米の一律10%上乗せ関税、26年7月24日に失効 後継は301条
26年2月24日から150日の期限で終了。議会は延長せず、払った10%は自動で戻らない

米国がほぼ全ての輸入品に課していた一律10%の上乗せ関税(Section 122)は、2026年7月24日に失効した。2026年2月24日から150日間課され、法律が定める最長の期間が満了した。議会は延長しなかった。同じ2026年7月24日、後継として強制労働を理由とするSection 301関税が発効し、日本原産品は通常関税(MFN)と合わせて12.5%になる方式で、MFNが12.5%以上なら301条の上乗せはゼロになる。
本稿は2026年7月8日に公開し、失効を受けて2026年8月24日に更新した整理だ。以下の「失効後」の扱いと控訴審の状況は、いずれも2026年8月24日時点のものである。
すでに払った10%は、自動では戻らない。違法と確定したときに還付を受けるには、米国税関・国境警備局(CBP)へ異議申立を出しておく必要がある。期限は、貨物が清算(liquidation)された日から180日以内だ。
Section 122とは何だったか
Section 122は、米国の国際収支の問題に対処するため、大統領が一律の上乗せ関税(サーチャージ)を課せる仕組みだ。期間は最長150日、率の上限は15%と法律で決まっている。150日を超えて延ばせるのは議会だけだ。
導入のきっかけは最高裁の判断だった。最高裁は2026年2月20日、それまでのIEEPA関税を無効とした。日本への相互関税も、このIEEPAが根拠だった。米政権はその代わりとして、2026年2月20日にSection 122の上乗せを導入した。
実際の率は一律10%だった。15%は法律の上限で、布告の本文もCITの判決文も適用率を10%としている。布告の本文の表記は「10 percent ad valorem」だ。上乗せは2026年2月24日に始まり、ほぼ全ての輸入品にかかった。
違法判決の後も徴収は続いた
米国際貿易裁判所(CIT)は2026年5月7日、122条の関税を違法と判断した。しかし連邦巡回控訴裁(Federal Circuit)が2026年6月11日にその差止を停止したため、CBPは徴収を続けた。
措置は2026年7月24日の米国東部時間午前0時1分に、150日の満了で失効した。議会は延長しなかった。違法かどうかを争う控訴審は、2026年8月24日時点でFederal Circuitに係属中で、失効後も還付をめぐる争点は残っていた。
| 段階 | 出来事 |
|---|---|
| 導入 | 米政権は、2026年2月20日に、最高裁がIEEPA関税を無効としたことを受けてSection 122を導入した。 |
| 開始 | 2026年2月24日に、ほぼ全ての輸入品への一律10%の上乗せが始まった。 |
| 違法判断 | CITは、2026年5月7日に、122条の関税を違法と判断した。 |
| 差止の停止 | Federal Circuitは、2026年6月11日に、CITの差止を停止し、10%の徴収は続いた。 |
| 失効と後継 | 122条の関税は、2026年7月24日に、150日の満了で失効し、議会は延長しなかった。同じ日に、強制労働を理由とするSection 301関税が発効した。 |
後継は強制労働の301条関税
122条が失効した2026年7月24日、後継として強制労働を理由とするSection 301関税の最終措置が発効した。案ではなく、すでに発動された措置だ。連邦官報の告示は2026年7月28日に掲載された。文書番号は2026-15181である。
日本原産品では、通常関税(MFN)と301条を合わせた税率が12.5%になる方式で、MFNが12.5%以上の品目なら301条の上乗せはゼロになる。Section 232の対象品と免除品目には、この301条はかからない。
自動車や鉄鋼などのSection 232関税は、122条とは別の制度だ。2026年8月24日の更新時点で、品目別に続いていた。
通関した日で決まる122条の扱い
122条の10%がかかるかどうかは、貨物をいつ通関したかで決まる。
| 区分 | 扱い |
|---|---|
| 期間中に通関した貨物 | 2026年7月23日までに通関した貨物には、一律10%が上乗せされた。還付を受ける権利を守るには、清算から180日以内に異議申立を出す。 |
| 失効後に通関する貨物 | 2026年7月24日以降に通関する貨物には、122条の10%はかからない。代わりに強制労働の301条関税がかかり、日本原産品は通常関税と合わせて12.5%になる方式で、通常関税が12.5%以上なら301条はゼロになる。 |
払った10%は自動では戻らない
期間中(2026年2月24日〜7月24日)に払った10%は、自動では戻らない。
将来この関税が違法と確定した場合に還付を受けるには、CBPへの異議申立(protest)が要る。期限は、貨物が清算された日から180日以内だ。根拠は19 U.S.C. §1514で、期限内に出していなければ、違法が確定しても還付を受けられない。
異議申立は、念のため出しておくのが定石とされる。対象となる輸入申告(entry)の特定と手続きは、通関士や専門家と進める。控訴審の結論しだいで還付の枠組みが動くため、Federal Circuitの判断を見続ける必要がある。
価格は通常関税と301条で組み直し、還付は期限で守る
122条の失効で、2026年7月24日以降に通関する日本原産品の追加の負担は、301条の計算に移った。合計12.5%の方式は、品目ごとの通常関税(MFN)の高さで意味が変わる。MFNが低い品目では301条の上乗せ分が大きくなり、MFNが12.5%以上の品目では301条はゼロになる。当社は、まず扱う品目のMFNを確かめ、合計12.5%と見比べて原価と価格を組み直すことを勧める。
次に、自社の商品がどの扱いに当たるかを確かめたい。この方式は日本原産品が対象で、Section 232の対象品と免除品目には301条がかからない。原産地と品目の区分しだいで、計算の出発点が変わる。
期間中に払った10%は、何もしなければ戻らない。違法かどうかは控訴審しだいで、2026年8月24日時点では結論が出ていなかった。異議申立(protest)には清算から180日以内という期限があるため、対象の輸入申告を早めに洗い出し、出すかどうかを通関士や弁護士と決めておくのが堅い。還付を実際に受けられるかは、判決と手続きによる。
(ワールドシフト編集部)
キーワード解説
- Section 122:国際収支の対策として大統領が課せる一律の上乗せ関税。最長150日・上限15%。今回の適用率は一律10%で、2026年7月24日に法律の期限の満了で失効した。
- CIT:米国際貿易裁判所(Court of International Trade)。関税が法律に合っているかを争う裁判所。
- 失効(sunset):法律が定める期間の満了で、措置が自動的に終わること。Section 122は150日の満了で失効した。
- 異議申立(protest):確定した税額について、CBPに考え直しを求める手続き(19 U.S.C. §1514)。清算から180日以内に出す。還付を受ける権利を守るために使う。
- 通関日基準:上乗せがかかるかどうかは「いつ通関したか」で決まるという考え方。2026年7月24日以降の通関に122条はかからない。
Q&A:よくある質問
- Section 122の一律10%の上乗せ関税は、いつ終わりましたか?
- 2026年7月24日(米国東部時間午前0時1分)に失効しました。2026年2月24日から150日間課され、法律が定める最長の期間の満了で終わりました。議会は延長しませんでした。
- Section 122の失効後、日本原産品にはどんな追加関税がかかりますか?
- 2026年7月24日に、後継として強制労働を理由とするSection 301関税の最終措置が発効しました。日本原産品は通常関税(MFN)と合わせて12.5%になる方式で、MFNが12.5%以上なら301条の上乗せはゼロです。Section 232の対象品と免除品目は対象外です。いずれも本記事の更新時点(2026年8月24日)の整理です。
- Section 122の期間中の税率は10%でしたか、15%でしたか?
- 適用されたのは一律10%です。15%はSection 122の法律上の上限で、布告本文(『10 percent ad valorem』)も2026年5月のCIT判決文も10%としています。自動車・鉄鋼などのSection 232関税は別の制度で、2026年8月24日の更新時点では品目別に続いていました。
- CITが2026年5月7日に違法と判断したのに、なぜSection 122の徴収は続いたのですか?
- Federal Circuitが2026年6月11日にCITの差止を停止したためです。CBPは失効日の2026年7月24日まで徴収を続けました。違法かどうかを争う控訴審は、2026年8月24日時点でFederal Circuitに係属中でした。
- Section 122の期間中に払った10%は、失効後に自動で戻りますか?
- 自動では戻りません。将来違法と確定した場合に還付を受けるには、貨物が清算(liquidation)された日から180日以内に、CBPへ異議申立(protest)を出しておく必要があります(19 U.S.C. §1514)。対象の輸入申告の特定と手続きは、通関士や弁護士にご相談ください。
- Section 122と後継のSection 301の一次情報はどこで確かめられますか?
- 米大統領布告(2026年2月20日)、CITの判断(2026年5月7日)、Federal Circuitの差止停止(2026年6月11日)、失効を整理した法律事務所の解説、後継のSection 301の連邦官報告示(文書番号2026-15181、2026年7月28日掲載)です。最新の情報はCBPの公式発表でご確認ください。
- Section 122 Global Surcharge Set to Expire July 24 by Operation of Law(Nakachi Eckhardt & Jacobson, 2026/7/4)
- Notice of Actions in Section 301 Investigations(Federal Register 文書番号2026-15181・2026/7/28掲載)
- Federal Circuit Stays Section 122 Tariff Injunction(International Trade Insights, 2026/6/11)
- US Trade Court Strikes Down Section 122 Tariffs(Skadden, 2026/5)
- Court of International Trade Rejects 10% Section 122 Tariff — protest to preserve refunds(Ward and Smith, 2026)
- Supreme Court strikes down IEEPA tariffs(SCOTUSblog, 2026/2/20)




