どら焼き(密封容器の低酸性食品=LACF)
酸性化食品・低酸性缶詰(LACF)
⚠ FDAが指摘した実例どら焼きが"缶詰"扱い?日本の定番和菓子がFDA規制でつまずいた理由
どら焼きは、あんこを2枚の生地で挟んだだけの、ごく普通の和菓子です。ところがこの「普通の和菓子」が、アメリカでは缶詰と同じ規制の対象になることがあります。鳥取県のある和菓子メーカーが実際に受けたFDAの警告書から、その理由を見ていきます。
はじめに——LACF・低酸性缶詰とは
アメリカには「低酸性缶詰食品(LACF)」という食品カテゴリーがあります。根拠は21 CFR 113という連邦規則です。これは、缶詰そのものだけを指す言葉ではありません。密封された容器に入っていて、常温のまま流通する食品で、かつ酸性度が低い(pHが高い)ものは、中身がどら焼きでも大福でも水ようかんでも、このLACFの対象になり得ます。
低酸性・密封・常温という3条件がそろうと、容器の中でボツリヌス菌が増えるリスクが生まれます。そのためFDAは、製造する工場を「FCE(Food Canning Establishment)」として事前に登録すること、そして製品ごとの加熱条件(Scheduled Process)を、専門の第三者(Process Authority)の確認を経て事前にFDAへ提出することを義務づけています(21 CFR 108も関連)。これを怠ると、どんなに美味しく安全に作っていても、規制違反として扱われてしまいます。
実際の例——鳥取のどら焼きメーカーが受けた警告書
2018年9月13日・14日、FDAは鳥取県米子市にあるその工場を査察しました。対象となったのは、あんこを2枚の焼き生地で挟んだどら焼きです。この製品は密封された低酸素包装(reduced oxygen packaging)で包装され、包装後は常温で保管・流通していました。この作り方が、まさに先ほどのLACFの条件に当てはまっていたのです。
何が指摘されたか
2019年3月14日付の警告書で、FDAはこの工場が「Emergency Permit Control」規則と「密封容器入り熱処理低酸性食品」規則の両方から重大に逸脱していると指摘しました。どら焼きが低酸性・密封・常温流通という条件に該当する以上、Process Authorityによる加熱条件(Scheduled Process)の策定とFDAへの届出が必要だったのに、それがなされていなかったという内容です。なお、この後、同社は是正対応を行い、2019年5月7日付のFDAの評価では、指摘事項への対応が確認されています。
日本企業が注意すべきこと
「缶詰」という言葉から金属の缶をイメージすると、この規制を見落としがちです。ですが判断基準は容器の素材ではなく、「密封されているか」「常温で流通するか」「低酸性かどうか」の3点です。輸出前に、次の点を確認しておくことをおすすめします。
- 自社製品は密封パックのまま常温で流通させているか(真空包装・脱酸素包装・低酸素包装なども対象になり得ます)
- 製品のpHは低酸性(高め)に当たらないか(あんこ、カスタード、卵・乳製品を使った餡なども要注意です)
- 製造工場はFCEとしてFDAに登録済みか
- 製品ごとのScheduled Process(加熱条件)をProcess Authorityの確認を経てFDAに届け出ているか
輸出前に確認しておきたいこと
どら焼き・大福・水ようかんなど、常温で長く販売できることを売りにしている和菓子ほど、実はこのLACFの対象に近づきやすくなります。「うちの商品は大丈夫だろうか」と感じたら、それは輸出前に確認すべきサインです。
ワールドシフトでは、FCE登録やScheduled Processの提出といった手続き面のサポートも行っています。「うちのあんこ製品は対象になるのか」「密封パックを常温流通させても問題ないか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——