物流ガイド

米国向けは航空便と海上便、どっちを選ぶか
― 保税・ISFまで、輸出者向けの決め方

米国向けの物流は、「航空便か海上便か」と「保税を使うか」の2つでだいたい決まります。決め手は重さと容積・急ぐか・1回に送る量・資金の出方です。海上便を選ぶと、積み込みの前に出す申告(ISF/10+2)が必要になります。このページはその使い分けの見方です。個別の料率や最新の動きは、当社の物流の記事で追っています。

航空便・海上便・保税を選ぶ順番(5ステップ)

1
重さと容積を測る課金の元
2
急ぐか決める日数と値段
3
1回に送る量まとめるか
4
保税を使うか払う時期
5
申告の要件海上はISF

①と②でだいたい決まります。③〜⑤は、決めたあとに費用と手間がいくら乗るかを確かめる段です。いちばん多い失敗は、①を測らずに値段だけで選ぶことです。

① 航空便と海上便の違い ― 日数・課金の元・ISFの有無

軽くて小さい・急ぐものは航空便、重い・かさばる・量がまとまるものは海上便です。航空便はさらに、国際宅配便(クーリエ=DHL・FedEx・UPSなど)EMS、フォワーダー扱いの航空貨物に分かれます。小口で急ぐなら国際宅配便、量がまとまってくると航空貨物や海上便が候補に入ります。海上便だけは、積み込みの前に出す申告(ISF/10+2)が要ります。

航空便|速い・小さい荷物向き

日数が短い。ISFは要りません。軽くて小さいものに向く

海上便|重い・かさばる荷物向き

1個あたりは下がるが日数は長い。積み込み前のISFが要ります

課金の元

どちらも実重量と容積重量の大きいほうで計算されることがあります

手数料の違い

HMF(港湾維持料)は海上だけ。航空便には付きません

⚠ かさばる荷物は、重さではなく容積で課金されます

軽くても大きい荷物は、容積から計算した重さ(容積重量)で課金されることがあります。実際の重さだけで見積もると、請求で合いません。箱に入れた状態の寸法を測ってください。

② 海上を選ぶなら、ISF(10+2)が要る

ISF(10+2)は、米国向けの海上貨物について、船に積み込む前に貨物と取引先の情報を米国税関(CBP)へ出す申告です。輸入者側が出す10項目と、船会社が出す2項目を合わせて「10+2」と呼びます。航空便には要りません。

  • 船に積み込む前に出す申告だと理解した(着いてからではありません)
  • 誰が出すかを決めた(輸入者側の責任。通関業者・フォワーダーに手配してもらう形が一般的です)
  • 出す情報がそろうかを確かめた(仕入先・製造者・荷姿など、社外から集める項目があります)
  • 遅れ・誤りに制裁金があることを、関係者と共有した

提出が遅れたり内容が正しくなかったりすると、制裁金の対象になります。金額と運用は「海上輸送はISF(10+2)が必須」にまとめています。航空便にISFは要りません。

③ 保税倉庫・FTZは「関税ゼロ」ではない ― 払う時期がずれるだけ

保税倉庫・FTZは、関税を払う時期を後ろにずらす仕組みです。保管の費用と出し入れの手間がかかるため、繰り延べで手元に残る現金と釣り合うかで判断します。なお保税倉庫とFTZは別の制度で、使える条件が違います。どちらが使えるかは、提携する通関業者・倉庫の条件によります。

できること

関税を払う時期を後ろにずらせる(売れてから払う形にできる)

できないこと

関税が無くなるわけではありません米国内で売るぶんについては、額そのものは変わりません(再輸出するぶんなど、かからない扱いになる場面は別にあります)

かかるもの

保管の費用と、出し入れの手間・記録

向いている場面

まとめて先に送るが、売れるまで時間がかかる商品

効くのは資金繰りです。売れてから関税を払う形にできるぶん、手元の現金が残ります。ただし保管の費用と手間がかかるので、繰り延べで浮く分と釣り合うかを見てください。くわしくは「米国の保税倉庫・FTZで関税を繰り延べる」に。

④ 送る前に確かめること(実寸・危険物・品名・IOR・採算)

送る前に確かめるのは、実寸と重さ・危険物に当たらないか・インボイスの品名・誰が輸入者(IOR)になるか・関税と手数料を入れた着地の採算の5点です。

  • 商品の実寸と重さを、箱に入れた状態で測った
  • 危険物・特殊梱包が要る商品でないか確かめた(電池・スプレーなど)
  • インボイスの品名を具体的にした(曖昧な品名は止まる原因になります)
  • 誰が輸入者(IOR)になるかを決めた(通関の基本
  • 関税・手数料を着地の採算に入れた

関税額の出し方は「自分の商品の関税額を出す手順」に、FBAへ納品する場合の要件は「米国Amazon FBAの納品要件」にまとめています。

⑤ よくある取りこぼし ― 値段だけで海上を選ぶ/保税で関税が消えると思う

← 値段だけで海上を選ぶ

日数とISFの手間を見ておらず、納期と申告でつまずく

◎ 重さ・容積から決める

測ってから、急ぎ・量・資金の順で当てはめる

保税で関税が消えると思う →

「関税ゼロ」ではなく、払う時期がずれるだけ

分かれ目は、①の実寸と重さを測ったかどうかです。

米国向け物流のよくある質問

米国向けは、航空便と海上便のどちらを選べばよいですか?

重さと容積、そして急ぐかどうかで決まります。軽くて小さい、または早く届けたいものは航空便、重い・かさばる・量がまとまっているものは海上便が向きます。ただし海上便は、積み込みの前に提出する申告(ISF/10+2)が必要で、船が出てから届くまでの日数も長くなります。

ISF(10+2)とは何ですか?

米国向けの海上貨物について、船に積み込む前に、貨物や取引先の情報を米国税関(CBP)へ提出する決まりです。輸入者側が出す10項目と、船会社が出す2項目を合わせて「10+2」と呼びます。提出の期限と、遅れ・誤りがあった場合の制裁金の額は「海上輸送はISF(10+2)が必須」にまとめています。航空便には要りません。

国際宅配便(クーリエ)と航空貨物は、何が違いますか?

どちらも飛行機で運びますが、国際宅配便(DHL・FedEx・UPSなど)は集荷から配達・通関までを1社がまとめて行う小口向けの形で、航空貨物はフォワーダーが空港間の輸送を手配し、通関や国内配送は別に組む形です。小口で急ぐなら国際宅配便、量がまとまってくると航空貨物や海上便が候補に入ります。実際の運賃は時期と条件で変わるため、見積もりで確かめてください。

保税倉庫やFTZを使えば、関税はかかりませんか?

かかります。保税倉庫・FTZは、関税を払う時期を後ろにずらせる仕組みであって、「関税ゼロ」ではありません(米国内で販売する場合。再輸出するぶんなど、かからない扱いになる場面は別にあります)。保管の費用と手間もかかるため、資金繰りの効果と費用を見比べて判断してください。

ワールドシフトのサポート

  • 送り方の見立て:実寸と重さから、航空便と海上便のどちらが合うかを一緒に整理します
  • 危険物・特殊梱包の確認:電池・スプレーなど、確認が要る品目に当たらないかを、仕入れる前に一緒に洗い出します。該当する場合は、必要な書類・梱包の条件を運送人に確認する手順までをご案内します(該非の判定と申告は荷送人の義務、搭載の可否は運送人の判断です)
  • 通関手続きの手配・連携:提携する米国の通関業者と連携し、書類・申告を手配します。分類・税額の最終判断は通関業者・税関によります
  • 洗い出しと見積もりは事前の目安です。最終的な搭載可否・受入可否・税額は、運送人・税関および提携する通関業者の判断によります。実際の運賃は、時期・条件で変わります(関税・通関業者手数料などの実費は別途かかります)
送り方を無料で相談する

※ご相談は無料です。実際の発送では、関税や実費(品目により試験費・危険物取扱・特殊梱包など)が別途かかります。

出典:U.S. Customs and Border Protection — Importer Security Filing (10+2)19 CFR Part 149(Importer Security Filing)19 CFR Part 146(Foreign Trade Zones)。運賃・料率・各社の運用は変わります。実際の手配は、その時点の運送人・通関業者でご確認ください。

※本ページの記載は2026年9月14日時点の情報です。一般的な情報の整理であり、個別の該当可否・法的助言ではありません。該当可否・搭載可否・申告の適否の最終判断は、税関・当局・運送人および提携する通関業者の基準によります。最新・個別の判断は無料相談でご確認ください。