低酸性缶詰・豆腐
酸性化食品・低酸性缶詰(LACF)
⚠ FDAが指摘した実例密封豆腐は「ただの豆腐」じゃない――FCE未登録で止まった缶詰豆腐の輸出
日本でもおなじみの、常温で長期保存できる密封パックの豆腐。実はこの「常温流通できる」という便利さの裏に、米国では非常に厳しいルールが隠れています。今回は、そのルールを踏まずに米国へ製品を送ってしまった中国の食品会社の実例をご紹介します。
はじめに——LACF・低酸性缶詰とは
密封された容器に入れて、常温のまま流通・保存する食品を「低酸性缶詰食品(LACF)」と呼びます。缶詰の水煮や佃煮、そして密封パックの豆腐なども、pHが高め(酸性度が低い)で常温流通するものはこれに当てはまる場合があります。こうした食品は、容器の中でボツリヌス菌が増えてしまうリスクがあるため、米国では21 CFR 113という規則で厳しく管理されています。関連する21 CFR 108も含めて、製造施設は「FCE(Food Canning Establishment=食品缶詰施設)」としてFDAに事前登録し、さらに製品ごとの加熱条件(Scheduled Process)も事前に届け出る必要があります。
実際の例——豆腐を米国に送っていた重慶の食品会社
2024年4月17日から19日にかけて、FDAは中国・重慶にある食品会社「Chongqing Tianrun Food Development Co., Ltd.」の低酸性缶詰食品(LACF)製造施設を査察しました。その結果、21 CFR 108(Emergency Permit Control)および21 CFR 113(密封容器入り低酸性缶詰食品の熱処理規制)からの重大な逸脱が確認されました。特に指摘されたのは、低酸性・缶詰の豆腐製品を米国に出荷する前に、FCEとしてFDAへの登録を行っていなかったという点です。この登録は、製造・加工・包装を開始してから10日以内に行うことが義務付けられています。
なぜ問題なのか
FCE登録は、単なる事務手続きではありません。FDAが「この施設はどんな低酸性缶詰食品を、どんな加熱条件で作っているか」を事前に把握するための仕組みです。登録がないまま製品が流通すると、万が一ボツリヌス菌のリスクがあっても、FDA側で施設や製品を追跡・管理する土台がない状態になってしまいます。今回のケースでは、この登録が抜けていたことが警告書の中心的な指摘事項でした。FDAはこの会社に対し、通知から15営業日以内に、是正した内容と再発防止策を書面で報告するよう求めています。
日本企業が注意すべきこと
密封パックの豆腐、水煮缶詰、佃煮など、常温で流通する密封食品を米国に輸出する場合、このFCE登録とScheduled Processの届け出は避けて通れません。輸出を計画する前に、次の点を確認しておくことが大切です。
- 自社の製品が「低酸性缶詰食品(LACF)」に該当するかどうか(pHや包装形態、常温流通かどうか)
- 製造施設としてFCE登録が済んでいるか(出荷開始から10日以内が期限)
- 製品ごとの加熱条件(Scheduled Process)をFDAに提出済みか
- 21 CFR 108・113の要件に沿った記録・管理体制ができているか
登録・届け出は輸出の「入口」で片付けておく
今回のような指摘は、製品そのものの安全性以前に、届け出という「入口」の手続きが抜けていたために起きています。裏を返せば、ここさえ押さえておけば防げるリスクだということです。
ワールドシフトでは、FCE登録やScheduled Processの提出といった手続き面のサポートも行っています。「うちの豆腐は密封パックだけど対象になるのか」「常温流通と冷蔵流通で扱いは変わるのか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——