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IEEPA関税の還付が本格化──CBPの『CAPE』Phase IIが6/29稼働、認証済みは約710億ドルに。ただし“ACH口座を登録しないと振り込まれない”(送金停止が続出)

2026年7月7日 | 出典:U.S. CBP(IEEPA Duty Refunds)+各法律事務所(Holland & Knight/Thompson Hine/Diaz Trade Law 等)整理+当社(WorldShift)整理(関税)

戻るお金が、いよいよ本格的に動き出した。2026年2月20日、米最高裁はIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づく関税を違法(6対3)と判断。これを受けCBPは還付システム「CAPE」で2026年4月20日から還付申告の受付を開始し、6月29日にはPhase II(第2段階)へ移行——事後調整(reconciliation)でフラグを立てた申告など、Phase Iでは拾えなかった申告も還付対象に広がった。6月29日時点でCBPが認証(承認)した還付は約710億ドル(≒約11兆円)、ファイル検証を通過した申告は1,810万件にのぼり、Phase Iの還付はすでに輸入者の口座へ着金し始めている。一方で、認証されたのに送金が止まっている還付が続出している——理由の多くは『受取用のACH(口座振込)情報がACEに登録されていない』ただ一点だ。日本の輸入者(IOR)が戻すための要点を、4ステップでまとめた。

TOPIC
2026/6/29
CAPEがPhase IIへ——reconciliation対象の申告まで拡大
TOPIC
約710億ドル
CBPが認証した還付額(6/29時点・≒約11兆円)
TOPIC
1,810万件
CAPEのファイル検証を通過した申告件数
TOPIC
ACH未登録=送金停止
認証済みでも口座未登録だと振り込まれない

何が変わった?──Phase IIで還付対象がさらに拡大

CBPのCAPE(Consolidated Administration and Processing of Entries)は、違法とされたIEEPA関税を輸入者に返すための専用システム(ACEセキュアデータポータル内)です。2026年4月20日に始まったPhase Iでは、輸入者(IOR)または申告した通関ブローカーが、対象の申告番号を並べたCSV(「CAPE Declaration」)をアップロードして還付を請求します。1回のCSVで最大9,999件まで、証明書類の添付は不要(申告番号のリストのみ)です。

2026年6月29日に移行したPhase IIでは、事後調整(reconciliation)でフラグを立てた申告(entry type 01・02・06)で、まだ調整申告(type 09)を出していないものが新たに還付対象に加わりました。対象は、2025年4月以降にかかった相互関税(reciprocal、10%以上)フェンタニル関税など、IEEPAを根拠に徴収された関税です。なお清算が確定済み(finally-liquidated)の申告は現時点では対象外で、7月末に予定されるPhase IIIを待つ必要があります(連邦巡回控訴裁での政府の控訴は継続中)。

還付の対象
以前
未清算+清算から80日以内(Phase I)
+reconciliation対象の申告(Phase II)
請求の方法
以前
ACEに申告番号のCSVをアップロード
同左(最大9,999件/CSV)
戻るお金
以前
元本のみ
元本+法定利息(statutory interest)
2026/2/20
米最高裁がIEEPA関税を違法と判断(6対3)
2026/4/20
CAPEで還付申告の受付開始(Phase I)
2026/6/29
Phase IIへ移行——reconciliation対象の申告を追加
2026/7末(予定)
Phase III——清算確定分の還付を予定

いくら・いつ戻る?──ACH一括、認証から60〜90日が目安

還付は元本に法定利息を上乗せして戻ります。CBPが申告を受理・認証すると、通常60〜90日で、複数の還付をまとめた1件のACH(口座振込)として支払われます(小切手ではありません)。スケール感として、6月29日時点でCBPが認証した還付は約710億ドル(≒約11兆円)、ファイル検証を通過した申告は1,810万件。一方で436万件は入力段階のチェックで弾かれています。弾かれる原因は主に3つ——①輸入者と申告者の不一致 ②申告番号の誤り ③CSVテンプレートのズレ。いずれも直せる不備なので、申告番号とフォーマットの正確さが還付を取りこぼさない鍵になります。

CAPE:IEEPA関税の還付を処理するCBPの専用システム。ACE(米国の輸入申告電子システム)のセキュアデータポータル内で動く。
IOR(Importer of Record/輸入者):その貨物を米国へ輸入した法的責任者。還付は原則このIOR(またはその指名代理人)の口座へ支払われる。
ACH:米国の口座振込(Automated Clearing House)。還付はこのACHで支払われるため、受取口座情報の事前登録が必須。

最大の落とし穴──“認証されても口座がなければ振り込まれない”

見落としが多いのがここです。還付は「認証(CBPがOKを出す)」と「送金(実際に振り込む)」が別工程。6月29日時点で、4,000件を超える“連結還付”(1件で多数の申告分をまとめたもの)が、認証まで終わっているのに送金されていません。理由は『輸入者(またはCBPフォーム4811で指名した代理人)が、受取用のACH口座情報をACEに登録していない』——ただそれだけです。せっかく認められた還付が、口座未登録という一点で宙に浮いてしまう。CAPE申告を出す“前”に、ACEへACH(口座振込)情報を登録しておくのが最優先です。

日本の輸入者がやること:4ステップ

  1. IEEPA関税を払った申告を洗い出す:2025年4月〜2026年2月ごろに米国へ入れた貨物で、相互関税(10%以上)などIEEPA由来の関税を払っていないか、通関ブローカーの記録で確認します
  2. 自社がIOR(輸入者)かを確認:還付は原則IOR(またはフォーム4811で指名した代理人)に戻ります。DDP等でブローカー・3PLが関与していても、還付の受取人が誰かを先に整理します
  3. ACEにACH口座情報を登録:ここを飛ばすと認証されても送金されません(上記の“送金停止”の轍を踏まない)
  4. CAPE申告(CSV)を出す:対象の申告番号を並べたCSVをアップロード。対象特定・ブローカー連携・段取りは当社の発送代行(SLC)が伴走します

💡 実務のワンポイント

還付は「認証(CBPがOKを出す)」と「送金(実際に振り込む)」が別工程です。認証されても、ACEに受取用のACH口座情報が登録されていないと1円も入ってきません。現に、口座未登録という理由“だけ”で、4,000件を超える“連結還付”(1件で多数の申告分をまとめたもの)が送金されずに止まっています。輸入者(IOR)本人か、CBPフォーム4811で指名した代理人の口座を、CAPE申告の“前に”ACEへ登録しておくのが最優先です。

よくある質問

これは朗報?誰が得する?
IEEPA関税(2025年4月以降の相互関税10%以上・フェンタニル関税など)を実際に払った米国の輸入者(IOR)に、元本+利息が戻ります。日本発でも、自社や指名代理人がIORとして関税を負担していた分は対象になり得ます。
Section 232や一律10%(Section 122)も戻る?
戻りません。今回違法とされ還付対象なのはIEEPA関税だけです。Section 232(鉄鋼・自動車等)、Section 301、2026年2月24日から始まった一律10%のSection 122サーチャージ、少額免税(de minimis)の停止は影響を受けず、そのまま続きます。
いつ・どう戻る?
CAPEで申告→受理・認証後おおむね60〜90日で、複数分をまとめた1件のACH(口座振込)として、元本+法定利息が支払われます。Phase Iの還付はすでに輸入者の口座へ着金し始めています。
何が一番の注意点?
受取用のACH口座情報をACEに“申告前に”登録しておくことです。認証まで終わっても口座未登録だと送金されず、6月29日時点で4,000件超の連結還付が停止しています。
清算が確定した申告も戻る?
現時点(Phase II)では対象外で、7月末に予定されるPhase IIIを待つ必要があります。なお政府はCITの還付命令を不服として控訴しており、今後の手順や時期は動く可能性があります。
出典は?
CBPのIEEPA Duty Refunds公式ページ、およびHolland & Knight・Thompson Hine・Diaz Trade Law等の貿易法律事務所の解説です。
📘 用語ミニ解説
  • IEEPA:国際緊急経済権限法。これを根拠にした関税を米最高裁が2026年2月20日に違法と判断した。
  • CAPE:IEEPA関税の還付を処理するCBPの専用システム。ACEポータル内でCSV申告する。
  • ACH:米国の口座振込。還付はこの方式で支払われ、受取口座の事前登録が必須。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

やることは「①IEEPA関税を払った申告を洗い出す②自社がIOR(輸入者)かを確認③ACEにACH口座を登録④CAPE申告を出す」の4つだけ。対象申告の特定から通関ブローカーとの連携、ACH登録・CAPE申告の段取りまで、当社(WorldShift)の発送代行(SLC)が伴走します。取りこぼさず、戻るお金を戻します。

還付の対象範囲・手順・件数はCBP公式および貿易法律事務所の解説に基づく(2026年7月時点)。制度は訴訟・行政手続で変わり得るため、自社の対象可否と最新の申告手順は通関ブローカー等を通じてCBPの公式ガイダンスで確認してください。個別の申告番号・IORの該当性は貨物ごとに異なります。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした見本です。金額はわかりやすさ優先のざっくり試算で、個別の通関・税務判断を保証しません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。