
輸出をしているなら課税事業者を選ぶべき?免税事業者とどっちがいいかの判断と、消費税課税事業者選択届出書の2年の縛り
副業で始めたAmazon輸出が軌道に乗ってきた。「輸出なら消費税が還付される」と聞いたが、今の自分は免税事業者。還付を受けるには課税事業者を選ぶ必要があるらしい。でも、一度選ぶと2年間は戻れないとも聞く。どっちがいいのか、決められない——。
還付という言葉だけを見ると、課税事業者を選ぶほうが得に思えます。ただ、実際にはそう単純ではありません。
「免税事業者のままでいるか、課税事業者を選ぶか。どうやって決めればいいの?」
この記事では、免税事業者と課税事業者のどちらを選ぶかを判断するときに確認することと、消費税課税事業者選択届出書の注意点を整理します。Amazonに限らず、輸出をしている事業者に共通する内容です。
免税か課税かを決めるときの考え方
「輸出しているから課税事業者を選ぶべき」と、一律には判断できません。還付の見込みだけでなく、納める消費税、事務の費用と手間、戻れない期間まで合わせて比べることが大切です。最後は、数字をまとめて税理士に相談して決めます。
やること
還付を受けるには、課税事業者であることが前提
免税事業者のままでは、仕入れで支払った消費税の還付は受けられません。輸出による還付を検討する場合は、課税事業者になることが前提です。
| 立場 | 消費税の申告・納税 | 輸出の還付 |
|---|---|---|
| 免税事業者 | 消費税の申告・納税をしない | 受けられない |
| 課税事業者 | 消費税の申告をする | 計算の結果によって、還付を受けられる場合がある |
輸出で消費税が還付される仕組みと、必要な届出・書類の全体像は、こちらの記事で詳しく解説しています。
消費税の還付の仕組みを詳しく解説輸出の証明書類が揃わず、消費税の還付を受けられない。輸出還付金の仕組みと、提出する書類・保存する書類の分け方
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課税事業者になっても、必ず還付されるわけではない
課税事業者になれば、必ず還付されるわけではありません。次の2つを計算し、その結果によって還付か納税かが決まります。
| 計算するもの | 内容 |
|---|---|
| 控除できる消費税 | 仕入れや経費で支払った消費税 |
| 納める消費税 | 国内の販売などで受け取った消費税 |
| 結果 | 控除できる消費税のほうが多ければ還付、納める消費税のほうが多ければ納税 |
国内の販売が多いと、還付どころか、免税事業者のときにはなかった消費税の納税が発生することもあります。
輸出売上の割合と、国内の仕入れ・経費の規模を確認する
判断するときは、次のことを確認します。
- 輸出売上の割合:輸出が中心なのか、国内の販売も多いのか
- 国内の仕入れ・経費の規模:控除の対象になる消費税を、どれくらい支払っているか
輸出が中心で、国内での仕入れや経費が多いほど、還付になりやすくなります。反対に、国内の販売が多い場合は、納税になる可能性が高くなります。
還付に必要な書類を残せるかを、選ぶ前に確認する
還付に必要な書類を残せるかも、選ぶ前に確認します。

これらを保存し、取引を照合できるようにしておきます。発送代行会社を利用する場合は、必要な書類を共有してもらえるかを確認しましょう。輸出許可通知書を発送ごとに受け取る方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
輸出許可通知書のもらい方を詳しく解説輸出許可通知書はどうもらう?クーリエや発送代行に依頼しないともらえないときの確認と、発送ごとに受け取る方法
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一度選ぶと、原則2年間は戻れない
課税事業者を選ぶと、原則として課税事業者になった日から2年間は、免税事業者へ戻れません。
さらに、一定の固定資産の購入などによって、この制限が長くなる場合もあります。
そのため、今年の還付の見込みだけでなく、翌年以降の事業の計画も踏まえて判断します。たとえば、来年から国内の販売を増やす予定があるなら、来年は納税になる可能性も考えておきます。
増える費用と手間、資金の流れも考える
還付の見込み額から、増える費用と手間も差し引いて考えます。
- 税理士への申告の依頼の費用
- 記帳や書類の整理の負担
これらを含めて、課税事業者を選ぶメリットがあるかを比べましょう。
また、還付される予定のお金を、すぐ使える仕入れの資金として考えないことも大切です。還付は申告のあとになるため、それまでの仕入れや送料などは、手元の資金で賄えるように計画します。
消費税課税事業者選択届出書の出し方
課税事業者を選ぶときに使う届出は、「消費税課税事業者選択届出書」です。
- 提出の期限:原則として、適用を受けたい課税期間が始まる前までに提出する
- 例外:新規開業などの場合は、例外の扱いがある
- すでに課税事業者になる条件に当たっていないか:基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合や、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしている場合などは、届出を出さなくても課税事業者になっていることがある
「輸出しているから課税事業者を選ぶべき」と、一律には判断できません。売上・仕入れの見込み、書類の保存の状況、過去の届出をまとめて税理士へ相談し、還付・納税・事務の費用を比べてから決めましょう。制度や届出の条件は、税務署にも確認できます。
まとめ
免税事業者か課税事業者かは、還付の見込みだけでなく、納税・事務の費用・戻れない期間まで合わせて比べて決めます。
- 免税事業者のままでは、輸出の消費税の還付は受けられない。還付には課税事業者であることが前提
- 課税事業者になっても、必ず還付されるわけではない。控除できる消費税と納める消費税の計算で、還付か納税かが決まる
- 輸出売上の割合と、国内の仕入れ・経費の規模を確認する
- 輸出の証明・請求書・販売と入金の記録・帳簿を残せるかを、選ぶ前に確認する
- 一度選ぶと原則2年間は戻れない。固定資産の購入などで長くなることもある
- 税理士の費用や記帳の手間を差し引いて比べる。還付のお金を、すぐ使える資金と考えない
- 消費税課税事業者選択届出書は、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前までに出す
- 見込みと書類をまとめて税理士に相談し、還付・納税・事務の費用を比べてから決める
よくある質問
免税事業者のままでも、輸出の消費税の還付は受けられますか?
受けられません。仕入れで支払った消費税の還付を検討する場合は、課税事業者になることが前提です。
課税事業者を選べば、必ず還付されますか?
必ず還付されるわけではありません。控除できる仕入れ・経費の消費税と、国内販売などで納める消費税を計算し、その結果によって還付か納税かが決まります。
課税事業者を選んだあと、すぐに免税事業者へ戻れますか?
原則として、課税事業者になった日から2年間は免税事業者へ戻れません。一定の固定資産を購入した場合などは、制限が長くなることもあります。
消費税課税事業者選択届出書は、いつまでに出せばいいですか?
原則として、適用を受けたい課税期間が始まる前までに提出します。新規開業などの例外もあるため、条件を確認します。
輸出をしているなら、課税事業者を選ぶべきですか?
一律には判断できません。売上・仕入れの見込み、書類の保存状況、過去の届出をまとめて税理士へ相談し、還付・納税・事務の費用を比べてから決めます。

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