米国で抹茶が品薄、京都の碾茶価格は2024→25年で265%上昇
米国のカフェで入荷待ちが半年に延びる例も。日本の緑茶輸出額は2025年に約2倍

米国で抹茶(matcha)の品薄が続いている。米食品業界紙Food Diveによると、国際茶業委員会は、JA京都のデータをもとに、京都の碾茶の取引価格が2024年から2025年に265%上がったとした。米国では一部のカフェで、抹茶製品の入荷待ちが1〜2カ月から6カ月に延びている。安定して供給できる事業者が足りない状態で、日本の生産者・卸・出品者には商機になる。
碾茶(てんちゃ)は抹茶の原料になる茶葉だ。米国の茶の専門店One with Teaは、2026年の抹茶不足を、この碾茶が足りないことによる問題だと説明している。
日本からの輸出も大きく伸びた。農林水産省が2026年2月3日に発表した2025年の輸出実績では、緑茶の輸出額は約720億円で、前年より98.2%増えた。
需要が増え、碾茶の供給が追いつかない
米国では、SNSと健康志向を背景に抹茶が定番になった。抹茶はラテやデザートにも使われ、カフェや小売りの需要が一気に広がった。
供給は追いついていない。Food Diveによると、日本では記録的な暑さと干ばつで、碾茶の収穫が予想を下回った。One with Teaによると、日本の茶の農家は、2000年の約5万4千戸から約2万戸まで減った。
価格はこの間に大きく上がった。国際茶業委員会は、JA京都のデータをもとに、京都の碾茶の取引価格が2024年から2025年に265%上がったとした。Food Diveは2025年、米国の一部のカフェで、抹茶製品の入荷待ちが1〜2カ月から6カ月に延びていると報じた。
日本の緑茶輸出、2025年は金額が約2倍
日本の緑茶の輸出は、金額でも数量でも伸びた。ただ、金額と数量は出どころと集計の期間が違う。金額は農林水産省の暦年の数字で、数量はOne with Teaが紹介した年度の数字だ。
| 項目 | 数字と出どころ |
|---|---|
| 輸出額 | 農林水産省の2026年2月3日の発表では、2025年の緑茶の輸出額は約720億円で、前年より98.2%増えた。 |
| ドル換算 | 約720億円を1ドル≒160円で換算すると、約4.5億ドルになる。 |
| 輸出量 | One with Teaによると、2025年度の緑茶の輸出量は13,125トンで、前年度より42%増えた。 |
| 粉末の割合 | One with Teaによると、2025年度の輸出量のうち約7割は粉末状の緑茶だった。 |
輸出額は財務省の貿易統計をもとに農林水産省がまとめた暦年の数字。円からドルへの換算は目安。
米国へ抹茶・緑茶を送るときの手続き
抹茶や緑茶は、米国へは食品として送る。主な手続きは次のとおりだ。
- 関税の分類(HTSコード)。緑茶は第0902類(茶)に入る。抹茶も粉末の緑茶として、ここが基本になる。
- FDAの食品施設登録。製造や加工をする施設は、FDAに登録する。登録は2年ごとに更新する。
- 事前通知(Prior Notice)。食品が米国に着く前に、FDAへ知らせる。食品には欠かせない手続きだ。
- 残留農薬。米国の基準(トレランス)に合っている必要がある。輸入時の検査に注意が要る。
- 英語の表示。原材料・正味量・製造者などを英語で書く。健康への効き目はうたわない。
- 通関と配送。米国で通関したあと、FBAを使えば在庫を米国に置ける。
関税は緑茶のHTSコードで確かめる。
品薄は需要の裏返し、手続きを整えた供給者に機会
品薄は、裏を返せば需要が確かにあるということだ。米国の買い手は、安定して抹茶を届けられる相手を探している。当社は、日本の生産者・卸・出品者にとって、供給の約束を守れること自体が強みになる局面だとみている。
まず手続きを整えたい。抹茶・緑茶は食品なので、FDAの食品施設登録と事前通知が前提になる。英語の表示は、原材料・正味量・製造者を書き、健康への効き目はうたわない。残留農薬は米国の基準に合うかを、試験機関で確かめておくと安心だ。これらを整えれば、続けて送れる体制になる。
売り方は次の順で考える。まとまった量を卸せるなら、米国のカフェや小売りへの供給を探る。少量から始めるなら、FBAで米国に在庫を置き、品切れの時期にも買える状態を保つ。ただし、価格の上昇がいつまで続くかは分からない。仕入れ値・送料・関税・手数料を引いて利益が残るかを、1回ずつ計算してから量を決めたい。
(ワールドシフト編集部)
キーワード解説
- 抹茶(matcha):碾茶を粉末にした緑茶。米国ではラテやデザートにも使われ、定番になった。
- 碾茶(てんちゃ):抹茶の原料になる茶葉。覆いの下で育てた葉を蒸して乾かしたもので、これを石臼などで挽くと抹茶になる。
- HTS 0902:米国の関税分類で、茶を示す類。緑茶・抹茶の基本の分類になる。
- FDA食品施設登録:米国へ食品を送る施設に求められるFDAへの登録。2年ごとに更新する。
- 事前通知(Prior Notice):食品が米国に着く前にFDAへ行う通知。怠ると、貨物が留め置かれる原因になる。
Q&A:よくある質問
- 米国では本当に抹茶が品薄になっているのですか?
- はい。米食品業界紙Food Diveは2025年、米国の一部のカフェで抹茶製品の入荷待ちが1〜2カ月から6カ月に延びていると報じました。米国の茶の専門店One with Teaも、2026年の抹茶不足を、原料の碾茶が足りないことによる問題だと説明しています。
- 京都の碾茶の価格は、2024年から2025年にどれくらい上がりましたか?
- 国際茶業委員会は、JA京都のデータをもとに、京都の碾茶の取引価格が2024年から2025年に265%上がったとしています(Food Diveの報道)。
- 日本の2025年の緑茶の輸出額はどれくらいでしたか?
- 農林水産省の2026年2月3日の発表では、2025年の緑茶の輸出額は約720億円で、前年より98.2%増えました。1ドル≒160円で換算すると約4.5億ドルです。輸出量はOne with Teaによると2025年度に13,125トンで、前年度より42%増えました。
- 米国で抹茶を売るのに、特別な許可は要りますか?
- 医薬品のような承認は要りません。食品としての手続きが要ります。FDAの食品施設登録、事前通知、米国の残留農薬の基準への適合、英語の食品表示です。
- 米国へ送る抹茶・緑茶の関税はどう確かめますか?
- 緑茶のHTSコード(第0902類)で確かめます。抹茶も粉末の緑茶として、ここが基本です。日本茶の関税の扱いは関連記事で解説しています。



