米Amazonの新規セラー特典、「5万ドル超」の大半は売上連動
広告などすぐ使える特典は数百ドル規模。売上に応じた還元はブランド登録が条件

米Amazonは、新しく出品を始める事業者向けに「新規セラー特典」を用意している。英語名は New Seller Incentives(NSI)だ。対象国には日本も含まれ、日本を拠点とする出品者(セラー)が米国のAmazon.comで新しく出品する場合も対象になる。特典の潜在総額は5万ドル超とされるが、その大半は売れた分に応じて積み上がる還元で、ブランド登録が条件だ。
特典は2種類に分けて読むと分かりやすい。1つは、登録すれば比較的すぐ使える特典だ。広告やレビュー集め、初回の送料の負担を軽くする。金額は数百ドル規模だ。
もう1つは、実際に売れて初めて積み上がる還元だ。主役は「ブランド売上ボーナス」で、5万ドル超という数字はこの還元を含めた潜在総額にあたる。そのまま振り込まれるお金ではない。
金額はドル建て。円換算は1ドル≒162円(2026年7月16日時点)の目安。
登録後すぐ使える特典
すぐ使える特典は、立ち上げで費用のかさむ広告・レビュー集め・初回の送料に向けたものだ。対象や条件はAmazonの規定による。
| 特典 | 金額 | 条件・補足 |
|---|---|---|
| スポンサープロダクト広告のクレジット | 最大1,000ドル | 対象・条件はAmazonの規定による |
| クーポン費用のクレジット | 50ドル | 対象・条件はAmazonの規定による |
| Vine(初期レビュー集め)のクレジット | 200ドル | ブランド登録をした出品者が対象 |
| 初回のFBA納品の送料クレジット | 最大100ドル | このほかFBA関連のクレジットもある |
| A+コンテンツ(商品ページの強化) | ブランド登録をした出品者は無料 | ブランド登録をした出品者が対象 |
Vineは、Amazonが選んだレビュアーに商品を提供し、最初のレビューを集める仕組みだ。A+コンテンツは、画像や比較表で商品ページを充実させる機能だ。どちらもブランド登録をした出品者向けだ。
「5万ドル超」の大半は売上連動のボーナス
Amazonは特典の潜在総額を「5万ドル超」と示している。1ドル≒162円で約810万円になる。ただし、そのまま振り込まれるお金ではない。
主役はブランド売上ボーナス(Brand Registry Bonus)だ。登録から1年間、自分のブランドの売上のうち最初の5万ドルまでは10%を還元する。それを超えた売上には、100万ドルに達するまで5%を還元する。実際に売れて初めて積み上がる仕組みで、全員が満額を受け取れるわけではない。
5万ドルは、10%の還元がかかる売上の区切りだ。ボーナスの上限ではない。売上が100万ドルに届けば、ボーナスは5万ドルを超え得る。
| 種類 | 受け取り方 | 中身 |
|---|---|---|
| すぐ使える特典 | 登録で付与 | 広告は最大1,000ドル、クーポンは50ドル、送料は最大100ドルなど |
| ブランド売上ボーナス | ブランド登録が条件で、売上に連動 | 登録から1年間の売上のうち、最初の5万ドルまでは10%、その後100万ドルまでは5% |
名前の似た「Brand Referral Bonus」は別の制度だ。Amazonの外から集客した売上にだけ還元がつく。
本命の還元はブランド登録が条件
ブランド売上ボーナス、A+コンテンツ、Vineの3つは、Amazonのブランド登録(Brand Registry)が前提だ。ブランド登録には、原則として自社の商標登録が要る。
ブランド登録には別の締め切りもある。初回の出品から6か月以内だ。
このため、出品者の立場によって効き方が変わる。
- 自社ブランドやOEMで出す出品者。すぐ使える特典に加え、ブランド売上ボーナスまで使える。
- 日本の他社ブランド品を仕入れて売る出品者。中心は、広告・クーポン・送料などのすぐ使える特典になる。自分の商標がなければ、ブランド売上ボーナスは対象外だ。それでも、すぐ使える特典で立ち上げの費用は下げられる。
対象と期間
対象は、新しく出品者として登録した事業者だ。対象国には日本も含まれる。日本を拠点とする出品者が米国のAmazon.comで新しく出品する場合が当たる。すでに出品している事業者が米国のAmazon.comへ新たに進出する場合も対象になる。
手続きの期限は特典ごとに異なる。多くは、最初の対象商品を出品してから90日以内に手続きが要る。ブランド登録の6か月以内のように、別の期限を設けた特典もある。
対象のカテゴリーは以前より広がった。承認を得ていれば、ほぼ全カテゴリーが対象になる方向だ。
すぐ使える特典は取りこぼさず、還元は自社ブランドで狙う
当社は各年の告知を比べ、新規セラー特典はここ数年でも大きく広がったとみている。ただ、大きく見える「5万ドル超」は、売れて初めて積み上がる分が大半だ。すぐ使える特典と、売上に連動する還元は分けて考えたい。
すぐ使える特典は、使わなければ消えるクレジットだ。特典は登録から時間がたつと切れる。登録した直後にやることは2つある。1つ目は、最初の広告予算に広告クレジットを充てることだ。赤字を抑えながら、レビューと最初の売れ行きをつくれる。2つ目は、自社ブランドやOEMで出すなら、初回の出品から6か月以内にブランド登録を通すことだ。これで、ブランド売上ボーナスとA+コンテンツ、Vineを使える側に入る。
立場で割り切ると迷いにくい。他社ブランド品を仕入れて売るなら、売上ボーナスは狙わない。すぐ使える特典で立ち上げの費用を取り戻すことに絞るのが合理的だ。自社ブランドなら、売上ボーナスまで視野に入る。ただし特典の中身はAmazonの規定により変わることがあり、売上や利益を約束するものではない。
(ワールドシフト編集部)
キーワード解説
- 新規セラー特典(NSI):New Seller Incentives。新しく登録した出品者向けに、Amazonが用意する広告・クレジット・売上ボーナスなどのまとまり。
- ブランド登録:Amazon Brand Registry。原則として、登録済みか出願中の商標が要る。A+コンテンツ、Vine、ブランド売上ボーナスの前提になる。
- ブランド売上ボーナス(Brand Registry Bonus):新規セラー特典の1つ。登録から1年間のブランド売上のうち、最初の5万ドルまでは10%、その後100万ドルまでは5%を還元する。
- Brand Referral Bonus:Amazonの外から集客した売上にだけ還元がつく別の制度。名前が似ているので混同に注意。
- Vine:Amazonが選んだレビュアーに商品を提供し、最初のレビューを集める仕組み。ブランド登録をした出品者向け。
- A+コンテンツ:画像や比較表で商品ページを充実させる機能。ブランド登録をした出品者は無料で使える。
Q&A:よくある質問
- 日本を拠点とする出品者も、米Amazonの新規セラー特典の対象になりますか?
- はい。新規セラー特典の対象国には日本が含まれます。日本を拠点とする出品者が米国のAmazon.comで新しく出品する場合や、すでに出品している事業者が米国へ進出する場合が対象です。最新の適用条件はAmazon公式でご確認ください。
- 米Amazonの新規セラー特典の「5万ドル超」は、全部もらえる現金ですか?
- いいえ。大半は、売れた分に応じて積み上がるブランド売上ボーナスです。登録から1年間の売上のうち、最初の5万ドルまでは10%、その後100万ドルまでは5%が還元されます。5万ドルは10%がかかる売上の区切りで、上限ではありません。すぐ使えるのは、広告・クーポン・送料などのクレジットです。
- 他社ブランド品を仕入れて売る出品者にも、新規セラー特典の得はありますか?
- あります。中心は、広告・クーポン・初回の送料などのすぐ使える特典です。ブランド売上ボーナス、A+コンテンツ、Vineは、自分の商標によるブランド登録が要るため対象外になります。
- 新規セラー特典の手続きは急いだほうがよいですか?
- はい。特典は登録から時間がたつと切れます。多くは、最初の対象商品を出品してから90日以内に手続きが要ります。ブランド登録にも初回の出品から6か月以内という別の締め切りがあるため、始めるなら早いほど取りこぼしが減ります。
- ブランド売上ボーナス(Brand Registry Bonus)とBrand Referral Bonusは違う制度ですか?
- 違います。Brand Referral Bonusは、Amazonの外から集客した売上にだけ還元がつく別の制度です。名前が似ているのでご注意ください。
- 米Amazonの新規セラー特典の一次情報はどこですか?
- Amazon公式の新規セラーガイド(sell.amazon.com/grow)と、Seller Centralの新規セラー特典の案内です。記事末尾の出典からご確認いただけます。




