実務の手順

FDAの規制品を米国へ送る前の手順
― 区分の確定から、施設登録・ラベル・事前通知まで

FDAが関わる商品でいちばん多いやり直しは、「区分を決めないまま手続きを始めてしまう」ことです。食品・サプリ・化粧品・OTC医薬品・医療機器・ペットフードでは、必要な手続きが1つも同じではありません。しかも米国では、何をうたうかで区分が変わります。このページは、送る前に順番どおり確かめる手順です。論点ごとの解説はFDA規制の論点に、なぜこういう制度なのかはFDAの規制は、どういう仕組みでできているかにあります。

送る前の6ステップ

1
区分を決めるここで全部決まる
2
登録と代理人施設登録・US Agent
3
ラベルを作る米国式に
4
出荷ごとの通知事前通知
5
通関でデータACE経由
6
差止リスト確認Import Alert

①を飛ばすと、②から⑥までが全部やり直しになります。ここだけは、ほかの何より先に決めてください。

① 区分を決める ― ここで、あとの手続きが全部決まる

FDAは「食品の役所」ではなく、複数の区分をまとめて見ている役所です。区分が違えば、登録が要るかどうかも、ラベルの決まりも、出荷ごとの手続きも変わります。

食品・飲料

施設登録と、出荷ごとの事前通知。表示は栄養成分・アレルゲンまで決まっています

ダイエタリーサプリメント

食品の枠の中の別区分。うたえる表現に制限があります(記事17)

化粧品

MoCRAのもとで施設登録と製品リスティング(記事11)

OTC医薬品・医療機器

日本で化粧品・雑貨でも、米国では医薬品・機器になることがあります

動物用(ペットフード)

FDAに加えて州ごとの登録が要ることがあります(記事150)

米国側の輸入者にかかる義務

食品にはFSVP(外国供給業者検証プログラム)という、米国の輸入者が仕入先を検証する義務があります(FDAの論点)

食品に触れる容器・食器

中身ではなく容器側の規制に当たります(食品接触材)

⚠ 商品そのものだけでなく、「売り文句」も区分を決めます

米国では、何をうたうか(意図する用途)で区分が変わります。化粧品のつもりでも「日焼けを防ぐ」「治す」と言えば医薬品(OTC)として扱われることがあり、食品でも効能をうたえば別の区分に寄ります。パッケージ・商品ページ・広告の文言まで含めて、区分を決めてください。

② 登録と、米国内の代理人(US Agent)

区分によっては、作る施設そのものを登録する必要があります。米国向けの食品を作る・詰める・保管する施設は、日本にあっても対象になりえます。化粧品についても、MoCRAという法律のもとで施設の登録と製品のリスティングが求められます。ただしMoCRAには、米国での売上が一定規模に満たない事業者を免除する定めがあります(目の粘膜に常時触れる製品・注射するもの・内服するもの・24時間を超えて外見を変え消費者が通常は落とさないものを扱う施設は、免除されません)。自分が免除に当たるかは、早い段階で確かめてください。

  • その区分で施設の登録が要るかを確かめた
  • 米国内の代理人(US Agent)を決めた(外国の施設には必要になります)
  • 登録の更新の時期を、カレンダーに入れた(落とすと失効します)
  • 工場が複数あるなら、どの施設が対象かを全部並べた
  • 委託製造なら、誰が登録するのかを相手と決めた

食品の施設登録と更新は「米国へ食品を売る第一歩『FDA施設登録』」、化粧品のMoCRAは「米国の化粧品規制MoCRA」にまとめています。

③ ラベルを作る ― 訳すのではなく、作り直す

米国のラベルは、書く項目・順番・文字の大きさまで決まっています。日本のパッケージを英訳しただけでは、項目が抜けたり、並びが違ったりします。ラベルの不備は、FDAが実際に貨物を止める理由として大きな割合を占めます。

  • 米国で必要な表示項目を全部並べた(区分ごとに違います)
  • 英語で表示した(外国語だけのパッケージは回収の理由になります)
  • アレルゲンの表示を、米国の決まりに合わせた
  • 原産国表示を入れた(記事21)
  • うたい文句が、その区分で許されるものに収まっているか確かめた

差し止め理由としてのラベル不備は「『ラベル不備』はFDA輸入差し止め理由の約4割」、実際に回収につながった例は「外国語パッケージの全ユニット回収」にまとめています。

④ 出荷ごとの手続き ― 事前通知(Prior Notice)

施設の登録は「作る側の登録」、事前通知は「1回1回の出荷」についての手続きです。片方をやれば済むものではありません。少額の商業サンプルでも対象になり、人の食品だけでなく動物向けの食品・飼料も対象です。

  • 対象は1回1回の出荷(施設の登録とは別のものです)
  • 少額のサンプルでも対象になります
  • 誰が出すかを決めた(自分か、通関業者か、代理人か)
  • 出すのに必要な情報(製造者・品目・便名など)がそろう段取りにした
  • 出せる期間を押さえた:税関のシステム(ABI/ACE)経由なら到着予定日の30暦日前から、FDAの窓口(PNSI=Prior Notice System Interface)経由なら15暦日前から
  • 締切を押さえた:道路は到着の2時間前、鉄道と航空は4時間前、海上は8時間前を下回らないこと(21 CFR 1.279)

根拠は2002年バイオテロ法(Bioterrorism Act)です。詳しくは「食品輸出はFDA『事前通知』が必須」に。

⑤ 通関で、FDAの申告データを出す

FDAの要件に当たる貨物は、税関のシステム(ACE)を通してFDA向けの申告データも出します。役所は分かれていますが、入口は1つです。逆に言えば、ここが欠けるとその場で止まります。通関側の手順は「米国の通関書類をそろえる手順」にあります。

⑥ 差止リスト(Import Alert)に当たらないか確かめる

FDAは、過去の違反などを理由に、特定の国・製造者・品目からの貨物を「検査なしで留め置く」扱いにすることがあります。これに当たると、こちらの書類が正しいというだけでは通りません。貨物は留め置かれ、違反の疑いを覆す証拠を送る側が用意しなければ入りません。自社・委託先の工場が対象になっていないかは、送る前に確かめてください。

  • 自社・委託先の工場が対象になっていないかを確かめた
  • 同じ品目・同じ国がまとめて対象になっていないかを確かめた
  • 対象だった場合に何をすれば外れるのかを、専門家と確認した
  • 止められたときに誰が対応するかを決めた

よくある取りこぼし

← 区分を決めずに動き出す

登録もラベルも事前通知も、区分が決まらないと確定しません

◎ 売り文句まで含めて区分を見る

うたい方ひとつで、化粧品が医薬品になります

ラベルを英訳で済ませる →

項目・順番・文字の大きさまで決まっています。作り直しです

分かれ目は、①を売り文句まで含めて決めたかどうかです。

FDA規制品を送るときの、よくある質問

何から手をつければよいですか?

「この商品はFDAのどの区分か」を決めることからです。食品・ダイエタリーサプリメント・化粧品・OTC医薬品・医療機器・動物用(ペットフード)では、必要な手続きがまったく違います。区分が決まらないうちに施設登録やラベルに手をつけると、やり直しになります。

同じ商品でも、区分が変わることはありますか?

あります。米国では、何をうたうか(意図する用途)で区分が変わります。たとえば化粧品として売るつもりでも、「日焼けを防ぐ」「肌の悩みを治す」といった言い方をすると医薬品(OTC)として扱われることがあります。日本で化粧品として売っている日焼け止めが米国ではOTC医薬品になるのは、この仕組みによります(「米国で日本の日焼け止めが熱望される」)。商品そのものだけでなく、売り文句も区分を決めます。

施設登録(Food Facility Registration)は、日本の工場にも必要ですか?

米国向けの食品を作る・詰める・保管する施設は、日本にあっても登録の対象になりえます。あわせて米国内の代理人(US Agent)を立てる必要があります。登録には更新の時期が決まっており、更新を落とすと登録が失効します。詳しくは「米国へ食品を売る第一歩『FDA施設登録』」に。

事前通知(Prior Notice)とは何ですか?

米国へ食品(ペットフードなど動物向けの食品を含みます)を商業的に送るとき、荷物ごとに、届く前にFDAへ知らせる手続きです。施設登録が「作る側の登録」なのに対し、事前通知は「1回1回の出荷」について出すものです。少額の商業サンプルでも対象になります(個人が携行する個人使用の食品や、個人が自宅で作って個人的な贈り物として送るものなど、対象外の定めもあります)。詳しくは「食品輸出はFDA『事前通知』が必須」に。

ラベルは、日本のものを英訳すれば足りますか?

足りません。米国のラベルは、書く項目・順番・文字の大きさまで決まっています。日本のパッケージを訳しただけのものは、項目が抜けたり並びが違ったりして、差し止めの理由になります。実際にラベルの不備はFDAの差し止め理由の大きな割合を占めます(「『ラベル不備』はFDA輸入差し止め理由の約4割」)。

「FDA登録済み」と書いて売ってよいですか?

やめてください。登録は、FDAが製品を認めたという意味ではありません。米国では「FDAが承認した」と受け取れる表示を、承認の実態がないのに使うことは問題になります。区分ごとに「承認が要るもの」と「届出で足りるもの」が違う点は、「FDAの規制は、どういう仕組みでできているか」に整理しています。

ワールドシフトのサポート

  • ✓区分の見立て:商品の中身と売り文句から、FDAのどの区分に寄るかを一緒に整理します(仕入れ・製造の前からご相談いただけます)
  • ✓手続きの洗い出し:その区分で、登録・代理人・表示・事前通知のどれが要るかを一緒に並べます
  • ✓通関手続きのおつなぎ:提携する米国の通関業者におつなぎし、FDA向けのデータを含む申告のやり取りを引き継ぎます
  • ✓見立てと洗い出しは事前の目安です。区分の判断・登録の要否・表示の適否・輸入の可否の最終判断は、FDAおよび提携する通関業者・専門家によります(登録費・試験費・関税などの実費は別途かかります)
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※ご相談は無料です。実際の発送では、関税や実費(品目により試験費・危険物取扱・特殊梱包など)が別途かかります。

出典:U.S. FDA — Importing Food Products into the United States/U.S. FDA — FDA Authority Over Cosmetics/U.S. FDA — Prior Notice of Imported Foods/U.S. FDA — Import Alerts/21 CFR 1.279(When must prior notice be submitted)。運用は変わります。実際の手続きは、その時点のFDAの案内と、提携する通関業者・専門家でご確認ください。

※本ページの記載は2026年9月15日時点の情報です。一般的な手順の整理であり、個別の該当可否・法的助言ではありません。区分の判断・登録の要否・表示の適否はFDAおよび米国法の専門家の、輸入の可否は米国税関および提携する通関業者の判断によります。
※当社は通関業者・弁護士・税理士ではありません。税関への申告の代理、税務・法律に関する個別の相談・代理はお受けできません。該当可否の判断や当局とのやり取りが必要な場面では、提携する米国の通関業者・専門家におつなぎします。