
カリフォルニアが化粧品の香料アレルゲン報告を26→80成分に拡大──2026年7月31日が市場投入の節目
香料まわりの表示は、すでに対応が必要な段階です。カリフォルニア州は、州へ報告すべき化粧品の香料アレルゲン(香りの成分のうちアレルギーを起こしうるもの)を26成分から80成分へ大きく拡大しました。EUの規則2023/1545に足並みをそろえたもので、2024年3月下旬の州報告ガイダンス更新で対象リストが80成分に拡大されています(報告の期限は、市場投入分が2026年7月31日、販売継続分が2028年7月31日の2段階)。
実務上の節目は、対象化粧品の『市場投入(placing on the market=その州で最初に売り出すこと)』が2026年7月31日で、この日は既に到来しています。日本のコスメ(J-Beauty)・ヘアケア・入浴剤・香り物をカリフォルニアに新たに送り出すなら、報告はすでに必要です。
何が起きている?──加州が『香料アレルゲン』の報告リストを3倍に拡大
カリフォルニア州の『Fragrance and Flavor Ingredients Right to Know Act of 2020(SB312)』は、化粧品に含まれる香料・着香料の成分を州に知らせる『知る権利』の法律です。この法律にもとづき、州へ報告すべき香料アレルゲンが26成分から80成分へ拡大されました(56成分を追加、2成分を削除)。
この拡大は2024年3月下旬の州報告ガイダンス更新で対象リストが80成分に拡大されたもので、EUの規則2023/1545の内容に整合させたものです。つまり、EU向けにアレルゲン対応をしてきた企業にとっては地続きの話です。
報告先は州公衆衛生局(CDPH)の『California Safe Cosmetics Program』というデータベースで、『どの製品に、どのアレルゲンが入っているか』を登録します。
対応の節目は2段階です。新たに売り出す製品(市場投入=placing on the market)は2026年7月31日、すでに市場に出ている在庫の販売継続(市場提供=making available)は2028年7月31日まで。ここは読み違えやすいところで、同じ2028年7月31日が、カリフォルニアの報告義務の側では「報告の起点」になります——2026年7月31日より前から流通していた製品は、この日から報告の対象です。EUの経過措置では販売を続けられる期限、州の報告では義務が始まる日。同じ日付で意味が逆向きなので、混ぜないでください。2026年7月31日は既に到来しています。次の節目は2028年7月31日です。
なぜ日本の輸出者に効く?──『fragrance一括表示』では済まなくなる
日本の製品ラベルでは、香料を『fragrance/parfum』とまとめて書くのが一般的です。しかしSB312では、対象アレルゲンが一定濃度以上入っていれば、その成分を特定してCDPHに報告する必要があります。
報告のしきい値は製品タイプで分かれます。リンスオフ製品(洗い流すもの=シャンプー・洗顔料など)は0.01%以上、リーブオン製品(塗ったまま残るもの=化粧水・クリームなど)は0.001%以上。リーブオンの方がしきい値が低く、より多くの成分が対象になります。
米国最大市場のカリフォルニアは、事実上の全米基準として機能します。ここに送る以上、香料の中身を把握しておくことが前提になります。
連邦MoCRAと混同しない──『州法・施行済み』か『連邦・準備段階』か
ここが最も間違えやすい点です。連邦のMoCRA(化粧品規制近代化法)にも『香料アレルゲンの個別表示』の話がありますが、それはまだ提案・準備段階です(別記事 article_114 で解説)。
一方で今回のカリフォルニアSB312は州法で、すでに施行済み。市場投入の期限2026年7月31日も到来済みの別レイヤーの話です。『連邦でまだ決まっていないから大丈夫』という理解は、この州法には当てはまりません。
なお前提として、米国で化粧品を売るには連邦MoCRAの施設登録・製品リスティングが別途必要です。SB312はそれに上乗せされる州の報告義務、と整理すると分かりやすいです。
米国にコスメ・香り物を送るには:3ステップ
- 連邦の土台を作る:まずMoCRAの施設登録・製品リスティングを済ませます。これが米国販売の前提です。
- 香料の中身を特定してCDPHに報告:80成分のリストと製品タイプ別しきい値(リーブオン0.001%/リンスオフ0.01%)に照らし、対象アレルゲンを洗い出して州データベースに登録します。ここが今回の実務の山です。
- 物流に載せる:化粧品・ヘアケア・入浴剤・フレグランス系は常温輸送(shelf-stable)が可能です。通関・FBA納品は当社の発送代行(SLC)が支援します(エアゾール香水など危険物は別途注意)。
連邦MoCRAの『香料アレルゲン個別表示』はまだ提案・準備段階です。今回の対象は州法(カリフォルニアSB312)で、こちらは既に施行済みで、市場投入の期限2026年7月31日は到来済みです。別レイヤーなので混同しないでください。
よくある質問
- SB312:カリフォルニア州『Fragrance and Flavor Ingredients Right to Know Act of 2020』。化粧品の香料・着香料成分を州に報告させる法律。
- 香料アレルゲン:香り成分のうち、アレルギー反応を起こしうる特定の物質。SB312で報告対象が26→80成分に拡大された。
- 市場投入(placing on the market):その製品をカリフォルニア州で最初に売り出す行為。この節目が2026年7月31日に設定されている。
どの成分をどのしきい値でCDPHに登録するか──ここが実務の難所です。成分表示の読み解きと英語ラベルの整備は当社(WorldShift)が最短・的確にお手伝いします(州データベース(CDPH)への報告・登録は当社の対応範囲外です。カリフォルニア州公衆衛生局の窓口と専門家にご確認ください)。

