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米国で日本の完成品フィギュア需要拡大 大人のコレクターがけん引

18歳以上の玩具支出は12%増。輸出はHTS分類と「大人向け」の表記が要点

米国では大人のコレクターが日本のフィギュアを買い求めている(画像はイメージ)

米国で、日本の完成品フィギュア(観賞用)の需要が広がっている。けん引しているのは大人のコレクター(kidult)で、米国の18歳以上による玩具の支出は2025年第1四半期に12%増え、約18億ドル(約2,880億円)と最大の伸びを示した。ねんどろいど・figma・スケールフィギュアが動き、限定品やスケール品は高い値段で取引され、転売の対象にもなっている。

輸出では、関税分類(HTS)と、「児童製品」として扱われないための「大人向け」の表記・売り方が要点になる。なお、同じガンダムでも、組み立てて作るガンプラ(プラモデル)は別のカテゴリーの商品だ。

けん引役は大人のコレクター

米国の玩具支出で最も伸びたのは18歳以上の層で、2025年第1四半期に12%増の約18億ドル(約2,880億円)だった。

背景には2つの変化がある。

  • CrunchyrollやNetflixでアニメを見る人が増え、ファン層が一気に広がった
  • 販売の約半分がオンラインになり、海外のニッチな商品にも手が届くようになった

円の金額は1ドル≒160円で換算した目安。

主役は観賞用の完成品

売れているのは、飾って楽しむ完成品のフィギュアだ。Good Smile Company(ねんどろいど・figma)、Kotobukiya(ARTFX)、Banpresto(プライズ)などが層を作っている。限定品やスケール品は希少性から高単価になり、転売の対象にもなる。

『鬼滅の刃』『推しの子』など話題作の新作が出るたびに予約が殺到し、「飾る・集める」体験への支出が市場を押し上げている。同じガンダムでも、組み立てるガンプラ(プラモデル)は別のカテゴリーに当たる。

販路と価格帯

主な販路は、Amazon・BigBadToyStore・Crunchyroll Store・eBayと専門店だ。価格帯は種類によって大きく違う。

米国での価格帯のイメージ(1ドル≒160円換算)
種類価格帯特徴
スケールフィギュア約16,000〜48,000円超高単価
ねんどろいど/figma約8,000〜11,200円人気の価格帯
プライズ系約3,200〜6,400円数が出る

価格帯はイメージで、シリーズや限定品かどうかで変わる。

世界市場は2031年に31.5億ドルの予測

調査会社Valuatesの一例では、世界のアニメフィギュア市場は2024年の23.6億ドルから、2031年には31.5億ドル(約5,040億円)に広がると予測されている。

市場規模は調査会社によって大きく幅がある(数億〜百億ドル)。

関税分類:HTS 9503は多くが無税

米国の関税分類(HTS)で、玩具・縮尺模型は9503の項に入り、多くは無税だ。人間を象った「人形」も含め、9503の品目は現行のHTSで多くが無税となっている。

人間でないキャラクターの像については、「人形」ではなく「玩具」(無税)に当たるとした判例(Toy Biz判例)がある。

「児童製品」に当たるかが分かれ目

CPSC(米消費者製品安全委員会)は、主に12歳以下向けの製品を「児童製品」とし、第三者試験を前提とした適合証明(CPC)を求める。一方で、高価・限定・精巧・壊れやすい・ディスプレイ用の品は、児童製品と区別される。

スケールフィギュアを13歳以上向け・観賞用として、年齢表記・パッケージ・販売方法まで一貫させれば、児童製品の第三者試験は原則不要になる。ただし、CPSCは年齢表記だけでなく、パッケージ・宣伝・一般消費者の認識などを合わせて総合的に判定する。子ども向けに見えるパッケージだと児童製品の扱いに戻り、試験が必要になる。

2026年7月8日からは、CPSCの証明のeFiling(電子での提出)が義務になった。児童製品として扱われる商品は、証明のデータの提出が必要になる。年齢表記とパッケージ・販売の実態が分類の判断を左右する点は変わらない。

模倣品と少額免税の停止

米国に出回るフィギュアには、正規品を型取りした複製品(リキャスト)や海賊版もある。正規品かどうかは、ホログラム・ロゴ・価格が確かめる手がかりになる。

また、少額の貨物を免税にする仕組み(デミニミス)は停止されている。

解説

「大人向け」を表記から売り方まで一貫させる

米国のフィギュア需要を支えているのは、自分のために買う大人の層だ。アニメのファンが広がり、オンラインで海外の商品にも手が届くようになったことで、日本の完成品フィギュア、とくに高単価のスケール品や限定品が売りやすい状況になっている。日本から米国へ売る事業者にとっては、価格帯の高い商品ほど1個あたりの売上が大きく、狙いやすい市場と言える。

輸出で最初に決めたいのは、商品を「大人向けコレクター品」として位置づけることだ。年齢表記(13歳以上)、パッケージ、商品ページの説明や宣伝まで、観賞用であることを一貫させておけば、児童製品の第三者試験は原則要らない。逆に、パッケージや写真が子ども向けに見えると児童製品として扱われ、試験と証明データの提出が必要になる。CPSCは総合的に判断するため、表記だけ整えても十分とは限らない点には注意が要る。

あわせて、調達は正規のルートに絞り、ホログラムやロゴで真贋を確かめてから仕入れたい。デミニミスが停止されている今は、少しずつ個別に送るより、ある程度まとめて米国へ輸入するほうが手続きを整理しやすい。HTSは9503で多くが無税だが、児童製品に当たるかどうかの判断も、通関の結果も当局が決めるもので、売れ行きや利益が約束されるわけではない。

(ワールドシフト編集部)

キーワード解説
  • kidult:玩具を自分のために買う大人の層を指す言葉(kids+adult)。
  • HTS 9503:米国の関税分類で、玩具・縮尺模型の項。多くは無税。
  • Toy Biz判例:人間でないキャラクターの像は「人形」ではなく「玩具」(無税)に当たるとした判例。
  • 児童製品:主に12歳以下向けの製品。第三者試験を前提とした適合証明(CPC)が要る。
  • CPC:児童製品適合証明(Children's Product Certificate)。第三者試験が前提。
  • 大人向けコレクター品:高価・限定・観賞用などの品。CPSCは児童製品と区別する。
Q&A:よくある質問
米国で日本のフィギュアを買っているのは誰ですか?
けん引しているのは大人のコレクター(kidult)です。米国の18歳以上による玩具支出は2025年第1四半期に12%増え、約18億ドル(約2,880億円)と最大の伸びでした。
米国ではどのくらいの価格で売られていますか?
イメージですが、プライズ系が約3,200〜6,400円、ねんどろいど・figmaが約8,000〜11,200円、スケールフィギュアが約16,000〜48,000円超です。シリーズや限定品かどうかで変わります。
フィギュアのHTS分類は何ですか?
玩具は9503系で、多くは無税です。人間を象った「人形」も含め、現行のHTSでは多くが無税です。
児童製品の第三者試験は必須ですか?
大人向けコレクター品(13歳以上向け・観賞用)として、表記・パッケージ・販売方法まで一貫させれば、原則不要にできます。CPSCは表記だけでなく見た目や売り方も含めて総合判断するため、子ども向けに見える演出は避けてください。
2026年7月8日に何が変わりましたか?
CPSCの証明のeFiling(電子での提出)が義務になりました。児童製品として扱われる商品は、証明のデータの提出が必要です。
模倣品が心配です。どう見分ければよいですか?
正規のルートで調達し、ホログラム・ロゴ・価格で真贋を確認します。リキャスト(複製品)や海賊版に注意してください。
ガンプラも同じ扱いですか?
組み立てて作るガンプラ(プラモデル)は、観賞用の完成品フィギュアとは別のカテゴリーの商品です。
出典本記事は、米国の玩具支出データ(Circana)、Bandai Namcoの決算、CPSCの児童製品の定義と事業者向けの案内(Children's Products Business Guidance)、CPSCの児童製品の定義についての法律事務所の解説などをもとに、事実を整理したものです。世界のアニメフィギュア市場の規模はValuatesの一例で、調査会社によって大きく幅があります。価格帯はイメージで、シリーズや限定品かどうかで変わります。円の金額は1ドル≒160円で換算した目安です。児童製品に当たるかは、CPSCが年齢表記・パッケージ・宣伝などを総合して判断します。「解説」は当社(WorldShift)の意見で、売れ行きや売上・利益、通関の結果やCPSCの判断を保証するものではありません。最新の数字は各レポート、規制はCPSCの公式情報をご確認ください。

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