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米国でブラインドボックスが社会現象 大人のコレクターがけん引

Sonny Angelは品薄に。大人の玩具売上は約90億ドル(NPD、2022年・米国)

米国では、中身が見えない箱入りの小さなフィギュアが人気を集めている(画像はイメージ)

米国で、中身が見えない箱入りの小さなフィギュア「ブラインドボックス」が社会現象になっている。日本のDreams社のSonny Angel(ソニーエンジェル)は、2024年4月時点で、全米441の正規取扱店で品薄が続いていた。暗闇で光るSmiski(スミスキー)も、根強いコレクター人気を保つ。

人気を支えるのは、おもちゃを買う大人の層「キダルト(kidult)」だ。調査会社NPD(現Circana)の2022年の調査では、米国のキダルトによる玩具の売上は約90億ドル、円で約1.4兆円に上り、米国の玩具売上の約25%を占めた。

「開けるまで中身が分からない」驚きとSNSでの拡散が結びついた。バッグやスマートフォンに付けて飾る文化として定着している。

開けるまで分からない驚きが人気の核

ブラインドボックスでは、シリーズの中からどれが出るか分からない。目当ての1体や、めったに出ない「シークレット」を狙って、何度も買う人が多い。この集める楽しさが、SNSの開封動画と相性がよかった。

Sonny Angelは、2023年3月以降にTikTokで広まったのをきっかけに、人気に火が付いた。2024年4月時点で、全米441の正規取扱店で品薄が続いていた。

Smiskiは、暗闇で光る仕掛けで、飾る楽しさを広げた。

大人の玩具売上、米国の約25%

買っているのは子どもだけではない。NPD(現Circana)の2022年の調査では、米国のキダルトが米国の玩具売上の約25%、約90億ドルを占めた。ブラインドボックスは、その人気を象徴する商品だ。

日本発のかわいいキャラクターや造形が、大人が自分に買うご褒美やインテリアとして選ばれている。

数字で見る米国の大人向け玩具とブラインドボックス
指標数字と出どころ
キダルトによる玩具の売上NPD(現Circana)の2022年の調査では、米国で約90億ドル(約1.4兆円)だった。
米国の玩具売上に占めるキダルトの割合同じNPDの2022年の調査では、約25%だった。
Sonny Angelの全米の正規取扱店2024年4月時点で、441店で品薄が続いていた。

数値は業界レポート・専門メディアの概況で、指標ごとに単位が違う。円の金額は1ドル≒160円で換算した目安。

フィギュアの関税分類と表示

ブラインドボックスは、多くが「おもちゃ(玩具)」に当たる。関税の分類(HTSコード)では、玩具やフィギュアは9503などに分類される。

表示では、原産国の表示が要る。児童製品に当たる場合は、小さな部品による窒息の注意など、必要な警告の表示も求められる。

米国Amazonのフルフィルメント(FBA)を使えば、在庫を米国に置いて売れる。

児童製品かどうか、12歳以下が分かれ目

輸出で分かれ目になるのは、対象年齢だ。主に12歳以下の子どものために設計され、そう意図された製品は「児童製品」になる。全年齢向けの一般の製品は、12歳の子どもが使っても児童製品には当たらない。

児童製品には、米国の玩具安全規格ASTM F963への適合が求められる。第三者の試験所での試験と、その結果にもとづく適合証明(CPC)も必要だ。

大人のコレクター向けとして売るなら、対象年齢の表示・パッケージ・販促をそろえることが線引きの前提になる。ただし、児童製品に当たるかは表示だけでは決まらず、CPSC(米消費者製品安全委員会)が、対象年齢の表示、パッケージや販促の見せ方、子ども向けと一般に受け止められるか、CPSCが公表する年齢判定の指針を総合して判断する(16 CFR 1200.2)。

実務では、対象年齢を「15歳以上」と表示することがある。CPSCの規則で児童製品になり、第三者試験とCPCが要るのは、12歳以下向けの製品だ(16 CFR 1200.2)。これとは別に、玩具の安全規格ASTM F963は、14歳未満向けの玩具を対象にしている。「15歳以上」は、この二つの年齢より上に余裕を持たせた実務上の表記にすぎない。規則が15歳という線を定めているわけではない。

CPSCは、製品の実態から見て合理的でない対象年齢の表示を考慮しない(16 CFR 1200.2)。実際には子ども向けに設計し販売している製品に「15歳以上」と表示しても、児童製品のルールは避けられない。

CPSCの電子申告、2026年7月8日から義務

CPSCは2026年7月8日から、適合証明データの電子申告(eFiling)を義務にした。対象は、証明書(CPCまたは一般適合証明のGCC)の発行が必要な、CPSCの規制の対象となる消費財だ。こうした品は、米国の通関のときに、適合証明のデータを電子で申告しなければならない。

外国貿易地域(FTZ)を経由する通関では、2027年1月8日から義務になる。

Amazonの出品審査は法令とは別の手続き

Amazonの出品審査は、Amazon独自の手続きだ。法令が求める書類に加えて、Amazon独自の年1回の試験などを求めることもある。CPSCの規制の対象に当たらない商品でも、Amazonから試験結果や証明書の提出を求められることがある。

一方、児童製品のCPCと第三者試験は、Amazonの求めとは別に、米国の法律でも必要な書類だ。

試験を行う第三者試験機関は、CPSCが受理した試験所だ。ISO/IEC 17025の認定を受けた試験所のうち、CPSCがその認定を受理したものが当たる。CPSCは、受理した試験所の一覧を公表している。

解説

「大人向け」は品名から売り方まで一貫させる

米国のブラインドボックス人気は、子どもではなく大人の買い手に支えられている。集める楽しさと開封動画の拡散が重なり、日本発のかわいいキャラクターや造形が、自分へのご褒美やインテリアとして買われている。日本発のキャラクター玩具を扱う事業者にとっては、大きな商機と言える。ただし、人気が続くか、売れ行きや利益が出るかが約束されるわけではない。

輸出の前にやることは2つだ。1つは、その商品が児童製品に当たるかの線引き。もう1つは、当たる場合に試験と証明を用意することだ。落とし穴は、パッケージは大人向けなのに、インボイスの品名だけが子ども用の玩具のままになっている例だ。当社は、インボイスの品名、パッケージの対象年齢の表示、Amazonの商品ページの3か所を同じ対象年齢にそろえておくことを勧める。それでも、児童製品に当たるかはCPSCが表示・パッケージ・販促・一般の受け止め方・年齢判定の指針を総合して判断する(16 CFR 1200.2)ため、そろえれば必ず外れるわけではない。実際に子ども向けに作った商品なら、試験とCPCを用意する前提で計画したい。

どこまでを任せられるか。当社の発送代行(SLC)が引き受けるのは、通関に向けた申告と書類だ。具体的には、インボイスとHTSコードの最適化、製品の実際の設計・対象に合った対象年齢などの申告内容、税関から追加の情報や資料を求められたときの必要書類の案内と提出の手伝い、通関の手配とFBA納品である。第三者試験機関での試験、CPCなどの証明書の作成・取得・提供、Amazonの出品審査で求められる試験結果や証明書の提出は、当社では代行を承っておりません。試験はCPSCが公表する受理済みの試験所の一覧から探し、試験機関・認証機関へ直接依頼してほしい。また当社は、実態と異なる対象年齢の表記や申告の依頼はお受けできない。

(ワールドシフト編集部)

キーワード解説
  • ブラインドボックス:中身が見えない箱に入った小さなフィギュア。どれが出るか分からない驚きで、集める人気を集める。米国で社会現象になっている。
  • キダルト(kidult):おもちゃを買う大人の層。NPD(現Circana)の2022年の調査では、米国の玩具売上の約25%を占めた。
  • 児童製品:主に12歳以下の子どものために設計・意図された製品。全年齢向けの一般の製品は、12歳の子どもが使っても当たらない。
  • ASTM F963 / CPC:米国の玩具安全規格と、それに適合していることの証明(Children's Product Certificate)。児童製品に必要で、第三者試験が前提になる。
  • CPSC eFiling:証明書(CPC/GCC)の発行が必要なCPSCの規制対象の消費財について、適合証明を通関時に電子申告する制度。2026年7月8日に義務になった。FTZ経由は2027年1月8日から。
  • 第三者試験機関:CPSCが受理した第三者の試験所。ISO/IEC 17025の認定を受けた試験所のうち、CPSCがその認定を受理したもの。児童製品を試験し、CPCの根拠となる結果を出す。
Q&A:よくある質問
米国でブラインドボックスのフィギュアはどれくらい人気ですか?
社会現象になっています。日本のDreams社のSonny Angelは、2023年3月以降にTikTokで広まり、2024年4月時点で全米441の正規取扱店で品薄が続いていました。暗闇で光るSmiskiも、根強いコレクター人気があります。
米国の大人向けの玩具(キダルト)の市場は、どれくらいの規模ですか?
NPD(現Circana)の2022年の調査では、米国のキダルトによる玩具の売上は約90億ドル(約1.4兆円)で、米国の玩具売上の約25%を占めました。円の金額は1ドル≒160円で換算した目安です。
ブラインドボックスのフィギュアは、米国で児童製品になりますか?
主に12歳以下の子どものために設計・意図されていれば児童製品になり、ASTM F963の試験とCPC(適合証明)が必要です。大人のコレクター向けに対象年齢の表示・パッケージ・販促をそろえると線引きが変わる場合がありますが、表示だけでは決まらず、CPSCが一般の受け止め方や年齢判定の指針も含めて総合して判断します(16 CFR 1200.2)。
フィギュアの対象年齢を「15歳以上」と表示すれば、米国の児童製品のルールは関係なくなりますか?
表示だけでは外れません。CPSCは、表示・パッケージ・販促・一般の受け止め方・年齢判定の指針を総合して判断し、製品の実態から見て合理的でない対象年齢の表示は考慮しません(16 CFR 1200.2)。第三者試験とCPCが要るのはCPSCの規則で12歳以下向けの製品、玩具の安全規格ASTM F963の対象は14歳未満向けの玩具です。「15歳以上」は余裕を持たせた実務上の表記です。
米国CPSCの電子申告(eFiling)は、玩具の輸入でいつから必要ですか?
2026年7月8日から義務になり、すでに施行されています。証明書(CPC/GCC)の発行が必要なCPSCの規制対象の消費財は、通関時に適合証明のデータを電子で申告します。外国貿易地域(FTZ)を経由する通関は、2027年1月8日からです。
米国Amazonから玩具の試験結果や証明書の提出を求められたら、どうすればよいですか?
試験結果やCPCなどの証明書は、試験機関・認証機関へ直接ご依頼ください。試験所は、CPSCが公表している受理済みの試験所の一覧から探せます。当社(SLC)がお引き受けするのは、通関に向けた申告内容と書類の準備までで、試験結果や証明書の取得・提出の代行は承っておりません。
この記事の数字の一次情報はどこですか?
業界レポートと専門メディアの記事です。キダルトの売上と割合は、NPD(現Circana)の2022年の調査を伝えた報道によります。最新の数字は、記事末尾の出典からご確認ください。
出典本記事は、業界レポートと専門メディアの記事をもとに、事実を整理したものです。キダルトの玩具売上と割合は、NPD(現Circana)の2022年の調査(米国)によります。円の金額は1ドル≒160円で換算した目安です。児童製品に当たるかは、CPSCが対象年齢の表示・パッケージ・販促などを総合して判断します(16 CFR 1200.2)。本記事は一般的な情報提供で、個別の製品が児童製品に当たるか、どの試験・証明が必要かの最終判断ではありません。適合の可否は第三者試験機関・認証機関に、法的な判断が必要な場合は米国の弁護士・通関業者にご確認ください。「解説」は当社(WorldShift)の意見で、売れ行きや売上・利益、児童製品の判定、通関の結果を保証するものではありません。

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