市場動向

米国で『熊野筆』が高級メイクブラシの代名詞に──世界の有名ブランドにOEM供給。化粧筆は『化粧品』でなく道具で、輸出しやすい

2026年6月28日 | 出典:Grand View Research(メイクツール市場)+メーカー公式(白鳳堂/竹宝堂)+USITC(HTS)+当社(WorldShift)整理(市場動向)

米国のプロのメイクアップアーティストやコスメ愛好家のあいだで、日本の熊野筆(くまのふで)が“高級メイクブラシの代名詞”として定着している。広島県熊野町は約200年の筆づくりの歴史をもち、日本製の化粧ブラシの約8割を生産。白鳳堂(Hakuhodo)は1995年からM.A.C等の海外ブランドへOEM供給し、いまや世界の有名ブランドの筆の作り手として知られる。そして輸出の観点で重要なのは——化粧筆は『化粧品』ではなく『ブラシ(道具)』であること。化粧品本体に課される登録義務が、筆そのものには直接かからず、身軽に出せる

TOPIC
約8割
日本製の化粧ブラシに占める熊野産の割合
産地集中
TOPIC
約41億ドル
世界のメイクツール市場・≒6,600億円(2024/ブラシは最大カテゴリ)
TOPIC
約12億ドル
北米のメイクツール市場・≒2,000億円(2024/年6.6%成長)
TOPIC
化粧品でなく道具
MoCRAの化粧品登録は筆そのものには直接かからない

何が起きている?──なぜ米国で熊野筆が評価されるのか

米国のメイクツール市場は2024年で約41億ドル(≒6,600億円)、そのうちブラシが最大の製品カテゴリ(2023年で売上シェア約42%)とされます(Grand View Research・推計)。北米は約12億ドル(≒2,000億円)で年6.6%成長の見込みです。

この“筆”の世界で日本の熊野が存在感を放ちます。熊野(広島県熊野町)には100社超のブラシメーカーが集まり、日本製の化粧ブラシの約8割を生産。代表格の白鳳堂(1974年創業)は、毛先を切らずに整える手作業の職人技で知られ、1995年にカナダのM.A.C.とOEM契約を結んで以降、世界の有名化粧品ブランドの筆の作り手になりました。竹宝堂(1971年創業)も高級化粧筆に特化し、プロのメイクアップアーティスト向けに実績を重ねています。

評価軸は肌当たり・粉含み・発色。山羊毛や灰リス毛などの天然毛と合成毛を使い分け、高級モデルは1本数十ドル(人気モデルで約50ドル、最高級のファンブラシで約374ドルの実例)TikTok/YouTubeのビューティ動画での露出も、新しい購買層を呼び込んでいます。

1974年
白鳳堂 創業(熊野の手作り筆)
1995年
白鳳堂がM.A.C.とOEM契約→世界の有名ブランドへ
現在
米国のプロ・愛好家に定着/日本製ブラシの約8割が熊野産

市場規模は『メイクツール』基準の第三者推計で幅があります。化粧筆“単独”の数値は調査会社間でばらつきます。

輸出の要点──『化粧品でなく道具』だから身軽。ただし毛と柄は確認

熊野筆の輸出が比較的やさしいのは、化粧筆が『化粧品』ではなく『ブラシ(道具)』だからです。FDAの化粧品の定義は“人体に塗布される物品”で、塗布する道具である筆そのものは化粧品ではないため、化粧品本体に課されるMoCRA(施設登録・製品リスティング等)は筆に直接かかりません。関税面でも、高単価の化粧筆はHTS 9603.30.60に分類され、基本関税(MFN)は無税です。

ただし素材まわりの2点は確認しておくと安心です。天然毛は毛種によってワシントン条約(CITES)のスクリーニング対象になり得ますが、一般的な山羊毛・リス毛は通常そこまで問題になりません。また木製ハンドルは『植物部材』としてリーシー法(Lacey Act)の申告が要る場合があります(竹・木の柄が該当し得る)。加えて、MFN無税でもSection 232/301等の追加関税は品目・原産国で変わるため、出荷時点でHTSの最新を確認します。

化粧筆(ブラシ)
以前
化粧品と同じ重い登録が要ると誤解
道具なのでMoCRAの化粧品登録は筆本体に直接かからない
高単価の化粧筆の関税
以前
高い関税がかかると思い込み
HTS 9603.30.60=基本関税(MFN)は無税
天然毛・木製ハンドル
以前
全部そのまま送れると油断
毛種(CITES)・植物部材の柄(Lacey Act)は要確認
熊野筆:広島県熊野町で作られる筆。日本製の化粧ブラシの約8割を生産する一大産地。
OEM:相手先ブランドによる製造。白鳳堂・竹宝堂は世界の有名ブランドの化粧筆を製造してきた。
MoCRA:米国の化粧品規制現代化法。施設登録・製品リスティング等を化粧品本体に課す。筆(道具)は対象外。

日本の輸出者がやること──3ステップ

  1. 品ぞろえを決める:プロ向けの高級単品か、個人向けのセットか。クルーエルティフリー/合成毛は素材を明記
  2. 素材を確認:天然毛は毛種、ハンドルは木製か否か(Lacey Act)。証憑を整える
  3. 送る:HTS分類(基本無税)・追加関税の有無の確認・送料試算・通関は当社の発送代行(SLC)が支援

“日本の職人技”という価値で、値下げに頼らず売りやすいカテゴリです。

💡 実務のワンポイント

化粧筆は『化粧品』ではなく『ブラシ(道具)』です。だからMoCRA(化粧品規制現代化法)の施設登録・製品リスティングは、塗布される化粧品本体にはかかっても、筆そのものには直接かかりません。輸出のハードルは化粧品より低い、というのが最大の利点です。ただし(1)天然毛(山羊・リス等)は毛種によってワシントン条約(CITES)のスクリーニング対象になり得る、(2)木製ハンドルは『植物部材』としてリーシー法(Lacey Act)の申告が要る場合がある、(3)HTSの高単価化粧筆(9603.30.60)は基本関税(MFN)が無税だが、Section 232/301等の追加関税の有無は出荷時にHTSで確認、の3点だけ押さえれば安心です。クルーエルティフリーや合成毛は、素材を明記すると米国の購買層に刺さります。

よくある質問

熊野筆は米国で本当に人気?
プロのメイクアップアーティストや愛好家に定着しています。白鳳堂・竹宝堂は世界の有名ブランドにOEM供給し、熊野は日本製化粧ブラシの約8割を生産します。
化粧筆もMoCRAの登録が要る?
筆そのものは『化粧品』でなく『道具(ブラシ)』なので、化粧品本体に課されるMoCRAの施設登録・製品リスティングは筆に直接かかりません。
関税はかかる?
高単価の化粧筆はHTS 9603.30.60で基本関税(MFN)は無税です。ただしSection 232/301等の追加関税は品目・原産国で変わるため出荷時に確認します。
天然毛や木の柄は注意が要る?
天然毛は毛種によりCITES、木製ハンドルは植物部材としてLacey Actの確認が要る場合があります。素材の証憑を整えれば安心です。
出典は?
Grand View Research(市場)、白鳳堂・竹宝堂(メーカー公式)、USITC(HTS)です。
📘 用語ミニ解説
  • 熊野筆:広島県熊野町の筆。化粧筆の一大産地で世界の有名ブランドにOEM供給。
  • 白鳳堂:1974年創業の熊野の筆メーカー。1995年にM.A.C.とOEM契約。
  • CITES:ワシントン条約。保護種由来の動物部位等の国際取引を規制。天然毛の毛種で関係し得る。
  • Lacey Act:米国の法律。植物・木材製品の申告を求める。木製ハンドルが該当し得る。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

やることは『プロ向け/個人向けの品ぞろえを決め、毛種とハンドル素材を確認し、職人の価値を伝える』こと。化粧品本体のような重い登録義務が筆そのものには直接かからないぶん、身軽に始められます。商品選定・素材確認・送料試算・通関は当社(WorldShift)の発送代行(SLC)が支援します。まずは定番モデル1本から試せます。

市場規模は『メイクツール』基準の第三者推計で幅があります。化粧筆が道具(ブラシ)でMoCRAの化粧品登録の主対象外であること、HTS9603.30.60の基本関税が無税であることは制度上の事実。追加関税は時点で変動。円換算は1ドル≒160円。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。