FDA規制

米国で日本の和食器・水筒・弁当箱に需要──だが食品に触れる製品は『鉛・カドミウム溶出』でFDA一発アウト。マグは特に厳しい

2026年6月25日 | 出典:FDA(食品接触材料/陶磁器の鉛・カドミウムCPG 545.450・545.400)+当社(WorldShift)整理(FDA規制)

米国で日本の和食器(美濃焼・波佐見焼)、タンブラー・水筒(象印・サーモス)、弁当箱の需要が拡大している。だが落とし穴がある——「食品に触れる製品」はFDAの食品接触材料規制の対象で、とくに絵付け陶磁器の「鉛・カドミウムの溶出」が基準を超えると、“有害物の混入”として一発で輸入差し止めになる。日本産でも原産国による免除はない。だが——出荷前のロット試験と基準の理解で、安全に通せる

TOPIC
約92億ドル
米国テーブルウェア市場(2024・調査/≒1.5兆円)
拡大
TOPIC
マグ/カップ 鉛0.5
口が触れるカップ・マグは最も厳しい(0.5µg/mL)
TOPIC
絵付けが地雷
上絵付け・金彩・赤絵は鉛・カドミウムを含みやすい
TOPIC
“飾り用”は永久刻印のみ
箱やシールに書くだけでは規制を回避できない

なぜ商機?──和食器・水筒・弁当箱に米国需要

米国のテーブルウェア市場は約92億ドル(2024年・調査、≒1.5兆円)断熱ボトル・タンブラー市場は約5.8億ドル弁当箱は世界で約9.2億ドル規模へ拡大。日本勢では美濃焼・波佐見焼の和食器象印・サーモス・タイガーの水筒・タンブラー・弁当ジャーが人気カテゴリです。“長く使える日本品質”に確かな需要があります。

市場規模は民間調査の推計で、定義・基準年により幅があります(政府統計ではありません)。

壁はFDA『食品接触材料』──核心は鉛・カドミウムの溶出

米国では、食品に触れる製品(食器・容器・調理器具・包装)FDAの食品接触材料(間接食品添加物)として規制されます。陶磁器やガラスの素地そのものは問題になりにくいのですが、釉薬や上絵付けの顔料に含まれる「鉛・カドミウム」が食品へ溶け出すと、“有害物の混入(adulterated)”として輸入差し止め(無検査での留置=DWPE)の対象になります。

鉛の基準(FDAのCPG 545.450)は製品の形ごとに決まっており、口が直接触れるカップ・マグがいちばん厳しい(0.5µg/mL)。カドミウム(CPG 545.400)も別途基準があります。試験は4%酢酸に24時間浸す方法(ASTM C738)で、6個を検査します。日本産でも原産国による免除はありません

平皿(フラットウェア)
以前
全部同じ基準と思い込み
鉛3.0/カドミウム0.5µg/mL
カップ・マグ
以前
厳しさを見落としがち
鉛0.5/カドミウム0.5µg/mL=口が触れ最も厳しい
大型の中空容器
以前
基準が緩いと誤解
鉛1.0/カドミウム0.25µg/mL

カリフォルニア州はProp 65でさらに厳しい溶出値(中空内面の鉛≤0.100ppm等)を求めます。州販売では別途対応が要ります。

米国へ出すには──止めないための段取り

難しくありません。順に潰します。

  1. ロット試験:出荷前にASTM C738(4%酢酸24時間)で鉛・カドミウムの溶出量を測定。とくにマグ・カップ(0.5µg/mLの厳しい枠)を要注意
  2. 絵付けの見直し上絵付け・金彩・銀彩、赤/黄/橙の顔料は鉛・カドミウムを含みやすい。鉛フリー釉薬・高温焼成へ
  3. カリフォルニア対応:Prop 65のより低い値(中空内面 鉛≤0.100ppm等)も視野に
  4. メラミン食器の注意書き:高温・高酸性で移行が増えるため「電子レンジ不可」を明示
  5. “飾り用”で出すなら永久表示:製品本体に消去不能の刻印("Not for Food Use")か穴あけ。箱・シールでは不可

溶出試験の手配、基準判定、通関までを当社のFDAサポート発送代行(SLC)で支援します。

食品接触材料:食品に触れる製品(食器・容器・調理器具)。FDAが規制する。
鉛溶出基準(CPG 545.450):形ごとに上限。皿3.0/カップ・マグ0.5µg/mL等。
ASTM C738:4%酢酸に24時間浸して溶出量を測る試験法(6個)。
Prop 65:カリフォルニア州の規制。鉛・カドミウムはFDAより厳しい値。
💡 実務のワンポイント

最も見落とされやすいのは『上絵付け・金彩・赤絵』の鉛・カドミウムです。美濃焼・九谷・有田の上絵付け(オーバーグレーズ)や金彩・銀彩、赤/黄/橙の顔料は鉛・カドミウムを含みやすく、低温焼成の上絵は特に溶け出しやすい。日本産でも原産国免除はなく、CPG(鉛=マグ0.5・皿3.0µg/mL、カドミウム=皿0.5・大型中空0.25µg/mL)を満たさないと入国拒否です。出荷前にASTM C738(4%酢酸24時間)でロット試験し、とくに直接口が触れるマグ・カップ(鉛0.5の厳しい枠)を要注意。もう一つの罠は『飾り用にすれば回避できる』という誤解。FDAが認める回避は、製品本体への消去不能な永久ラベル『Not for Food Use - Article May Poison Food』か、食品接触面への穴あけの2つだけで、剥がせるシールや箱の記載では“食器”とみなされ規制対象のままです。さらにカリフォルニア向けはProp 65の桁違いに低い値(中空内面 鉛≤0.100ppm)が事実上の壁になります。

よくある質問

和食器も米国の規制対象?
はい。食品に触れる製品はFDAの食品接触材料規制の対象で、鉛・カドミウムの溶出が超過すると輸入差し止めになります。
日本産なら大丈夫では?
原産国による免除はありません。日本の上絵付け・金彩も同じ枠組みで基準に照らされます。
どの製品がいちばん厳しい?
口が直接触れるカップ・マグです(鉛0.5µg/mL)。皿(フラットウェア)は3.0µg/mLと基準が異なります。
“飾り用”にすれば売れる?
製品本体への永久刻印か穴あけが必要で、箱やシールに書くだけでは食器とみなされ規制対象のままです。
出典は?
FDA(食品接触材料/陶磁器の鉛CPG 545.450・カドミウムCPG 545.400)です。
📘 用語ミニ解説
  • 食品接触材料:食品に触れる製品。FDAが間接食品添加物として規制。
  • CPG 545.450/545.400:陶磁器の鉛・カドミウム溶出の基準。
  • ASTM C738:4%酢酸24時間の溶出試験法。
  • Prop 65:カリフォルニア州の警告規制。鉛・カドミウムでより厳しい。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

一見ハードルが高く見えますが、やることは『出荷前に溶出を測り、基準に収める』ことに尽きます。①ASTM C738でロット試験、②鉛・カドミウムを含みやすい上絵付け/金彩を見直し鉛フリー釉薬へ、③口が触れるマグ・カップは特に低い基準で管理。この溶出試験の手配・基準判定・通関の煩雑さは当社のFDAサポート/発送代行が代行します。あなたは“米国で評価される日本の器”を選び、出すことに集中できます。

鉛・カドミウムのCPG基準は施行済み。市場規模は民間調査の推計で幅があります。Prop 65は州規制で別途確認が必要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。