FDA規制

日本のレトルトカレー・瓶詰惣菜を米国へ──FDA『低酸性缶詰食品(LACF)』の工程登録が無いと通関で自動差し止め

2026年6月25日 | 出典:FDA(21 CFR 108/113/114/LACFガイダンス)+農水省+当社(WorldShift)整理(FDA規制)

米国で日本のレトルトカレーや瓶詰の惣菜、缶詰など“常温で日持ちする食品”の人気が高まっている。だが落とし穴がある——これらの多くはFDAの「低酸性缶詰食品(LACF)」に当たり、製造所の登録(FCE)と殺菌工程の届出(スケジュールドプロセス)が無いと、現物を検査されることすらなく、自動で通関差し止め(DWPE)になる。逆に言えば——この登録さえ通せば、止まらず継続して出せる

TOPIC
約381億ドル
米国のアジア食品市場(2025・調査/≒6.1兆円)
拡大
TOPIC
2,429億円
日本の対米“食品”輸出(2024実績・前年比+17.8%/米国が1位)
TOPIC
分水嶺はpH4.6
pH>4.6かつaw>0.85の密封常温食品=LACF(ボツリヌス対策)
TOPIC
登録は“二重”
FCE登録とFSMA施設登録は別物。両方必須

なぜ商機?──米国で“日本の常温食品”が定着

米国のアジア食品市場は約381億ドル(2025年・調査、≒6.1兆円)へ拡大し、日本の対米“食品”輸出は2,429億円(2024年実績・前年比+17.8%)で米国が輸出先1位ソース・調味料(カレールウ等を含む)の輸出は+16.9%と伸び、農水省も米国での日本カレー人気を一因に挙げています。レトルトカレー・瓶詰惣菜・缶詰など、常温で日持ちする“すぐ食べられる日本食”に追い風です。

米国の“日本食市場”単独のドル統計は公表が乏しく、対米輸出額・調味料の伸び率が最良の代理指標です。

なぜ規制対象?──レトルトカレーは『低酸性缶詰食品(LACF)』

FDAは、密封容器で常温流通する“酸性でない”食品低酸性缶詰食品(LACF・21 CFR 113)として特別に規制します。定義は「最終的なpHが4.6超、かつ水分活性(aw)0.85超」レトルトカレー・ビーフシチュー・煮物はpHが4.6を十分超え、レトルトパウチ=密封容器で加圧殺菌して常温保存するため、まさにLACFに当たります。(酸を加えてpHを下げた“酸性化食品”は21 CFR 114で別管理)。

境界がpH4.6なのは、これ以下ではボツリヌス菌が毒素を作れないから。だからpH4.6超の常温密封食品は、殺菌工程を国に届け出て管理する義務が生じます。未登録・未届出のLACFは、21 CFR 108に基づき現物検査なしの自動差し止め(DWPE)の対象になります(Import Alert 99-36/37/38)。

レトルトカレー・煮物・缶詰
以前
“普通の食品”として出せると誤解
LACF(21 CFR 113)=FCE登録+工程届出が必須
冷凍・要冷蔵の食品
以前
同じ手続きが要ると誤解
対象外(常温殺菌に依存しないため)
元から酸性(pH4.6以下)
以前
全部LACFと思い込み
酸性食品は対象外(梅干し・一部漬物・果物等)

aw0.85以下の乾物・アルコール飲料も対象外。判定はpHと水分活性で行います。

米国へ出すには──5つの必須手続き

LACFを米国へ出すには、次がすべて必要です。

  1. FCE登録:製造所を「缶詰製造所(Food Canning Establishment)」としてFDAに登録(Form 2541・着手後10日以内)
  2. スケジュールドプロセス届出(SID):製品×容器サイズ×加工法ごとに殺菌条件を届出(登録後60日以内・新製品の出荷前)
  3. 殺菌権威者+BPCS修了の監督者:殺菌条件は資格ある専門家が確立し、監督者はBetter Process Control School修了が必須(21 CFR 113.10)
  4. FSMA施設登録+米国代理人:FCE登録とは“別制度”。偶数年10〜12月に隔年更新
  5. 事前通知(Prior Notice):出荷ごとに到着前申告

「自社のレトルト・瓶詰がLACFか酸性化食品か」の判定から、FCE登録・工程届出・米国代理人・通関まで、当社のFDAサポート発送代行(SLC)で対応します。

LACF:低酸性缶詰食品。pH>4.6・aw>0.85の密封常温食品(21 CFR 113)。
FCE登録:缶詰製造所としてのFDA登録。FSMA施設登録とは別。
スケジュールドプロセス:製品・容器ごとに届け出る殺菌条件。資格者が確立する。
DWPE:現物検査なしの自動差し止め。未登録LACFが対象になる。
💡 実務のワンポイント

最頻の差し止め原因は『FCE登録とFSMA施設登録を同じものと誤認し、片方しか取らない』こと。両者は別制度で、システムも様式も更新ルールも異なり、LACF輸出者は両方必須です。さらにスケジュールドプロセスは“製品×容器サイズ×加工法ごと”の個別届出なので、新フレーバーや新容量を出すたびに追加届出を忘れるとImport Alert 99-37で止まります。もう一つの罠は、殺菌条件を社内で勝手に決めること。殺菌条件は必ず資格ある『殺菌権威者(processing authority)』が確立し、監督者はBPCS(Better Process Control School)修了が21 CFR 113.10で要求されます。日本での豊富なレトルト殺菌実績があっても、FDA様式に沿った工程の確立とBPCS監督者の不在で、届出不備(99-38=不十分な工程管理)になりがちです。

よくある質問

レトルトカレーは本当にLACF?
はい。pHが4.6を十分超え、密封容器で常温保存するため低酸性缶詰食品(21 CFR 113)に当たります。
FCE登録とFSMA施設登録は同じ?
別物です。LACF輸出者は両方必要で、様式も更新ルールも異なります。
新しい味を出すたびに何か要る?
はい。スケジュールドプロセスは製品×容器サイズ×加工法ごとの届出で、新フレーバー・新容量は追加届出が必要です。
対象外になるのは?
冷凍・要冷蔵の食品、元から酸性(pH4.6以下)の食品、水分活性0.85以下の乾物などです。
出典は?
FDA(21 CFR 108/113/114・LACFガイダンス・Import Alert)と農水省統計です。
📘 用語ミニ解説
  • LACF:低酸性缶詰食品(pH>4.6・aw>0.85の密封常温食品)。
  • 酸性化食品:酸を加えてpH4.6以下にした食品(21 CFR 114)。
  • FCE登録:缶詰製造所のFDA登録(Form 2541)。
  • BPCS:殺菌工程の監督者に必須の講習(Better Process Control School)。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

一見ハードルが高く見えますが、要点は『登録と工程届出を正しく揃える』ことだけです。①自社製品がLACFか酸性化食品か対象外かを切り分け、②FCE登録と工程届出(+FSMA施設登録)を済ませれば、以後は止まらず継続して出せます。この判定・登録・工程届出・米国代理人の煩雑さは当社のFDAサポートが代行します。あなたは“米国で評価される日本の常温食品”を選び、出すことに集中できます。

規制はいずれも施行済み。市場規模は民間調査で幅あり。対米輸出額は農水省の実績値です。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。