米国の少額免税が停止、1個ずつ送る小口出品者に重く
$800以下も関税と通関の対象に。2026年6月に無期限の規則、法律で2027年の撤廃も決定

米国は2025年8月、$800以下の少額の輸入を無税にする仕組み(デミニミス)を、全世界を対象に停止した。$800以下の荷物も、関税と通関の対象になった。停止は2026年6月、米国税関・国境警備局(CBP)の規則として、期限を定めずに明文化された。日本から1個ずつ商品を送ってきた小口の出品者ほど、採算への影響が大きい。
法律でも、2027年に免税枠を撤廃することがすでに決まっている。元に戻る道は、制度の上で閉じたことになる。
影響が最も大きいのは、eBayやAmazonの自社発送(FBM)で、$800以下の商品を1個ずつ買い手へ直送してきた出品者だ。まとめて大量に送るFBAは事情が違う。もともと$800を超える荷物として正式な通関を通しており、急に不利になるわけではない。
$800以下も関税と通関の対象に
デミニミスは、少額の輸入を無税にし、通関も簡単にしていた米国の制度だ。対象は$800以下の荷物だった。
2025年8月の停止で、$800以下の輸入も関税と通関の対象になった。DHL・UPS・FedExなどの宅配便で送る荷物は、金額が小さくても通関の手続きが要る。
この停止は2026年6月、期限を定めない正式な規則になった。さらに法律でも、2027年に免税枠を撤廃することがすでに決まっている。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2025年8月 | $800以下の免税を、全世界を対象に停止 |
| 2026年6月 | 停止をCBPの規則として、期限を定めずに明文化 |
| 2027年 | 法律で決まった免税枠の撤廃が始まる |
関税は買い手が払うのが原則
関税は本来、荷物を受け取る側が払う。米国の購入者が、配達のときに支払う仕組みだ。
ただ、あとから追加の支払いを求められた買い手は、受け取りを拒んだり、二度と買わなくなったりする。このため実務では、出品者が関税を前払いし、「関税込み」で届ける方式(DDP)が一般的だ。
Amazonでは、関税や通関の費用を出品者が先に負担しないと売りにくい。その分を含めて利益を管理することが要になる。
重いのは1回ごとにかかる決まった費用
小口の出品者に最も効くのは、関税そのものより、1回の発送ごとに決まった額でかかる費用だ。通関の手数料や書類の費用がこれに当たる。
関税は商品の値段に応じてかかる。一方、この決まった費用は1回いくらでかかる。商品が安いほど、1個あたりの負担は重くなる。
逆に、小口の荷物をまとめて1回で送れば、同じ決まった費用を多くの商品で分け合える。1個あたりの負担は軽くなる。
関税分類の確認と輸入者の手配が必要に
通関が要るようになり、出品者の作業も増えた。商品ごとに、関税率を決める分類番号(HTS)を確かめる必要がある。
米国側で通関の責任を負う輸入者(IOR)も決めなければならない。誰が輸入者になるかが決まっていないと、荷物は通関で止まってしまう。
「バラで送る」から「束ねて送る」へ
免税の時代は、1個ずつバラで送るのが理にかなっていた。今は、束ねて送るのが基本になる。当社は、消えたのは米国の需要ではなく、安い品を小さく数で送るやり方のほうだとみている。単価が高く、語れる日本の商品を求める米国の買い手は、今もいる。
たとえば、次のような出品者を考えてみる。当社が支援してきた複数の出品者の歩みをもとに組み立てた、架空の例だ。副業で日本の安い雑貨を仕入れ、米国のAmazonへ1個ずつ送っていた。送るのは小型の国際郵便(eパケット)だ。1個の利益は数百円ほどだった。免税があるうちは、送るほど小さな利益が積み上がった。
免税が止まったあとも、この出品者は最初の1か月、1個ずつ送り続けた。すると注文が止まり始めた。買い手に関税を払わせれば、客が離れる。自分が先に負担すれば、利益が消える。どちらでも行き着く先は同じだった。
| 送るもの | 結果 |
|---|---|
| 1,500円の雑貨を1個だけ | 赤字 |
| 20,000円の商品 | 十分に吸収できる |
※単価が一桁違うだけで、赤字と黒字が入れ替わる。
この例で出品者が変えたのは、次の3つだ。
- まとめて送る。小口の荷物を束ねて1回にし、決まった費用を多くの商品で分け合う。送料を10円削るより、箱を1つ減らすほうがはるかに効いた。
- 売る物を変える。1回の発送の費用を楽に吸収できる品を選ぶ。値段が高く、物語があり、繰り返し買われる日本の品だ。例は金継ぎのキットや切子のグラスである。
- 通関を任せる。通関の手続き、HTSの確認、輸入者の手配は、発送代行などの専門業者に任せる。自分は、売れる日本の商品を選んで出品することに集中する。
この例では半年後、発送する箱の数は減り、利益は増えた。ただし、これは説明のための架空の例だ。同じ結果になるとは限らない。それでも、送り方・商品・手間の3つを組み替えるという考え方は、今日から点検できる。まず、自分の商品の単価と、1回の発送にかかる決まった費用を並べてみることだ。
(ワールドシフト編集部)
キーワード解説
- デミニミス(少額免税):$800以下の少額の輸入を無税にし、通関も簡単にしていた米国の制度。現在は停止中。
- eパケット:小型の国際郵便。少額・小型の越境ECでよく使われてきた。
- HTS:商品ごとの関税の分類番号。これで関税率が決まる。
- IOR(輸入者):米国側で通関の責任を負う者。誰がなるかを決めないと、荷物が通らない。
- DDP:関税や税を送り手が前払いし、「関税込み」で届ける方式。
Q&A:よくある質問
- デミニミス($800の少額免税)はどう変わりましたか?
- 2025年8月に全世界を対象に停止され、2026年6月にはCBPの規則として期限を定めずに明文化されました。$800以下の荷物も関税と通関の対象です。法律でも、2027年に撤廃されることがすでに決まっています。
- 誰がいちばん影響を受けますか?
- eBayやAmazonの自社発送(FBM)で、$800以下の商品を1個ずつ買い手へ直送してきた小口の出品者です。まとめて大量に送るFBAは、もともと$800を超える荷物として正式に通関しているため、急に不利になるわけではありません。
- 関税は誰が払うのですか?
- 本来は受け取る側、つまり米国の購入者が配達のときに支払います。ただ、追加の支払いを嫌う買い手が離れるため、実務では出品者が関税込み(DDP)で送るのが一般的です。その分を含めた利益の管理が要になります。
- なぜ安い商品ほど苦しくなるのですか?
- 通関の手数料や書類の費用は、1回の発送ごとに決まった額でかかるためです。関税は商品の値段に応じてかかりますが、この決まった費用は1回いくらです。商品が安いほど、1個あたりの負担が重くなります。
- どう対策すればよいですか?
- 基本は3つです。小口の荷物をまとめて送り、1回あたりの通関の費用を薄めます。単価が高く、語れる商品に絞ります。通関や輸入者の手配は、発送代行などの専門業者に任せます。




