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酸性化/LACF2024-09

酸性化食品(台湾製造)

酸性化食品・低酸性缶詰(LACF)

⚠ FDAが指摘した実例

レシピも、pHチェックもなかった——常温「パチパチボバ」が警告を受けた理由

実例で学ぶ(実録)|酸性化食品・低酸性缶詰(LACF)

常温で保存できる、果汁を包んだ「パチパチボバ(popping boba)」。ドリンクのトッピングでおなじみの、あの球状の商品です。実はこの手の商品、アメリカに輸出するとなると「酸性化食品」という厳しいルールの対象になります。台湾のある工場は、このルールの基本のところでつまずいてしまいました。

はじめに——LACF・酸性化食品とは

密封した容器に入れて、常温のまま流通・販売される食品には、実は特別な規制があります。「酸性化食品(Acidified Food)」と「低酸性缶詰食品(LACF)」です。アメリカでは前者が21 CFR 114、後者が21 CFR 113というルールで管理されています。どちらも、常温保存中にボツリヌス菌などの危険な菌が増えないようにするための仕組みです。製造する工場は、まず「FCE(Food Canning Establishment)」としてFDAに登録する必要があります。そのうえで、商品ごとに「Scheduled Process」と呼ばれる製法(加熱条件・pH・水分活性など)を、専門知識のある人がきちんと組み立て、事前にFDAへ提出しなければなりません。酸性化食品の場合は特に、pHを4.6以下に保つことが安全の要になります。そして、それができている根拠を記録に残すことが求められます。関連して21 CFR 108という規制も出てきます。これは、こうした届け出や表示のルールを定めたものです。

実際の例——常温タピオカパールの製造現場で

FDAは2024年5月24日から27日にかけて、台湾・苗栗県にある食品会社Dalai Biotech Company Ltdの工場を査察しました。対象は、常温保存できる「パチパチボバ(popping boba)」——いちご・桃・マンゴーなどの果汁をジェルで球状に包んだ、酸性化食品です。査察でFDAが確認したのは、次のような状態でした。工場の担当者自身が「この商品のScheduled Processは、酸性化食品の知識と経験を持つ専門家によって策定されたことがない」と説明していたのです。これは21 CFR 114.83で定められた要件です。さらに、原材料はレシピ通りに計量されておらず、製造スタッフ向けの書面のレシピもありませんでした。pHについても、日常的な検査は行われていなかったとのことです。研修の記録、第三者機関による認証、専門家によるScheduled Processの策定を示す証拠、そしてFDAへの届け出。そのどれもが、警告書の時点で確認できませんでした。

出典(FDA Warning Letter)↗

なぜ問題なのか

酸性化食品の安全性は、いくつもの土台の上に成り立っています。決まったレシピで、決まった量の原材料を使うこと。pHをきちんと測って、狙った酸性度に収まっているか確認すること。そして、その製法自体を専門家が見て、安全だとお墨付きを与えること。この工場では、その土台のほとんどが抜け落ちていました。レシピも計量ルールもなく、pHも測っていなければ、同じ商品でもロットごとに酸性度がばらつく可能性があります。酸性度が十分に下がっていない商品が紛れ込んでいても、誰も気づけない状態だったといえます。ボツリヌス菌のリスクは、こうした「見えない部分」の積み重ねから生まれます。

日本企業が注意すべきこと

日本にも、常温で流通する発酵・調味系の食品はたくさんあります。佃煮、漬物、酢の物、たれ・ソース類などです。こうした商品をアメリカへ輸出する場合、原材料や配合が変わらない「いつもの味」であっても、酸性化食品のルールに照らして体制が整っているかを確認しておくことが大切です。

  • 商品ごとのレシピ・配合量を書面で管理しているか
  • pHを定期的に測定し、記録として残しているか
  • Scheduled Process(加熱条件・pH・水分活性などの製法)を、専門知識のある人が策定しているか
  • その製法をFDAに届け出ているか
  • 製造施設としてFCE登録が済んでいるか
  • 担当者の研修記録や第三者機関の証明を保管しているか

「いつもの製法」を、書類でも説明できるように

長年作り続けてきた商品ほど、レシピやpH管理が「担当者の頭の中」にとどまっていることがあります。アメリカ輸出では、それを書面や記録として外部に示せる形にしておく必要があります。

ワールドシフトでは、FCE登録やScheduled Processの提出準備、pH記録の整え方といった実務サポートも行っています。「うちの商品は酸性化食品に当たるのか」「今のレシピ管理のままで輸出できるのか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。

※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。

出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗

自社の商品で同じ指摘を受けないために——

WorldShift Trade Watch — 出典はFDA。