米国で海苔の需要が拡大 寿司と健康志向の軽食で
業界推計で、米国の海苔スナック小売は2025年に約3.2億ドル規模

米国で海苔(nori)の需要が伸びている。寿司が定着したうえ、低カロリーで植物性の軽食としても店の棚に並ぶようになった。業界推計によると、米国の海苔スナック(seaweed snacks)の小売市場は2025年に約3.2億ドル規模だ。
量販の海苔スナックでは、韓国系のブランドが先行している。一方、寿司・おにぎり用の焼き海苔や高級な味付け海苔は、日本産の品質が生きる領域だ。
海苔や乾物を米国へ売るには、食品としての手続きが要る。
寿司の定着と軽食の人気が追い風
米国で海苔の需要が伸びている背景は、2つある。
- 寿司・おにぎりの定着。米国では寿司が日常の食事になった。巻き寿司・手巻き寿司・おにぎりに使う焼き海苔の需要が、底堅く伸びている。
- 健康志向の軽食としての人気。海苔は低カロリーで植物性で、うま味もある。ポテトチップスに代わる軽食(ヘルシースナック)として、味付け海苔や海苔チップスが一般の小売店に広がった。
大手のスナックメーカーが、海藻の風味をつけた商品群を模索する動きもある。海苔は主流の食品になりつつある。
米国の海苔スナック小売、推計3.2億ドル
業界推計によると、米国の海苔スナックの小売市場は2025年に約3.2億ドル規模だ。1ドル≒160円で換算すると、約512億円になる。推計には幅がある。
世界の海苔スナック市場も伸びている。Grand View Researchなど各社の推計では、世界の海苔スナック市場は年率約11%で成長が続いている。
数値は業界レポートの概況で、調査の範囲や年によって差が出る場合がある。
量販は韓国系が先行、焼き海苔は日本産に評価
海苔の生産と加工は、日本・韓国・中国が中心だ。米国は海苔を輸入に頼っている。
量販の海苔スナックでは、韓国系のブランドが先行している。一方、寿司・おにぎり用の焼き海苔や高級な味付け海苔では、有明海産など日本産の品質と香りが評価されている。
海苔・乾物は食品として手続きが要る
海苔や、昆布・わかめ・かつお節などの乾物は、米国へ「食品」として送る。医薬品のような承認は要らないが、食品としての手続きが要る。主な手続きは次のとおりだ。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 関税の分類(HTSコード) | 食用の海藻は、1212項に分類される。味付けや加工をした品は、2008項など別の項になることがある。 |
| FDA食品施設登録 | 製造・加工をする施設を、FDAに登録する。登録は2年ごとに更新する。 |
| 事前通知(Prior Notice) | 食品が米国に着く前に、FDAへ通知する。怠ると、貨物が留め置かれる原因になる。 |
| 重金属の管理 | 海藻は無機ヒ素とカドミウムをため込みやすいため、検査と産地の管理で備える。 |
| 英語の表示 | 原材料・正味量・アレルゲン・製造者を英語で示す。味付けに使う大豆や小麦などは、アレルゲンとして示す。健康への効能はうたわない。 |
| 米国での保管 | FBAを使えば、在庫を米国に置ける。 |
品質で選ばれる焼き海苔から、手続きを整えて
量販の海苔スナックでは、韓国系のブランドが先行している。日本の事業者が勝負しやすいのは、寿司・おにぎり用の焼き海苔や高級な味付け海苔のように、品質と香りで選ばれる領域だと当社はみている。有明海産のように産地を示せる商品は、その違いを伝えやすい。
準備は次の順で考えると迷いにくい。まず、商品の関税の分類(HTSコード)を確かめる。焼き海苔と味付け海苔では、分類が変わることがある。次に、製造・加工をする施設のFDA登録と、到着前の事前通知を整える。英語の表示では、味付けに使う大豆や小麦をアレルゲンとして示し、健康への効能はうたわない。海藻は無機ヒ素とカドミウムをため込みやすいため、検査と産地の管理も先に考えておきたい。施設登録は2年ごとの更新が要るが、一度整えた手続きはその後の出荷にも生かせる。
市場の数字は業界の推計で、幅がある。売上や利益を約束するものではない。手数料・送料・関税を引いて利益が残るかを商品ごとに計算し、少ない数から始めたい。
(ワールドシフト編集部)
キーワード解説
- 海苔(nori):寿司・おにぎり・スナックに使う海藻。米国で需要が広がっている。
- 焼き海苔・味付け海苔:寿司・おにぎり用の焼き海苔と、味付けをしたスナック向けの海苔。日本産は香りと品質で評価されている。
- 海苔スナック(seaweed snacks):味付け海苔や海苔チップスなど、海苔を使った軽食。米国ではポテトチップスに代わる低カロリーの軽食として広がった。
- FDA食品施設登録:食品を米国へ送る施設に求められるFDAへの登録。2年ごとに更新する。
- 事前通知(Prior Notice):食品が米国に着く前に、FDAへ行う通知。怠ると、貨物が留め置かれる原因になる。
- 無機ヒ素・カドミウム:海藻がため込みやすい重金属。検査と産地の管理で備える。
Q&A:よくある質問
- 米国の海苔スナック市場は、どれくらいの規模ですか?
- 業界推計によると、米国の海苔スナックの小売市場は2025年に約3.2億ドル規模です。1ドル≒160円で換算すると約512億円で、推計には幅があります。世界の海苔スナック市場も、各社の推計で年率約11%の成長が続いています。
- 米国で海苔の需要が伸びているのはなぜですか?
- 主な背景は2つです。寿司・おにぎりが米国で日常の食事として定着したことと、海苔が低カロリーで植物性の軽食として一般の小売店に広がったことです。
- 米国の海苔スナックで、日本産の海苔は有利ですか?
- 量販の海苔スナックは、韓国系のブランドが先行しています。一方、寿司・おにぎり用の焼き海苔や高級な味付け海苔は、日本産の品質と香りが評価される領域です。
- 日本から米国へ海苔を売るのに、特別な許可は要りますか?
- 医薬品のような承認は要りません。ただし食品としての手続きが要ります。FDA食品施設登録、事前通知(Prior Notice)、英語の表示、重金属の管理です。
- 海苔の米国の関税分類(HTSコード)は何ですか?
- 食用の海藻は1212項に分類されます。味付けや加工をした品は、2008項など別の項に分類されることがあります。
- 海苔を米国へ送るとき、重金属で気をつけることはありますか?
- あります。海藻は無機ヒ素とカドミウムをため込みやすいため、検査と産地の管理で備えます。
- この記事の海苔の市場の数字の出典はどこですか?
- Fortune Business Insights や Grand View Research などの業界の市場レポートです。記事末尾の出典からご確認いただけます。FDAの手続きは、FDAの公式の案内で最新の内容をご確認ください。




