金属分だけのはずが全額に課税!鉄鋼・アルミ関税の計算が変わった

金属の含有量ぶんだけの課税のはずが、商品の全額に課税された。セクション232の追加関税の計算の変更と、2026年の鉄鋼・アルミ関税の区分

公開日 最終更新日

ステンレスの部品を使った商品を、去年もアメリカに送っていた。そのときの鉄鋼の追加関税は、金属の部分の価格にだけかかっていた。今回も同じだと思って利益を計算していたら、届いた関税の請求は、商品代金の全額に対して計算されていた——。

金属を使った商品の追加関税は、2026年に計算の方式が大きく変わりました。

「金属の部分だけに課税されるんじゃなかったの?請求が間違っているの?」

この記事では、アメリカの鉄鋼・アルミなどの追加関税(セクション232)の計算の方式がどう変わったか、2026年10月時点の税率の区分、そして税率が誤っていると思ったときの確認と修正の進め方を整理します。Amazon以外でアメリカへ輸出する場合にも共通する内容です。

金属の追加関税の請求を見るときの考え方

金属を使った商品の追加関税で「思ったより高い」と感じたら、まず、課税の方式そのものが変わったことを知っておく必要があります。そのうえで、自分の商品がどの区分に入るかを確かめ、それでも誤りだと思えば、証拠をそろえて確認・修正を依頼します。

「金属の部分だけ」から「商品の全額」へ

2025年には、鉄鋼やアルミを使った商品(派生品)の多く(鉄鋼製品の第73類・アルミ製品の第76類を除く)について、金属の含有価額だけに課税する方式がとられていました。商品の価格を「金属の部分」と「それ以外の部分」の2行に分けて申告し、金属の部分にだけ追加関税をかける仕組みです。

この方式は、2026年4月の大統領布告(11021号)によって廃止されました。2026年4月6日以降に通関した商品からは、原則として商品の全額をもとに追加関税が計算されます。

計算がどう変わったかの例

たとえば、商品の価格が100ドルで、そのうち鉄鋼の部分の価格が30ドルの派生品で比べてみます。

(例)課税のもとになる金額税率追加関税
以前(金属の部分だけに課税)金属の部分 30ドル50%15ドル
2026年4月6日から(商品の全額に課税)商品の全額 100ドル25%25ドル

税率の数字は下がっていても、課税のもとになる金額が商品の全額になったため、追加関税の額が増えることがあります。金属の割合が小さい商品ほど、この影響は大きくなります。

2026年10月時点の、税率の区分

2026年10月時点の、鉄鋼・アルミなどの追加関税の主な区分は次のとおりです。

区分対象の例追加関税
鉄鋼・アルミの製品(素材系)ほぼ金属だけでできた製品50%
一般的な鉄鋼・アルミの派生品金属の含有量が重量比で15%以上の家電や機械など25%
移動式の産業機械など移動式の産業用の機械・設備(2026年6月8日から2027年末までの措置)25%(日本原産品は一般関税と合計で15%)
産業用・電力網用の設備特定の金属を多く使う、産業用・電力網用の設備(2027年末までの経過措置)一般関税と合計で15%
対象外金属の含有量が重量比で15%未満の製品(第72・73・74・76類の商品は、この対象外の扱いを使えない)0%

※2026年10月5日時点の情報です。米国産の金属で作られた製品向けの区分など、ほかにも条件があります。2026年6月にも一部の見直し(15%の区分の対象の追加など)が行われています。

なお、この追加関税の対象外となる日本原産品には、別の追加関税(301条)がかかり、一般関税と合わせて原則12.5%になる仕組みです。関税のルールがどう変わってきたかと、2026年10月時点の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

関税ルールの変更の流れを詳しく解説アメリカの関税ルールは数か月おきに変わる。相互関税からその後の追加関税までの流れと、どの時点の情報を信じるかの確かめ方

税率が誤っていると思ったら、そのままにしない

自分の商品の区分を確かめたうえで、税率が誤っていると思われる場合は、そのままにしないようにします。

まず、請求したクーリエや通関業者に確認を依頼します。そのとき、次のような商品の仕様や材質の証拠を添えます。

  • 商品の仕様書(材質・構造が分かるもの)
  • 金属の部分の重量と、商品全体の重量(重量比が分かるもの)
  • メーカーの資料や、材質の証明

特に、重量比で15%の基準の前後にある商品は、重量の資料があるかどうかで、区分の確認が進むかが変わります。仕入れのときに、メーカーから材質と重量の資料をもらっておくと安心です。

修正や異議申立ては、IORや通関業者と進める

税関への修正や異議申立ては、IOR(記録輸入者)や通関業者と進めます。申告がどこまで確定しているかによって、使える手続きが違います。

関税の見直しに使う2つの手続き:申告の修正(PSC:Post Summary Correction)は、申告の内容に誤りがあった場合などに税関への申告内容を修正する手続きで、申告の内容がまだ確定していない段階で使う。異議申立て(Protest)は、確定した申告内容(関税の課税額など)に対して税関に見直しを求める手続きで、申告の内容が確定したあとに使う

どちらにも期限があります。請求書だけでなく、輸入申告番号も確認して、早めに対応します。輸入申告番号が分かれば、IORや通関業者が、どの手続きが使えるかを確認しやすくなります。

FBAに納品するときに、誰がIOR(輸入者)になるかの決め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

IORの決め方を詳しく解説Importer of Record(IOR)とは?FBAへ送る前に「輸入者は誰か」を決める方法と、輸入者代行の選び方

仕入れ前の利益計算を、今の課税方式に更新する

仕入れる前の利益計算も、今の課税方式に更新します。過去の「金属の部分だけに課税された実績」を、次の発送にもそのまま当てはめないことが大切です。

金属を使った商品は、2章の例のように、同じ商品でも追加関税が大きく変わることがあります。商品の全額 × 今の区分の税率で関税を見込み、それでも利益が残るかを確かめてから仕入れます。

数値と折れ線が並ぶ分析画面

仕入れる前に、関税を引いた利益を確かめる

米AmazonリサーチツールPROFiNDER

関税を引いた利益を、仕入れる前に商品ごとに確認できます。金属製品には232条の追加関税がかかる可能性を示す印が付くので、仕入れる前に区分を確かめるきっかけになります。

PROFiNDERを見る →
物流の現場から

米国向けの通関を日々行っていると、課税の方式が変わった直後は、「前と同じ商品なのに関税が増えた」という相談が増えます。請求に疑問があるときは、まず商品の材質と重量の資料を用意することが、確認を早く進めるいちばんの近道です。

まとめ

金属を使った商品の追加関税は、2026年4月6日から、商品の全額に課税される方式に変わりました。

  • 2025年の「金属の含有価額だけに課税する方式(2行で申告)」は、2026年4月の大統領布告(11021号)で廃止された
  • 税率が下がっても、課税のもとが商品の全額になったため、追加関税が増えることがある
  • 2026年10月時点の区分は、素材系50%、一般的な派生品25%、産業・電力網設備と、日本原産の移動式の産業機械などは一般関税と合計15%(2027年末まで)、金属が重量比15%未満は対象外(第72・73・74・76類を除く)
  • 税率が誤っていると思ったら、クーリエや通関業者に、仕様や材質の証拠を添えて確認を依頼する
  • 修正(PSC)や異議申立て(Protest)は、IORや通関業者と、輸入申告番号を確認して期限内に進める
  • 過去の「金属の部分だけ」の実績を当てはめず、今の課税方式で利益を計算し直す

よくある質問

鉄鋼・アルミの追加関税は、金属の部分だけにかかるのではないのですか?

2025年に導入された、金属の含有価額だけに課税する方式は、2026年4月の大統領布告(11021号)で廃止されました。2026年4月6日からは、原則として商品の全額をもとに追加関税が計算されます。

2026年の鉄鋼・アルミの追加関税の税率はいくらですか?

鉄鋼・アルミの素材のような製品は50%、金属の含有量が重量比で15%以上の一般的な派生品は25%、特定の産業用・電力網用の設備は2027年末までの経過措置として一般関税と合計で15%です。移動式の産業機械なども、日本原産品は2027年末まで一般関税と合計で15%です。金属の含有量が重量比で15%未満の製品は対象外ですが、第72・73・74・76類の商品はこの対象外の扱いを使えません。

追加関税の税率が誤っていると思ったら、どうすればいいですか?

そのままにせず、請求したクーリエや通関業者に、商品の仕様や材質の証拠を添えて確認を依頼します。

払いすぎた関税は、取り戻せますか?

税関への修正や異議申立ては、記録輸入者(IOR)や通関業者と進めます。申告の確定の状況によって、申告の修正(PSC)や異議申立て(Protest)など手続きが違い、期限もあるため、輸入申告番号を確認して早めに対応します。

前に金属の部分だけに課税された商品は、次も同じですか?

同じとは限りません。課税の方式が変わっているため、過去の「金属の部分だけに課税された実績」を次の発送にそのまま当てはめず、今の課税方式で利益を計算し直します。

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※本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、2026年10月5日時点の情報にもとづいています。記事中の金額は説明のための例です。追加関税の区分や条件は変更されることがあり、商品ごとに異なります。実際の税率や手続きは、米国の公式の発表や通関業者にご確認ください。記事の内容は、法的・通関上の助言ではありません。