米国がSection 232を再調整(6/8発効)──農機・エアコン等を上限15%に減税(日本も対象カテゴリは上限15%)。『製品の全額』課税は4/6から継続
関税アラート

米国がSection 232を再調整(6/8発効)──農機・エアコン等を上限15%に減税(日本も対象カテゴリは上限15%)。『製品の全額』課税は4/6から継続

2026年6月17日() | 出典:米大統領布告(2026/6/1)+CBP(CSMS #68855869)/White & Case・C.H.Robinson整理+当社(WorldShift)整理(関税)

アメリカの金属関税が再調整された。米政権は2026年6月1日の布告で、鉄鋼・アルミ・銅にかかるSection 232を見直し、6月8日から発効した。今回の主な変更は、農業機械・住宅用エアコン(HVAC)・可搬式産業機械などを暫定的に上限15%へ引き下げる減税だ。なお課税の土台は、すでに2026年4月6日発効の別布告「製品に含まれる金属の価額分」だけから「製品の全額(full customs value)」へ移っており、この前提は続く。日本発の貨物は日米枠組みにより上限15%で頭打ちとなる点も重要だ。

TOPIC
6/8 発効
232再調整布告(2027/12/31まで)
再調整
TOPIC
全額課税
課税ベースは4/6から製品の全額(継続)
TOPIC
農機/HVAC 15%
該当機械は25%→上限15%に減税
TOPIC
日本=対象は15%
該当カテゴリで頭打ち(2027/12/31まで)

何が変わった?──6/8の減税と、4月から続く全額課税

2026年6月1日の布告(6月8日発効)の主な変更は、一部カテゴリの上限15%への減税です。あわせて、4月から続く「製品の全額」課税の前提も押さえておきましょう。

①一部カテゴリが上限15%に減税(6/8〜)。農業機械(コンバイン・収穫機等)・住宅用HVAC(エアコン・空調)機器・可搬式の産業機械などが、暫定的に上限15%の派生品カテゴリに加えられました(従来の25%から引下げ)。通常の鉄鋼・アルミ・銅および主要派生品の基本税率は50%(一部の銅・派生品は25%)のままです。

②課税ベースは「製品の全額」(2026/4/6から既に施行)。鉄鋼・アルミ・銅とその派生品は、2026年4月2日署名・4月6日発効の布告で、すでに製品の全額(full customs value)に課税されています(以前の「金属分のみ」は終了)。これは6月8日で新たに変わった点ではありませんが、「金属価額を分けて申告して安く」という方法は使えず、多くの派生品で負担が重い前提として要注意です。

2026/4/6
課税ベースが「製品の全額」へ(4/2署名の布告)
2026/6/1
大統領布告でSection 232を再調整
2026/6/8
農機・HVAC・可搬式産業機械を上限15%に減税
2027/12/31
今回の暫定措置の期限(以降は通常率に復帰)

『上限15%』は対象カテゴリだけ──基本金属は50%継続

米国の232基本税率は鉄鋼・アルミ・銅で50%で、これは日本産でも同じく50%です。上限15%が適用されるのは、農業機械・住宅用HVAC(Annex III)・可搬式産業機械(Annex I-C)の対象カテゴリに限られます。このうち農業機械・住宅用HVAC(Annex III)は原産地を問わず一律で25%→上限15%に引き下げられ、可搬式産業機械(Annex I-C)は日米枠組みのパートナーである日本産など特定国に限り上限15%が適用されます(2026年6月8日〜2027年12月31日の暫定)。なお課税ベースは(4月6日以降)製品の全額なので、15%・50%とも製品全額に対してかかる点に注意してください。

だからこそ対象HTSの確認と原産地の証明が、そのまま関税額を左右します。対象HTSの確認・原産地書類の整備・通関はSLC(発送代行)で対応できます。

課税のかかり方(2026/4/6〜)
以前
製品に含まれる金属の価額分のみ
製品の全額(full customs value)
農機・HVAC(Annex III・全産地)/可搬式産業機械(Annex I-C・日本等パートナー国)
以前
25%
上限15%(暫定・2027/12/31まで)
基本の鉄鋼・アルミ・銅
50%(日本産も継続)
Section 232:安全保障を理由に米国が課す関税。鉄鋼・アルミ・銅とその派生製品が対象。
全額課税(full customs value):製品の全額に課税する方式。2026/4/6以降は派生品も金属分でなく全額が対象。
日米枠組み合意:可搬式産業機械(Annex I-C)等の対象カテゴリで日本産232を上限15%に抑える取り決め(農機・HVACのAnnex III 15%は全産地一律。基本金属は50%継続・2027/12/31までの暫定)。
💡 実務のワンポイント

今回いちばん効くのは『課税ベースの変更』。これまで多くの派生品は“製品に含まれる金属の価額分”だけに232が乗っていましたが、6/8以降は鉄鋼/アルミ/銅とその派生品は『製品の全額(full customs value)』に課税されます。つまり“金属分だけ分けて申告して安く”はもう使えません。逆に農業機械・住宅用エアコン(HVAC)・可搬式産業機械などは暫定で上限15%に下がったので、自社HTSがどちらに当たるかの確認が要点です。

よくある質問

『金属分だけ申告すれば安い』はまだ使える?
いいえ。2026年4月6日以降、鉄鋼・アルミ・銅とその派生品は『製品の全額(full customs value)』に課税されています。金属価額だけを分けて課税する方式は終了しました。
エアコンや農機は50%かかる?
いいえ。今回の布告で農業機械・住宅用HVAC・可搬式産業機械などは暫定的に上限15%へ引き下げられました(従来25%)。自社HTSが該当するかの確認が要点です。
日本発なら15%で済む?
上限15%になるのは農業機械・HVAC(Annex III)・可搬式産業機械(Annex I-C)の対象カテゴリに限られます。日本原産でも、基本の鉄鋼・アルミ・銅や多くの派生品は25〜50%が継続します(減税は2026/6/8〜2027/12/31)。課税は製品全額ベースで、Annex I-C(可搬式産業機械)の15%適用には原産地の証明が前提です。
一次情報は?
2026年6月1日の米大統領布告と、CBPの指示(CSMS #68855869)・各法律事務所の解説です。最新は布告とCBP公式をご確認ください。
📘 用語ミニ解説
  • 232の全額課税:6/8以降、派生品も金属分でなく製品の全額に課税。
  • 暫定15%カテゴリ:農機・HVAC・可搬式産業機械等。25%から上限15%に減税(2027末まで)。
  • 原産地証明:日本産であることを示す書類。可搬式産業機械(Annex I-C)での上限15%適用の前提。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

やることは『自社HTSが今回の減税カテゴリ(農機/HVAC/産業機械)か、それとも50%/25%の通常派生品か』の確認と、『製品全額ベースでの関税再計算』の2つ。日本発は枠組みで上限15%に頭打ちなので、原産地を証明できれば50%課税は基本ありません。対象判定〜原産地書類〜通関は当社の発送代行(SLC)が代行します。

課税ベース・税率・適用期間は2026年6月時点の概況。最新は米大統領布告とCBP(CSMS)公式をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。