味付海苔スナック・えのき
FSVP(外国供給業者検証プログラム)
⚠ FDAが指摘した実例海苔スナックとえのき、輸出者が知らずに巻き込まれる「もう一人の審査員」
味付け海苔スナックやえのきといった、日本人にはなじみ深い食品。でもアメリカに渡ると、商品そのものの安全性とは別に、もうひとつのチェックが待っています。それが「FSVP」です。輸出者が直接名指しされるわけではありませんが、実はこの制度、輸出者の協力が無いと成立しません。
はじめに——FSVPとは
FSVP(Foreign Supplier Verification Program、外国供給業者検証プログラム)は、アメリカの「輸入者」に課された義務です。海外の食品供給業者が、アメリカと同じレベルの安全管理をしているかどうかを、輸入者自身が確認しなければいけません。根拠になっているのは21 CFR Part 1 Subpart Lという規則です。この確認プログラムを作っていなかったり、確認した記録を残していなかったりすると、輸入者はFDAからWarning Letter(警告書)を受け取ることになります。
実際の例——海苔スナックとえのきの輸入で起きたこと
2020年6月22日、アメリカの輸入者H & C Food Inc.にFDAからWarning Letterが出されました。指摘の対象になったのは、海外の供給業者から輸入していた「テリヤキ味付け海苔スナック」と「えのきだけ」です。FDAの査察で分かったのは、この2つの食品について、輸入者がFSVPをそもそも用意していなかったということでした。
なぜ問題なのか
FDAが指摘したのは、大きく3つです。まず、これらの食品についてハザード分析(どんな危害要因があり得るかの洗い出し)を行っていなかったこと。次に、供給業者の実績を評価していなかったこと。そして、供給業者を検証する活動そのものを実施していなかったことです。さらに、供給業者側が作成したハザード分析を輸入者がきちんと確認・評価した記録も無く、21 CFR 1.504(d)の要件を満たしていませんでした。つまり「書類の一部が足りない」というレベルではなく、FSVPという仕組みそのものが、この2品目について存在していなかったのです。
日本企業(輸出者)が注意すべきこと
この案件で警告を受けたのはアメリカ側の輸入者です。でも、輸入者がFSVPを適切に整えられるかどうかは、供給元である輸出者の協力体制に大きく左右されます。「商品自体は安全だから大丈夫」と思っていても、輸入者の手元に必要な資料が無ければ、そこで足止めになってしまいます。海苔スナックや乾物のような加工食品を輸出する場合、特に次の点を確認しておきたいところです。
- 自社のハザード分析(想定される危害要因とその管理方法をまとめた資料)を、輸入者にいつでも提供できる状態か
- 製造工程の安全管理(HACCP=危害分析重要管理点や、それに準じる管理体制)を裏付ける資料を用意しているか
- 輸入者が行う検証活動(監査や現地確認、サンプル検査など)に協力できる体制があるか
- 輸入者とやり取りした資料や記録を、いつでも参照できる形で保管しているか
「商品は安全です」だけでは通らない
今回の事例が教えてくれるのは、食品そのものの安全性と、輸入者側の書類対応は別問題だということです。輸出者としては、自社の商品が問題ないと分かっていても、それを裏付ける資料を輸入者に渡せる体制になっていなければ、輸入者がFSVPを果たせず、結果として輸出全体が止まってしまうリスクがあります。
ワールドシフトでは、輸入者のFSVP対応に必要なハザード分析資料の整理や、製造安全管理のエビデンス準備もサポートしています。「うちの海苔スナックやえのきは、輸入者側の書類まで含めて本当に大丈夫だろうか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——