
米国で日本の和食器・水筒・弁当箱に需要──だが食品に触れる製品は『鉛・カドミウム溶出』でFDA一発アウト。マグは特に厳しい
米国で日本の和食器(美濃焼・波佐見焼)、タンブラー・水筒(象印・サーモス)、弁当箱の需要が拡大している。だが落とし穴がある——「食品に触れる製品」はFDAの食品接触材料規制の対象で、とくに絵付け陶磁器の「鉛・カドミウムの溶出」が基準を超えると、“有害物の混入”として一発で輸入差し止めになる。日本産でも原産国による免除はない。だが——出荷前のロット試験と基準の理解で、安全に通せる。
なぜ商機?──和食器・水筒・弁当箱に米国需要
米国のテーブルウェア市場は約92億ドル(2024年・調査、≒1.5兆円)、断熱ボトル・タンブラー市場は約5.8億ドル、弁当箱は世界で約9.2億ドル規模へ拡大。日本勢では美濃焼・波佐見焼の和食器、象印・サーモス・タイガーの水筒・タンブラー・弁当ジャーが人気カテゴリです。“長く使える日本品質”に確かな需要があります。
市場規模は民間調査の推計で、定義・基準年により幅があります(政府統計ではありません)。
壁はFDA『食品接触材料』──核心は鉛・カドミウムの溶出
米国では、食品に触れる製品(食器・容器・調理器具・包装)はFDAの食品接触材料(間接食品添加物)として規制されます。陶磁器やガラスの素地そのものは問題になりにくいのですが、釉薬や上絵付けの顔料に含まれる「鉛・カドミウム」が食品へ溶け出すと、“有害物の混入(adulterated)”として輸入差し止め(無検査での留置=DWPE)の対象になります。
鉛の基準(FDAのCPG 545.450)は製品の形ごとに決まっており、口が直接触れるカップ・マグがいちばん厳しい(0.5µg/mL)。カドミウム(CPG 545.400)も別途基準があります。試験は4%酢酸に24時間浸す方法(ASTM C738)で、6個を検査します。日本産でも原産国による免除はありません。
カリフォルニア州はProp 65でさらに厳しい溶出値(中空内面の鉛≤0.100ppm等)を求めます。州販売では別途対応が要ります。
米国へ出すには──止めないための段取り
難しくありません。順に潰します。
- ロット試験:出荷前にASTM C738(4%酢酸24時間)で鉛・カドミウムの溶出量を測定。とくにマグ・カップ(0.5µg/mLの厳しい枠)を要注意
- 絵付けの見直し:上絵付け・金彩・銀彩、赤/黄/橙の顔料は鉛・カドミウムを含みやすい。鉛フリー釉薬・高温焼成へ
- カリフォルニア対応:Prop 65のより低い値(中空内面 鉛≤0.100ppm等)も視野に
- メラミン食器の注意書き:高温・高酸性で移行が増えるため「電子レンジ不可」を明示
- “飾り用”で出すなら永久表示:製品本体に消去不能の刻印("Not for Food Use")か穴あけ。箱・シールでは不可
溶出試験の手配、基準判定、通関までを当社のFDAサポートと発送代行(SLC)で支援します。
最も見落とされやすいのは『上絵付け・金彩・赤絵』の鉛・カドミウムです。美濃焼・九谷・有田の上絵付け(オーバーグレーズ)や金彩・銀彩、赤/黄/橙の顔料は鉛・カドミウムを含みやすく、低温焼成の上絵は特に溶け出しやすい。日本産でも原産国免除はなく、CPG(鉛=マグ0.5・皿3.0µg/mL、カドミウム=皿0.5・大型中空0.25µg/mL)を満たさないと入国拒否です。出荷前にASTM C738(4%酢酸24時間)でロット試験し、とくに直接口が触れるマグ・カップ(鉛0.5の厳しい枠)を要注意。もう一つの罠は『飾り用にすれば回避できる』という誤解。FDAが認める回避は、製品本体への消去不能な永久ラベル『Not for Food Use - Article May Poison Food』か、食品接触面への穴あけの2つだけで、剥がせるシールや箱の記載では“食器”とみなされ規制対象のままです。さらにカリフォルニア向けはProp 65の桁違いに低い値(中空内面 鉛≤0.100ppm)が事実上の壁になります。
よくある質問
- 食品接触材料:食品に触れる製品。FDAが間接食品添加物として規制。
- CPG 545.450/545.400:陶磁器の鉛・カドミウム溶出の基準。
- ASTM C738:4%酢酸24時間の溶出試験法。
- Prop 65:カリフォルニア州の警告規制。鉛・カドミウムでより厳しい。
一見ハードルが高く見えますが、やることは『出荷前に溶出を測り、基準に収める』ことに尽きます。①ASTM C738でロット試験、②鉛・カドミウムを含みやすい上絵付け/金彩を見直し鉛フリー釉薬へ、③口が触れるマグ・カップは特に低い基準で管理。この溶出試験の手配・基準判定・通関の煩雑さは当社のFDAサポート/発送代行が代行します。あなたは“米国で評価される日本の器”を選び、出すことに集中できます。

