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衛生cGMP2024-04

大豆分離たんぱく(RTE)

施設の衛生管理(cGMP)・食品安全計画

⚠ FDAが指摘した実例

「清掃済み」の記録があっても、粉の跡が残っていた——大豆分離たんぱく工場の警告書

実例で学ぶ(実録)|施設の衛生管理(cGMP)

大豆分離たんぱくは、パンやハム、プロテイン食品などの「原料」として使われる加工品です。完成品ではなく原料だから大丈夫、と思ってしまうかもしれません。でも米国に輸出する場合、原料メーカーであってもFDAの衛生ルールの対象になります。今回は、中国の大豆分離たんぱく工場が受けた警告書の実例から、その理由を見ていきます。

はじめに——cGMP・予防管理とは

米国では、食品を製造する施設に「予防管理規則」(21 CFR 117)というルールが適用されます。求められるのは大きく2つです。ひとつは①施設の衛生管理(cGMP)。もうひとつは②ハザード分析と予防管理(HARPC)にもとづく「食品安全計画」の策定と実行です。

これらは、PCQI(予防管理適格者)と呼ばれる専門の研修を受けた担当者の監督のもとで整備する必要があります。そして大切なのは、この対象が「消費者がそのまま食べる完成品」だけではないということです。大豆分離たんぱくのように、他の食品の原料になる加工品も、同じルールの対象になります。

実際の例——大豆分離たんぱく工場への警告書

2023年8月、FDAは中国・河南省にある大豆分離たんぱくメーカー、Pingdingshan Tianjing Plant Albumen社の工場を査察しました。対象製品は、加熱処理後にそのまま扱われる「そのまま食べられる(RTE)大豆分離たんぱく」です。2024年4月17日、FDAはこの査察結果にもとづき警告書を発行しました。

指摘の柱は大きく2つありました。ひとつは、ハザード分析の内容です。この会社のハザード分析は、加熱処理後に環境由来の病原菌(サルモネラなど)が再び製品に付着する「再汚染」のリスクを、予防管理が必要なハザードとして扱っていませんでした。本来であれば、こうした再汚染リスクには、施設を衛生的な状態に保つための「衛生管理(サニテーション)」を予防管理として位置づける必要があります。あわせて、環境中のサルモネラ(または指標菌)を検査した記録も確認できませんでした。

もうひとつは、実際の現場の状態です。加熱処理後の製品を包装する部屋の中で、生きた昆虫が1匹確認されました。さらに、その部屋に隣接するスプレードライヤー室の床では、生きた昆虫3匹と死んだ昆虫2匹が見つかりました。加えて、包装室の入口ドアの下部には隙間があり、害虫の侵入を防げる状態ではありませんでした。そして、従業員が清掃を終え「清掃済み」と記録していたにもかかわらず、査察官が包装室を確認したところ、手動のスコップや粉の充填ノズル、空気除去用のプローブといった、製品に直接触れる部分に大豆たんぱくの粉の残留が目視で確認されています。

出典(FDA Warning Letter)↗

なぜ問題なのか

「そのまま食べられる」食品は、加熱処理という安全確認のヤマ場を越えたあとが、実はいちばん気を抜けないタイミングです。加熱後の製品は、その後の工程で人の手や設備、空気を通じて病原菌が再び付着してしまう可能性があるからです。だからこそ、ハザード分析では「加熱すれば安全」で終わらせず、加熱後の再汚染まで見込んで、衛生管理を予防管理のひとつとして計画に組み込む必要があります。

そしてもうひとつ大切なのが、「記録」と「実態」を一致させることです。清掃記録が残っていても、査察官が現場を見て粉の残留や虫を見つければ、その記録は意味を持ちません。FDAは書類の有無だけでなく、書類どおりの状態が現場で保たれているかまで確認します。

日本企業が注意すべきこと

この事例は、完成品メーカーだけの話ではありません。日本から米国向けに大豆加工品や食品原料を輸出する企業にとっても、他人事ではないポイントがいくつかあります。

  • 自社の製品が「他の食品の原料」であっても、21 CFR 117の予防管理規則の対象になる
  • ハザード分析は、加熱・殺菌工程の後に起こりうる再汚染リスクまで含めて検討する
  • 環境中の病原菌(サルモネラなど)について、定期的な検査記録を残しておく
  • 害虫を締め出すための設備面の対策(ドアの隙間、開口部など)を点検する
  • 清掃記録をつけるだけでなく、記録どおりの状態になっているかを社内で確認する仕組みを持つ

記録と現場を、両方そろえておく

食品安全計画やハザード分析は、一度作って終わりではありません。加熱後の再汚染リスクのように、見落としやすいポイントをきちんと洗い出し、清掃記録と現場の状態を一致させ続けることが求められます。原料メーカーであっても、その手間は変わりません。

ワールドシフトでは、ハザード分析の見直しや食品安全計画の整備、PCQIの視点を踏まえた社内チェック体制づくりもサポートしています。「うちの原料製品もこの規則の対象になるのか」「清掃記録はどこまで残せば十分なのか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。

※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。

出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗

自社の商品で同じ指摘を受けないために——

WorldShift Trade Watch — 出典はFDA。