
洗剤や塗料をアメリカへ送るには?TSCAとは何か、化学品の輸入で求められる証明と、仕入れ前にそろえる資料
日本のドラッグストアで人気の洗剤や、プラモデル用の塗料。アメリカでも売れそうだと思って発送の準備を始めたら、配送会社から「TSCAの書類はありますか?」と聞かれた。TSCAという言葉自体、初めて聞いた——。
洗剤や塗料のような化学品は、見た目は普通の日用品でも、送る前に確認することが多い商品です。
「洗剤や塗料をアメリカへ送るとき、米国側で何の証明が必要なの?何を準備すればいいの?」
この記事では、化学品をアメリカへ送るときに求められる申告や資料と、仕入れる前にそろえておくものを整理します。Amazon輸出に限らず、アメリカへ化学品を送るときに共通する内容です。
化学品を送るときの考え方
化学品は、「日本で普通に売られているか」ではなく、「アメリカのルールで何が求められるか」で考えます。確認するのは、化学物質の規制、輸送のルール、商品の効能に関わる規制の3つです。どれも、メーカーの資料がないと確かめられないため、仕入れる前の確認が大切です。
やること
洗剤や塗料は、成分・用途に応じて申告や資料が必要になる
洗剤や塗料を米国へ送る場合、成分・用途に応じて、申告や資料の提出が必要になります。日本で普通に販売されている商品でも、そのまま米国へ輸入・販売できるとは限りません。
商品によって、確認する規制が変わります。
| 商品の例 | 確認すること |
|---|---|
| 洗剤・塗料などの化学品 | TSCA(化学物質の規制)への適合と、輸入時の申告 |
| 塗料・溶剤・スプレーなど | 上に加えて、危険物に当たるか(輸送のルール) |
| 除菌・消毒・抗菌をうたう洗剤 | FIFRA(農薬の規制)の対象か。対象なら、TSCAではなくFIFRAの手続き(EPAへの登録や到着通知)が必要になる |
TSCAとは
TSCA(Toxic Substances Control Act:有害物質規制法)とは、米国の化学物質に関する法律です。アメリカの環境保護庁(EPA)が所管しています。
対象の化学物質・混合物を輸入する場合、輸入者または権限を与えられた代理人が、TSCAに適合している旨などを申告します。申告には、次の2種類があります。
TSCAの申告書のひな形は、利用するクーリエや通関業者へ確認しましょう。
TSCAの申告は、書類に署名するだけでは済まない
TSCAの申告は、書類へ署名するだけで済むものではありません。署名するということは、その内容に責任を持つということです。
そのため、メーカーから成分や米国の規制への適合情報を入手し、申告の内容を確認する必要があります。たとえば、アメリカで扱える化学物質は、EPAの化学物質の一覧(TSCA Inventory)に載っているかどうかが確認の手がかりになります。こうした情報は、成分を知っているメーカーでなければ答えられません。
分からないまま「適合している」と記載しないようにしましょう。
仕入れる前に、SDS(安全データシート)を入手できるか確認する
仕入れる前に、メーカーからSDS(安全データシート)を入手できるかを確認しましょう。SDSは、化学品について次のような情報をまとめた資料です。
- 成分:何がどれだけ含まれているか
- 危険性:燃えやすい、体に有害などの性質
- 取り扱い:保管や使うときの注意
- 輸送情報:輸送のときに危険物に当たるかなど
入手したSDSはクーリエへ共有し、航空輸送できる商品か、危険物としての対応が必要かを確認します。
ただし、SDSがあるだけで発送できるようになるわけではありません。SDSは、送れるかどうかを判断するための材料です。
塗料・溶剤・スプレーは、危険物に当たる場合がある
塗料・溶剤・スプレーなどは、危険物に該当する場合があります。危険物の場合は、通常の荷物とは扱いが変わります。
- 専用の梱包が必要になる
- 専用のラベルを貼る必要がある
- 危険物の申告書などが必要になる
- 利用する配送サービスでは、受け付けてもらえないこともある
「水性」「少量」といった表示だけで、危険物ではないと判断しないことが大切です。商品ごとに確認しましょう。
危険物として扱いが変わる商品には、リチウム電池入りの商品もあります。電池入りの商品で確認することは、こちらの記事で詳しく解説しています。
電池入りの商品の確認を詳しく解説リチウム電池入りの商品は海外発送できる?モバイルバッテリーの扱いとUN38.3、仕入れ前に確認すること
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除菌・消毒・抗菌をうたう洗剤は、別の規制にも注意する
除菌・消毒・抗菌などをうたう洗剤は、別の規制にも注意が必要です。
成分や表示、販売するときの効能の表現によって、米国の農薬の規制(FIFRA)の対象になる場合があります。アメリカでは、菌を減らす・殺すといった効能をうたう商品は、農薬(pesticide)として規制されることがあるためです。農薬に当たる製品はTSCAの対象から外れるため、TSCAの申告は「対象外の申告」の側になります。FIFRAの対象になると、次のような手続きが必要になる場合があります。
| 必要になる手続き | 内容 |
|---|---|
| EPAへの登録 | その商品が、EPAに登録されている必要がある |
| 輸入時の到着通知(NOA:Notice of Arrival) | 荷物がアメリカに着く前に、EPAへ到着の通知を出す |
除菌や抗菌をうたう洗剤は、普通の洗浄用の洗剤と同じ扱いとは限りません。パッケージや商品ページの表現も含めて確認します。
仕入れる前に資料をそろえて、確認先に相談する
化学品は、仕入れる前に次の資料をそろえ、クーリエや通関業者、契約インポーターへ確認することが大切です。
必要な資料を入手できない商品は、発送したあとに通関で止まる前に、取り扱いを見直しましょう。
アメリカ側で申告するのは、輸入者(IOR)です。だれが輸入者になるかの決め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
輸入者(IOR)の決め方を詳しく解説Importer of Record(IOR)とは?FBAへ送る前に「輸入者は誰か」を決める方法と、輸入者代行の選び方
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まとめ
洗剤や塗料は、日本で普通に売られている商品でも、そのままアメリカへ輸入・販売できるとは限りません。仕入れる前に、資料をそろえて確認することが大切です。
- 洗剤や塗料を米国へ送る場合、成分・用途に応じて申告や資料の提出が必要になる
- TSCAは米国の化学物質に関する法律。対象の化学物質・混合物は、輸入者または代理人が適合している旨などを申告する。ひな形はクーリエや通関業者へ確認する
- TSCAの申告は署名するだけでは済まない。メーカーから成分や適合情報を入手し、分からないまま「適合している」と記載しない
- 仕入れる前にSDSを入手できるかを確認し、クーリエへ共有する。SDSがあるだけで発送できるわけではない
- 塗料・溶剤・スプレーは危険物に当たる場合がある。「水性」「少量」だけで判断しない
- 除菌・消毒・抗菌をうたう洗剤は、FIFRAの対象としてEPAへの登録や到着通知(NOA)が必要になる場合がある
- 商品名・型番・用途・成分資料・SDS・商品ラベルをそろえ、クーリエや通関業者、契約インポーターへ確認する
よくある質問
TSCAとは何ですか?
米国の化学物質に関する法律です。対象の化学物質・混合物を輸入する場合、輸入者または権限を与えられた代理人が、TSCAに適合している旨などを申告します。
日本で普通に売られている洗剤なら、そのままアメリカへ送れますか?
そのまま輸入・販売できるとは限りません。洗剤や塗料は、成分・用途に応じて申告や資料の提出が必要になります。
TSCAの申告は、書類に署名すれば済みますか?
署名するだけでは済みません。メーカーから成分や米国の規制への適合情報を入手し、申告の内容を確認する必要があります。分からないまま「適合している」と記載しないようにします。
SDSがあれば、発送できますか?
SDSがあるだけで発送できるわけではありません。SDSをクーリエへ共有し、航空輸送できる商品か、危険物としての対応が必要かを確認します。
除菌や抗菌をうたう洗剤は、普通の洗剤と同じ扱いですか?
同じ扱いとは限りません。成分や表示、販売するときの効能の表現によって、米国の農薬の規制(FIFRA)の対象となり、EPAへの登録や輸入時の到着通知(NOA)が必要になる場合があります。

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