缶詰ツナ(LACF+水産HACCP)
酸性化食品・低酸性缶詰(LACF)
⚠ FDAが指摘した実例ツナ缶が教えてくれた「二重の関門」——LACFと水産HACCPの警告書に学ぶ
日本からも人気の高いツナ缶。でも米国向けに出すとなると、実は規制が二重にかかっていることをご存知でしょうか。中国のある缶詰メーカーが受けた警告書は、その「見落とし」がどれほど大きな問題になり得るかを教えてくれます。
はじめに——LACFと水産HACCP
密封した容器に入れて常温で流通させる食品は、「低酸性缶詰食品(LACF, 21 CFR 113)」という規制の対象になる場合があります。目的はボツリヌス菌のリスクを防ぐことです。製造施設はFCE(Food Canning Establishment)としてFDAに登録し、製品ごとの加熱条件(Scheduled Process)を事前に届け出る必要があります。関連する21 CFR 108(緊急許可規制)も同様に重要です。さらに、まぐろなどの水産物は「水産物HACCP(21 CFR 123)」の対象にもなります。ここではヒスタミン(スコンブロイド毒素)の管理が求められます。缶詰のツナは、この両方の規制が同時にかかってくる、少し注意が必要な食品なのです。
実際の例——中国の缶詰メーカーへの警告書
2023年11月、FDAは中国・山東省栄成市にある缶詰メーカー、Rongcheng Jiayuan Foods(第3工場)を査察しました。その結果、水産物HACCP規則(21 CFR 123)、緊急許可規制(21 CFR 108)、低酸性缶詰食品規則(21 CFR 113)の3つすべてで重大な逸脱が見つかり、2024年5月31日付で警告書が発行されました。具体的には、同社の「Canned Tuna HACCP Plan(缶詰ツナHACCPプラン、文書番号JY/C-Z-40 version B/1)」において、原料受入れの重要管理点(CCP1-1、冷凍ラウンド原魚の受入れ)に設定されていた管理基準が、ヒスタミン形成のリスクを抑えるには不十分だと指摘されました。
何が指摘されたか
ヒスタミンは、一度形成されてしまうと、その後どれだけ加熱しても分解されない毒素です。つまり缶詰にして高温殺菌しても、原料の時点ですでに増えてしまったヒスタミンは消えません。だからこそ、「原料を受け入れる瞬間」の温度管理や鮮度確認が、実は一番重要な関門になります。今回のケースでは、まさにその受入れ時点の管理基準が甘かったことが問題視されました。また、LACFの観点でも、FCE登録やScheduled Processの届出が整っていなければ、加熱条件そのものが検証されているかどうか確認できません。ボツリヌス菌のリスクを防げている保証がない、という扱いになってしまいます。
日本企業が注意すべきこと
ツナ缶や水産缶詰を米国向けに輸出する場合、次のような点をあらためて確認しておくと安心です。
- 製造施設はFCE登録済みか、製品ごとの加熱条件(Scheduled Process)は届出済みか
- まぐろ・かつお等を扱う場合、ヒスタミン管理のためのHACCPプランに、原料受入れ時の具体的な管理基準(温度・時間など)が明記されているか
- 受入れ時点で原料の鮮度・温度履歴を確認できる体制になっているか
- 加熱後の記録だけでなく、原料調達から受入れまでの記録もきちんと残しているか
缶詰ツナの安全設計、始めていますか?
今回のケースでは、その後の是正措置により、2024年10月の追跡調査でFDAは違反への対応が確認できたと判断しています。裏を返せば、正しく手当てすれば挽回できる問題だったとも言えます。大切なのは、輸出を始める前にこの「二重の関門」に気づけているかどうかです。
ワールドシフトでは、FCE登録やScheduled Processの提出、水産物HACCPプランの整備といった具体的なサポートも行っています。「うちのツナ缶は本当に両方の規制に対応できているのか」といった判断も含めて、米国輸出前のFDA対応をお任せいただけます。
※輸出前の確認だけでなく、取得後の更新・表示の維持・査察対応まで、取った後も一緒に点検します。対応できる範囲は品目・工程により異なり、米国代理人・FSVP等は連携先を通じてご案内します。
出典・参考:FDA原文で確認する(fda.gov)↗
自社の商品で同じ指摘を受けないために——