IEEPA関税が最高裁で違法→還付へ──CBPの『CAPE』で約1,650億ドル返還、約206億ドル処理(5月時点)
関税

IEEPA関税が最高裁で違法→還付へ──CBPの『CAPE』で約1,650億ドル返還、約206億ドル処理(5月時点)

2026年6月30日() | 出典:U.S. CBP・CIT・各法律事務所+当社(WorldShift)整理(関税)
2026/7/7 更新
CAPEがPhase II(第2段階)へ移行し、reconciliation対象の申告まで還付対象が広がりました。6月29日時点でCBPが認証した還付は約710億ドル、ファイル検証を通過した申告は1,810万件。ただし認証されても、受取用のACH口座情報をACEに登録していないと送金されません(現に約8,400件〈8,384件・6/29時点〉の連結還付が口座未登録だけの理由で停止中)。清算確定分は7月末予定のPhase III待ち。詳しくは続報:CAPE Phase II稼働とACH登録の落とし穴で解説。

関税の地図が変わった。2026年2月20日、米最高裁はIEEPAに基づく関税を違法と判断。国際貿易裁判所(CIT)はCBPに約1,650億ドル(≒約26兆円)の還付を命じ、CBPは新システム「CAPE」で2026年4月20日から還付を開始。5月時点で約206億ドル(元本+利息)が処理された。さらに2026年6月29日、CBPはCAPEの対象範囲を拡大——reconciliation(輸入後の事後調整)向けにフラグを立てた申告(entry type 01・02・06)で、まだ調整申告(type 09)を出していないものも還付対象に加わった。輸入者の請求の要点をまとめた。

TOPIC
2026/2/20 違法
米最高裁がIEEPA関税を違法判断
転換
TOPIC
約1,650億ドル
CITが命じた還付規模(≒約26兆円)
TOPIC
CAPEで還付
2026/4/20開始の新システム
TOPIC
約206億ドル処理
5月時点(元本+利息)

何が起きたのか(時系列)

トランプ政権がIEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠に課していた“相互関税”等が、裁判で違法とされ、払い過ぎた関税の還付が動き出しました。

2026/2/20
最高裁がIEEPA関税を違法と判断
その後
CITがCBPに約1,650億ドルの還付を命令
2026/4/20
CBPが新システム『CAPE』で還付受付を開始
2026/5
約206億ドル(元本+利息)が処理段階に
2026/6/29
CAPEの対象を拡大:reconciliation向け申告(type 01/02/06・調整申告09未提出)も対象に

還付の仕組み(CAPE)と対象

CBPは専用システムCAPEで還付申告を受け付けています。第1フェーズは範囲が限定的で、未清算(unliquidated)のエントリー申告から80日以内に清算されたエントリー等が対象です。還付は受理後おおむね60〜90日で、利息も付きます。

2026年6月29日の更新(CSMS 69066837)で対象が一段広がりました。reconciliation(輸入後の事後調整)を予定してフラグを立てた申告(entry type 01・02・06)のうち、まだ調整申告(entry type 09)を提出していないものも、CAPEに含めて還付申告できるようになりました。未清算/申告から80日以内に清算という時間の条件は引き続き同じです。

重要なのは対象は「IEEPAを根拠とする関税」であること。Section 232(鉄鋼・アルミ等)やSection 301(対中)は別根拠このIEEPA違法判断の対象外=存続です。混同に注意します。

IEEPA根拠の関税
違法判断→CAPEで還付対象(利息付き)
Section 232(金属)
別根拠。今回の還付対象ではない(存続)
Section 301(対中)
別根拠。存続
通常の関税(MFN)
もとから適法。還付対象外

“IEEPA分だけ”が還付対象。232/301は別物。

輸入者がやるべきこと:還付請求の全体像

払い過ぎたIEEPA関税は、輸入者(IOR)が請求します。

  1. 該当エントリーの特定:自社(または委託先)の輸入でIEEPA関税を払ったエントリーを洗い出す
  2. CAPEで申告:CBPのCAPEを通じて還付を申告(通関ブローカー経由が一般的)
  3. 清算状況の確認:未清算/清算済みでフェーズ・対象が変わる
  4. 記録の保全:7501(エントリーサマリー)・支払記録を保管
  5. 232/301は別管理:これらは還付対象外なので分けて扱う

通関データの整理・ブローカー連携・輸入者体制はSLC(発送代行)で対応できます(具体的な還付請求は通関士・専門家と連携)。

IEEPA:国際緊急経済権限法。関税の根拠としては違法と判断された。
CAPE:CBPのIEEPA関税還付の申告システム(2026/4/20開始)。
CIT:米国際貿易裁判所。約1,650億ドルの還付を命じた。
清算(liquidation):輸入申告の税額確定。還付フェーズの対象判定に関わる。
reconciliation(調整申告):輸入後に申告内容を事後調整する仕組み。調整申告はentry type 09。
💡 実務のワンポイント

ここで絶対に混同してはいけないのが『どの関税が還付対象か』です。今回の最高裁判断で違法→還付対象になったのは“IEEPAを根拠とする関税”だけ。鉄鋼・アルミ等のSection 232や、対中のSection 301はそれぞれ別の法的根拠で課されており、今回の還付対象ではなく存続します。自社が払った関税の内訳を、エントリーサマリー(CBP Form 7501)で『IEEPA分/232分/301分』に切り分けるのが第一歩。IEEPA分はCAPEで還付請求でき利息も付きますが、フェーズや清算状況で対象が変わるため、通関士と連携して該当エントリーを早めに特定・保全しておきましょう。

よくある質問

何が違法になった?
2026年2月の最高裁判断で、IEEPAを根拠とする関税が違法とされました。
いくら戻る?
CITはCBPに約1,650億ドルの還付を命じ、5月時点で約206億ドル(利息込み)が処理段階です。
232や301も戻る?
いいえ。別の法的根拠で課されており、今回の還付対象外で存続します。
どう請求する?
輸入者がCBPのCAPEで申告します(通関ブローカー経由が一般的)。
2026年6月29日に何が変わった?
CAPEの対象が拡大し、reconciliation向けにフラグを立てた申告(entry type 01/02/06)で調整申告(type 09)が未提出のものも還付申告できるようになりました(CSMS 69066837)。未清算/80日以内の清算という時間条件は同じです。
📘 用語ミニ解説
  • IEEPA:国際緊急経済権限法(関税根拠は違法判断)。
  • CAPE:CBPのIEEPA関税還付システム。
  • CIT:米国際貿易裁判所。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

要点はシンプルです。①還付対象はIEEPA分だけ②CAPEで請求でき利息も付く③232/301は別管理。通関データの整理・エントリーの特定・ブローカー連携・記録の保全まで、当社の発送代行(SLC)が輸入者体制とともにサポート。払い過ぎた関税の取り戻しを、漏れなく・正しく進められます。

制度・対象・処理状況は更新されます。最新・正確な情報はCBP/CITおよび専門家にご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。