外用薬を製造する化粧品ラボ
微生物汚染・安全性・不衛生
⚠ FDAが指摘した実例不衛生な施設とAI任せの文書。化粧品ラボが「外用薬」を作るときの最低ライン
化粧品のラボが、症状の緩和などを謳う外用剤を作った瞬間、その現場は法律上「医薬品の製造施設」になり、医薬品のcGMPが適用されます。今回は、FDAが2026年4月に公表した、米国ミシガン州の化粧品ラボへの警告書を取り上げます。施設の衛生状態から、AIで作成した文書の扱いまで、幅広い論点が指摘された事例です。
実際の事例でFDAが指摘した内容
FDAは2025年10月にこのラボを査察し、主に次の点を指摘しました。
- 施設内に虫・汚れ・落ち葉・散乱物が確認され、搬入口の扉を開けると製造エリアが外気に直接さらされる構造だった——「不衛生な条件下で製造・保管された」として製品はadulterated(FD&C法501条(a)(2)(A))
- 完成品の微生物試験(総菌数・特定菌の確認)を行わないまま出荷していた(21 CFR 211.165(b))
- 原料の同定・品質試験を行わず、サプライヤーの試験成績書(COA)の信頼性確認もしていなかった(21 CFR 211.84)
- 品質部門(QU)が手順の整備・記録のレビューなどの役割を果たしていなかった(21 CFR 211.22)
さらにこの警告書では、AIの利用についても指摘がありました。
- 同社は、規格書・手順書・製造記録の作成にAIエージェントを利用していたが、生成された文書を人がレビューしていなかった。FDAはこれを21 CFR 211.22(c)違反と指摘
- プロセスバリデーションを実施していなかった点について、同社が「AIエージェントから必要だと言われなかったため、法的要件と知らなかった」と説明したことも記録されている
- FDAは「AIを文書作成の補助に使う場合でも、その内容が正確でcGMPに適合しているかを人(品質部門の権限者)が確認しなければならない」と明記
また、帯状疱疹や性器ヘルペスの緩和を謳った製品は、未承認新薬(505条(a))にあたると指摘されました。同社が製造中止を表明したことをFDAは認識していますが、市場に残っている製品の品質確認や、必要な場合の顧客通知・回収などの対応を求めています。
この事例から押さえたい2つの注意点
① 「化粧品ラボだから化粧品の基準でよい」は通らない
適用されるルールは、施設の看板ではなく、作っている製品の区分で決まります。効能を謳う外用剤を1品でも作れば、その工程には医薬品のcGMP——衛生管理・試験・文書化——がフルに適用されます。委託先を選ぶ際は、「何を作れる体制か」を実地で確認することが重要です。
② AIで文書を作っても、確認する責任は人に残る
この警告書は、AI生成文書のレビュー責任を明文で指摘した事例です。AIの利用自体が禁止されたわけではありません。ただし、規格書や手順書をAIで作る場合でも、その内容の正確性・適合性を確認し、承認する責任は品質部門の「人」にある、というのがFDAの立場です。
輸出前に確認したいチェックポイント
- 委託先ラボの衛生状態・防虫防そ・区画(実地確認)
- 完成品の微生物試験を含む出荷判定の運用
- 原料試験とCOA検証の体制
- AIで作成した文書に対する、人によるレビュー・承認のフロー
- 製造をやめた後も、市場に残る製品への責任は続くこと
とくにAIの論点は、業務効率化を進める企業ほど無関係ではありません。「AIが作った文書を誰が確認したか」を記録に残す運用をおすすめします。
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※本記事は、FDAが公表したWarning Letter(一次情報)をもとに要点を日本語で整理したものです。企業名・正確な文言は、リンク先のFDA原文(英語)をご確認ください。記載の指摘はFDA発出時点のものであり、その後に是正・解決されている場合があります。本記事は一般的な情報提供であり、特定企業の評価を目的とするものではありません。
自社の商品で同じ指摘を受けないために——