日本の手元にある在庫を売るため、売り方によって売れる在庫も変わります(AmazonのMCFを使えば、FBAの在庫をほかの売り場の注文に出荷することもできます)。どの段階にいくつあるかを1つの表にまとめて数えます。

棚に箱が並ぶ倉庫

米AmazonFBA納品代行サービス SLC

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発送ごとに記録が手元にそろう。

SLCでは、発送のたびに輸出許可書・インボイス・納品プランごとの商品詳細を共有しています。国際輸送中や納品中の在庫も、送った内容を記録で確かめられます。最新の輸出ルールに沿って発送します。送り方や書類で迷う点は、担当スタッフに確認できます。

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※本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。各売り場の規約や在庫連携ツールの仕様は、変更されることがあります。最新の内容は、各売り場・各ツールの公式の案内をご確認ください。記事の内容は2026年10月時点の情報にもとづいています。