FDAの規制は、どういう仕組みでできているか
― 区分・「承認と届出」の段差・水際という3つの層
1. 1本の法律(FD&C法)の下に、性格の違う区分が並んでいる
FDAは「食品の役所」ではありません。連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)という1本の法律の下に、性格の違う区分が並び、それを1つの役所が見ています。同じFDAでも、区分が違えば制度の厳しさがまったく違います。
原則、市販前の承認はありません。施設の登録と、出荷ごとの通知で回します
食品の枠の中の別区分。うたえる表現に制限があります
色素などを除き、市販前の承認は不要。MoCRAで登録とリスティングが入りました(売上が一定規模に満たない事業者は免除の定めあり。扱う製品によっては免除されません)
市販前の審査があります。求められるものが別世界になります
FDAに加えて州ごとの登録が要ることがあります
中身ではなく容器側が規制されます
日本から輸出する方が混乱するのは、日本での区分と米国での区分がそろっていないからです。日本で「化粧品」「雑貨」「健康食品」として売っているものが、米国では別の区分に入ることがあります。
2. 区分を決めるのは、成分の名前ではなく「何のための物か(意図する用途)」
ここが、この制度のいちばん独特な部分です。米国では、その製品が何であるかを、「何を目的とした物か(意図する用途)」で決めます。FDAは化粧品と医薬品の違いについて、うたっているクレーム・買う人の受け取り方・よく知られた治療用途をもつ成分などから、個別に判断するという考え方を示しています。うたい文句がいちばん効きますが、成分だけで医薬品の側に寄ることもあります。
成分名そのものではなく、何を目的とした物か。うたい文句が主な材料ですが、成分も材料になります
パッケージ・商品ページ・広告・SNS。全部が材料になります
「うるおす」なら化粧品、「日焼けを防ぐ」ならOTC医薬品に寄ります
日本で化粧品・雑貨・健康食品でも、米国では別の区分になることがあります
同じクリームでも、「うるおいを与える」なら化粧品、「日焼けを防ぐ」ならOTC医薬品として扱われることがあります。なおうたい文句を消せば必ず化粧品でいられる、という意味ではありません(よく知られた治療用途をもつ成分が入っていること自体も、判断の材料になります)。医薬品になれば、求められるものは別世界です。パッケージだけでなく、商品ページ・広告・SNSの言い方まで含めて区分が決まると理解してください。日本の日焼け止めが米国でOTC医薬品になる話は「米国で日本の日焼け止めが熱望される」に、日本コスメ全体の事情は「米国でJ-beautyが再評価」にあります。
3. 「承認が要るもの」と「届出で足りるもの」の段差
おおまかに言うと、体に作用させることを目的にするものほど、市販の前に審査が入ります。逆に、外見を整えるもの・食べるものは、原則として事前の承認がありません。
医薬品・医療機器。売る前に審査を通す必要があります
食品・化粧品。ただし添加物・色素など、個別に承認が要るものがあります
施設の登録、製品のリスティング、出荷ごとの通知
表示(ラベル)の決まりと、安全でないものを売ってはいけないという義務
化粧品は、色素などを除いて市販前の承認を必要としません。食品も原則として事前の承認はなく、添加物や色素のように個別に承認が要るものが定められている形です。ここを取り違えて「FDAの承認を取ってから売る」と考えると、いつまでも前に進みません。
4. だから「FDA承認済み」と書いてはいけない
登録は、FDAが中身を認めたという意味ではありません。「届け出てある」という意味です。承認の仕組みが無い区分について「FDAが承認した」と受け取れる表示をすることは、実態と違う表示になります。FDA自身が、承認していないものについてFDAの承認をうたわないよう注意を促しています。
「届け出てある」。中身を認めた証ではありません
その区分に市販前の審査がある場合に、それを通したということ
承認の実態がないのに「FDA承認」「FDA公認」と受け取れる表示をすること
買う人が政府のお墨付きがあると誤解するためです
5. 入口が軽いぶん、水際が重い
市販前の審査が無い区分が多いということは、確かめる場所が「入ってくるとき」に寄るということです。FDAは、過去の違反などを理由に、特定の国・製造者・品目からの貨物を検査なしで留め置く扱いにすることがあります。この対象に当たると、こちらの書類が正しいというだけでは通りません。貨物は留め置かれ、違反の疑いを覆す証拠を送る側が用意しなければ入りません。
市販前の審査が無い区分が多いぶん、入ってくるときに確かめる
過去の違反などを理由に、国・製造者・品目の単位で対象になります
対象に当たると留め置かれ、疑いを覆す証拠を出す側が用意しなければ入りません
表示(ラベル)の不備。中身に問題が無くても止まります
実際に止まる理由として大きいのが表示(ラベル)の不備です。中身に問題が無くても、書いてあることが米国の決まりに合っていなければ止まります(「『ラベル不備』はFDA輸入差し止め理由の約4割」)。
6. もう一段 ― 連邦の下に、州がある
FDAを満たしても、それで全部ではありません。ペットフードのように、FDAに加えて州ごとの登録が要る分野があります(「米国の巨大ペット市場に日本のフード・おやつ」)。酒類のようにFDAと別の役所(TTB)が重なる分野もあります(「米国へ酒を売るにはTTBとFDAの二重対応」)。「FDAだけ見ればよい」とは限らないという点は、最後に押さえてください。
7. まとめ ― この制度をひと言で言うと
1本の法律の下に性格の違う区分。決めるのは“うたい文句”
体に作用させるものほど市販前の審査。化粧品・食品は原則なし
入口が軽いぶん輸入時が重い。書類が正しいだけでは通らないことがある
FDA規制の仕組みについて、よくある質問
FDAは、食品の役所ではないのですか?
食品だけの役所ではありません。1本の法律(連邦食品医薬品化粧品法=FD&C法)の下に、食品・ダイエタリーサプリメント・化粧品・医薬品・医療機器・動物用の製品がぶら下がっています。同じ役所が見ていても、区分が違えば制度の厳しさがまったく違うのが特徴です。
「承認が要るもの」と「届出で足りるもの」は、どう分かれていますか?
おおまかに言うと、体に作用させることを目的にするものほど、市販の前に審査が入ります。医薬品や医療機器には市販前の審査があり、一方で化粧品は、色素などを除いて市販前の承認を必要としません。食品も原則として事前の承認はなく、添加物や色素のように個別に承認が要るものが定められています。
区分は、どうやって決まるのですか?
「何をうたうか(意図する用途)」で決まります。成分や剤形だけでは決まりません。FDAは化粧品と医薬品の違いについて、製品の見た目や実際の効き目ではなく、うたっている用途によって区分されるという考え方を示しています。日本で化粧品として売っている日焼け止めが米国ではOTC医薬品になるのは、この仕組みによります。
「FDA登録済み」「FDA承認」と書いてはいけないのですか?
承認の実態がないのに「FDAが承認した」と受け取れる表示をするのは、避けてください。たとえば化粧品は、色素などを除いて市販前の承認の仕組みがありません。FDAは、承認していないものについてFDAの承認をうたわないよう注意を促しています。登録は「届け出てある」という意味であって、中身を認めた証ではありません。
なぜ、水際(輸入時)の扱いがこれほど重いのですか?
入口の審査が軽い区分ほど、出口の水際で確かめる必要があるからです。FDAは、過去の違反などを理由に、特定の国・製造者・品目からの貨物を検査なしで留め置く扱いにすることがあります。この対象に当たると、書類が正しいというだけでは通りません。貨物は留め置かれ、違反の疑いを覆す証拠を送る側が用意しなければ入りません。
ワールドシフトのサポート
- ✓区分の見立て:商品の中身と売り文句から、米国でどの区分に寄るかを一緒に整理します(作る前・仕入れる前からご相談いただけます)
- ✓表示の考え方の整理:その区分で必要になる表示と、うたえる表現の範囲を一緒に確かめます
- ✓通関手続きのおつなぎ:提携する米国の通関業者におつなぎし、FDA向けのデータを含む申告のやり取りを引き継ぎます
- ✓見立てと整理は事前の目安です。区分の判断・登録の要否・表示の適否・輸入の可否の最終判断は、FDAおよび提携する通関業者・専門家によります(登録費・試験費・関税などの実費は別途かかります)
※ご相談は無料です。実際の発送では、関税や実費(品目により試験費・危険物取扱・特殊梱包など)が別途かかります。
ほかの発送ルールガイド
出典:U.S. FDA — FDA Authority Over Cosmetics: How Cosmetics Are Not FDA-Approved, but Are FDA-Regulated/U.S. FDA — Is It a Cosmetic, a Drug, or Both?/U.S. FDA — Importing Food Products into the United States/U.S. FDA — Import Alerts。制度・運用は変わります。
※本ページの記載は2026年9月15日時点の情報です。制度の考え方を整理したもので、個別の該当可否・法的助言ではありません。区分の判断・登録の要否・表示の適否はFDAおよび米国法の専門家の、輸入の可否は米国税関および提携する通関業者の判断によります。
※当社は通関業者・弁護士・税理士ではありません。税関への申告の代理、税務・法律に関する個別の相談・代理はお受けできません。該当可否の判断や当局とのやり取りが必要な場面では、提携する米国の通関業者・専門家におつなぎします。
