米国の関税は『重ねがけ』される──基本+232+301の合算、実質の関税を見積もる
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米国の関税は『重ねがけ』される──基本+232+301の合算、実質の関税を見積もる

2026年6月8日(執筆:ワールドシフト編集部

関税は1つではない。重ねがけ(合算)される。1つの貨物に基本(MFN)+Section 301(中国)+Section 232(金属)が同時にかかり、足し算で実質の関税が決まる。中国産の鉄鋼派生品なら合計53.8%に達することも(本文の計算例B参照)。(なお相互関税は2026年2月に無効化。代替のSection 122〈一律10%〉も2026/7/24に法定失効し、現在は強制労働Section 301へ移行・詳細はarticle_202)。重ねがけの考え方と、実質関税の見積り方をまとめた。

重ねがけの基本:加算であって択一でない

追加関税は代替ではなく加算です。①基本(HTSの税率)+②Section 301(中国原産)+③Section 232(金属・派生品)を、同じ通関価格にそれぞれ掛けて足します(いずれも従価税)。Section 301は基本関税への上乗せで、Section 232とも合算されます。

いま生きている層/消えた層

2026年8月時点の整理です。

生きている
以前
Section 232(金属)50%・派生品25%
Section 301(中国)多くが25%
消えた
以前
IEEPA『相互関税』
2026年2月に最高裁が無効化
入れ替わった
以前
Section 122 一律10%(2026/2/24〜7/24)
7/24に法定失効→強制労働Section 301へ(中国は12.5%上乗せ・日本はMFN込み合計12.5%・232対象品には付かない。詳細はarticle_202)

計算例:通関価格1万ドルに対して

合算の効き方を、2つの例で見ます。

例A:中国原産・非金属=基本3%+対中301の25%+強制労働301の12.5%=40.5%(関税4,050ドル)。例B:中国原産・鉄鋼派生品(Section232対象のため強制労働301は不適用)=基本3.8%+対中301の25%+232の25%=53.8%(関税5,380ドル)。(Section 122の一律10%は2026/7/24に法定失効。後継の強制労働Section 301〈中国は12.5%上乗せ・日本はMFN込み合計12.5%〉もSection232対象品には重ねない(詳細はarticle_202)。232派生品レートはAnnex別10〜50%、ここでは代表的なAnnex I-B=25%で試算・製品全額ベース/1ドル≒160円)

40.5%
例A 非金属
53.8%
例B 鉄鋼派生
中国原産品の合算関税率(例)/通関価格に対する%

さらにMPF(0.3464%・最低約5,500円/最大約10.7万円。2026/10/1〜。〜9/30は最低約5,400円/最大約10.4万円)とHMF(海上0.125%)が上乗せ。

自分で見積もる手順

次の順で重ねていきます。

  1. HTS10桁を特定(USITC・hts.usitc.gov)
  2. 基本(General)率を確認
  3. Section 301該当(中国原産・第99類)を確認
  4. Section 232派生品(金属・第99類)を確認
  5. 合算し、MPF・HMFを上乗せ(中国輸入は毎月 第99類を確認)

HTSの特定・該当判定・実質関税の試算はSLC(発送代行)で対応できます。

重ねがけ:基本+301+232を同じ通関価格に加算する。
Section 232:金属50%・派生品25%(現行)。
Section 301:中国原産品への追加関税(多くが25%)。
第99類(Chapter 99):一時的な追加関税が格納されるHTSの章。
💡 実務のワンポイント

ネットの『積み上げ計算例』の多くは古いので注意。2026年2月にIEEPA相互関税が最高裁で無効化されたため、『基本+相互10%+301+232』のような旧計算は過大です。現行で効くのは 基本(MFN)+Section 301+Section 232(金属)の加算。つなぎだったSection 122(一律10%・2026/2/24〜7/24)は法定失効し、現在は強制労働Section 301(中国は12.5%上乗せ・日本はMFN込み合計12.5%)が代わりに乗ります。Section 232対象品にはこの強制労働301は乗りません。中国から仕入れるなら毎月HTSの第99類(Chapter 99)を確認し、最新の率で再計算を。

よくある質問

関税は1つだけ?
いいえ。基本+Section 301+Section 232が合算(重ねがけ)されます。
相互関税はまだかかる?
かかりません。IEEPAベースの相互関税は2026年2月に最高裁で無効化されました。代替のSection 122(一律10%)も2026/2/24〜7/24の150日間で法定失効し、現在は強制労働Section 301(中国は12.5%上乗せ・日本はMFN込み合計12.5%)に切り替わっています(詳細はarticle_202)。対中301/232は存続します。
どう見積もる?
HTS10桁→基本率→301該当→232該当→合算+MPF/HMFの順です。
一次情報は?
USITCのHTS、CBP、USTRのSection 301です。
📘 用語ミニ解説
  • 重ねがけ:複数の関税の加算。
  • Section 232/301:金属/中国原産への追加関税。
  • MPF/HMF:通関手数料・港湾維持費。
🤝 むずかしく見えても、ここは任せられます

複雑に見えますが、順に重ねれば正確に出せます。HTSの特定・Section 301/232の該当判定・MPF/HMF込みの実質関税の試算まで、当社の発送代行(SLC)が代行。想定外の追徴を避け、正しい原価で価格設計して米国に送れます。

税率は2026年8月時点の概況で変動します。最新・正確な率はHTS/CBP/USTRをご確認ください。【2026/8/24 更新】Section 122(一律10%)の2026/7/24法定失効と、後継の強制労働Section 301(連邦官報 文書番号2026-15181)への切替を反映し、計算例を現行制度で再計算しました。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。金額のうち当社試算と明記した箇所は概算で、個別の通関・税務判断を保証するものではありません。正確な税率・分類は各製品のHTSコードと最新の公式情報をご確認ください。