
米国Amazon、10/26からマーカー・筆記具に危険物(hazmat)の質問──インクの性質を出品時に回答。日本のペン・マーカーはSDS(安全データシート)を先に
Amazonは2026年9月25日(米国時間)、セラーセントラルの公式お知らせで、2026年10月26日から、一部のカテゴリの出品を作成・編集するときに、危険物(hazmat)を見分けるための新しい質問に答える必要があると告知しました。対象の4カテゴリの1つがマーカーと筆記具で、聞かれるのはインクの性質です。
日本のペン・マーカーを米国Amazonで売っている方、これから売る方に関係します。ただ、身構える話ではありません。告知は、この質問の目的を「危険物を見分け、使える配送方法を増やし、不要な廃棄の費用や手数料を減らすため」と説明し、正確で漏れのない回答は、出品が遅れずに公開される助けになるとしています。インクに有害な化学品を含まない商品は、メーカーのSDSが手に入らなくても、SDSの代わりに適用除外シートを出せます(公開ヘルプより)。
この記事では、何が変わるのか、マーカーで聞かれる項目、回答のあとの審査の流れ、先にそろえておく書類を、公式お知らせと公開ヘルプに沿って整理しました。最初の一歩は、自分が出品しているマーカー・筆記具を一覧にし、メーカーの安全データシート(SDS)があるかを確かめることです。
① 10月26日から何が変わるか:4カテゴリの出品で、危険物(hazmat)の質問に答える
2026年9月25日(米国時間)のセラーセントラル公式お知らせ「New compliance questions for dangerous goods listings apply October 26」の内容は次のとおりです。
- 2026年10月26日から、対象カテゴリで出品を新しく作るとき、または既存の出品を編集するときに、新しい質問への回答が必要になる
- 目的は、危険物を見分けること、使える配送方法を増やすこと、不要な廃棄の費用や手数料を減らすこと
- 正確で漏れのない回答は、出品が遅れずに公開される助けになる
対象のカテゴリと、聞かれる内容は次の4つです。
| カテゴリ | 聞かれる内容 |
|---|---|
| 冷蔵庫・エアコン・冷凍庫など | 冷媒ガスの性質 |
| ショックアブソーバー(衝撃吸収材)・サスペンションのリフトサポート | 衝撃を吸収する仕組み |
| マーカーと筆記具 | インクの性質 |
| プール・スパの水処理用品(プール用薬品) | 化学的な組成と包装 |
既存の出品は、次に作成・編集したときに質問が表示されます(告知より)。なお告知は既存の出品について「2026年8月31日より前に対応する必要はない」とも書いていますが、告知の投稿は2026年9月25日(米国時間)で、この日付は投稿の時点ですでに過ぎています。
② マーカー・筆記具で聞かれる3項目:インクベース・マーカーのタイプ・DG例外認定
告知が回答の参考として案内している公開ヘルプ「Dangerous goods (hazmat) required information and documentation」には、マーカーの必須情報として次の3つが載っています(2026年10月5日閲覧)。
- インクベース(Ink Base):商品のインクに使われている主な基材を選ぶ
- マーカーのタイプ(Marker Type):マーカーの用途に応じて、商品に合う種類を選ぶ
- Amazon DG例外認定(Amazon DG Exception Certification):商品が、該当する危険物規制の免除または例外を満たしていることを証明する
選択肢の一覧は、ログインせずに見られる公開ヘルプには載っていません。実際に何を選べるかは、出品の画面で確認することになります。
同じヘルプによると、危険物かどうかの質問に「はい」または「不明」と答えた場合は、UN番号、重量・容量、GHSの絵表示を求められ、可能であれば安全データシート(SDS)のURLと引火点も記載するよう案内されています。UN番号と引火点は、SDSかメーカーから入手できるとしています。
③ なぜインクを聞くのか:手がかりは「引火点」
公開ヘルプは、商品の可燃性は引火点で判断されるとし、引火点を摂氏(℃)で記載するよう求めています。
米国の危険物の規則(49 CFR 173.120)は、引火点が60℃(140°F)以下の液体を、原則として可燃性液体(クラス3)と定めています(例外の規定があります)。インクは液体なので、そのインクの引火点がいくつかが、危険物に当たるかどうかを分ける材料の1つになります。
つまり、マーカーや筆記具がすべて危険物になるわけではありません。どのインクを使った商品かを、メーカーの資料に沿って正しく答えることが求められている、ということです。インクの引火点や基材は、商品ごと・メーカーごとに違います。ご自身の商品が危険物に当たるかどうかの判断は当社では行いません。メーカーのSDSで確認するか、メーカーにお問い合わせください。
④ 回答のあとの流れ:審査は2営業日、情報が欠けるとFBAの出品が作れない
公開ヘルプによると、出品を作成した後、またはFBAに切り替えた後の危険物の審査は2営業日(月〜金・祝日を除く)です。これは情報が完全で正確な場合で、書類が差し戻されて出し直すと、そこからさらに2営業日かかります。
- 必要な情報が欠けていると、出品の作成やFBAへの切り替えができない
- 情報が不完全・不正確・食い違っている場合は、販売が止められ、追加の情報を求められることがある(すでにFBAにある商品では、FBAでの販売が止められることがある)
- すでにフルフィルメントセンターにある在庫が危険物の可能性ありと判断された場合はメールで通知され、14営業日以内に書類を出す必要がある。出さないと、在庫は出品者の費用で廃棄される
求められる書類は、安全データシート(SDS)か適用除外シート(Exemption sheet)の一方または両方です。ヘルプが挙げる条件は次のとおりです。
| 書類 | 使える場面 | 条件 |
|---|---|---|
| 安全データシート(SDS) | 化学品を含む商品 | 作成・更新から5年以内/新しいGHSの危険有害性の情報を含む/商品名とメーカー名(ブランド名)が商品詳細ページと一致/16項目すべてを含む |
| 適用除外シート | 電池・電池で動く商品/有害な化学品を含まない商品だけ | Excelのまま提出。2つの区分に当たらない商品で出すと却下される |
セットやキットで、化学品を含む商品を複数まとめて出品する場合は、含まれる商品ごとにSDSが必要です(公開ヘルプより)。
⑤ 米国にマーカー・筆記具を輸出するには:通関・手続きの全体像
Amazonの出品の質問とは別に、マーカー・筆記具を日本から米国へ送ることにも手順があります。順に見ていきます。最初の一手——商品を一覧にして、SDSを集めるところまでは、費用も申請も要りません。
- 出品している(出品する)マーカー・筆記具を一覧にする。商品ごとにメーカー名・商品名を控えます。次の手順でSDSと突き合わせる材料になります。
- メーカーのSDSを集め、条件を確かめる。作成・更新から5年以内か、商品名とメーカー名(ブランド名)が商品詳細ページと一致しているか、16項目がそろっているかを見ます。インクの基材と引火点は、ここに書かれています。
- 出品の画面で、インクの質問に答える。SDSやメーカーの資料に沿って答えます。SDSは、セラーセントラルの「危険物の分類を管理する」から「書類をアップロード」で提出します(公開ヘルプより)。審査は2営業日です。
- HTSコードを決める。米国の関税率表(HTSUS)では、フェルトペンその他の多孔質のペン先のペンとマーカーは 9608.20です。一般税率(General)は4%で、特恵税率(Special)の欄には日本(JP)が「Free(無税)」として載っています(米国国際貿易委員会のHTS検索、2026年10月5日閲覧)。ただし日本原産品は、HTS 9903.05.49 により、関税率が12.5%未満の品目は12.5%になります(一部の例外品目を除く・同じHTS検索で確認)。9608.20の日本原産品は、この12.5%に当たります(→米国の追加関税は7/24から新制度へ)。ほかの筆記具は別の番号になるので、商品ごとに確認します(→自分の商品の関税が分かるHTSコードの調べ方)。
- 原産国表示を整える。米国に輸入される外国産の物品には、最終購入者が分かるように英語で原産国を表示します(→米国の原産国表示ルール)。
- インボイスを作る。品名・数量・単価・HTSコードを、実際の商品に合わせて書きます(→米国通関で止まらないインボイスの作り方)。
- 米国側の輸入者(IOR)を決める。AmazonはIORになりません(→Amazonは輸入者にならない――IOR(輸入者)の解説)。なお、IOR番号そのものの取得・更新(CBP Form 5106 の提出)は当社では承っておりません。提出できるのは輸入者ご本人か、IORと直接POAを結んだ米国の通関ブローカーです。
- 輸送の方法を決めて、FBAへ納品する。SDSで危険物に当たる商品は、輸送の条件も変わります。危険物かどうかで、送れる手段と梱包・表示が変わるためです。
⑥ 当社の見方:書類がそろっている出品者ほど、早く出せる
ここからは当社(WorldShift)の見方です。
日本の文具は米国でも人気があります(→米国で日本の文具が人気/日本の万年筆が静かなブーム)。インクの性質を確かめておけば、ペン・マーカーも出品を進めやすくなります。
今回の変更は、マーカー・筆記具の出品をやめさせるものではありません。告知の説明では、危険物を見分け、使える配送方法を増やし、不要な廃棄の費用や手数料を減らすための仕組みです。答えるための材料(SDS)を先にそろえておけば、10月26日以降に出品を作る・直すときに、手が止まりません。
逆に、SDSが手元に無いまま出品を作ろうとすると、回答できずに出品が進まない、という形でつまずきやすいと当社は見ています。年末商戦に向けて新しいマーカーを出品する予定がある方は、10月26日より前にSDSの入手をメーカーに依頼しておくのが一つの方法です。
10月26日の前に、出品しているマーカー・筆記具を一覧にし、メーカーごとにSDSを集めておきます。届いたSDSは①作成・更新から5年以内か、②商品名とメーカー名(ブランド名)が商品詳細ページと一致するか、③16項目がそろっているか、の3点を見ます。商品名が出品と違うSDSは食い違いとして扱われやすいので、メーカーが公開しているSDSの商品名・ブランド名に、出品の表記をそろえておくと、審査(2営業日)での差し戻しを減らせます。
よくある質問
- 危険物(hazmat/Dangerous Goods):発火・漏れなどのおそれがあり、輸送・保管・廃棄が規制される物品。Amazonは出品の情報や書類から、商品が危険物に当たるかを審査する。
- 安全データシート(SDS):化学品の性質・危険性・取り扱い方などを16項目で記した書類。メーカーまたは輸入者が作る。旧称は製品安全データシート(MSDS)。
- 引火点:液体から出る蒸気に火がつく最も低い温度。米国の危険物の規則では、60℃以下の液体が原則として可燃性液体(クラス3)になる。
- 適用除外シート(Exemption sheet):電池・電池で動く商品と、有害な化学品を含まない商品に限って、SDSの代わりにAmazonへ出せる書類。Excelのまま提出する。
- インクベース(Ink Base):インクに使われている主な基材。Amazonがマーカーの出品で選ばせる項目の1つ。
インクの質問に答えるのは、出品者ご自身です。危険物に当たるかは、メーカーの安全データシート(SDS)の内容とAmazonの審査で決まります(SDSはメーカーから入手します。個別の商品が危険物に当たるかの判断は当社では行いません)。そのうえで、SLC(SHiFT-Logistics Center)は、日本から米国AmazonへのFBA納品と、HTS分類・インボイス作成・通関の手配をお手伝いします。危険物の扱いが必要な商品の輸送もご相談いただけます(取り扱えるかは商品の内容によります)。
- Amazon セラーセントラル 公式お知らせ『New compliance questions for dangerous goods listings apply October 26』(2026年9月25日・2026年10月5日閲覧)
- Amazon セラーセントラル 公開ヘルプ(米国)『Dangerous goods (hazmat) required information and documentation』(2026年10月5日閲覧)
- Amazon セラーセントラル 公開ヘルプ(米国・日本語表示)『危険物(hazmat)に必要な情報および文書』(2026年10月5日閲覧)
- 米国国際貿易委員会(USITC)HTS検索『9903.05.49』(日本原産品・2026年10月5日閲覧)
- 米国連邦規則 49 CFR 173.120「Class 3—Definitions」(eCFR)
- 米国国際貿易委員会(USITC)HTS検索『9608.20.00.00』(2026年10月5日閲覧)

