RTEシード・スパイス菓子
施設の衛生管理(cGMP)・食品安全計画
⚠ FDAが指摘した実例ごまやフェンネルの"種もの菓子"、殺菌工程は書類に残っていますか?
ふりかけ、ごま塩、スパイス入りの一口菓子——日本にはそのまま食べられる「種もの」食品がたくさんあります。実はこうした食品、アメリカに輸出しようとすると、見た目以上に厳しい審査対象になる場合があります。今回はインドの食品工場が受けた警告書から、その理由を見ていきます。
はじめに——cGMP・予防管理とは
アメリカでは、食品を作る工場に「予防管理規則(21 CFR 117)」というルールが適用されます。工場の衛生管理(cGMP)を守ったうえで、原材料や工程に潜む危害(ハザード)をあらかじめ洗い出し、それを防ぐ手立て(予防管理)を計画に落とし込む必要があります。これを「ハザード分析と予防管理(HARPC)」と呼び、専門の訓練を受けた担当者(PCQI)の監督のもとで、食品安全計画として文書にまとめておくことが求められます。特に、加熱や調理をせずそのまま食べる「RTE(Ready-to-Eat)食品」は、サルモネラ菌やリステリア菌のリスクが指摘されやすく、注意が必要です。
実際の例——ムンバイの"種もの菓子"工場で見つかったこと
2023年1月、FDAはインド・ムンバイにある食品工場を査察しました。この工場は、フェンネル・亜麻仁・コリアンダー・スイカの種・ごま・かぼちゃの種といった「種」と、クミン・コリアンダー・黒コショウといった「スパイス」を使った、そのまま食べられる口直し菓子「ムクワス(mukhwas)」を製造していました。FDAが確認したところ、2022年5月付けの同社のハザード分析には、サルモネラ菌のような細菌性の病原体が「起こり得る危害」として挙げられていませんでした。これは21 CFR 117.130(a)(1)に反する内容だとされました。さらに、この病原体を十分に減らすための加熱処理などの工程(いわゆる殺菌工程)も、原材料を受け入れる前に取引先の管理状況を確認する仕組み(サプライチェーン・プログラム)も、計画の中に見当たりませんでした。加えて、工場内では保管室から屋上に至るまで、ねずみの活動の痕跡が確認されており、害虫を締め出すための対策も不十分と指摘されています。
なぜ問題なのか
種やスパイスは、栽培や収穫の過程で土や動物と接する機会が多く、サルモネラ菌が付着していた事例がこれまでにも報告されてきました。しかも、そのまま食べる商品なので、消費者の手元に届くまでの間に、加熱などで菌を減らす機会がありません。つまり、工場の中の「どこか」で菌を確実に減らす工程を持つか、仕入れの時点で原材料の安全性を確認しておくか、そのどちらかがなければ、菌が製品にそのまま残ってしまう可能性があるのです。今回の工場は、そのどちらの仕組みも計画に含めていませんでした。加えて、ねずみの痕跡は、検査結果とは関係なく、それ自体が「不衛生」と判断される材料になります。
日本企業が注意すべきこと
ふりかけやごま塩、スパイス入りのお菓子・おつまみなど、種やスパイスをそのまま使う食品を輸出する場合、次のような点を見直しておくと安心です。
- ハザード分析で、ごま・フェンネル・クミンなどの種やスパイスについて「サルモネラ菌のような病原体が起こり得るか」を、具体的に検討し記録に残しているか
- 焙煎や加熱など、菌を減らす工程がある場合、それがどの程度効果があるのか(殺菌の度合い)を裏付ける記録があるか
- 加熱工程がない、または十分でない場合、仕入れ先の原材料が病原体管理されていることを確認する仕組み(証明書や検査結果の確認など)があるか
- 保管室や屋上を含め、工場全体でねずみ・害虫の侵入を防ぐ対策と記録があるか
- 食品安全計画が作成した日付のまま放置されず、PCQIの監督のもとで定期的に見直されているか
輸出前に、ここまで見ておきたいこと
「うちのふりかけ、少量の種や薬味だから大丈夫」と思われがちですが、量の多少に関わらず、そのまま食べる食品である以上、原材料ごとのリスク評価は避けて通れません。ワールドシフトでは、ハザード分析や食品安全計画の作成・見直し、原材料の仕入れ先確認の仕組みづくりといった具体的なサポートも行っています。「殺菌工程の記録なんて取ったことがない」「サプライヤーにどこまで確認すればいいのか分からない」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——