海苔スナック・ビーフン・きくらげ
FSVP(外国供給業者検証プログラム)
⚠ FDAが指摘した実例海苔スナック、ビーフン、きくらげ——「輸入者の検証記録」がひとつもなかった話
海苔をまぜたスナック菓子、ビーフン、きくらげ。日本の食卓ではおなじみの食材が、アメリカでも人気です。でもその輸入の裏側で、ある会社がFDAから厳しい指摘を受けていました。理由は「検証の記録が、ひとつもなかった」ことでした。
はじめに——FSVPとは
FSVP(Foreign Supplier Verification Program、外国供給業者検証プログラム)は、アメリカの「輸入者」に課された義務です。海外の食品供給業者が、アメリカと同じレベルの安全管理をしているかどうかを、輸入者自身が確認しなければなりません。この義務は21 CFR Part 1 Subpart Lという規則で定められています。もし輸入者がFSVPを作っていなかったり、確認した記録が残っていなかったりすると、FDAからWarning Letter(警告書)が届くことがあります。
実際の例——記録が「ゼロ」だった輸入会社
カリフォルニア州コマース市にあるAH USA Group Inc.という会社は、2024年10月にFDAの査察を受けました(前回の査察は2022年8月)。輸入していた食品の中には、海苔をまぜたビスケットスティックや、きくらげなどが含まれていました。ところがFDAが確認したところ、この会社は輸入食品についてのFSVP記録を、まったく持っていませんでした。一部の商品についてはアレルゲンのハザード分析を始めていたものの、それ以外のハザード(危害要因)は特定できていませんでした。しかも提出された書類には、どの海外供給業者から仕入れたのかという記載すらありませんでした。
なぜ問題なのか
今回とくに重かったのは、きくらげの供給元です。この供給元のきくらげは、2023年5月にサルモネラ菌の汚染が見つかり、リコール(自主回収)の対象になった実績がありました。過去にリスクが表面化した供給元であれば、なおさら丁寧な検証が必要です。しかしFSVP自体が策定されていなかったため、そうした過去のリスクを踏まえた確認も行われていませんでした。FDAは、この会社がFD&C法805条と21 CFR 1.502(a)に違反していると判断しました。2025年2月の警告書の時点でも、是正を裏づける追加書類はFDAに届いておらず、対応が十分かどうか確認できない状態でした。
日本企業(輸出者)が注意すべきこと
FSVPを整えるのはアメリカの輸入者の義務です。でも、その検証に必要な情報や書類を用意できるのは、供給側である日本の輸出者だけです。輸入者まかせにしていると、今回のように「記録がない」という状態のまま、気づかないうちにアメリカ側の取引先がFDAの指摘を受けてしまうことがあります。取引先が困ることは、結局は自社の信用にも影響します。次のような点を、輸出前に確認しておくと安心です。
- 自社製品のハザード分析(アレルゲンだけでなく、微生物汚染なども含めて)を書面で用意できているか
- 製造工程の安全管理(温度管理・衛生管理など)を裏づける記録を、いつでも提示できるか
- 過去にリコールや汚染が指摘された原材料・仕入れ先がないか、自社でも把握しているか
- アメリカ側の輸入者から「FSVPの検証資料がほしい」と言われたときに、すぐ出せる体制があるか
記録を「残す」ことが、信頼を守る
今回のケースで問題になったのは、味や品質そのものではなく、「検証した証拠が残っていたか」という点でした。どれだけ安全な製品を作っていても、それを裏づける記録がなければ、輸入者は説明ができません。ワールドシフトでは、FSVPに必要なハザード分析の整理や、輸入者への提出資料づくりもサポートしています。「うちの供給元は過去に指摘を受けたことがあるけれど大丈夫だろうか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——