トップ > FDA規制 > 記事
FDA規制FSMA 204食品トレーサビリティ記録義務

米国の食品追跡規則FSMA 204、順守期限を2028年7月に

当初の2026年1月20日から30か月延長。FTLに載る食品にロットなどの記録義務

米国では、食品の追跡記録を求める規則の順守期限が延びた(画像はイメージ)

米国の食品トレーサビリティ規則(FSMA 204)で、対象食品の記録義務を守る期限(順守期限)が2028年7月20日に延びた。当初の2026年1月20日から30か月の延長だ。2025年11月の2026年継続歳出法は、2028年7月20日より前にFDAがこの規則を執行することを禁じた。対象は食品トレーサビリティ・リスト(FTL)に載る食品だ。扱う事業者は、ロット番号などの追跡記録を残さなければならない。

対象食品を米国へ出す日本企業も、無縁ではない。米国側で原料として使われる場合も同じだ。

延びたのは記録義務の期限で、対象から外れたわけではない。規則そのものは2023年1月20日に施行されている。

FSMA 204は食品の流れをたどる記録の規則

FSMA 204は、食品トレーサビリティ・リスト(FTL)に載る食品を製造・加工・包装・保管する事業者に、追跡記録を残すよう求める規則だ。

記録するのは、誰から受け取ったか、何をどのロットで受け取ったか、どこへ出したか、である。問題が起きたときに、食品を素早く特定し回収できるようにする狙いがある。

規則は2022年11月21日に公布され、その60日後の2023年1月20日に施行された。当初の順守期限の2026年1月20日は、施行から3年後にあたる。

順守期限は2028年7月20日に延長

FDAは2025年8月7日、FSMA 204の順守期限を延ばす案を連邦官報に載せた。延長は、システムの導入や連携、費用といった業界の準備に配慮したものだ。

2025年11月の2026年継続歳出法は、2028年7月20日より前にFDAがこの規則を執行することを禁じた。順守期限は、当初の2026年1月20日から30か月延びて2028年7月20日になった。

FSMA 204の主な日付
項目内容
規則の公布と施行規則は、2022年11月21日に公布され、2023年1月20日に施行された。
当初の順守期限記録義務の順守期限は、当初、施行から3年後の2026年1月20日とされていた。
延長の案FDAは、2025年8月7日に、順守期限を延ばす案を連邦官報に載せた。
議会による執行の禁止2025年11月の2026年継続歳出法は、2028年7月20日より前にFDAがこの規則を執行することを禁じた。
新しい順守期限記録義務の順守期限は、30か月延びて、2028年7月20日になった。

対象食品リスト(FTL)に載る食品の例

FTLには、例えば次のような食品が含まれる。米国側で原料や完成品として流通する場合が対象になる。

  • 特定のチーズ、殻付き卵
  • 一部の生鮮野菜・果物(葉物、トマト、きゅうり、メロン、ハーブ、もやし、熱帯果実など)
  • 魚介類(生鮮・冷凍)
  • ナッツバター、調理済みのデリサラダなど

FTLに載る食品を扱うかどうかで、記録義務の対象かが決まる。

残す記録はKDEとCTE

記録は、重要追跡イベント(CTE)ごとに、重要データ要素(KDE)を残す形をとる。

CTEは、受領・変形・出荷などの工程を指す。KDEは、ロット・数量・出荷元・出荷先などの情報だ。工程ごとに、決まった情報を記録する。

輸出では、途中に倉庫や混載が入ると、ロットの情報が切れやすい。日本で付けたロット番号を、米国側の受け取りや出荷の記録まで引き継げるかが要点になる。

解説

延びた30か月は、記録の仕組みを作る準備期間

順守期限が延びても、対象から外れたわけではない。FTLに載る食品を扱うなら、2028年7月20日までに記録を残せる体制が要る。当社は、延びた期間を準備のための猶予と捉えるのが安全だとみている。

日本の食品輸出者は、次の順で考えると迷いにくい。まず、自社の品目がFTLに載るかを確かめる。載らなければ、この記録義務の対象外だ。載るなら、どの工程(CTE)でどの情報(KDE)を残すかを決める。最後に、米国へ送る道筋でロット番号が途切れないかを確かめる。

見落としやすいのは、日本を出てから米国の取引先に届くまでの間だ。倉庫での保管や混載をはさむと、ロットの情報が切れやすい。物流を頼む先が、受け取ったロット番号を出荷の記録まで引き継げるかを、早めに確かめておきたい。FTLに当たるかと、どの記録が要るかの判断に迷う場合は、FDAの公表資料を確かめ、専門家に相談したい。

(ワールドシフト編集部)

キーワード解説
  • FSMA 204(食品トレーサビリティ規則):FTLに載る食品を扱う事業者に、追跡記録の保持を義務づける米国の規則。2023年1月20日に施行。
  • 食品トレーサビリティ・リスト(FTL):Food Traceability List。FSMA 204の記録義務がかかる食品の一覧。特定のチーズ、殻付き卵、一部の生鮮野菜・果物、魚介類、ナッツバターなどが載る。
  • 重要追跡イベント(CTE):Critical Tracking Event。受領・変形・出荷など、記録を残す工程。
  • 重要データ要素(KDE):Key Data Element。ロット・数量・出荷元・出荷先など、CTEごとに残す情報。
  • 順守期限(compliance date):規則の義務を守らなければならない期限。FSMA 204の記録義務は2028年7月20日。
  • トレーサビリティ:原料から出荷までを、ロット単位でたどれる状態。
Q&A:よくある質問
FSMA 204の順守期限が2028年7月20日に延びたなら、今は何もしなくてよいですか?
いいえ。FTLに載る食品を扱うなら、2028年7月20日までに記録を残せる体制が必要です。延びた期間は、準備のための期間と捉えるのが安全です。
FSMA 204の順守期限の延長は、どの手続きで決まりましたか?
FDAが2025年8月7日に、順守期限を延ばす案を連邦官報に載せました。順守期限は当初の2026年1月20日から30か月延びて2028年7月20日になりました。2025年11月の2026年継続歳出法は、同日より前にFDAがこの規則を執行することを禁じています。
FSMA 204の規則そのものは、まだ施行されていないのですか?
施行されています。規則は2022年11月21日に公布され、その60日後の2023年1月20日に施行されました。延びたのは記録義務の順守期限で、当初の2026年1月20日は施行から3年後にあたります。
自社の食品がFSMA 204の対象かどうかは、何で決まりますか?
食品トレーサビリティ・リスト(FTL)に載る食品を扱うかで決まります。特定のチーズ、殻付き卵、一部の生鮮野菜・果物、魚介類、ナッツバターなどが例です。
FSMA 204では、何を記録するのですか?
ロット・数量・出荷元・出荷先などの重要データ要素(KDE)を、受領・変形・出荷といった重要追跡イベント(CTE)ごとに記録します。
FSMA 204の一次情報はどこですか?
FDAのFSMA最終規則のページと、連邦官報に載った順守期限の延長案(2025年8月7日)、FDAの告知です。記事末尾の出典からご確認いただけます。
出典本記事は、FDAの食品トレーサビリティ規則(FSMA 204)の公式ページ、連邦官報に載った順守期限の延長案(2025年8月7日)、FDAの告知をもとに、2026年6月時点の期限・対象の概況を当社(WorldShift)が整理したものです。日本語は当社の訳です。最新の内容は必ずFDA公式でご確認ください。自社の品目が食品トレーサビリティ・リスト(FTL)に当たるか、どの記録(KDE)をどの工程(CTE)で残すかは、FDAの公表資料と専門家にご確認ください。「解説」は当社(WorldShift)の意見で、FDAの規則への適合を保証するものではありません。

あわせて読みたい