実務の手順

米国向け越境EC、注文から入金までの手順
― 1件の注文を、受注・発送・通関・返品・入金まで回す

売り場と送り方を決めたあと、次に効いてくるのは「1件の注文をどう回すか」です。つまずきやすいのは、関税を誰が払うかの伝え方と返品の戻し方の2つで、どちらも売ったあとでは直せません。このページは、受注から入金までを1件ぶん通して確かめる手順です。売り場・送り方・入金の「決め方」は米国向け越境ECの始め方に、誰が何の責任を負うかは米国で売るとき、誰が何の責任を負うかにあります。

1件の注文を回す6ステップ

1
受注で確かめる届け先・規制・関税
2
書類を作るインボイス
3
発送する送り方を選ぶ
4
通関を通すIORと申告
5
到着まで追う追跡と連絡
6
返品と入金戻し方・受取

①でつまずくと、④と⑥がまとめて崩れます。最初の数件は、売り場の設定と実際の書類を必ず突き合わせてください。

① 受注で確かめる3つ ― 届け先・規制・関税の負担

注文が入ったら、この3つだけは自動で流さず確かめます。どれも、発送してからでは直せません。

  • 届け先の州と住所を確かめた(私書箱・軍事郵便など、送れない形が混ざっていないか)
  • その商品が米国の規制に当たらないかを確かめた(FDA・CPSC・FCC・CITESなど)
  • 関税を誰が払う条件で売ったかを確かめた(売り手元払いか、買い手払いか)
  • 買い手払いなら、買い手に伝わっているかを確かめた(表示・注文確認メール)
⚠ いちばん多いトラブルは「着いてから関税を請求された」

買い手払いの条件で売ると、受け取り時に請求が来ます。これを知らせていないと、受け取り拒否と返品につながります。売り場の表示、注文確認のメール、インボイスの条件の3か所を、同じ内容にそろえてください。

② 書類を作る ― 売り場のデータをそのまま流さない

売り場の商品名は、そのままでは通関の品名になりません。「Anime Figure」ではなく、素材・用途が分かる書き方にします。無償のサンプルでも、価値を書かないと申告になりません。

  • 品名を、素材・用途が分かる書き方に直した(売り場の商品名のままにしない)
  • 単価と数量が、実際の取引のとおりになっている
  • 原産国(作った国)を書いた
  • 取引条件(関税を誰が払うか)が、売り場の表示と同じになっている
  • 無償のサンプル・おまけにも価値を書いた

書類の作り方は「米国の通関書類をそろえる手順」に、止まらないインボイスの実例は「米国通関で止まらないインボイスの作り方」にまとめています。

③ 発送する ― 1件ごとの発送か、まとめて置いた在庫からか

まず前提として、米国の少額免税(デミニミス/800ドルまでの無税)は2025年8月29日に全世界で停止しました。少額でも通常の関税と申告がかかる前提で組んでください(「米国のデミニミス(少額免税)はどうなったか」)。そのうえで、都度発送とFBA(先に在庫を置く)では、1件ごとの手順がまるごと変わります。都度発送は注文ごとに通関が発生し、FBAは納品のときに1回まとめて通関します。どちらを使っているかで、以降の④⑤⑥の中身が変わります。

都度発送

注文ごとに送り、注文ごとに通関が発生します。在庫は日本に置いたまま

FBA(先に在庫を置く)

納品のときに1回まとめて通関。以降の出荷に通関は発生しません

輸入者が変わります

FBAでは出品者自身が輸入者になることが多く、Amazonは輸入者になりません

返品の戻り先も変わります

FBAは米国内に戻り、都度発送は日本まで戻すかを決める必要があります

④ 通関を通す ― 輸入者は誰かを、毎回同じにする

1件ごとに輸入者が変わるような運用にしないでください。買い手を輸入者にする形、自分が輸入者になる形、どちらでもよいのですが、どちらなのかを固定して、書類も入金もその形に合わせることが、続けるうえでいちばん効きます。

  • 毎回同じ人が輸入者になる形にした(1件ごとに変えない)
  • 自分が輸入者になるなら、IOR番号とボンドを用意した(記事208)
  • 他の役所の要件(FDA・CPSCなど)に当たる商品を先に洗い出した
  • 通関を任せる相手(通関業者・発送代行)を決めた(記事74)

⑤ 到着まで追う ― 止まったときに動けるようにしておく

止まる理由の多くは、品名・価格・規制の3つです。止まった連絡が来たときに、誰がどの書類を出すかが決まっていれば、たいていは動かせます。決まっていないと、そのまま返送・廃棄になります。

  • 止まった連絡を誰が受けるかを決めてある(時差があります)
  • 求められる書類(インボイス・証明書・成分表など)をすぐ出せる
  • 買い手への連絡文をあらかじめ用意してある(遅れの説明・関税の説明)
  • 保管料・返送料が発生する期限を把握している

⑥ 返品と入金 ― 戻す道と、受け取る道を先に作る

返品は必ず出ます。米国内に返品先を用意するか、日本へ送り返してもらうかを先に決めてください。単価の低い商品を日本へ戻すと、送料のほうが高くつくことがあります。

米国内に返品先を作る

戻りが早く、送料が小さい。委託先か、自分の拠点が要ります

日本へ送り返してもらう

拠点は要らないが、送料と日数がかかります。単価が低いと引き合いません

出戻りの再輸入

米国から出た商品が戻る場合、米国原産は期限なし・外国原産も輸出から3年以内なら無税で再輸入できる仕組みがあります(海外で加工していないこと。HTS 9801)

入金と両替

売り場の入金サイクル・受け取り方・両替の条件で、手元に残る額が変わります

米ドル売上の受け取りと両替は、手元に残る金額を直接動かします。比較は「越境ECの入金で利益が変わる」にまとめています。

よくある取りこぼし

← 関税の負担を伝えていない

受け取り拒否と返品になります。表示・メール・書類の3か所をそろえる

◎ 品名を書き直す

売り場の商品名を、そのまま通関の品名にしない

返品先を決めていない →

出てから探すと、送料も日数も余計にかかります

分かれ目は、①の3つを自動で流さずに確かめたかどうかです。

米国向け越境ECを回すときの、よくある質問

注文が入ったとき、まず何を確かめますか?

届け先の州、商品が米国の規制に当たらないか、関税を誰が払う条件で売ったかの3つです。とくに関税の負担は、あとから変えられません。売り場の設定と、実際に出すインボイスの条件が食い違っていないかを、最初の数件で必ず突き合わせてください。

関税は、売り手と買い手のどちらが払うのですか?

売るときに決めた条件によります。売り手が元払いする形(DDP)と、届いたときに買い手が払う形があります。買い手払いにすると、受け取り時に請求が来ることを知らなかったというトラブルと返品につながりやすくなります。売り場によっては条件が決まっていることもあります(例:eBayは2025年10月17日から、日本→米国の単価US$2,500未満の貨物にDDPの配送サービスを求めています。くわしく)。

返品が来たら、どう戻せばよいですか?

米国内に返品先を用意するか、日本へ送り返してもらうかの2つです。日本へ戻す場合は送料と日数がかかるため、単価の低い商品では引き合わないことがあります。なお、米国から出た商品が戻ってくる場合、米国原産の商品は期限なし、外国原産の商品も輸出から3年以内であれば、無税で再輸入できる仕組みがあります(海外で加工・改良していないことなどの条件があります。「米国原産品の出戻りは無税で再輸入できる(HTS 9801)」)。

米ドルの売上は、どう受け取るのがよいですか?

受け取り方と両替のしかたで、手元に残る金額が変わります。売り場の入金サイクル、受け取りに使うサービス、両替のレートと手数料の3つをそろえて見比べてください。比較は「越境ECの入金で利益が変わる」にまとめています。

州の売上税(Sales Tax)は、自分で集めるのですか?

売り場によります。AmazonやeBayのようなマーケットプレイスでは、多くの州で売り場の側が集めて納める仕組みになっています。一方、自社ECで直接売る場合は、売った先の州のルールに従って自分で対応することになります。州ごとに基準が違うため、個別の判断は税務の専門家にご確認ください。

ワールドシフトのサポート

  • ✓1件ぶんの流れの設計:受注から入金までを、都度発送とFBAのどちらで回すかに合わせて一緒に組み立てます
  • ✓書類の型づくり:売り場のデータから通関の書類を作る型を用意し、品名・価格・原産国の抜けを出荷前に確かめられる形にします
  • ✓発送と通関のおつなぎ:提携する米国の通関業者におつなぎし、発送と申告のやり取りを引き継ぎます
  • ✓設計と確認は事前の目安です。最終的な申告の適否・税額・通関の可否は、米国税関および提携する通関業者の判断によります。州税の取り扱いは税務の専門家にご確認ください(関税・実費は別途かかります)
越境ECの回し方を無料で相談する

※ご相談は無料です。実際の発送では、関税や実費(品目により試験費・危険物取扱・特殊梱包など)が別途かかります。

出典:U.S. Customs and Border Protection — Entry Summary/U.S. CBP — Requirements for HTS Subheading 9801.00.10/Streamlined Sales Tax — Remote Seller FAQs。各社の条件・州の制度は変わります。実際の運用は、その時点の売り場の規約と、提携する通関業者・税務の専門家でご確認ください。

※本ページの記載は2026年9月15日時点の情報です。一般的な手順の整理であり、個別の該当可否・法的助言・税務助言ではありません。申告の適否・税額・州税の取り扱いの最終判断は、米国税関(CBP)・各州の当局および提携する通関業者・税務の専門家によります。
※当社は通関業者・弁護士・税理士ではありません。税関への申告の代理、税務・法律に関する個別の相談・代理はお受けできません。該当可否の判断や当局とのやり取りが必要な場面では、提携する米国の通関業者・専門家におつなぎします。