消費税の還付 書類が足りない!提出する書類と保存する書類

輸出の証明書類が揃わず、消費税の還付を受けられない。輸出還付金の仕組みと、提出する書類・保存する書類の分け方

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輸出なら、仕入れで払った消費税が戻ってくると聞いていた。いざ確定申告の時期になって書類を集めようとしたら、輸出許可通知書がどこにあるのか分からない。仕入れの領収書も何枚か見つからない。どの書類を出せばいいのかも、よく分からない——。

消費税の還付は、輸出をする事業者にとって大きなお金です。そのぶん、書類がそろわないと受けられないこともあります。

「消費税の還付を受けるには、どんな書類が必要なの?何を出して、何を取っておけばいいの?」

この記事では、輸出で消費税が還付される仕組みと、事前に必要な届出、税務署へ提出する書類と手元で保存する証拠書類の違い、書類がそろわない原因と対策を整理します。Amazon輸出に限らず、海外へ商品を販売する事業者に共通する内容です。

消費税の還付の書類を考えるときの考え方

消費税の還付の書類で混乱しやすいのは、「税務署に出す書類」と「手元で保存しておく書類」がごちゃまぜになっていることです。

輸出許可通知書や仕入れの書類は、毎回すべてを申告書に添付するわけではありません。保存しておき、税務署から確認を求められたときに提示・提出します。だからこそ、日ごろから保存しておくことが大切になります。

輸出で消費税が還付される仕組み

輸出する商品の売上には、原則として消費税がかかりません(輸出免税)。一方で、国内で商品を仕入れたときや、経費を払ったときには、消費税を払っています。

消費税の申告では、売上で預かった消費税から、仕入れなどで払った消費税を差し引きます。輸出が中心の事業では、売上の消費税がほとんどないため、差し引いた結果がマイナスになり、その分が還付されます。これが、いわゆる「輸出還付金」です。

(例)金額
輸出の売上にかかる消費税0円(輸出免税)
仕入れ・経費で払った消費税100,000円
還付される金額(0円 − 100,000円)100,000円

※考え方を示すための単純な例です。実際の計算は、国内の売上の有無などによって変わります。

輸出免税の要件

輸出の売上を免税にし、還付を受けるには、主に次のことが前提になります。

  • 輸出したことを証明する書類を保存していること
  • 仕入れで払った消費税を差し引くための、帳簿と請求書などを保存していること
  • 消費税の課税事業者であること(免税事業者のままでは、還付を受けられない)
  • 一般課税(本則課税)で申告すること(簡易課税では、仕入れで払った消費税を実際の額で差し引かないため、輸出の還付は出ない)

どれか1つでも欠けると、還付を受けられなかったり、あとから否認されたりすることがあります。

事前に必要なもの(届出)

「還付を受けるには、この届出が必要」とよく言われる書類の中には、消費税の還付とは直接関係しないものもあります。それぞれの役割を整理すると、次のとおりです。

書類役割消費税の還付との関係
開業届個人が事業を始めたことを税務署へ知らせる書類消費税の還付を受けるための申請書ではない
青色申告承認申請書所得税の青色申告を行うための書類消費税の還付の必須の条件ではない
消費税課税事業者選択届出書免税事業者が、課税事業者を選ぶ場合の書類すでに課税事業者の場合など、全員が出すわけではない

自分が今、課税事業者なのか免税事業者なのかによって、必要な届出は変わります。届出には出す期限もあるので、早めに確認します。

税務署へ提出・添付するもの

消費税の還付を受けるために、税務署へ提出・添付する主な書類は次のとおりです。

書類内容
消費税及び地方消費税の確定申告書その期の消費税を計算して申告する書類
計算に必要な付表申告書の計算の内訳を示す書類
消費税の還付申告に関する明細書還付申告をする場合に、原則として添付が必要な書類

申告書の様式は、国税庁から入手できます。まずは、これらの書類を作るために必要な、仕入れ・輸出・販売の記録をそろえることから始めます。

手元で保存する証拠書類

次の書類は、申告書に毎回添付するのではなく、手元で保存しておき、税務署から確認を求められたときに提示・提出します。

輸出で保存する書類とその内容:輸出許可通知書などの輸出の証明(その商品を実際に輸出したこと)、仕入れの適格請求書・領収書(仕入れで消費税を払ったこと)、経費の請求書(経費で消費税を払ったこと)、販売・入金の明細(輸出した商品が売れ、代金を受け取ったこと)、帳簿(取引の内容を日付順に記録したもの)、通関用のインボイス(輸出した商品の内容と価格)

これらの書類は、原則として7年間の保存が求められます(輸出の証明は、その課税期間の末日の翌日から2か月を過ぎた日から7年間)。確認を求められてから集めようとしても、時間がたっていると見つからないことがあります。発送のたび、仕入れのたびに保存する習慣をつけておきます。

通関用のインボイスに何を書くかは、こちらの記事で詳しく解説しています。

インボイスの書き方を詳しく解説コマーシャルインボイスとは?輸出で税関を通るための書き方と必須項目、商品名・価格の書き方

輸出許可通知書は、名義と保管場所を確かめる

輸出許可通知書(輸出許可書)は、輸出の通関が終わったときに発行される書類です。発送代行業者やクーリエに輸出の手続きを任せている場合は、自分の手元に届いていないことがあります。

  • どこに保管されているか:発送代行業者やクーリエから、発送ごとに受け取れるか、あとから取り寄せられるか
  • 名義が自分になっているか:輸出者の名義が自分(自分の事業)になっているか

FBAに納品する場合も、輸出の手続きを誰の名義で行っているかを確認しておきます。名義が自分でないと、そのままでは自分の輸出の証明として使えないことがあるためです。

発送代行会社の名義で輸出している場合でも、国税庁の質疑応答では、実際の輸出者が輸出申告書などの原本を保存し、名義を貸した会社へ「消費税輸出免税不適用連絡一覧表」を渡すことを条件に、実際の輸出者が輸出免税を受けられるとしています。代行会社を使うときは、この一覧表のやり取りがあるかも確認しておきます。発送を依頼するときに、輸出許可通知書を受け取れるかを先に確認しておくと安心です。

証明書類がそろわない原因と対策

証明書類がそろわない原因は、多くの場合、「その場で保存していなかった」ことです。よくある原因と対策をまとめると、次のようになります。

そろわない原因対策
輸出許可通知書を受け取っていない発送代行業者やクーリエに、発送ごとの共有を依頼する
輸出許可通知書の名義が自分ではない依頼する前に、誰の名義で輸出するかを確認する。代行会社の名義なら、原本を保存し、消費税輸出免税不適用連絡一覧表を代行会社へ渡す
仕入れの請求書・領収書がない仕入れのたびに保存する。適格請求書かどうかも確認する
販売・入金の明細がない販売先のレポートや入金の明細を、毎月ダウンロードして保存する
帳簿をつけていない取引ごとに記録し、輸出の売上と国内の売上を分ける
物流の現場から

米国向けのFBA納品と通関を日々行っていると、確定申告の時期になってから「輸出許可通知書をまとめてほしい」という依頼が増えます。発送のたびに受け取って、決まった場所に保存するだけで、申告の時期に慌てずに済みます。

税理士・税務署に事前に相談する

消費税の還付を受けられるか、必要な書類、届出や申告の期限は、事業の状況によって違います。課税事業者かどうか、国内の売上があるか、どのように輸出しているかなどで、必要なことが変わるからです。

そのため、事前に担当の税理士、または管轄の税務署へ相談します。相談するときは、輸出の方法(発送代行業者を使っているか、FBAに納品しているかなど)と、手元にある書類を伝えると、何が足りないかが分かりやすくなります。

在庫の会計での扱いや、利益の管理の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

物販の会計を詳しく解説在庫は「経費」ではなく「資産」。物販の会計で知っておきたい棚卸資産とは何か、売上原価の計算と資金計画への影響

まとめ

輸出で消費税の還付を受けるには、提出する書類と、保存する証拠書類を分けてそろえることが大切です。

  • 輸出の売上には原則として消費税がかからず、仕入れで払った消費税との差額が還付される
  • 還付には、輸出の証明と、帳簿・請求書の保存、課税事業者であること、一般課税で申告することが前提になる
  • 開業届や青色申告承認申請書は、消費税の還付の申請書ではない。課税事業者選択届出書は、免税事業者が課税事業者を選ぶ場合の書類
  • 税務署へは、確定申告書・付表・消費税の還付申告に関する明細書を提出・添付する
  • 輸出許可通知書・仕入れの請求書・販売の明細・帳簿・通関用インボイスは、手元で保存し、求められたら提示する
  • 輸出許可通知書は、保管場所と名義を確かめ、発送のたびに受け取る。代行会社の名義なら、消費税輸出免税不適用連絡一覧表のやり取りが必要
  • 還付の可否や必要書類、期限は事業の状況で違うので、税理士や税務署に事前に相談する

よくある質問

輸出で消費税が還付されるのは、なぜですか?

輸出する商品の売上には、原則として消費税がかかりません(輸出免税)。一方で、国内での仕入れや経費には消費税を払っています。売上の消費税から仕入れの消費税を差し引いた結果がマイナスになると、その分が還付されます。

輸出許可通知書や仕入れの書類は、申告書に毎回添付しますか?

毎回すべてを申告書に添付するという意味ではありません。手元に保存しておき、税務署から確認を求められた場合に提示・提出します。還付申告には、原則として「消費税の還付申告に関する明細書」の添付が必要です。

開業届や青色申告承認申請書を出せば、消費税の還付を受けられますか?

開業届は事業を始めたことを知らせる書類、青色申告承認申請書は所得税の青色申告のための書類で、どちらも消費税の還付を受けるための申請書ではありません。免税事業者が課税事業者を選ぶ場合は、消費税課税事業者選択届出書が関係します。

手元に保存しておく証拠書類は何ですか?

輸出許可通知書などの輸出の証明、仕入れの適格請求書や領収書、経費の請求書、販売や入金の明細、帳簿、通関用のインボイスなどです。

消費税の還付を受けられるかは、どこで確認できますか?

還付を受けられるか、必要な書類、届出や申告の期限は、事業の状況によって違います。事前に担当の税理士、または管轄の税務署へ相談します。

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※本ページは一般的な情報提供を目的としたものです。記事中の金額は説明のための例です。消費税の還付の可否、必要な書類、届出や申告の期限は、事業の状況によって異なります。実際の手続きは、税理士または管轄の税務署にご確認ください。記事の内容は、税務上の助言ではありません。