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通関ルール米国通関輸入差止知的財産

米337条の排除命令、名指しされていない輸入者にも効く

マクセル対Samsungで26年7月1日に勧告、違反は未確定。命令の種類で止まる範囲が違う

米国には、知的財産を侵害する物品の輸入を止める制度がある(画像はイメージ)

米国際貿易委員会(ITC)の行政法審判官は2026年7月1日、マクセルがSamsungを訴えた案件で、関税法337条の違反に関する初期判断を出した。あわせて、違反が認定された場合の救済として、Samsung向けの限定的排除命令と販売停止命令(CDO)を勧告した。違反の有無はまだ確定しておらず、最終判断はこれからITCの委員会が下す。

マクセル(Maxell)は7月10日に2件目の申立ても出し、7月15日に連邦官報で公示された。

337条(Section 337)は、特許などを侵害する物品の輸入を止める米国の輸入差止の制度だ。337条の排除命令は、名指しされた会社だけを縛るものではない。限定的排除命令(LEO)は、被申立人が作った品なら、誰が輸入しても国境で止める。一般排除命令(GEO)は、製造元も輸入者も問わない。米国では2024年12月31日時点で141件の排除命令が有効だ。

マクセル対Samsung、違反はまだ確定していない

マクセルとSamsungの間で動いている案件は2件ある。進み具合は大きく違う。

1件目は調査番号337-TA-1432だ。マクセルが2024年12月17日に申し立て、2025年1月に調査が始まった。2026年7月1日、行政法審判官(ALJ)が337条違反に関する初期判断を出した。同時に、違反が認定された場合の救済と保証金について勧告した。勧告の中身は、Samsung向けの限定的排除命令と販売停止命令だ。ITCは7月8日、公共の利益に関する意見の募集を連邦官報で公示した。締め切りは8月6日だ。

2件目はDocket No. 3922だ。マクセルが2026年7月10日に申し立て、7月15日に連邦官報で公示された。対象は「特定のモバイル電子機器」だ。マクセルは限定的排除命令と販売停止命令、60日の大統領審査の間の保証金を求めている。申立てが受理された段階で、調査の開始はこれからだ。

公示は一貫して「委員会が違反を認定した場合には」という条件つきで書かれている。ALJの初期判断が違反を認めたかどうかは、公示からは読み取れない。「Samsungの侵害が認められた」「輸入禁止が決まった」は、現時点で確定した事実ではない。

ALJの初期判断は1審目の判断にあたり、ITCの委員会が見直す。委員会が違反を認定して初めて排除命令が出る。そのあと大統領による60日の審査を経て確定する。この審査は実務上、米通商代表部(USTR)に任されている。審査の間は、保証金を積めば通関できる。

マクセル対Samsungの2件の経過
日付出来事
2024年12月17日マクセルが1件目を申し立て。2025年1月に調査番号337-TA-1432として調査開始
2026年7月1日1件目でALJが初期判断を出し、違反が認定された場合の限定的排除命令・販売停止命令を勧告
2026年7月8日1件目で、ITCが公共の利益に関する意見の募集を連邦官報で公示
2026年7月10日マクセルが2件目を申し立て(Docket No. 3922)
2026年7月15日2件目を連邦官報で公示した。2件目の意見の期限は、公示から8暦日とされた。
2026年8月6日1件目の公共の利益に関する意見の締め切り
この後ITCの委員会が違反の有無を最終判断。その後、60日の大統領審査を経て確定

関税ではなく「入れさせない」337条

337条は米国の関税法の条文だ。他社の特許や商標、著作権などを侵害する物品について、米国への輸入そのものを止める。関税を上乗せする制度ではない。

調査するのはITCで、国境で命令を執行するのは米税関・国境警備局(CBP)だ。救済の手段は大きく2つある。国境で輸入を止める「排除命令」と、米国内にある在庫の販売を止める「販売停止命令(CDO)」だ。USITCの集計では、2024年12月31日時点で141件の排除命令が有効だ。

関税は払えば通る。排除命令は、払っても通らない。

対象は特許に限らない。登録商標、登録著作権、半導体のマスクワーク、船体のデザインも対象になる。包括的な規定により、トレードドレスや営業秘密も入る。偽造品は、登録商標の侵害としてそのまま対象だ。並行輸入品も対象になり得るが、正規品と「実質的な差異」があることの立証などが要り、無条件ではない。

限定的排除命令は「誰が作ったか」で決まる

誤解が多いのは限定的排除命令(LEO)だ。「限定的」が絞るのは、輸入する人ではない。作った人だ。被申立人とは、調査で名指しされた相手方を指す。

ある案件の命令文は、2つの場合に対象品を排除すると書く。被申立人が、または被申立人のために海外で製造した場合と、被申立人が、または被申立人のために輸入した場合だ。2つは「または」でつながる独立した条件で、被申立人が作っただけで条件を満たす。輸入するのが無関係の第三者でも、その荷物は国境で止まる。

CBP自身もこの立場をとる。2024年6月20日付のCBPの裁定は、限定的排除命令でも、侵害が認定された当事者にとどまらない広い範囲に及ぶとした。被申立人が作った侵害品を別の主体が輸入した場合にも排除する、というITCの見解も引いている。

限界もある。連邦巡回控訴裁判所は2008年のKyocera事件で、被申立人以外が作った下流製品まで限定的排除命令で排除する権限はITCにない、と判断した。線を引くのは「誰が作ったか」で、「誰が輸入したか」ではない。

今回勧告されたのは、Samsung向けの限定的排除命令だ。仮に違反が認定されて命令が出れば、Samsungが作った対象品は、誰が輸入しても止まり得る。Samsung以外が作った品は、この限定的排除命令の範囲に入らない。

個人で使う分や少額の荷物の例外もない。法律上の適用除外は、米国政府による使用だけだ。

3つの命令は誰の何を止めるか
命令何に効くか止まる範囲
限定的排除命令(LEO)限定的排除命令は、国境で物に効く限定的排除命令では、被申立人が作った対象品なら、誰が輸入しても止まる。被申立人以外が作った品には及ばない
一般排除命令(GEO)一般排除命令は、国境で物に効く一般排除命令では、製造元も輸入者も問わず、対象品目が止まる。調査の当事者でなくても拘束される
販売停止命令(CDO)販売停止命令は、名宛人という人に効く販売停止命令では、名宛人が米国内に持つ在庫の販売・宣伝が止まる。名宛人は被申立人とその関係会社・販売代理店などで、無関係な第三者のFBA在庫には及ばない

限定的排除命令が輸入者を問わず効くという点は、ITCとCBPが実際に採っている運用だ。条文は「違反する者が輸入した物品」と書いており、この読み方を正面から認めた連邦巡回控訴裁の判決は見当たらない。ただ、国境で執行するのはCBPで、輸入者にとっては今の運用がそのまま現実になる。

一般排除命令は製造元も輸入者も問わない

一般排除命令(GEO)は、製造元も輸入者も問わず、対象の品目を丸ごと止める。連邦巡回控訴裁は2004年のVastfame Camera事件で、輸入する者が調査の当事者だったか、当事者と関係があったかを問わずに適用されると述べた。名指しも、被申立人との取引も要らない。

一般排除命令は珍しくない。USITCの統計では、2006〜2025会計年度に出た排除命令242件のうち、79件が一般排除命令だった。約3件に1件(33%)にあたる。残る163件は限定的排除命令だ。

日用品での実例もある。調査番号337-TA-1124の対象は、ナイトライト付きのコンセントのカバープレートだった。この案件の一般排除命令をめぐる2023年12月20日のCBP裁定は、AmerTac社が被申立人として名指しされていなかったと明記した。そのうえで、輸入者である同社に、自社製品が特許を侵害しないことの立証を求めた。

結論は「立証責任を果たしていない」だった。同社のナイトライト付きプレートなど5製品が、一般排除命令の対象と判断された。名指しされていない会社が、日用品で、自社製品を米国に入れられなくなった例だ。

国境では、立証の責任は輸入者の側にある。通常の特許訴訟では、侵害を主張する側が立証する。国境ではこれが逆になり、輸入者が「侵害していない」ことをCBPに示さなければならない。

販売停止命令は名指しした相手の米国内在庫を止める

販売停止命令(CDO)は、すでに米国内に入った在庫の販売や宣伝を止める命令だ。排除命令は国境で止めるので、日本にある在庫は送らなければ済む。米国内に在庫を置くFBAでは、CDOで止まるとすればFBAの在庫そのものになる。

ただし、CDOは誰にでも出る命令ではない。条文(19 U.S.C. §1337(f)(1))は、CDOを「本条に違反している者、または違反していると考えられる者」に出し、送達すると定める。相手を名指しして出す「対人」の命令だ。337-TA-1124でも、一般排除命令とあわせて4件のCDOが出たが、宛先は被申立人4社とその関係会社だった。

排除命令とCDOでは、効き方が正反対になる。排除命令は物に対して効く。対象の品なら、名指しされていない人が輸入しても止まる。CDOは人に対して効く。命令の名宛人に当たらなければ、その人のFBA在庫には及ばない。条文は、欠席した被申立人への救済について「その者に限る」とも明記している。

名宛人に当たり得るのは、被申立人と、被申立人のために動く者だ。実際の命令は、被申立人のほかに役員、従業員、代理人、ライセンシー、販売代理店、支配下の関連会社、承継人にも及ぶと書くのが通例だ。被申立人のために、または被申立人と共に行為する限りで及ぶ。被申立人と取引のある販売者は、社名が命令に書かれていなくても範囲に入り得る。

海外のオンライン出品者が被申立人として名指しされた例もある。ある案件の公示は、調査に参加しなかった一部の被申立人にCDOを出したと明記している。条文は、被申立人が欠席した場合、申立書の事実を真実と推定し、請求があれば救済を「出さなければならない(shall)」と定める。連邦巡回控訴裁も2018年のLaerdal Medical事件で、この「shall」は一義的で、公益上の考慮だけを条件にITCに救済を義務づけると判断した。名指しされたのに応答しなければ、反論しないまま欠席でCDOが確定する。

CDOに違反したときの制裁金には上限がある。19 U.S.C. §1337(f)(2)は、制裁金が次の額を「超えない」と定める。1日あたり10万ドルと、その日に輸入・販売した物品の国内価値の2倍の、いずれか高い方だ。10万ドルは約1,600万円にあたる(1ドル=160円で換算)。上限の定めで、必ずこの額が科されるわけではない。ただし違反1回ごとではなく、1日ごとに積み上がる。これはCDO違反の制裁金で、排除命令の違反に対するものではない。

ITCが出す救済命令の数は、CDOのほうが多い。2025会計年度はCDOが46件、排除命令が18件(限定的16件、一般2件)で、約2.5倍だった。2006〜2025会計年度の累計でも、CDOの545件に対し、排除命令は242件だ。ただ、CDOは名指しされた被申立人の数だけ出る。1件の調査に被申立人が複数いれば、その数のCDOが出る。名指しされていない人に及ぶ命令が増えている、という意味ではない。

ITCが出した救済命令の数(会計年度別、USITC統計)
会計年度販売停止命令(CDO)排除命令(限定的+一般)
2023会計年度CDOは33件排除命令は13件
2024会計年度CDOは38件排除命令は11件
2025会計年度CDOは46件排除命令は18件(限定的16件、一般2件)
2006〜2025会計年度の累計CDOは累計545件排除命令は累計242件

CDOは排除命令とあわせて出ることが多い。米国内にかなりの在庫や事業拠点を持つ被申立人に対し、排除命令だけでは救済が骨抜きになる場合に出される。

米国へ輸出する前に、排除命令の一覧を確かめる

米国へ商品を送る前の確認は、いつもの通関準備に、排除命令の確認を1つ足す形になる。順に並べると次のとおりだ。

  1. 関税の分類(HTSコード)。まず商品の関税分類を確定する。
  2. 品目ごとの規制。食品・化粧品のFDA、製品安全のCPSC、無線のFCCなど、品目ごとの規制に当たらないかを確かめる。
  3. 排除命令の一覧。USITCは「現在有効な排除命令の一覧」を公開している。無料で、ログインせずに誰でも見られる。命令ごとに全文のPDFがあり、対象品目の定義まで読める。
  4. 迷ったらCBPの事前裁定。CBPの排除命令執行部門(EOE Branch)に事前裁定を求められる。根拠は19 C.F.R. Part 177だ。設計を変えた製品が既存の排除命令の対象外と認められた例もある。立証するのは申請者の側だ。
  5. 原産地の表示と通関書類。品名を具体的に書き、Made in Japanの恒久的な表示を整える。
  6. 輸入者(IOR)。FBAは米国内の在庫が前提で、Amazonは輸入者にならない。誰が通関の主体になるかを先に決める。

CBPには「IPR e-Recordation」という知的財産の登録制度もある。ただ、登録できるのは商標と著作権だけで、特許は登録できない。CBP自身が、米国特許商標庁に登録された特許はCBPに記録できないとしている。このため、特許にもとづく337条の排除命令は、ここを調べても出てこない。見るべきなのは、USITCの排除命令の一覧(Outstanding Exclusion Orders)だ。

誤って対象品を送っても、初回からいきなり没収にはならない。まず通関が拒否され、書面で通知が来る。通知を受け取った後に同じ品をもう一度入れようとすると、没収に進む(19 C.F.R. §12.39)。

大統領審査の間に保証金を積んで通した貨物にも決まりがある。ITCの違反の認定が確定した後、CBPからその貨物の輸入を拒否する通知が届く。その通知の日から30日以内に、税関の監督下で輸出するか廃棄しなければならない。期限の起点は、命令の確定日ではなく通知の日だ。

解説

「訴えられていない」は安全の理由にならない

当社は、この制度で最も危ないのは「自分は名指しされていない」という思い込みだとみている。限定的排除命令は、被申立人が作った品なら誰が輸入しても止める。一般排除命令は、製造元すら問わない。コンセントのカバープレートのような日用品でも、名指しされていない輸入者の製品が止められた。スマホの特許紛争に見えても、仕組みは日本から米国へ売る事業者にも関わる。

一方で、この制度が止めるのは、他社の特許や商標などを侵害する物品だ。扱う商品がどれにも当たらなければ関係はない。注意が要るのは、扱う品目が既に排除命令、とくに一般排除命令の対象なのに、気づかず仕入れてしまう場合だ。これは事前に気づける。USITCの一覧は無料で、ログインも要らない。見えない地雷ではなく、公開された一覧だ。

確認は次の順で考えるとよい。まず仕入れの前に、USITCの一覧で扱うブランドと品目を確かめる。他社ブランドを仕入れて売る転売・並行輸入の事業者は、この確認を飛ばさないことが大切だ。CBPのIPR e-Recordationに載っていなくても、特許の排除命令が無いことにはならない。判断に迷えば、CBPの事前裁定という公式の手段がある。

万一ITCから書類が届いたら、放置してはいけない。応答しなければ、反論しないまま欠席で販売停止命令が確定する。通関で拒否の通知が届いたときも、中身を確かめないまま再送するのが最も重い結果につながる。

マクセル対Samsungの2件は、まだ手続きの途中だ。ITCの委員会の判断が出るまでは、「輸入禁止が決まった」という情報をうのみにしないことだ。

(ワールドシフト編集部)

キーワード解説
  • Section 337(337条):米国関税法337条。知的財産を侵害する物品などの米国への輸入そのものを止める制度。関税をかける制度ではない。
  • ITC(USITC、米国際貿易委員会):337条の調査を行い、排除命令や販売停止命令を出す独立機関。国境で命令を執行するのはCBP。
  • 被申立人(respondent):337条調査で名指しされた相手方。限定的排除命令(LEO)の範囲は、この相手方が作ったかどうかで決まる。
  • 限定的排除命令(LEO):被申立人が作った侵害品の輸入を止める命令。「限定的」なのは製造元で、輸入する人ではない。
  • 一般排除命令(GEO):製造元も輸入者も問わず、対象品目の輸入を止める命令。調査の当事者でなくても拘束される。
  • 販売停止命令(CDO):米国内にある在庫の販売や宣伝を止める命令。違反している者、または違反していると考えられる者を名指しして出す対人の命令で、名指しされていない第三者の在庫には及ばない。
  • 初期判断(Initial Determination):ALJ(行政法審判官)が出す1審目の判断。これだけでは確定せず、ITCの委員会が最終判断する。
Q&A:よくある質問
米ITCのマクセル対Samsungの337条案件で、2026年7月15日時点でSamsungの侵害は認められたのですか?
いいえ、確定していません。2026年7月1日にALJ(行政法審判官)が337条違反に関する初期判断を出し、あわせて「違反が認定された場合の」救済として限定的排除命令と販売停止命令を勧告した段階です。連邦官報の公示も一貫して「委員会が違反を認定した場合には」という条件つきの書き方です。違反の有無はITCの委員会が最終判断し、その後さらに60日の大統領審査があります。
Samsungの製品を扱っていなければ、米国の337条の排除命令とは関係ないですか?
この2件そのものは直接は関係しません。勧告されたのはSamsung向けの限定的排除命令で、出たとしても範囲はSamsungが作った対象品です。ただ、仕組みは他人事ではありません。限定的排除命令は被申立人が作った品なら誰が輸入しても効き、一般排除命令は製造元も問いません。排除命令は2024年12月31日時点で141件が有効です。扱う商品が既存の命令の対象品目に当たれば、名指しされていなくても国境で止まります。仕入れの前にUSITCの一覧で確かめてください。
米国の337条の排除命令は、個人で使う分や少額の荷物なら止められずに済みますか?
いいえ。337条の排除命令には、個人で使う分の例外も、少額の例外もありません。法律上の適用除外は、米国政府による使用だけです。
米国の337条の排除命令が出たら、FBAで既に米国内にある在庫はどうなりますか?
排除命令は国境で止める命令なので、既に米国内に入った在庫には及びません。米国内の在庫の販売を止めるのは販売停止命令(CDO)ですが、これは「本条に違反している者、または違反していると考えられる者」に出す対人の命令です(19 U.S.C. §1337(f)(1))。被申立人本人や、その関係会社・販売代理店など被申立人のために動く者に当たらない限り、FBAの在庫がCDOで止まることはありません。ただ、海外のオンライン出品者が被申立人として名指しされた例はあり、調査に参加しなかった被申立人にもCDOが出ています。ITCから書類が届いたら、放置しないでください。
337条の販売停止命令(CDO)に違反すると、制裁金はいくらですか?
19 U.S.C. §1337(f)(2)は、1日あたり10万ドル(約1,600万円、1ドル=160円で換算)と、その日に輸入・販売した物品の国内価値の2倍の、いずれか高い方を上限と定めています。上限の定めで、必ずこの額が科されるわけではありません。ただし1日ごとに積み上がります。これはCDO違反に対するもので、排除命令の違反に対するものではありません。
337条の排除命令の対象品を、うっかり米国へ送ってしまったら、いきなり没収されますか?
いいえ、初回からいきなり没収にはなりません。まず通関が拒否され、書面で通知されます。その通知を受け取った後に同じ品をもう一度入れようとすると、没収に進みます(19 C.F.R. §12.39)。大統領審査の間に保証金を積んで通した貨物は、違反の認定が確定した後にCBPから輸入を拒否する通知が届き、その通知の日から30日以内に税関の監督下で輸出か廃棄が必要です。起点は命令の確定日ではなく、通知が届いた日です。
米国の337条の輸入差止は、特許の侵害だけが対象ですか?
いいえ。特許のほか、登録商標、登録著作権、半導体のマスクワーク、船体のデザインが対象で、包括的な規定でトレードドレスや営業秘密も入ります。偽造品は登録商標の侵害としてそのまま対象です。並行輸入品も対象になり得ますが、正規品と「実質的な差異」があることの立証などが要り、無条件ではありません。
337条の排除命令の対象かどうかは、CBPのIPR e-Recordationで調べれば足りますか?
足りません。IPR e-Recordationに登録できるのは商標と著作権だけで、特許は登録できません。特許にもとづく337条の排除命令は、ここには出てきません。USITCが公開している「現在有効な排除命令の一覧(Outstanding Exclusion Orders)」をご確認ください。無料で、ログインは要りません。
出典本記事は、2026年7月15日時点の一次情報(連邦官報の公示、USITCのSection 337統計と排除命令の一覧、米CBPの裁定、19 U.S.C. §1337と19 C.F.R. §12.39の条文、連邦巡回控訴裁の判決)を当社(WorldShift)が整理したものです。日本語は当社の訳です。マクセル対Samsungの2件はいずれも手続きの途中で、337条違反の有無は確定していません。連邦官報の公示は「委員会が違反を認定した場合には」という条件つきで意見を募るもので、侵害の認定や輸入禁止の決定を意味しません。最終判断はITCの委員会が行い、その後60日の大統領審査(実務上はUSTRに委任)を経て確定します。限定的排除命令が輸入者を問わず適用される点は、ITCとCBPが実際に採っている立場です(CBP裁定H338253、ITC Certain GPS Devices, 337-TA-602, Comm'n Op. at 17 n.6)。条文は「違反する者が輸入した物品」という書き方で、この読み方を正面から認めた連邦巡回控訴裁の判決は確認できていません。一般排除命令が当事者以外にも及ぶ点は、連邦巡回控訴裁の判示があります(Vastfame Camera v. ITC, 386 F.3d 1108, 1114)。販売停止命令は同法(f)(1)により名指しして出す対人の命令で、欠席した被申立人への救済は同(g)(1)が「その者に限る」と定めています。ただし実際の命令の条項は、被申立人の役員・代理人・ライセンシー・販売代理店・関連会社などにも及ぶのが通例です。同(f)(2)の制裁金は上限額の定めです。保証金を積んで通した貨物の輸出・廃棄の期限は、19 C.F.R. §12.39(b)(3)によりCBPの通知の日から30日以内です。円換算は1ドル=160円で計算した参考値です。個別の商品が既存の排除命令の対象に当たるかは、USITCの一覧と、必要に応じてCBPの事前裁定(19 C.F.R. Part 177)で必ずご確認ください。「解説」は当社(WorldShift)の意見で、個別の商品が排除命令の対象に当たらないこと、通関の可否、売上・利益を保証するものではありません。

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