MPF(米国の通関手数料)とは──10/1改定でFY2027は下限$34.58・上限$670.86に
関税

MPF(米国の通関手数料)とは──10/1改定でFY2027は下限$34.58・上限$670.86に

2026年8月28日 | 出典:連邦官報 CBP告示『Customs User Fees To Be Adjusted for Inflation in Fiscal Year 2027』(2026/7/31・91 FR 48398)+前年度版(2025/7/23・90 FR 34665)+当社(WorldShift)整理(関税)

アメリカの通関手数料が、10月1日に変わる。ただし率は動かない。CBP(米税関)は2026年7月31日の連邦官報告示で、2027会計年度(2026年10月1日から)の通関手数料(COBRA user fees)を公表した。日本の輸出者に効くのはMPF(貨物処理手数料)で、下限が$33.58→$34.58上限が$651.50→$670.86申告額に対する率(0.3464%)は据え置きのため、上がるのは下限と上限だけだ。増える額は1申告あたり$1.00。だが下限に張り付く小さな荷物ほど、この改定がそのまま乗る——そして裏を返せば、FY2027(2026年10月1日〜2027年9月30日)の通関手数料の額は、もう公表されている(関税率やSection 232・301の追加関税は別の制度で、この告示には含まれない)。見積書と原価表を先に直しておけば、10/1の切り替えにそのまま備えられる。

TOPIC
2026/10/1
改定後の額が必要になる日(FY2027)
改定
TOPIC
$34.58
MPFの下限/1申告(FY2026は$33.58)
+$1.00
TOPIC
$670.86
MPFの上限/1申告(FY2026は$651.50)
+$19.36
TOPIC
0.3464% 据え置き
MPFの従価率は変わらない。上がるのは下限と上限だけ

MPF(貨物処理手数料)とは──FY2027は下限$34.58・上限$670.86、率0.3464%

MPF(Merchandise Processing Fee/貨物処理手数料)とは、米国で正式通関(entry)を行うときに1申告ごとにかかるCBPの手数料です。額は申告価額の0.3464%で、下限と上限があります。

FY2027(2026年10月1日〜2027年9月30日)は下限$34.58・上限$670.86。FY2026(〜2026年9月30日)は下限$33.58・上限$651.50でした。率0.3464%は据え置きで、改定されたのは下限と上限の2か所だけです。

関税やHMFまで含めた手数料の全体像はMPF・HMFなど米国輸入でかかる手数料の全体像で扱っています。本記事はそのうちFY2027の額の改定に絞ります。

何がいくら変わるのか

CBPは19 CFR 24.22により、毎年インフレ率(CPI-U)を見て通関手数料を調整することになっています。前年比の上昇が1%を超えると改定され、FY2027はCPI-Uが2.84%上昇したため改定が入りました。告示は、改定後の額が「2026年10月1日時点で必要になる(required as of October 1, 2026)」と書いています。

輸出者に関係する項目を、前年度(FY2026)と並べます。(円は1ドル≒160円換算)

項目FY2026(〜2026/9/30)FY2027(2026/10/1〜)
MPF 下限/1申告$33.58(約5,400円)$34.58(約5,500円)+$1.00
MPF 上限/1申告$651.50(約10.4万円)$670.86(約10.7万円)+$19.36
MPF 従価率0.3464%0.3464%据え置き
クーリエ1個口(ECCF・送り状1本ごと)$1.34(約210円)$1.38(約220円)+$0.04
手動申告・搬出のサーチャージ$4.03(約640円)$4.15(約660円)+$0.12
簡易通関(自動・CBP以外が作成)$2.69(約430円)$2.77(約440円)+$0.08
簡易通関(手動・CBP以外が作成)$8.06(約1,290円)$8.30(約1,330円)+$0.24
簡易通関(手動・CBP職員が作成)$12.09(約1,930円)$12.45(約1,990円)+$0.36

告示は脚注で「引き上げられるのは上限・下限のみで、従価率0.3464%は変わらない」と2か所に明記しています。HMF(港湾維持費・海上0.125%)はCOBRAの対象外で、この改定には含まれません。

率は据え置き──効くのは「小さい荷物」のほう

MPFは申告額の0.3464%ですが、下限上限があります。率で計算した額が下限を下回れば下限額を、上限を超えれば上限額を払う仕組みです。つまり率が据え置きでも、下限に張り付いている荷物は改定額をまるごと受け取ります

下限にちょうど届く申告額を逆算すると、FY2026は約$9,694($33.58÷0.3464%)、FY2027は約$9,983($34.58÷0.3464%)です(当社試算)。1申告あたりの申告額が約1万ドル未満なら、率ではなく下限額を払っているということで、FBAの補充のようにこまめに出す便はここに入ることが多く、10/1以降の増分は1申告あたり$1.00(約160円)にとどまります。

逆に上限に届く申告額は、FY2026が約$188,077/FY2027が約$193,666(当社試算)。ここに達する大口では、増分は$19.36(約3,100円)です。下のグラフは、FY2027の額で「申告額ごとに1申告あたりいくら払うか」を並べたものです。低い側は平ら、高い側も平ら、動くのは真ん中だけ——これがMPFの形で、今回動いたのはその両端の高さです。

$34.58
申告$1,000
$34.58
申告$5,000
$34.58
申告$9,983
$103.92
申告$30,000
申告$193,666〜
FY2027(2026/10/1〜)の1申告あたりMPF(ドル)。$9,983までは下限$34.58に張り付き、$193,666以上は上限$670.86で頭打ち。金額は0.3464%と告示の下限・上限からの当社試算。

増える額は、下限に張り付く便で1申告あたり$1.00、上限に達する大口で$19.36です。年間の申告本数が多いほど積み上がります。いずれにせよ、見積書・原価表に載っている数字が10/1に変わる点は共通です。

数え方が2つある──「1申告ごと」と「1個口ごと」

見落としやすいのが、手数料の数える単位が2種類あることです。

  • MPFは「1申告(entry)ごと」——0.3464%(下限$34.58・上限$670.86)。まとめて1申告にするほど、1個あたりの負担は下がります
  • ECCF(エクスプレス便の手数料)は「送り状(waybill)1本ごと」——$1.38。クーリエで個口を分けて出すほど、そのぶん積み上がります

この2つは適用される場面が違う(正式通関か、エクスプレス便の扱いか)ので単純に足し引きはできませんが、まとめるほど下がる手数料と、分けるほど積み上がる手数料が同居しているという構図は押さえておく価値があります。まとめて1申告にする考え方はデミニミス後の送り方の記事MPF・HMFの全体像で詳しく扱っています。

MPF:Merchandise Processing Fee(貨物処理手数料)。正式通関で申告額の0.3464%。下限・上限あり。
ECCF:Express Consignment Carrier/Centralized Hub Facility Fee。エクスプレス便の送り状1本ごとの手数料。
COBRA user fees:CBPが徴収する通関関連手数料の総称。19 CFR 24.22・24.23で毎年インフレ調整される。
簡易通関(informal entry):少額貨物などに使われる簡易な通関手続き。自動/手動で手数料が異なる。

紙のままだと3倍──簡易通関は手動$8.30・自動$2.77

同じ手続きでも、電子か紙かで単価が変わります。FY2027の簡易通関は、自動(ABI経由)が$2.77に対して手動が$8.30——ちょうど3倍です。CBP職員が作成する場合は$12.45になります。さらに正式通関でも、手動での申告・搬出には$4.15のサーチャージが別に乗ります。

1件あたりの差は数ドルですが、ここは率ではなく件数で効くので、本数を出しているほど差が開きます。紙・手動での手続きが残っているなら、電子化の効きどころはここです。

$2.77
簡易・自動(ABI)
$8.30
簡易・手動
簡易・CBP作成
FY2027(2026/10/1〜)の簡易通関1件あたりの手数料(ドル)。同じ手続きでも電子と紙で3倍の差がある。

正式通関の場合は、手動での申告・搬出に$4.15のサーチャージが別に加算されます(FY2026は$4.03)。

10/1までに直すのは、見積書と原価表の2か所──手順4つ

やることは多くありません。見積書と原価表に固定値で書いてある数字のうち、直すのは下限と上限の2か所だけです。

  1. MPFの下限を $33.58 → $34.58 に。見積テンプレート、原価計算シート、FBAの原価表など、「1申告あたりの通関手数料」を固定値で持っている場所を洗い出して直します
  2. MPFの上限を $651.50 → $670.86 に。1申告あたり19万ドル前後の大口を出している場合に効きます
  3. 率(0.3464%)は触らない。ここを一緒に上げてしまうと、申告額の大きい便で過大な原価を積むことになります
  4. クーリエ主体なら、ECCF($1.34→$1.38)を個口数ぶん見る。MPFと違って「送り状1本ごと」に数えるので、月間の個口数を掛けて見積もります

なお、下限に張り付くかどうかの分かれ目(当社試算で約$9,694→約$9,983)もわずかに動きますが、この帯の増分は1申告$1.00〜$0.00で、下限に張り付く便の$1.00より小さくなります。個別に洗い出す必要はありません——上の3点を直せば足ります。

同じ時期に、CBPは輸入者番号(IOR)の届出情報の検証も始めます(→9/18から始まるIOR番号の検証)。10月前の棚卸しとして、原価表とあわせて一度に片づけておくと二度手間になりません

正式通関(formal entry):通常の輸入申告。MPFが1申告ごとにかかる。
💡 実務のワンポイント

この手の改定で実際に起きる事故は、金額の入れ違いではなく「率まで一緒に上げてしまう」ことです。ニュースの見出しが『通関手数料が上がる』なので、原価シートの 0.3464% を 0.36% などへ書き換えてしまう——申告額$50,000の便なら$173.20が$180になり、本数を出すほど過大な原価が積み上がります。今回動いたのは下限と上限だけで、率は据え置きです。反映するときは「率のセルには触らない」を先に決めてから、下限・上限の2セルだけを直してください。

よくある質問

MPF(通関手数料)はいつから新しい額になりますか?
2026年10月1日からです。告示は「2027会計年度の額は2026年10月1日時点で必要になる(required as of October 1, 2026)」としています。
率(0.3464%)も上がりますか?
いいえ、据え置きです。告示は脚注で「引き上げられるのは上限・下限のみで、従価率0.3464%は変わらない」と明記しています。上がるのは下限($33.58→$34.58)と上限($651.50→$670.86)だけです。
MPFの負担は1申告あたりいくら増えますか?
1申告あたりの申告額が約1万ドル未満なら下限額を払っているので、増分は1申告あたり$1.00(1ドル≒160円で約160円)です。上限に達する大口では$19.36(約3,100円)増えます。いずれも当社試算です。
なぜ毎年変わるのですか?
19 CFR 24.22により、CBPは毎年CPI-U(消費者物価指数)の動きを見て手数料を調整します。前年比の上昇が1%を超えると改定され、FY2027はCPI-Uが2.84%上昇したため改定されました。
クーリエで送る場合はどうなりますか?
エクスプレス便のECCF(送り状1本ごと)が$1.34→$1.38になります。MPFが「1申告ごと」なのに対し、こちらは「個口ごと」に数える点が違います。
HMF(港湾維持費)も上がりますか?
いいえ。今回の告示はCOBRA user fees(19 CFR 24.22・24.23)の改定で、HMF(海上0.125%)は含まれていません。航空便ではそもそもHMFはかかりません。
一次情報はどこですか?
連邦官報『Customs User Fees To Be Adjusted for Inflation in Fiscal Year 2027』(2026年7月31日公開・91 FR 48398)です。前年度(FY2026)の額は同名のFY2026版(2025年7月23日公開・90 FR 34665)にあります。
📘 用語ミニ解説
  • MPF(貨物処理手数料):Merchandise Processing Fee。正式通関で申告額の0.3464%。FY2027は下限$34.58・上限$670.86。
  • COBRA user fees:CBPが徴収する通関関連手数料の総称。毎年CPI-Uでインフレ調整される。
  • ECCF:エクスプレス便の送り状1本ごとにかかる手数料。FY2027は$1.38。
  • CPI-U:米国の消費者物価指数(全都市消費者)。COBRA手数料の年次改定の基準。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

今回の改定は事前に連邦官報で公表された確定値で、しかも率は据え置きです。つまりFY2027(2026年10月1日〜2027年9月30日)の通関手数料の額は、すでに公表されています——価格表と原価計算を先に直しておけば、10/1の切り替えにそのまま備えられます。直すのは下限と上限の2か所だけです(関税率やSection 232・301の追加関税は別の制度で、この告示には含まれません)。関税・MPF・送料まで含めた米国向けの総コストの試算と、FBA納品までの発送実務は当社(SLC・発送代行)がまとめて引き受けます(通関の可否・所要日数・費用は最終的に当局の判断によります)。

金額はいずれも連邦官報の告示(FY2027=91 FR 48398/FY2026=90 FR 34665)の表に記載された値です。下限に届く申告額(約$9,694/約$9,983)と上限に届く申告額(約$188,077/約$193,666)は、告示の従価率と下限・上限からの当社試算で、告示に記載されている数字ではありません。円換算は1ドル≒160円。最新値はCBPの公式情報をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。金額のうち当社試算と明記した箇所は概算で、個別の通関・税務判断を保証するものではありません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。