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通関ルール米国通関輸入者(IOR)大統領令

米大統領令、外国法人の輸入者(IOR)を制限 罰則にも下限

2026年6月3日発令。罰則は90日以内、資産・ボンド要件は180日以内に見直し

米国は大統領令で通関の取り締まりを強める(画像はイメージ)

米政権は2026年6月3日、大統領令「Strengthening Customs Enforcement(通関取締りの強化)」を発令した。外国法人が米国の輸入者(Importer of Record=IOR)になることを制限する。違反したときの罰則には、軽減しても下回れない下限を設ける。米国へ自社名義で通関している日本企業に直接かかわる。

大統領令は、国土安全保障省(DHS)と米国税関・国境警備局(CBP)に、輸入ルールの広い見直しを指示した。柱は3つある。外国法人の輸入者の制限、輸入者に求める米国内の資産と保証金(ボンド)の強化、罰則の下限の導入だ。

大統領令は役所への指示で、具体的な金額や運用はこれからCBPの規則で決まる。発令の時点で決まったことと、細かい決まりを待つ部分は分けて見る必要がある。

外国法人の輸入者(IOR)を制限

大統領令は、外国の会社がそのまま米国の輸入者(IOR)になることを制限する。輸入者は、輸入を申告し、関税や申告の義務を負う者だ。米国側で輸入者になれる体制があるかが問われる。

あわせて、輸入者には米国内の実体のある資産か保証金(ボンド)を一定以上持つことを求める。ボンドの最低額も引き上げる。輸入の見込み量や、会社を実質的に支配する個人(beneficial owner)などの開示も求める。

この資産・ボンド・開示の要件は、発令から180日以内に整えるよう指示された。何をどこまで開示するか、ボンドをいくらにするかは、大統領令の段階では決まっていない。

罰則の軽減に「最低50%」の下限

大統領令は、CBPが罰則を軽くするときの基準の見直しも求めた。違反が認められた場合、軽減しても、CBPが科す罰則額の50%を下回らないようにする。取引額の50%ではなく、罰則額を軽くするときの下限だ。

違反を繰り返す者には、軽減を認めない。この改定は、発令から90日以内に行うよう指示された。

このほか、取り締まりの状況を毎年報告書にまとめて公表することなども盛り込まれた。

決まったことと、これから決まること

大統領令の中身と時期(2026年6月3日の発令から)
項目中身と時期
大統領令の発令米政権は、2026年6月3日に、大統領令「Strengthening Customs Enforcement」を発令した。
罰則の下限と常習者CBPは、発令から90日以内に、軽減しても罰則額の50%を下回らず、違反を繰り返す者は軽減しない基準に改めるよう指示された。
輸入者の資産・ボンド・開示CBPは、発令から180日以内に、輸入者(IOR)の米国内資産・ボンド・開示の要件を整えるよう指示された。
外国法人の輸入者の制限外国法人が輸入者になることを制限する方針は示されたが、具体的な運用はこれからのCBPの規則で決まる。

要件と期限は2026年6月時点の大統領令とCBPの発表による。具体的な金額・運用は今後のCBP規則で確定する。

解説

自社名義の通関は、まず現状の棚卸しから

影響が大きいのは、日本の会社が自社名義で米国の輸入者(IOR)になり、通関してきたケースだ。外国法人の輸入者の制限と、資産・ボンドの要件次第では、これまでどおりに出せなくなる恐れがある。当社は、今回の取り締まり強化は申告がいい加減な輸入者に向いたもので、正しく申告する事業者が不利になる話ではないとみている。

動く順番は次のとおりだ。まず、自社が米国で輸入者になっているか、どのボンドを使っているかを確かめる。次に、米国側で輸入者になれる仕組みに移るかを考える。発送代行の輸入者の機能を使う方法や、米国側でボンドを用意する方法がある。180日の期限が来てから慌てないよう、細かい規則が出る前に選択肢を洗い出しておきたい。

あわせて、関税の分類(HTSコード)・申告価格・原産地の根拠を、ふだんから書類で示せるようにしておく。罰則の下限ができると、申告の誤りに対する罰則は軽くしにくくなる。正しい申告を続けることが備えの要になる。

(ワールドシフト編集部)

キーワード解説
  • Strengthening Customs Enforcement:2026年6月3日の米国の大統領令。通関の取り締まりを広く強める内容。
  • 輸入者(IOR、Importer of Record):輸入を法的に申告し、責任を負う者。関税と申告の義務を負う。
  • 外国法人IORの制限:外国の会社が米国の輸入者になることへの制限。
  • ボンド(bond):通関で求められる保証金(保証証券)。関税の未払いなどに備える担保。
  • 実質的支配者(beneficial owner):会社を実質的に支配する個人。今回の大統領令で開示が求められる。
  • 最低罰則(penalty floor):違反時に軽減しても下回れない罰則の下限。
Q&A:よくある質問
2026年6月3日の米大統領令で、日本の会社は米国に輸入できなくなりますか?
いいえ。制限されるのは、外国法人が自社名義で米国の輸入者(IOR)になることです。米国側で輸入者になれる体制を用意すれば、輸入を続ける道があります。
米大統領令「Strengthening Customs Enforcement」は、いつから効きますか?
大統領令は2026年6月3日に発令されました。罰則の下限などは発令から90日以内、輸入者(IOR)の資産・ボンド・開示の要件は180日以内に整えるよう指示されています。具体的な金額や運用は、今後のCBPの規則で決まります。
米大統領令の罰則の「最低50%」とは何の50%ですか?
CBPが科す罰則額の50%です。取引額の50%ではありません。違反が認められた場合、軽減しても罰則額の50%を下回らないようにする方針で、違反を繰り返す者は軽減されません。
米国の輸入者(IOR)に求められる資産やボンドの金額は決まっていますか?
まだ決まっていません。大統領令は、米国内の資産やボンドを一定以上持つことと、ボンドの最低額の引き上げを求めましたが、具体的な金額は今後のCBPの規則で確定します。
米大統領令の一次情報はどこですか?
ホワイトハウスの大統領令『Strengthening Customs Enforcement』(2026年6月3日)と、CBPの発表、法律事務所の解説です。記事末尾の出典からご確認いただけます。
出典本記事は、2026年6月3日付の米大統領令『Strengthening Customs Enforcement』とCBPの発表、法律事務所の解説を当社(WorldShift)が整理したものです。要件・期限は2026年6月時点の概況です。具体的な金額・運用は今後のCBP規則で確定します。最新は大統領令とCBP公式をご確認ください。通関の可否・罰則の判断は米国税関(CBP)が行います。「解説」は当社(WorldShift)の意見で、通関の可否や売上・利益を保証するものではありません。

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